９．脅迫

　香織が勤めに出ると、栗屋敷は静かになる。
　普段、繁造も喜代も屋敷に上ることはない、喜代が台所を使うだけである。
　雇われ人にとっての栗屋敷の敷居は高かった。
・
　隆治の居ない栗屋敷、沙耶香に繁造が纏わり着いてきた。
「お嬢さん、若旦那が亡くなった理由知ってるだろ」
　繁造は思わせぶりに問い掛ける。
「・・・・・」
　言葉のない沙耶香は、冷え切った眼差しで繁造を見返している。
「大旦那とお嬢さんの事ですよ」
「何のことです、繁造」
　堅い表情で澄んだ声の沙耶香
「屋敷の事は、何もかも知ってるんだ、口にできない事も分かるがな」
　強気を崩さない繁造。
　沙耶香の顔に陰りが見えてくる。
「大旦那が動けなくなってからも続いてたよな、お嬢さん。大旦那もさぞかし居心地のいい離れだったろうよ」
「返事はいい、これから栗屋敷の夜は俺の物だ」
　捨て台詞で後にした繁造の背中は家主のそれだった。

　栗屋敷に夜になると繁造が、屋敷を自由に闊歩するようになっていた。
「さあ、脱げ、まごまごしてると許さねえぞ」
　息巻く繁造の息は荒い。
「どうしようというの、こんな所まで来て、帰りなさい」
　屋敷に踏み込んだ繁造を嗜める沙耶香。
「そんな態度でいいのか、世間さまは許してくれるのか、早くしろ」
　繁造は沙耶香の浴衣に手を掛け引き剥がす。
　なおやかな白い肩、たっぷりとした胸の膨らみ、お尻の丸い膨らみを強調した腰のくびれ、荒くれ者の繁造には夢のような女の身体が露わになる。
「やめなさい」
　主従関係を崩さない沙耶香。
「言うなら「やめて下さい」だろ、いつまで白を切るつもりだ」
　沙耶香の細い両腕を取り背中に回し、用意した麻縄で縛りつける。
「いやっ」
　奇異な縄の感触に驚くように声をあげる沙耶香。
　心臓の鼓動が自身で感じる程に強くなっている、繁造の脅しが解らぬ訳もなく、抗う言葉を並べても、身体で抗うことはできなかった。
　たとえ、満身の力で逆らってみたところで適う相手ではなかった。
「やめなさい、言われるようにします。縛るのはよして、繁造」
　繁造の思惑を感じ取り、股間のぬめりを自覚する沙耶香。
「すこしでも若旦那の弔う気持ちはあるのか」
　両腕を縛った縄尻を前に回して、胸の上下を締め上げると沙耶香を転がし、長い縄で足首にくくりつけていく。
「やめてぇ、縛らなくても言うようにします・・いやっ」
　嫌らしく艶めかしい、くねる白い身体が、繁造を強く昂ぶらせる。
　繁造は、脚首の縄尻を鴨居の淵にまで引っ張り、沙耶香の脚を大きく開いて宙に浮かせてしまう。
　裸になった繁造の股間のそれはすでに大きく怒張っている。
　沙耶香の瞳は、隆治のそれよりも太く頼もしい怒張に釘付けになり、涙がこぼれそうなほど潤んでいる。
「繁造、やめてぇ〜」
　沙耶香の股間に怒張を擦りつけた繁造は、鴨居に近づく事のないよう股間で押さえつけていた。
「お嬢さん、言うようにしますと言ったばかりだろ」
　紅く腫上るうに飛び出した両胸を揉みしだく。
「あっ、あぁぁ〜〜」
「もお、感じてるのか犬畜生でも、もっと節操があるぞ。おおっ、滑りが良くなってきたぞ、クチャクチャ音がするじゃないか、ええっ」
「あっ、あっ」
　切っ先の肉芽への刺激に喘ぐ沙耶香。
　繁造は、もぞもぞと体を動かせ、紅い蝋燭に火を点けた。
　ポタッ
「あっ、熱っ」
　いっぱいに手を伸ばし、沙耶香の胸の膨らみを赤く染めていく。
　ポタッ、ポタッ、ポタッ
「あっ、いやっ、だめぇ〜」
