| 13．祐樹ー１ 沢井 祐樹は現在34歳、29歳の美奈子と５年前に結婚し、食品研究所の仕事も順調で、将来設計も不安は無かった。 まだ子供には恵まれていなかったが、５歳年下の美奈子との性生活も何の不満も無かった。 そんなある日、毎年恒例の海外旅行から帰った祐樹は、旅先での写真をパソコンに取り込み、編集していた。 （ん！この顔は・・・・） ディスプレイに表示された妻の美奈子の顔を見て、祐樹は何かを感じた。 （何なんだ・・・・？エッ、何か遠い記憶が・・・・） 美奈子の写真を何枚か続けて表示し、まとめてサムネイル表示した顔を何度も繰り返し見た。 「そうか！分かった・・・・そうだ、佳織さんだ！」 疑問が解けた祐樹は、遠い目をして昔の日々を想い出していた。 （どうしているのかな・・・・？あれから20年か・・・・今は・・・・44歳、逢いたいなぁ・・・・あの頃の佳織さんは憧れだった・・・・イヤ、それ以上かな。44歳というと、さらに素敵になっているかな・・・・） 24歳の若い人妻だった佳織の20年後の姿は想像できなかった。 （こんなこともあるんだな・・・・美奈子と結婚したのは、美奈子が24歳の時・・・・出会った瞬間に一目で惹かれて・・・・似ていたから？イヤイヤ、それじゃ、美奈子に申し訳が無い） そうは思っても、不思議な縁を感じた。 それから何日か経ったが、祐樹の頭から佳織の姿が消えることは無く、それどころか、益々、佳織の存在が膨れ上がっていた。 （あの頃に戻れたら・・・・何とかして佳織さんと初体験を・・・・それに、今の佳織さんとも再会したい！） そんな妄想を抱いていた会社の帰り道、昨日までは無かった路地の角に、異様なPOSTを見つけた。 （何だ！？・・・・えぇ〜と、異次元POST？） 祐樹は性質の悪い悪戯だと思ったが、何かが引っかかった。 （短時間で設置できるとは思えない・・・・うん？何・・・・あなたの想いを叶えます。現在でも過去でも、あなたの望むがままです。今の意識で過去に戻るもよし！今のままで戻るもよし！ 願いを記して投函してください。』 （ふ〜ん・・・・これも佳織さんの引き合わせか・・・・） 祐樹はすぐさま紙を取り出して願いを記し、半信半疑ではあったが、願いを込めて投函した。 翌日の朝にはPOSTは消え失せていた。 （やっぱり、何かあるんだ！） 祐樹は不思議な現実を目の当たりにし、信じる気になっていた。 その日の夜、祐樹は帰宅途中の道で急に意識が遠のいた。 気がつくと、20年前の自分に戻っていた。 （これは夢か！？・・・・否、現実だ！本当に戻ったんだ！14歳の自分に・・・・しかも34歳の意識のままで） 祐樹は高揚する気持ちを抑え、現状把握に努めた。 （この次元の僕は、今、林間学校に出かけてて不在・・・・両親もその予定に併せ、２泊３日の小旅行・・・・そして、隣の佳織さんは・・・・ご主人は出張で１週間不在・・・・全てが、僕の願いのために準備された状況だ！） 祐樹は早速行動に移すことにした。 林間学校に出掛けた日の昼過ぎ、祐樹は自宅に戻った。 誰もいない自宅は懐かしかったが、鍵が掛かっていた。 （意識も14歳の頃の自分として接しないと・・・・） 佳織に不審な感情を抱かせないようにと祐樹は思った。 「あら！どうしたの？祐樹君」 新婚で隣に越してきた佳織が祐樹に声を掛けた。 「あっ、佳織さん・・・・」 「確か・・・・今日は林間学校に」 「えぇ、そうだったんですが・・・・具合が悪くなって・・・・」 「それで帰ってきたの？」 「はい・・・・」 「でも、ご両親は・・・・」 「えぇ、忘れてました」 困り果てる祐樹に、佳織は優しく接した。 「とにかく、わたしの家に・・・・少し休まないと・・・・」 佳織は祐樹の荷物を持ち、支えるようにしながら家の中に入れた。 リビングのソファに祐樹を座らせ、佳織は傍に寄り添って祐樹を心配した。 「ねぇ、お医者さんに行く？どこが悪いの？」 「だ、大丈夫・・・・少し横になっていれば治ると思うけど・・・・」 「そぉ〜ぉ、ならいいけど・・・・じゃあ、向こうの部屋にお蒲団敷くから待ってて！」 そう言うと、佳織は急いで奥の和室に向かった。 （本当に素敵な女性だ・・・・） 小さな卵形の顔には、二重のクッキリした瞳、小さな小鼻、薄く小さな口唇、中でも祐樹が惹かれたのは瞳で、大きな黒目に白い部分が少し青みがかり美しかった。 細い首に長い手足、ハッキリしないがプロポーションも良くみえた。 祐樹が具体的な女性を想像してオナニーしたのも、佳織が最初だった。 この日は暑く、薄着だった。 佳織はムッチリした太股も露わなショートパンツと、上は丈の短いＴシャツのラフな格好で、大きく開いて素肌を見せる胸元には、大粒の汗が光っていた。 「祐樹君、大丈夫？歩ける？」 佳織が戻ってきて祐樹に声を掛けた。 谷間を作った乳房の一部が見え、先ほどより汗が多く浮かんでいた。 （急いで蒲団を敷いたんだ。優しいなぁ・・・・） 祐樹は佳織に手を貸してもらい、奥の和室に向かった。 エアコンの効いた和室で祐樹は横になり。 佳織は薄いタオルケットを身体の上に掛けた・・・・。 |
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| 2007.10.3掲載 |
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