| 71．直樹ー５ 京香は乱れた衣服を直し、倒れた足利と直樹を交互に見ていた。 「あ、あなたは・・・・？」 「エッ！」 直樹は京香に尋ねられ、ハッとした。 （そうか！京香さんは、この時はまだ僕を知らないんだ！） 直樹はどう説明しようか迷っていた。 「あなたは確か・・・・新聞配達をしている学生さん？」 「えぇ、そうです！丁度、通りかかったら、見かけない男が屋敷に入っていくのが・・・・それで後を追ったら、あなたを脅して犯そうとしてたので」 「足利は？」 京香は慌てて足利の生死を確認した。 「死んでるわ・・・・」 ふたりは顔を見合わせた。 直樹は元の次元にいつ戻されるか分からなかったので、とにかくこの場を収拾しなければと思った。 「警察を！それと救急車も」 直樹に言われて京香は警察と消防に電話を入れた。 まもなく救急車とパトカーが屋敷に到着した。 この時の京香は、まだ荒んでいなかったので、直樹を心配していた。 足利に玩具にされてからの京香は急激に変わったが、この時はまだ純粋で美しい京香だった。 京香は警察に事情を説明した。 「一応、ふたりとも警察まで来てもらおう」 現場保存をして２名の警察官を残し、京香と直樹はパトカーで警察に連れていかれた。 事情聴取を別々に受ける為、直樹は京香とは別の部屋に案内された。 ドアが開かれ中に入ると、そこは取調室ではなく、拘置所の中だった。 （元の次元に戻ったんだ・・・・拘置所の中だと言うことは・・・・僕はどうなったんだ？） しばらくすると、警察官が現れた。 「良かったな！早く出られて」 「いえ、お手数をお掛けしました」 私物を渡され、直樹は解放された。 直樹はその足で、京香の住む屋敷に向かった。 （京香さんは僕のことをどう思っているんだろう？今の僕らは肉体関係など無い男と女・・・・こんなことなら、あのＰＯＳＴに頼んでおけば良かった。京香さんの僕との記憶を消さないようにと・・・・） 直樹は不安な気持ちで京香の屋敷の呼鈴を鳴らした。 「はい」 京香がドアを開けて出てきた。 「今、釈放されて出てきました」 「あっ、どうもすみません。分かっていればお迎えに・・・・」 「いえ、とんでもありません。京香さんに迎えに来られたら、あらぬ疑いを持たれます」 「でも・・・・あっ、さぁ、どうぞ！」 京香は直樹を屋敷の中に迎え入れた。 京香は直樹に紅茶を出し、向かい合って座った。 「本当にご迷惑を掛けてしまい・・・・何と言えばいいのか？」 「いいんです！遺産もあなたも無事だった。それが何よりです」 「でも不思議な気がします。どうしてあなたが？まるで足利のこと、わたしが襲われることを予期していたようで」 「そうですね・・・・取調べでも問題になりました。正当防衛にならなかったのもその辺が・・・・それと、あなたを助ける為だけなら、一度殴ればいいのにと・・・・」 「足利が生きていれば、また、わたしを脅迫してくると・・・・あなたは、そう思って？」 「止しましょう・・・・それ以上の詮索は・・・・僕は京香さんが、犯されないで純潔が守られたことだけで・・・・」 「ありがとうございます・・・・エッ！？今、何と？純潔が・・・・って？どうしてわたしが処女だと？24歳の女が純潔であるなんて、普通は思わない。だけど、あなたは知っていた・・・・どうして？」 直樹は返答に困ってしまった。 しばらく沈黙の時間が流れた。 直樹は京香に異次元ＰＯＳＴのこと、足利に犯され性の奴隷のようになっていたことなどを話した。 「まさか・・・・そんなことが・・・・」 「本当のことなんです。信じてもらえないと思い、話さないでいようと思ってました。それに・・・・あなたが足利に犯され、淫らに豹変したなどと・・・・ましてや、僕のような男と何度も関係したなんて、高貴なあなたにとっては、とんでもない話だと思います」 京香は透き通るような肌の顔を朱く染め、俯いていた。 