　身体をくねらせ身悶える沙耶香の股間が蠢いた。
　ヒクッ、ヒクッと繁造の大きな怒張に、秘肉を擦り着ける沙耶香。
「おぅ、おぅ、そうだ、そうだ腰を振れ」
「いやぁ〜〜〜」
　ポタッ、ポタッ、ポタッ
「おぉっ、いいぞ、チ○ポも気持ちいいぞ、おら、おらっ」
　ポタッ、ポタッ、ポタッ
「あっ、・・あっ、あっ」
「どうだ、どんな感じだ、お嬢さんよっ」
　ポタッ、ポタッ、ポタッ
「あっ、あっ、あっ、いっ、いい」
「ちっとぐらい熱くても、股の方が気持ちいいか、ハハハ」
　ポタッ、ポタッ、ポタッ
「あっ、熱い、あっ、あっ」
「そろそろどうだ、奥の方が疼いてないのか、えぇ」
　蝋の滴りを止める繁造。
「あぁぁ〜〜ん」
　腰振りのきっかけを失いし妖しい身悶えの沙耶香。
「返事しろ」
　腰を振る繁造。
「あっ・・・・欲しい」
「何が、えぇ」
「・・・・」
　腰を振る繁造。
「あっ、・そっ・・・・お・チ○・チ○・を」
「奥に欲しいか、奥に、ハハハハハ」
　ポタッ、ポタッ、ポタッ
「うっ」
「よぉうし、入れるぞ」
　ポタッ、ポタッ、ポタッ、ポタッ、ポタッ、ポタッ
「うっ〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
　ズニュ、ズニュ
　蝋の滴りで、締め上げられた蜜壷に、強引に割り進める怒張。
「あっ、あぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜」
「おおっ、こりゃ凄い、よく締まってるぞ、おおぉっ」
　歓喜する繁造。
　ポタッ
「あっ」
　厚く重なった蝋をメリメリと引き剥がす繁造。
「ハハハ、これで行こ」
　ポタッ、ポタッ、ポタッ
「うぐっ〜〜、あついっ」
「おらぁっ、腰だ、腰、腰振れぇ」
　ポタッ、ポタッ、ポタッ
「あっ」
「うっ、熱い、熱いわ、突いて、おねがい、・・・あっ、突いてぇ」
「なんだ、ブッ刺さると動けねぇか」
　繁造が裂けそうほど大きく拡げられた花園を見下ろし送輸を開始する。
「あっ、あっあっ、いぃ、イきそう、あぁっ、あっ」
「まだだ」
　ポタッ、ポタッ、ポタッ、ポタッ、ポタッ、ポタッ
　繁造のきつい送輸に身悶え、蝋の熱さに耐える沙耶香。
「あっ、だめだめ、あっ、イく、うっ、だめぇっ」
　ポタッ、ポタッ、ポタッ、ポタッ、ポタッ、ポタッ
「あっ、あぁっ、いい、凄い、あっ、だめっ、イくぅぅぅ〜〜〜〜」
　とうとう蝋燭の熱さも股間を締め上げるきっかけにしかならず、熱さを超越して大きく果てた。
　沙耶香か身悶えながら、捜し求めていたものを見つけた面持ちで悦楽にまどろんだ。
「まただと言っただろ、一人でイくやつがあるか」
　きつい締め付けを分身に感じつつも不機嫌な繁造は送輸をつづける。
「あっ、あっ、だめ、また、あっ、またイくっ」
「あっ、あっ、だめなの、あっ、イく、イっていい？、あっ」
「あっ、イくイく、あっ、だめ、あっ、あっ、あっ、イくぅ〜〜〜〜」
　止めどなく押し寄せる大波に悦楽の頂上を極める沙耶香。
「イっていいとは言ってないぞ」
　悦にいった繁造の送輸はつづく。
「いやぁ〜〜、もう、いやぁ〜〜」
「あっ、あっ、凄い、凄いの、あっ、あっ、あっ、あっ」
「だめっ、あっ、イく、イくイくイく、あぁぁ、いい、あっ、イくぅ〜〜〜」
　繁造の強靭な怒張は、沙耶香を何度天国へ送り着けただろうか。
　沙耶香の淫欲は、それに負けずに応えつづけた。
　栗屋敷に明るさが戻る頃、やっと沙耶香の身体は開放されていた。

