10．紗央里ー２


　紗央里は３〜４分がこれほど長く感じたことは無かった。
（早く、早く着いて！）
　まもなく地下鉄の電車は駅のホームに入った。
　それと同時に痴漢の指は紗央里の下半身を離れた。

　降車する人たちの波に押され、紗央里もホームに降りた。
　紗央里はすぐに周囲を見渡したが、分かるはずもなかった。
　仕方なく紗央里は地下道を通って乗り換え路線に向かった。
　途中、化粧室を見つけた紗央里は、汗か淫液か分からないが、濡れたパンティを穿き替えようと思った。
　周囲を確認した紗央里は化粧室に入り、一番奥の個室に入った。
（あっ、やっぱり濡れてる・・・・わたし異常なの？）
　タイトスカートを捲くり、濡れたパンティを脱いでバッグにしまい、着替えに用意していたパンティを取り出した。

　その時だった。
　個室の上から誰かがが飛び降りて来た。
　驚きのあまり声も出せない紗央里の口にガムテープを貼り、両手を後ろに回され、ぐるぐるとガムテープで固定された。
「うぅぅぅ〜〜〜」
「静かにしないとケガどころか命さえ危ないよ」
　静かな口調でナイフを手に紗央里を脅す男は、頭からストッキングを被り、顔を分からなくしていた。
「いいオンナだ・・・・顔もいいが、身体はもっといい！濡れやすくて感じやすい、いい感度をしてる」
　紗央里は地下鉄の中で弄ってきた痴漢だと思ったが、それがどんな男なのか分からない以上、どうにもならなかった。
「いいお尻をしてる・・・・触った感触も良かったが、こうして剥き出しになっているお尻を見るのも堪らない！」
　男は紗央里の両脚を自分の足で開いて固定し、剥き出しになっていたお尻を掴んで自分の方に引き寄せ、素早く肉棒を取り出して紗央里の淫壷に挿入し始めた。

　いつものことだが、紗央里は生理が近づくと異常に感じやすくなる。
　以前は大学の時の同級の男とセックスを楽しんでいたが、最近は仕事が忙しく、自分で慰めることもあった。
　だが、痴漢や強姦は別だと思った。
（このまま犯されるなんて・・・・）
　逃げるに逃げられず、せめて感じないようにするしかないと思った。
　男は紗央里の淫壷の奥まで肉棒を挿入し、両手で紗央里自身も自慢の乳房を掴んで揉み、激しく腰を繰り出し始めた。
　１分・・・・２分・・・・３分・・・・、
（早く、早く終わって！）
　紗央里は淫壷を締めて肉棒を締め付け、早くイカせようとした。
「うおっ！いいオマ○コだ・・・・いいぞ、もっと締めろ！」
　男は手荒に紗央里の乳房を揉みしだき、なおさら激しく紗央里の淫壷を突き始めた。
　紗央里は口唇を噛み締め、なおも淫壷を締めた。
（あうっ・・・・ああっ・・・・イヤッ！か、感じちゃう〜〜）
　締め付けを繰り返しているうちに、いつの間にか、紗央里は自分の方が先に感じてしまったのだ。
「おっ！感じてきたな・・・・よし！もっと感じさせてやる！」
　男が淫壷の肉襞を肉棒で擦るように激しく繰り出すと、紗央里は自分の意志とは裏腹に、大きな快感を感じてしまった。
　キュキュキュッと淫壷を痙攣させ昇りつめたのを確認すると、男は一気に肉棒を膨張させ、ドクドクと粘液を放出した。
「ふぅ〜〜良かったぞ！また、してやるから楽しみにしていろ！」
　そう言うと、男は辺りの状況を確認して出て行った。

　紗央里は後始末をして個室を出た。
（どうして・・・・どうして感じちゃったの！）
　自分で自分が許せないような気持ちが込み上げ、その日、紗央里は得意先と会社に電話を入れ、早退した。

　翌日から紗央里は、極力、バスや車で移動した。
　時間があてに出来ないバスや車は、得意先回りには不適切だったが、早めに出るようにして何とか支障をきたさないようにした。
　だが、日が経つにつれ、紗央里は何か落ち着かなくなった。
　１ヶ月近くが過ぎ、次の生理が近づいたある日の夜、紗央里は、あの日の地下鉄の痴漢行為の快感と、化粧室での強姦による快感を思い出し、濡れていたのだ。
　紗央里はベッドの上で、あの日の快感を思い出しながら自慰に耽った。
（わたしったら・・・・どうしよう？）

　翌日、大学の時のセックスフレンドを呼び出し、久し振りに思い切って淫らなセックスに没頭した。
「どうしたんだ？紗央里、久し振りに会ったと思ったら、凄い乱れ方だな〜いいオンナが淫らになるのは好きだけど・・・・」
　男は紗央里の淫らなな要求に応え、淫らに交わった。
（ダメ・・・・ダメだわ！違う！こんなんじゃない！あの時の快感は、こんなもんじゃない！）
　セックスフレンドとのセックスは、強姦された時より淫猥で、激しいものだったが、紗央里には今一物足りなかった。

　それから５年・・・・、27歳になった紗央里は、同じ商社の３歳年上の社員と結婚した。
　ある程度の成績を上げていたが、同期の男性社員には敵わず、結局、主婦業に落ち着いた紗央里だった。
　主婦業も慣れるまでは大変だったが、慣れてしまうと、紗央里には物足りないものだった。
　半年もすると、夫の忙しさもあって夜の生活も途切れがちになり、暇を持て余す日々が続いた。
（あんな快感は、もう２度と経験できないんだわ・・・・）
　ふと５年前の痴漢とのセックスを思い出していた。
（もう一度・・・・もう一度だけ、経験できれば・・・・）
　子供もまだ出来ない今だからこそ、自分の容姿にも自信が持ててる今だからこそ、夫に背くわけではなく、自分を納得させたいと思った・・・・。