「やはり、話さなければ良かった・・・・すみません。あなたの前には二度と現れません。だから安心して、今までどおり、過ごしてください」 直樹は京香のためには、自分が消えるしかないと思い席を立った。 「ま、待って！あなたは自分の生命の危険を冒し、逮捕されることも覚悟して、わたしを救ってくれた・・・・。あなたの人生を狂わせた罪は、わたしにあるのに・・・・あなたはわたしの前から消えようとしている。このまま、あなたが消えたら、わたし一生後悔します」 「京香さん・・・・」 京香は静かに席を立ち、直樹の前に立った。 京香の美麗な顔、瞳で見つめられ、直樹は戸惑っていた。 「あのぉ〜あなたの言うことを信じていないわけじゃないけど・・・・誤解しないで下さいね！あなたはわたしの生命の恩人だと思ってる。・・・・・・・・わたしと何回も・・・・セックス、したということは、わたしの身体の特徴なんかも知っていると言うことですよね？」 「エッ、えぇ、まぁ・・・・」 「ひとつでいいから、その・・・・わたしの身体の特徴を？」 「エッ！う〜ん・・・・・・・・特徴ですか？つまりセックスした人間じゃなければ知らないこと・・・・」 直樹は頭の中で京香とのセックスを思い出していた・・・・。 直樹ー６ 直樹は透き通るような白く美しい肌を思い出していた。 「京香さんの身体・・・・本当にキレイで、滲みひとつ無いから・・・・アッ！そうだ！京香さんのお尻の谷間の上の方、つまり、尾てい骨の下のお尻の肉の間に、小さいけど、ホクロがありました」 「エッ！ホント？わたし知らないわ」 京香は恥かしそうに直樹に答えた。 「普通は見ないところですよね！だから知らないのが当然・・・・でも、セックスの相手は見えるから」 「チョッと待ってて、そこに居てください」 京香は直樹を待たせて、脱衣室に入っていった。 スカートとパンティを脱ぎ、怖々と鏡に裸のお尻を映した。 （良く見えないわ・・・・） 京香は手鏡に反射させ、直樹の指摘した箇所を見てみた。 （アッ！本当にあるわ・・・・こんな風に見せて・・・・） 京香は再び身支度を整え、直樹のところに戻っていった。 しばらくして戻ってきた京香は、顔を朱に染めていた。 「えぇ・・・・あなたの言ったとおりでした」 「じゃあ、信じてもらえたんですね？」 「えぇ、勿論それは・・・・でも・・・・あなたが知っているわたしと、こうして向かい合っているわたしとは、別人だと思ってほしい・・・・」 「もう忘れました！僕の知っている京香さんは、心身共に純粋な女性です」 「ありがとう・・・・ふぅ〜〜何となく変な感じ・・・・普通は24歳で全く男の人と付き合ったことが無いなんて、信じられない話しですよね。亡くなった父が厳格な人だったので・・・・」 「いいんじゃないですか！京香さんと結婚なさる方は幸せな男だと思いますよ」 「・・・・・・・・・・・・」 直樹の言葉に京香は俯いて考え込んでいた。 （何か変なことを言ったかな？） 直樹は京香が何を思っているのか全く分からなかった。 暫くして京香は静かな口調で直樹に言った。 「宜しければ、今からお風呂に入って寛いでください。大変な思いをさせてしまい、本当に感謝しています。あなたさえ良ければ、今日はここに泊まってください。食事もしていただきたいし・・・・」 「そんなお気遣いは無用ですよ。僕に対して京香さんが負い目を感じることは全くありませんよ。僕が自分の考えで実行したことですし、僕は京香さんさえ無事で将来も幸せであってほしいだけです」 「それって、あなたがわたしのことを想ってくれてるってこと？」 「まぁ、簡単に言えば、そう言うことに・・・・でも恋愛は、双方の想いがひとつになって初めて成り立つもの・・・・僕だけの一方通行の気持ちは、京香さんには関係の無いことです。