| 68．修ー１ 小さなアパートの６畳一間、それが修の大学時代の部屋だった。 （隣に住んでいた娘、確か由美と言ってたよな・・・・今はどうしてるんだろう？） 大学を卒業して就職し、少し落ち着いた修は、大学時代に隣に住んでいた由美と言う女性を思い出していた。 修、21歳の夏・・・・。 隣に住んでいる由美の淫らな声が気になって仕方がなかった。 古いアパートだったので、隣の小さな物音さえ聞こえる部屋だった。 修は天井近くの壁の穴を見つけ、そこから隣の様子を覗き見ることにした。 「あぁはぁ〜〜っ・・・・あぁ、いぃ〜〜っ・・・・」 「由美はこうすると、良く感じるんだよな」 四つん這いになってお尻を突き出している由美の淫壷に、50歳ぐらいの男が肉棒を挿入し、指をアヌスに入れて腰を動かしていた。 「あぁ、そ、そぅ・・・・あっ、もっと、あうっ、あっ・・・・いぃぃ・・・・」 「由美の身体は毎回、新鮮に感じる。まるでセックスをするために生まれてきたような女だな」 「あぁぁ、いぃぃぃ、イッ、くぅぅぅ〜〜〜」 由美は身体を弓なりに反らし、獣が吠えるように昇りつめた。 「うあっ！この締め付けが・・・・うっ、出る！」 男は由美のお尻を引き付け、ドクドクと精液を放出した。 修は今まで淫声は聞いていたが、覗き見したのは初めてだった。 （凄いなぁ・・・・こっちも興奮して出ちゃいそうだ！） 修は堅く勃起した肉棒を抑え、覗き見を続けた。 しばらくして身体を離した男は身支度を整え、上着の内ポケットから札入れを取り出し、数枚の一万円札を由美の裸の上に投げた。 「今月分だ。来週は良く感じるお尻の中に出すぞ！」 そう言うと、男は由美の部屋を出ていった。 由美は裸の身体をゆっくりと起こし、気だるそうにお金を拾った。 ガタッ！ 「な、何！？」 「いっ、痛ぇ〜」 修は足を滑らせ膝を打ち付けた。 「隣の〜学生さん！覗き見は高いわよ！」 「す、すみません・・・・だけど・・・・」 「何？」 「売春はいかがなものかと・・・・」 「あなたには関係ないでしょ！ほっといて！それと、もう覗かないでよ！」 薄い壁越しの会話だった。 それからも、週に１回は例の男がやってきた。 その度に、修は壁穴から覗きをしていた。 最初はその刺激でオナニーをしていたのだが、次第に虚しくなって止めた。 と言うのも、由美は昼間、デザイン学校に通い、帰宅すると、すぐに机に向かってデザインの勉強をしていた。 （あんなに真面目に勉強している彼女と、男と淫らに交わっている彼女は、果たして同一人物なのか？） そんな思いで由美を見ているうちに虚しさが込み上げてきたのだ。 （普通にアルバイトして生活費を稼ぐより、男に週に１回抱かれてお金を貰ったほうが勉強に専念できる・・・・） 分からないわけではないが、修はどうしても納得できなかった。 ある日、修は由美の部屋を訪ねることにした。 「何！何か用？」 由美は勉強していたのを邪魔され、気分悪そうに修に接した。 「チョッと話しが・・・・」 「話し？そんなことを言って、わたしとセックスしたいんでしょ？」 「エッ！ち、違うよ！」 「正直に言えばいいでしょ！ いつも覗き見してて堪えきれなくなったって。あなた、結構、わたしのタイプだから、してもいいわよ！但し、１回１万出してくれればね」 「だから、だから違うって！」 修は少し声を荒げて怒鳴るように言った。 「何よ〜そんな怖い顔して・・・・」 「いくら勉強時間が惜しいからって、ああいう稼ぎ方はダメだよ！」 「フン！お説教なら沢山よ。それなら、あんなことをしなくて済むように、あなたがわたしを養ってくれるとでも言うの？」 「イヤ、そ、それは・・・・僕だって学生だし」 「だったら、放っといて！」 「・・・・・・・・、そうしてあげたい。