１０．命日の夜

　沙耶香と隆治の関係に悩み、高志は死を選んだ。
　少なくとも、取調べでは・・。
　今年も、その日がやって来た。
　闇に包まれた栗屋敷、香織の脚が土蔵に向かう。
　かそこそと草むらを踏みつける足音。
　土蔵の扉の隙間から、黄色い光と共に漏れる、悲痛な女の声。
　香織のすり足は進む。
　沙耶香と繁造の関係はエスカレートを極めていた。
　繁造だけが知る沙耶香の秘密は、この日にこそ意味がある。
　父の命日に毎年、聞こえる土蔵からの声、香織の興味は破裂寸前の風船のように膨らんでいた。
　香織の、か細い手が土蔵の扉を押し開く。
　手入れが行き届いているのか、使用頻度が高いのか、音も無くスルスルと開く。
「うぐっ・・ぁ〜」
　母の悲痛な呻き声は、苦しみだけではない妖しさを含んでいる。
　土蔵の１階には、雑然と並べられた木箱が見えるが母の姿はない。
　脚を進める香織。
　２階への登り口に大きく切り込まれた天井から明るい光がさしている。
　香織の瞳に飛び込む、卑猥な光。
　母は何ひとつまとわぬ素肌で、縛られている。
　白い肌に纏わりつく黒光りした麻縄は、豊満な胸の膨らみを締め上げ、後手に縛られた、かよわい腕から伸びた縄は、太い梁に届いている。
　くびれた腰に廻された縄と、柔らかい弾力を持つ両腿に廻された縄の３点からも伸びた縄が太い梁に届いている。

　沙耶香の脚はまっすぐ伸びて梁に吊るされた竹の棒の両端に括られ、ピクピクと痙攣させている。
　宙に浮いた身体は、繁造の手にした紅い蝋燭の熱い滴りに蠢き身悶える。
「若旦那を弔う言葉はないのか、沙耶香お嬢」
　沙耶香の股間で生き物のように蠢く大きなバイブが、淫汁を滴らせる蜜壷に細い縄で器用に固定され、納められている。
「うっ、あぁぁ〜〜っ」
　タラ〜ッと糸を引くような蝋の滴りに合わせて、抜き差しされる淫具。
　沙耶香は、額からも身体からも玉のような汗を噴出させ、虚ろな瞳には焦点がない、すでに何度も天国を覗いている。
　繁造の声すら届いているのだろうか、沙耶香の意識は淫汁に塗れた淫具と蝋の醸しだす快感に身悶えている。
「あっ、あっ、もぉ・やめてぇ〜」
　抗いの声にも、くなくなと腰を振り淫具に纏わりつかせている。
「お嬢は、解っていない。淫蕩な身体もまったく解ってない」
　昂ぶった繁造は、すでに上を向いた醜い強張りを振りつけ、沙耶香の股下に置いた高台に登った。
「あっ、あっ」
「お嬢、こいつが欲しいか」
　繁造は強張りの皮を手繰り寄せしごき上げしっかり張をもたせると、淫具の細縄を剥ぎ取った。
「欲しいと言え、欲しいと」
　淫列の縦溝になぞらせる。
「あっ、あっ、いやっ」
　沙耶香は、股間からの刺激にだけ反応する。
「そうか、言わぬなら身体に訊いてやる」
　繁造は強張りを握り締め、吊られた沙耶香の身体を引き寄せる。
「あぁぁぁぁ〜〜〜〜」
　恍惚の喘ぎをあげる沙耶香。
「ほお〜らみろ、身体は正直じゃ」
　縄に掛けた手を揺さぶり始める繁造
「あっ、・・・あっ、・・・」
　背中から臀部にかけて滴った蝋がこびりついている。
　繁造は、手にした鞭を狙いを定めて打ち付けた。
　パシッ
　蝋を剥がほどの、きつい鞭振り。
「あっ」
　身体を堅くして、身悶える沙耶香。
「おおっ、そうだ、いい締め付けだ」
　沙耶香を揺さぶりながら打ち据える。
　鞭打つ衝撃に締まる秘肉の感触にたまらず、また打ち据える。
　繁造の鞭打ちは、いつ止むとも知れずつづいた。
　沙耶香はその度に、歓喜の声に身体をくねらせ淫汁を滴らせる。
　パシッ
「あぁぁぁぁ〜〜〜〜〜、だめ、もおだめ」
　パシッ
「あっ、うぐぅぅぅぅぅ」
　とめどなく連続して押し寄せるエクスタシーに酔いしれる沙耶香。