押し付けられても困るのが恋愛感情でしょ？」 「そぅ・・・・そうかも・・・・わたし、本当に、今まで恋愛を経験したことが無いので・・・・わたしはあなたに本当に感謝しています。それは恋愛感情とは違うのでしょうか？」 「えぇ、違うと思いますよ」 「では感謝の気持ちを受けて、今日はゆっくりしてくれませんか？」 「それで京香さんの気持ちの負担が軽くなるのなら・・・・」 「良かった！じゃあ、今、お風呂の支度をしますね！」 京香は嬉しそうな表情で、浴室に向かっていった。 直樹は浴室で交わした京香との淫猥な時間を思い出していた。 （あの時の京香さんは凄かった・・・・京香さんには僕とのセックスの詳細まで話しをしていないから、どこでどんな風に淫らな行為をしたのか、京香さんは知らない・・・・だから、それを悟られるようなことを言わないようにしないと・・・・僕はもう充分だ！今日で逢えなくなっても・・・・） 直樹は今日は京香の言うとおりするが、明日になったら、京香の前から姿を消そうと思っていた。 「お待たせ〜どうぞ、疲れた身体をゆっくり癒してください」 「あ、はい・・・・でも、着替えが？」 「亡くなった父の買い置きの下着で宜しければ・・・・」 「はい、結構です。すみません。お手数をお掛けして」 直樹は汚れた身体を洗い流したかった。 （全てを洗い流して、別の人生を考えよう！） 大学は中退となってしまったので、直樹は将来を模索していた。 浴室に入った直樹は、在りし日の京香との時間を思い出していた。 （この広い浴室で・・・・あの淫らさも確かに魅力的ではあったけど、穢れを知らない今の京香さんは、もっと魅力的だ・・・・） 直樹はシャワーで汚れを洗い流しながら、京香への想いをどうすれば断ち切ることができるかと悩んでいた。 コンコン！ 「あ、はい！」 「開けますよ、いいですか？」 「エッ、チョ、チョッと待ってください」 直樹は慌ててタオルで肉棒を隠した。 「もういいですよ」 そう言うと、京香がドアを開いた。 「着替えは、ここに・・・・バスローブもあるので・・・・あのぉ〜もし良ければ、背中を洗いましょうか？」 「エッ！と、とんでもない！そんなこと、京香さんにさせられませんよ」 「そう言われると・・・・わたしじゃ、ダメですか？」 「いえ、そうじゃなくて」 「じゃあ、洗わせてください。わたしの為に辛い思いをしてもらって・・・・お礼の気持ちで・・・・」 「いいんですか？」 「えぇ、誰かの背中を洗ってあげたことなんて、経験無いけど・・・・何とか出来ると思います」 京香は衣服を脱ぎ、裸体にバスタオルを巻いて浴室の中に入った・・・・。 直樹ー７ 直樹は京香の恥じらいながら入って来た姿を見てドキドキした。 （不思議だな・・・・京香さんとはあんなに淫らに交わったのに、どうしてドキドキしてるんだろう？） 直樹の目には、今の京香は新鮮に感じられた。 京香は直樹から泡立ったスポンジを受け取り、生まれて初めて他人の男の裸を洗い始めた。 （こんなことをするなんて・・・・わたし・・・・） 京香は自分の思い切った行動に、自分自身信じられない気持ちだった。 直樹にしても複雑な心境だった。 （こんなことをされては・・・・せっかく割り切って出直そうと決めた気持ちが揺らいでしまう） 京香は男の身体の逞しさを間近に感じ、何とも表現し難い気持ちになっていた。 やっと直樹の足まで洗い終えた京香は、大きく深呼吸をした。 「あっ、ありがとうございました」 直樹は京香から離れ、シャワーで洗い流そうとした。 「チョッと待って・・・・このまま、わたしの話しを聞いてくれる？」 「エッ、あ、はい」 京香は直樹の背中を見ながら再び大きく息を吐いた。 京香はポツポツと静かに話しを始めた。 「わたし・・・・最初は、あなたのこと、何が目的なんだろう？