哀しくて虚しくて・・・・」 修は涙が込み上げそうになった。 「ば、バッカじゃない！そんな顔をして・・・・何もあなたが抱かれてるわけじゃないんだから」 そう言うと、由美は修を部屋の外に閉め出した。 それから２日後、やはり由美は男に抱かれていた。 修はどうしてもやりきれなくなり、部屋を飛び出していった。 （どうして・・・・どうしてこんなに・・・・） 修は自分でも分からなかった。 自分がどうしてこんなに苛立つのか？ ・・・・哀しい女に対する同情？ ・・・・自分の忠告が何の役にも立たない苛立ち？ ・・・・セックスしたいのに無理して我慢してる？ （否、そんなことじゃない！） 自分自身でも明確にならない感情が修の中で膨らんでいった。 そして１週間後、突然、由美は引っ越していった。 （どうしたんだ？） それ以上どうすることもできない修は、そんな由美のことを次第に忘れていった・・・・。 修ー２ 就職も内定し、ホッとした修の目がコンビニで留まった。 （アッ！あれは・・・・） 修の視線の先には、あの由美がいた。 由美が引っ越していって３ヶ月ほど経っていた。 （やっと忘れたのに・・・・でも、あの格好は・・・・） よく見ると、由美はそのコンビニの制服を着ていた。 （アルバイト？と言うことは・・・・あの男とは・・・・） 修は何故か急に嬉しくなった。 その日から時間を見計らって由美の姿を見に行った。 コンビニの道路向かいの喫茶店で、修は由美の姿を追っていた。 （デザインの方はどうなったのかな？専門学校は来春、卒業だよな・・・・就職先は決まったのかな？） 修はあれこれ思いを巡らせながら由美を見る日々が続いた。 アパートに帰っても空室のままの隣の部屋が気になった。 （あの壁穴から毎回のように覗いたんだ・・・・由美・・・・あの淫らな姿態を思い出して仕方がない） ・・・・由美の身体は全体的に肉付きが良かった。 160cmほどの背丈で肩幅は狭かったが、局部の肉付きは良かった。 由美の身体の魅力は肉付きだけではなかった。 四つん這いになっている時などは、肢体が跳ねるようにしなやかで、肌は艶やかに張り、まるで黒豹を想わせる身体だった。 乳房もお尻もプルンと張って膨らみ、無駄な肉は無かった。 ・・・・男の黒ずんだ肉棒を掴んで横咥えし、口唇で扱くようにして肉茎を舐め、その後、亀頭を舐め回す。 男はピクピクと震えながら由美のフェラを堪能していた。 玉袋を口の中に咥え舌で舐め回すと、男は由美の頭を抱えて自分の股間に押し付け淫悦の表情をしていた。 （うっ！あっ、イッ、イクッ！） 修は思い出しているだけで、肉棒に被せたティッシュを精液で一杯にした。 ・・・・プルプルとした乳房を揉み上げ、男が舌で乳首を舐め回すと、由美は眉を寄せて淫らな声を洩らした。 「あぁ・・・・い、いぃっ・・・・」 長く均整の取れた脚を持ち上げ、男は昂った肉棒を淫壷に挿入した。 挿入と同時に由美の淫声は大きくなり、端整な顔を妖しく歪めた。 「あぁ、あぁ、あぁ、あいっ・・・・あ、イクッ！イッくぅぅぅ〜〜〜」 ２〜３分も経たないうちに由美は全身を強張らせ昇りつめていった。 （うあっ！また・・・・） 修は続けざまに射精していた。 （僕は彼女の身体やセックスを目的に気にしているのか？否、決してそんなことは・・・・じゃあ、彼女に対してそんなに興味を抱くのは何故？・・・・・・・・、多分、彼女の生き様・・・・身を落としても夢を実現しようとする、僕には出来ない彼女に惹かれて・・・・そうだ！僕は彼女を・・・・） 修が自分の気持ちの整理がついた頃、再び由美の姿が消えた。 修24歳、由美が修の前から消えて２年余りの月日が流れた。 テレビ局の制作部に勤務し、毎日、忙しく過ごしていた。 （由美・・・・どうしてる？） 少し考える時間ができると、思うことは由美のことばかりだった。 （顔や身体だけなら、テレビ関係者には五万といい女はいる。だが・・・・由美のような自分を燃やすような女はいない！） 修が塞ぎこんでいた時、局の片隅に妙なモノを見つけた。 それはＰＯＳＴの形をしていたが、見たことのないものだった。 （局の道具でも無いし・・・・ん！異次元ＰＯＳＴ？あなたの願いを叶えます。どうしても叶えたい願いを紙に書き、投函してください。必ず、あなたの願いを叶えます。フッ、バカな・・・・誰だ？こんな悪い冗談を・・・・） そう思った修だったが、何かが引っかかった。 （探しても見つからない由美・・・・過去に戻って告白しても、何も無い僕を由美が受け入れるわけがない。だが、今なら、イヤ、これから先の僕なら・・・・） 修は今の次元で由美に再会し、自分を受け入れて欲しいと書いた。 それから２日後、修は局制作の新企画をまとめるよう指示された。 １週間ほどで概要をまとめ、上司から具体化するよう求められた修は、すぐに協力会社数社を呼び、説明会を開いた。 「１年後の○○大会まで、毎週15分番組を放映します。配布した企画書はその概要を示したもので、大会当日まで次第に機運を盛り上げるよう演出していきます。タイトル、キャラ、ディスプレイなどのデザインまで含め、具体的な企画書を提出してください・・・・・・・・」 修はフッと思った。 （由美がデザインを続けていれば、この場に居てもいいのだが・・・・やはりあのＰＯＳＴは悪戯だったのか・・・・そうでなければ、この場で再会できたはず！） 各社の顔ぶれを見渡し、修は落胆していた。 （いつまで引きずっているんだ！だらしないぞ、修！） 修は自分自身を叱咤し、割り切ることにした。 プレゼンを重ね、上司のゴーサインをもらった修は、決定した会社のスタッフと制作会議を行なっていった。 「なかなかのデザインじゃないですか！」 「そうですか！今回からデザインを担当させたんですが・・・・」 「いいですねぇ〜このキャラの声優は？」 「それも準備して来ていますので・・・・あっ、こっちに来て！」 制作会社のデザイン担当がＰＣを持って入って来た。 「デザインを担当します上野 由美と申します。宜しくお願いします」 デザイン担当の女性が修に挨拶をした・・・・。 修ー３ 修は思わず顔を上げて驚いた。 （エッ！・・・・ゆ、由美？） 同時に、由美も思わず声を上げそうになった。 「どうかされたんですか？」 由美の上司が固まったふたりを見て声をかけた。 「い、いえ！」 修は何でもないという顔で答えた。 由美もノートＰＣを開き、キャラを音声入りで表示させた。 （頑張っていたんだ・・・・これが由美なんだ） 修は込み上げる喜びを抑えるのに必死だった。 その夜、久し振りに再会したふたりは、ホテルのレストランにいた。 大きな窓に面した席に向かい合って座ったふたりは、夜景を見ながら食後のコーヒーを飲んでいた。 「やっていたんだデザイン」 「エッ！えぇ・・・・まさか、こういう形で再会するなんて・・・・今、前に座っているのはクライアント？」 「イヤ、以前、由美さんの隣に住んでいた坂本 修、それだけ」 「ふぅ〜驚いたわ！心臓が口から飛び出るかと思った」 「それは僕も同じだよ」 由美は少しホッとしてコーヒーを飲み込んだ。 「わたし・・・・軽蔑されているわよね？」 「エッ、どうして？」 「だって・・・・」 「コンビニから急に居なくなって、どうしたかと思ったよ」 「エッ！どうして知ってるの？コンビニのこと」 「偶然だったけど見かけて・・・・それから毎日・・・・」 「ウソ！