　母の激しい身悶えに、嫉妬さえ覚える香織の股間は、身体中の血が集まったのかというほど熱く火照っていた。
　最後の放出を迎えようとした繁造が、顔を向けギラついた目で、香織の存在を認めた。　息をつめ、駆け出す香織。
　高鳴る心臓の鼓動は、繁造との目線が合ったことで張り裂けるほど高まっていた。

１１．若い花

　夜具に横たわる、若々しい白い身体。
　淫蕩な血は受け継がれるものなのか。
　どこで見つけたのか、手には沙耶香が手にしたことのある鼈甲。
　淫列を深々と貫き、己の身を切り裂くかのように激しく出入りさせ、身悶える。
「あぁ〜、あっ、あっ」

　節穴からは、ギラついた目が凝視している。
（親子して、処女への貞操感を持たぬのか）
　股間を膨らませた繁造が、新たな獲物を見据えていた。

「あっ、あっ、あっ」
　鼈甲の動きに反応する香織。
　淫汁に照り輝く鼈甲が繁造の目にも見て取れる。
「あぁぁぁ〜〜〜〜」
　エビ反りに腰を突き上げ、ヒクヒクと全身を痙攣させドスンと大きな音をさせて弛緩する。
　２分ほど静かな時が過ぎると、再び鼈甲が騒ぎだす。
　クチュ、クチュ、クチュ
「あぁ〜」
　繁造がみとめただけでも、すでに５回はドスンと床の鳴る音を聞いている。
　節穴の目は、そっと姿を消していた。

　繁造が香織の部屋に押し入ることに日は要しない。
　この日も、節穴からドスンの音を確認し、静かに移動した。
　繁造は次のドスンを待っていた。
　ドスンと共に開かれた襖。
「・・いゃぁ」
　間をおいて、思わず発する声を抑える、潤んだ瞳の香織。
「それと同じぐらいデカイ生肉を用意してやったぞ、先は柔らかいから良いぞ小嬢」
　肉棒を怒らせ、鍛えられた逞しい体を露わにした繁造が押し迫る。
「しっ、繁造」
　手を離れた鼈甲が、絞り出されるように抜け落ちる。
　繁造は慌てず騒がす、淡々と濡れた蜜壷に肉棒を収める。
「あぁっ」
　抗うことも出来ず、肉棒をギュッと食い締め身悶える香織。
「あっ、いい〜」
　注送される肉棒に、淫蕩の血が騒ぐ。
「あっ、凄い、繁造ぅ〜〜、あっ、あっ、あぁっ」
　繁造の注送に自然と動く腰、腕は繁造の背中に周り、身体半分宙に浮かせてしがみつく。
「あぁ〜、いぃ、もっとぉ〜、もっと早くしてぇ〜、し、繁造っ」
「あっ、あっ、あっ、あっ」
「あっ、いぃ、イきそう、あぁ、もっと、もっと、イかせてぇ〜〜」
「だめっ、あっ、イく、イく、イくぅぅぅぅぅぅっ」
　一人騒いでイき果てる。
　繁造の腰の動きはまだ続く。
・
・
・
　栗屋敷の女を制覇した繁造。
　繁造の思いは、女ではなく栗屋敷だった、栗屋敷の主人に治まることこそ繁造の積年の思いだった。
　沙耶香に突きつけられた通らぬ要求。
・
　蔵のなかで繁造が、高志と同じ姿になっているのを見つけたのは、１ヶ月後、姿を見せない繁造を探した、喜代だった。
　沙耶香の意思に反する男は、いつも姿を消していく。
　さらに、１ヶ月、栗屋敷には若い頭領の姿があった。
　お嬢と小嬢、二人して新しい頭領は選ばれていた、陰の花を咲かせるために。

−完−