２．史郎ー２

　史郎は悠美の気持ちを掴みかねていた。
（どうしたんだろう？　誰もいない夜に僕を家に入れて・・・・ひとりで不安だから、幼馴染でオトコと意識していない僕だから迎え入れたのか・・・・）
　悠美も喉を潤していた。
「ふぅ〜〜オナカ減っていないのなら、２階に行く？」
「え、あぁ、いいよ」
　悠美は２階の自分の部屋に史郎を連れて行った。

　いつも見上げていた悠美の部屋に入るのは初めてだった。
「キレイにしてるんだなぁ・・・・やっぱり女の子は違うなぁ」
「ふふっ、史郎君の部屋は散らかってるの？」
「そうだな・・・・まぁ、普通かな？」
　史郎は通りの見える窓に寄り、暗くなった戸外を見た。
（エッ！？）
　自分がいつも立ち止まって見上げている場所に、人影が見えた。
　目を凝らして良く見ると、それはいつもの自分だった。
（エッ！　あれは・・・・僕・・・・・・・・と言うことは・・・・）
　史郎はあのPOSTを思い出した。
（あれは冗談や悪戯じゃなかったんだ！）
　史郎は今の自分が50歳の自分であることを自覚し、その興奮は異常なぐらいに高まっていた。
（だから、だからこんな展開に・・・・）
　POSTに書かれていた願いは叶うという言葉どおり、実際には無かった悠美の自分への積極的な行動を納得した。
「大丈夫？　史郎君、凄い汗が・・・・」
　悠美は汗の噴き出した史郎の顔を見て心配そうに言った。
　史郎は窓の外を悠美に見せるわけにはいかないと思い、悠美を制して平静を装った。

　悠美の部屋の中は、机に椅子、洋服ダンスに本棚、ベッドの横にはラジカセがあった。
　悠美は当時流行っていた音楽をカセットで流した。
（まさしく、あの時代・・・・）
　史郎はこの後、どうしようかと迷っていた。
（長年、夢にまで見た悠美と、当時のままで過ごしてる・・・・あの次元を超えたPOSTの力が本物なら、何も慌てなくても、必ず悠美とセックスできる・・・・）
　そう思った史郎は、落ち着いて時間を楽しもうと決めた。
「ねぇ、史郎君、好きなひといるの？」
　ベッドに腰掛けた悠美がポツンと史郎に聞いた。
　史郎は悠美の傍に腰掛けて答えた。
「エッ、あぁ、いるけど・・・・」
「そ、そうなんだ・・・・誰なのかな？」
「そ、それは・・・・」
　史郎は口ごもってハッキリ言えなかった。
「わたしたちって、ずっと一緒だったでしょ！ だから、近すぎて・・・・それで、最近・・・・」
「エッ？」
「うん・・・・最近、気づいたの！ 毎晩、史郎君が帰り道、いつもわたしの部屋を見上げてて、それに気づいた時、胸がキュンとしちゃって・・・・」
「エッ！　それじゃ・・・・僕もずっと悠美が・・・・」
　史郎はこのチャンスがそうだと確信した。
（あの頃、こういう展開になっていたら今頃は・・・・）
　そんな思いが頭を過ぎった。

　悠美の身体の温もりが側面から伝わってくる。
　史郎は思い切って悠美の肩に腕を回し、引き寄せた。
　悠美は素直に史郎の肩に頭を預けた。
　長い間、密かに想いを寄せていた悠美が自分の腕の中に・・・・、そう思うだけで史郎の胸は張り裂けそうだった。
「悠美・・・・」
　史郎は悠美の顎を手で少し持ち上げた。
　悠美は大きな瞳を閉じたまま、史郎に任せていた。
　可愛い口唇が目の前にあった。
（どういう風にキスをすればいいのか・・・・）
　17歳の史郎には初めての経験だったが、50歳の史郎には33年間の想いを込めたキスの瞬間だった。
（今の50歳の自分でしなきゃ、こうしている意味がない）
　身体は17歳だが精神は経験豊かな50歳でいようと思い、悠美の小さく可愛い口唇をそっと舐め、上下の口唇を軽く吸い、舌で舐め、悠美の口の中に舌を入れた。
　悠美の舌に自分の舌を絡めて舐め、上顎から歯茎を舐め、再び口唇を吸い、優しく舐め回した。
　そのまま史郎は、悠美の頬を擦り、耳たぶを舐め、首筋に舌を這わせ、Ｔシャツの上から膨らみの目立つ乳房を手のひらを被せるようにして軽く揉んだ。
「ぁ、はぁぁ・・・・っ、ぁぁ・・・・」
　悠美の口から軽い喘ぎ声が洩れた。

　史郎の舌は、悠美の顎から首、そして鎖骨へと流れ、悠美は自然とベッドの上に仰向けになっていた。
「悠美・・・・好きだ」
「あぁぁ、わたしも・・・・史郎君」
　史郎は両手でＴシャツの上から乳房を揉みしだいた。
（ブラジャーが邪魔で感触が弱い）
　Ｔシャツの捲れた裾からは、悠美の白く艶やかな肌が見え、史郎は縦に窪んだ悠美の臍を舌で舐め、裾を少しずつ捲り、併せて、舌で悠美の肌を舐め回した。
「あぁぁぁ、あぁふぅっ・・・・ぁ、ぁ、ぁぁ、ぃぃぃ・・・・」
　悠美は妖しい表情を見せながら淫らな声を上げ始めていた。
（僕の可愛い悠美が、こんなに感じて淫らな声を・・・・そうか・・・・僕の知らないうちに経験を・・・・そうだよな・・・・）
　史郎は悠美が処女の反応じゃないことで少しガッカリしたが、それは仕方がないことで、こうしていられるだけでも幸せだと思い直した・・・・。