４．史郎ー４（真弓ー１）

　 史郎が悠美の中に想いを込めた射精をし、悠美の家を出た瞬間、史郎は元の部屋に戻っていた。

　 姿、年齢、共に50歳の史郎に戻っていた。
　 だが満足感に浸った感触は、肉棒だけでなく全てにあった。
（良かった！　本当に良かった・・・・）
　 その夜、史郎はぐっすりと熟睡した。

　 一方、33年前の世界はどうなったか？
　 悠美は翌日、処女を捧げた先輩と別れた。
（史郎君があんなに素敵だったなんて・・・・）
　 悠美は史郎から与えられた大きな快感が忘れられず、史郎からの誘いを待っていた。
　 １ヶ月が経ったが、史郎からの誘いは無く、悶々とした日々が続いた悠美は、生理の遅れに気づいた。
　 教室でも指を折って、生理日の日にちを確認した。
（悠美、何を数えてるんだ？　まさか生理が遅れてるとか・・・・）
　 何も知らない17歳の史郎は、不思議そうに悠美を見ていた。

　 結局、１週間ほど遅れて生理がきた悠美は、ホッとした。
　 だが、すぐに進学校だった高校生活は、受験シーズンに突入し、ふたりは何も無く高校生活を終えた。
　 都内の違う大学に進学したふたりは、一度も触れ合うことの無い大学生活を送った。
　 それぞれ数多くの経験をし、地元の会社に就職した。
　 史郎は会社で知り合った女性と結婚し、長男をもうけた。
　 悠美は史郎との高校時のセックスが尾を引き、どうしても他の男との結婚に踏み切れなかった。
　 人生と言うものは、皮肉なものだ。
　 悠美は人伝てに史郎が結婚したことを聞き、30歳になって遅い結婚をした。
　 どちらかが声を掛けていれば、どうにかなったふたり・・・・、だが、異次元POSTは歴史を決して変えることは無かった。

　 50歳の史郎は、17歳に戻って経験した悠美が忘れられず、再び悠美とセックスをしたくて我慢できなかった。
（人妻になった悠美と出会い、密会をする・・・・）
　 その想いを叶えたいと例のPOSTを探した。
　 この間、見つけた場所で、再び異次元POSTを見つけた。
『同じ人との経験は、相手の意識の中にその経験が残ります。それが、その先の人生、関係する人々の人生を狂わせる・・・・その危険を承知できるのであれば、叶えます』
　 まるで、史郎の心の願いを読みきったメッセージがあった。
（と言うことは、その後、お互いに悲劇になることも・・・・）
　 史郎は思い迷った。
　 翌日の午後、史郎は思いがけないシーンに遭った。
（あれは・・・・）
　 それは自分と同じように年齢を重ねた悠美だった。
　 可愛い笑顔はそのままで、幸せそうな笑みを浮かべていた。
（フッ、もういい・・・・想いは叶ったんだ！ あの笑顔を曇らせるような危険は冒せない・・・・）
　 史郎は再び異次元POSTに出遭うことは無かった・・・・。

　 真弓は26歳で結婚し、現在、34歳になっていた。
　 子供はひとり、夫は役所に勤める真面目な男だった。
　 その子供も小学校に入学し、忙しかった子育ては少し楽になった。
　 そんなある日、真弓は一枚の同窓会の葉書を手にしていた。
（そう言えば・・・・高樹さん、今、どうしてるのかな？）
　 高校のクラブの同窓会で、真弓はふと16歳の夏の日を想い出した。

　 真弓、高校１年の夏・・・・、入学時から真弓は全校の男子生徒の注目の存在だった。
　 顔は色白で並みの上程度だったが、プロポーションは、92・58・88という見事なものだった。
　 体育の時間になると、男子生徒はその肢体に見とれ、教師に叱責されることは度々だった。
　 北国生まれの真弓の肌はキメ細かく透き通り、誰もが真弓とのセックスを夢見ていた。

　 真弓は演劇部に入り、３年の部長、高樹 健に一目で憧れた。
　 だが高樹は部活に熱心で、真弓には興味を示さなかった。
（先輩だけよ！わたしに振り向かないのは・・・・）
　 真弓は高樹以外の男とは付き合いたくなく、毎晩のように、自分の指で淫らな欲を慰めていた。
　 ある日のこと、誰もいなくなった舞台にいると、袖の上にある照明室から声が掛かった。
「おい！真弓君か？」
「エッ！えぇ、そうです」
「丁度いい！そこにそのまま立ってて！」
　 真弓は高樹の指示通りに舞台に立っていた。
　 高樹は照明を真弓に向けチェックを繰り返した。
「ＯＫ！サンキュウ〜もういいよ！」
　 高樹は脚本にチェックを入れ、照明室で読み直しを続けた。
　 真弓は照明室への梯子を上った。
「部長、何かまだ手伝いましょうか？」
「ん？あぁ、もういいよ」
　 真弓は高樹に無視され、少しカチンとした。
（どうして？・・・・よぉし！じゃあ・・・・）

　 真弓は薄いブラウスとスカートの制服姿だった。
　 高樹に気づかれないように、ブラジャーを外してしまい、スカートの上部を折り重ねてミニスカートにした。
「部長、ここから照明をどうやって操作するんですか？」
「ん？あぁ、それは・・・・」
　 高樹は真弓の質問に真面目に答えようと立ち上がった。
　 真弓は大きく前屈みになり、高樹にお尻が見えるようにした。
（ん！見えてる・・・・）
　 演劇一筋の高樹は大いに動揺しながら、真弓の傍に寄った・・・・。