| 31．彰ー１ 彰は現在33歳、都内の高校の教師をしていた。 ５年前に結婚し、３歳になる子供がひとりいた。 高校では古典を教えながら、文芸部の顧問もしていた。 日々、教え子の女子高生と接する中で、彰は今から14年前のことを思い出すことが多くなっていた。 15年前・・・・。 彰は高校３年で新聞部の部長をしていた。 『先輩、わたしと付き合ってもらえませんか？』 そう声を掛けてきたのは、１年後輩の知子だった。 知子は157cmほどの身長だったが、プロポーションは抜群だった。 色白で目は大きくクリッとして可愛く、口唇は薄く小さかった。 体操着姿の知子の乳房は体操着を着ていてもハッキリと分かり、その膨らみは彰にとって刺激的だった。 『ありがとう！だけど、もうじき受験だし、僕は片思い中だから・・・・』 バカ正直に知子に返答し、少し後悔した彰だった。 その１年後・・・・。 忘れられないことがあった。 彰は大学生になり、友人と夜中まで語り合いアパートに戻った。 ６畳一間の共同住宅の一室を借りていた彰は、寝静まったアパートの廊下を歩き、突き当りの自室のドアを開けた。 いつも鍵は掛けてなく、そのまま真っ暗な部屋に入った。 （もう２時か・・・・明日は早く起きなきゃいけないのに・・・・） そんなことを思いながら、ベッドに入ろうと蒲団を捲った。 「ん？ワッ！」 「あっ、先輩！す、すみません。帰れなくなって・・・・」 薄暗さに慣れた彰の目に映ったのは、知子だった。 「と、知子ちゃん！あっ、いいよ！そのままで・・・・僕、出かけるから」 彰は予想もしなかった出来事に慌てて、起き上がった知子を制し、そのまま戸外に出て行った。 駅近くの終夜営業の喫茶店に入ってコーヒーを注文し、彰は今あったことを落ち着いて思い出していた。 （マイッタなぁ〜何で知子ちゃんが・・・・帰れなくなったとか・・・・そうか、最終がなくなって訪ねて来たのか・・・・僕が居なかったから、そのまま眠くなって寝てしまったのか。そうか、知子ちゃんも、こっちの大学に入っていたのか！） 彰は自分なりに一連の流れを整理した。 しかし今戻れば、まだ知子が居ると思い、朝まで時間を潰した。 始発が出て１時間ほど経ってから、彰は部屋に戻った。 『先輩、勝手に寝ていてスミマセンでした。始発で帰ります。ご迷惑をお掛けしました。知子』 部屋に戻ると置手紙があり、知子の姿は無かった。 これだけのことだったが、彰には忘れられない出来事だった。 （あの頃は仕送りも少なく、アルバイトも忙しくて・・・・今考えると、本当は知子ちゃんに興味があったのに・・・・） 幸せな日々を送る今の彰には、知子の記憶ともうひとつ、淫らな妄想を駆り立てられた記憶があった。 12年前・・・・。 21歳になった彰は、普通のアパートに引っ越した。 ３階の一番奥の部屋に卒業するまで住んでいた。 その部屋の窓から見えるマンションの部屋の女性が、彰の忘れられないもうひとりの女性、妄想の女性だった。 その女性、年齢は20代前半に見えた。 名前も何も知らない女性だった。 何がそんなに忘れられない女性かと言うと、それは彰が夜、部屋に帰って灯りを点けると、まるでそれが合図だったかのように、女性は窓際で全裸になり少し体操をすると浴室に向かった。 まもなく浴室から出てくると、全裸のままで再び体操をしていたのだ。 まるで彰に見せ付けているかのようだった。 教師になって10年余り・・・・、公務員が淫らな行為に走るなんて考えられなかった。 だが内心では、どうしても吹っ切れない記憶だった。 部活の顧問の仕事も終え、自宅に帰る途中だった。 （何だ！これは・・・・？異次元ＰＯＳＴ？性質の悪い悪戯か・・・・） だが妙に気になり、彰はPOSTを見直した。 （あなたの願いを書いて投函してください。必ず願いを叶えます。信じる信じないは、あなた次第です。） 彰は半信半疑だったが、何もしないよりはいいと思い投函した。 『知子ちゃんとのあの日に戻して欲しい・・・・但し、それが原因で現在が変わらないことが絶対条件。見知らぬ女性とも同様の条件で会わせてください・・・・』 彰は願いを投函した後、自宅に戻りドアを開けた。 その瞬間、そこは14年前の共同住宅の自室だった。 （戻った！本当に戻ったんだ・・・・） 彰は身震いがするほど驚いたが、すぐに気を取り直し自分の姿を確認した。 （あの時の僕だ！だったら、知子ちゃんと・・・・） 彰は静かにドアをロックし、ベッドに近寄った。 そこには確かに18歳の知子が静かに寝息を立てていた。 （フッ、よく寝てる・・・・さて、どうするか？） 彰はこのまま起こせば過ぎし日と同じだと思い、結果を考えて行動に移すことにした。 （終電が過ぎて僕の部屋で寝てるということは・・・・多分、僕に抱かれてもいいと思っていたに違いない！） 彰はそっと掛け布団を剥いだ。 知子は裸同然の姿で寝ていた。 小さなパンティだけの半裸姿の知子は、見事な身体に似合わず、高校の時と同じ可愛い顔で寝ていた。 柔らかそうな乳房は谷間を作り、滑らかな白い肌が露わになり、彰は知子の交際の申し込みを断ったのを後悔した。 （あの時、受けていれば、きっと楽しい日々が・・・・） そんなことを思いながら、彰は全裸になって知子に寄り添った・・・・。 |
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| 2007.12.17掲載 |
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