７．真弓ー４


　真弓の心は揺れていた。
　自分が望んだ状況になったのだが、内心複雑だった。
　夫に対する裏切り・・・・割り切れない過去の昇華・・・・、目の前の高樹は高校時代よりさらに大人のオトコになり、自分を求めていた。
（あり得ないと思って願ったことが、まさか本当になるなんて・・・・）
　真弓は吹っ切れない自分の背中を押してくれないかと思った。

　高樹は戸惑っている真弓に優しく囁くように言った。
「部屋は最上階に予約している」
　真弓はピクンと小さく頭を上下させた。
「あの時・・・・僕は女性経験が全く無くて、戸惑っていたんだ。君が自分の気持ちを懸命に行動で表してくれていたのに、僕はどうしていいのか分からなかった・・・・。でも、君の気持ちが嬉しくて、応えたかったんだ」
　真弓は高樹の言葉に嘘はないと思った。
「わたしも、あの時は、全く経験が無かったの・・・・だから、あの後も高樹さんからの連絡を待っていたのに・・・・」
「エッ、真弓さんも初めてだったの！？そうだったんだ・・・・じゃあ、あの行動は大変だったね。次の日もその次の日も、君を誘いたかった。だけど、その機会を失って、どうしていいのか分からなくて・・・・」
「そうだったんですか・・・・（その気はあったんだわ！）わたしは初めてじゃないと思ったんでしょ？」
「エッ、あぁ、そう、正直言って、そう思った。だから経験の無い僕は、臆してしまったのも事実なんだ」
「ふぅ〜〜上手くいかないものですね・・・・もし、あの時、経験していたら・・・・わたしたち、どうなって？」
「う〜ん、それも分からないな・・・・今、こうして、さらに魅力的になった真弓さんを前にして、こうなることが分かっていれば、放さなかったかも・・・・」
　真弓の中で、霞がかかっていた部分が少し晴れた気がした。
「じゃあ、僕は予約してある最上階の1801号の部屋に行くよ！この後、君が来るか帰るかは、君の自由だ。どちらを選択しても、僕は納得できる。僕としては、君がどちらを選んでも、最後の機会にしたい・・・・」
　そう言うと、高樹はエレベーターに向かって行った。

　真弓は結婚してからも数多くのオトコ達から誘われた。
　色白のキメ細かな肌と抜群のプロポーション、いつも潤んだような瞳は妖艶で、男心を擽った。
　だが、一度も、その誘いに乗ることは無かった。
（ふぅ〜〜どうしよう・・・・？この機会を逃したら、もう一生チャンスは無い・・・・）
　高樹の『最後の機会』という言葉が、真弓の背中を押した。
　高樹が部屋に向かって10分ほどが過ぎていた。
　真弓はゆっくりと立ち上がり、最上階の部屋に向かった。

　1801号・・・・高樹の予約した部屋の前に立つと、真弓は大きく深呼吸をしてドアをノックした。
　ガチャッ！
　ドアが開き、大人になった高樹が立っていた。
　真弓が黙って部屋の中に入ると、すぐに高樹に抱き締められ、口唇を重ねられた。
　カチッ！
　真弓の背中の向こうで、部屋のロック音が聞こえた。
（もう引き返せない・・・・）
　真弓は高樹の口づけに応え、自分も舌を入れて返した。

　部屋の中は暖かな光りに満ちていた。
　高樹は真弓をベッドルームに連れて行き、真弓の身体を抱えてベッドの上に仰向けにした。
　ベッドルームも灯りが調整され、暖かな光りが少し落とされていた。
　高樹はネクタイを外し、Ｙシャツも脱いで上半身裸になった。
　精悍になった顔立ち同様、身体も引き締まって見えた。
（高校の時はどうだったのか・・・・？もう想像も出来ないわ・・・・）
　ベッドの上から高樹を見遣り、照明室の出来事が頭を過ぎっていた。
「あの日の続き・・・・今日はお互いに浮気ではなく、あの日に帰っての本気・・・・いい？」
「えぇ・・・・」
　真弓は小さく頷いた。
　高樹は再び真弓の口唇にキスをし、首筋から耳へと舌を這わせた。
　さらに真弓の鎖骨の辺りを舐めながら、ブラウスの上からでもハッキリと分かる深い谷間を作る乳房を掴み、優しく揉み始めた。
「あの日は、ここで終わったんだね・・・・」
「えぇ」
　真弓は小さく喘ぎながら頷いた。

　高樹は真弓の下半身に移動し、ソフトパンツを脱がした。
　暖かな部屋の灯りに、真弓の小さなパンティと太股が映え、あの日の真弓の姿を彷彿させた。
「変わらないな・・・・あの日のままだ・・・・」
　高樹は感慨深げに呟いた。
（高樹さん、あなたはあの日より落ち着いて素敵になったわ・・・・）
　真弓は高樹の呟きに心の中で答えた。
　高樹は素早く下半身も裸になり、真弓に寄り添った。
　真弓のブラウスのボタンをひとつずつ丁寧に外し、優しく脱がせてベッド脇のテーブルの上に置いた。
　高樹は真弓の見事な乳房の膨らみを初めて目の当たりにし、早くブラジャーを取って揉みたい衝動に駆られた。
　その衝動を抑え、高樹は真弓の柔らかなキメ細かい肌を擦った。
　肩から腕、乳房の下から下腹部、腰から太股と擦った。
「はぁ、はぁ、はぁ、ぁぁっ・・・・ぁ、はぁぁぁ・・・・」
　真弓は高樹の愛撫に身を任せ、次第に喘ぎが大きくなっていった。

　高樹は盛り上がるように膨らみ深い谷間を作っている乳房に戻り、フロントホックのブラジャーを外し、テーブルに置いた。
「凄い・・・・キレイだ・・・・」
　高樹は露わになった真弓の乳房に改めて驚きの声を洩らした・・・・。