だって、一度も」 「あぁ、君が気にすると思って・・・・向かいの喫茶店から」 「イヤねぇ〜それって、ストーカーみたい」 「あっ、そうか！そう言われればそうだね、アハハハ」 「ウフッ、相変わらずね！だから・・・・」 「エッ！だから・・・・？」 由美は顔を伏せて口を閉じた。 修はこの機会を無駄にしないようにしたいと思った。 （あのＰＯＳＴのお蔭で会えたんだ！この有り得ないようなチャンスを生かさなければ・・・・） 修は真面目な顔で由美を見つめ口を開いた。 「由美さん」 「な、何？その真面目な顔・・・・また、お説教でもしたいの？」 「説教？あぁ、あれか、あれは・・・・それより急にアパートから居なくなって、コンビニからも急に・・・・どうしたのかと心配したよ」 由美は少し戸惑うような表情をした。 「・・・・・・・・・・・・。引っ越したのは・・・・関係を清算したからよ」 「あ、あぁ」 「あぁ、って・・・・あなたがマジに説教するから」 「エッ！じゃあ、それで？」 「もぉ〜いい加減な人ね！自分の言葉に責任持ってよ」 「あ、いや、そうだよね」 「フッ・・・・でも良かったわ！スッキリしたし・・・・」 「じゃあ、それからコンビニで？」 「そうよ！わたし天涯孤独だから、生きていかなきゃならないし・・・・大変だったのよ、学校に生活に・・・・」 修は一時の感情で由美に言った言葉が、由美を大きく変えていたことに驚くと共に、言葉の怖さ、大切さを感じていた。 修は由美を益々魅力的に感じ、自分より大人に思えた。 「でも、どうしてテレビ局に？」 「エッ、あぁ、君の影響かな・・・・」 「エッ？」 「由美さんの創造性豊かなデザインに打ち込む姿に刺激され、自分も何かを創り出し、人々に感じさせる仕事をしたいって」 「フッ、そうなの？」 「じゃあ、結果として、お互いにいい影響を与え合ったのね」 「と、言うことになるのかな？」 修は頭を掻きながらおどけた表情をした。 「今のあなたの立場なら、わたしをどうでもできるわね？」 「エッ・・・・そんなことは・・・・」 「過去を知ってるし、立場は強いし・・・・わたしの身体を自由にすることもできるわよ」 「ま、まさか・・・・」 「わたしね、引っ越してからは、一度も男の人と付き合ってないの。と言うより、セックスを封じて普通の女性になりたくて・・・・」 「確かに、僕は君の身体に魅力を感じていたけど、君とセックスしたくて意識してたんじゃないんだ！・・・・・・・・、由美さん、僕と付き合ってくれませんか？過去も現在も、そして未来の君も、僕に引き受けさせて欲しい」 「エッ！う、ウソ？だって、あなたも知ってのとおり、わたしの身体は汚れきっているのよ！」 「もう充分に昇華されたんじゃない？僕は、そういう風な君の生き方、考え方が好きなんだ！」 「・・・・・・・・・・・・、あなたにそう言ってもらえれば・・・・本気で心配してくれたあなたに応えることが出来るのなら・・・・」 「もう充分に応えてるよ！目の前で実証している」 修は由美の手を軽く握り、少し潤んだ由美の瞳を見つめていた。 それから１時間後、ふたりはホテルの部屋に居た。 「結局、こうなるのね？」 「イヤ、何もしなくてもいいよ！」 「エッ！したいんでしょ、わたしと？」 「違うよ！君と一緒に居たいだけなんだ。体温を感じる距離で・・・・」 「本気なの？わたし、もう、ひとりじゃないの？」 「そうだよ！結婚しよう、イヤ、して欲しい」 由美は修の胸に抱かれ、本当の快感を感じていた・・・・。 |
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| 2008.4.28掲載 |
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