そう思っていたの」 「エッ、そう・・・・」 「ごめんなさい・・・・でも、今から言うことは全て本心だから・・・・衝撃的だったわ！見知らぬ男性に命がけで助けてもらうなんて・・・・驚き・・・・感謝・・・・疑惑・・・・想い・・・・あなたが拘留され、罪を問われている間に、わたし、いろいろと考えたの。 名前も知らない人が何故？もし誰からも助けられなかったら？あなたは、希望ある将来を失った・・・・いえ、失うことを分かっていながら、夢中でわたしを助けた。 そうやって考えていたら・・・・胸が苦しくなって・・・・あなたが釈放される日を心待ちにしている自分に気づいた。 ５歳年下のあなたの強い想いを感じて・・・・もう年齢なんか関係ない！これが人を愛することなんだと・・・・」 「エッ！」 直樹は驚いて京香の言葉を遮った。 「待って！・・・・信じられないのは分かるけど、わたしにとっては、こんな気持ち、初めてのことなの。今日、こうして、あなたと話しをして、益々、わたし、あなたのことを・・・・ねぇ、お願い！このまま、わたしの傍に居て・・・・？」 京香は浴室中に自分の心臓の鼓動が響いているように感じた。 京香は身体に巻いていたバスタオルを静かに床に落とし、裸体を直樹の背中にそっと押し当てた。 「京香さん・・・・」 直樹は嬉しさと驚き、そして迷う気持ちが入り混じり当惑した。 「こんな気持ち初めてで・・・・どう伝えればいいのか・・・・？」 「京香さん、こういう状況で混乱してるんじゃないんですか？僕のような名もない年下の男に・・・・京香さんには、もっと相応しい男性がいるはずです」 「もう惑わさないで！やっと自分が納得出来たのに・・・・わたしを想ってくれているのなら、わたしの気持ちを無にしないで・・・・お願い」 「ふぅ〜〜分かりました。でも、本当に後悔しませんね？」 「えぇ」 直樹は振り向いて、少し恥かしげな京香の裸体を抱き寄せた。 京香は24歳にして初めて男に抱かれ、素肌と素肌を併せた。 直樹は京香の美麗で純な口唇に口唇を重ね、そっと舐めた。 京香の身体がブルッと小さく震えた。 「京香さんの初めての男になっていいんですね？」 「えぇ、優しく愛してください」 直樹は京香の透き通るような肌を優しく擦った。 直樹と京香は身体の泡を洗い流し、浴室を出て部屋に入った。 直樹は全身を硬直させて震える京香に優しく接し、囁くような言葉で京香の心身をリラックスさせた。 「いっ、痛〜〜ぃ・・・・」 激しい破瓜の痛みに耐え、京香は本当に処女を喪失した。 （足利に奪われた処女を取り戻し、自分が喪失させるなんて・・・・） こんな展開を予想していなかった直樹は、何とも言えない複雑な心持ちだった。 京香の白く透き通るような肌は朱に染まり、直樹の肉棒を淫壷に受け入れ、肉体的な痛みと精神的な喜びの中で初めてのセックスを経験した。 直樹の射精を淫壷で受け止め、京香は快感に震える直樹の身体を抱き締め、痛み以上の喜びを感じていた。 京香の初めての男として、今後の京香に責任を果たそうと決意していた。 「大丈夫？」 「えぇ、あなたが優しかったから・・・・この屋敷は処分して、何処かに越しましょう」 「エッ、いいんですか？」 「えぇ、没落した名前より、これからのふたりの為に出直したい。わたし頑張って、あなたに可愛がってもらえるようにするわ・・・・あなたには、得意な分野で成功してほしい」 「じゃあ、もっとリラックスな話し方と接し方をして・・・・僕も京香さんを幸せにするために頑張るから」 京香は直樹の胸に抱かれ、再び直樹の愛撫を受け始めた・・・・。 |
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| 2008.5.7掲載 |
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