５．壮一男子道場へ、修行女との初夜を迎える　

「お着きですね」
　廊下の突き当たりの男子道場は、なぜか修行女がにこやかに迎えてくれた。
　たった今引き離された妻への未練の妄想からやっとわれに返った壮一は、案内された自分の部屋に入ると、修行女のいきなりの「修行」にどぎもを抜かれることになる。

　夫壮一は、修行女に「こちらへどうぞ」と促されて部屋の中へ。
　部屋の奥の床の間には燭台が立てられ、大きなロウソクがあかあかとともされていた。
　その明かりにゆれるて照らし出された床の間の掛け軸の異様な図柄が壮一の眼を奪った。

　墨絵の道祖神は粗末なボロの衣をまとったみすぼらしい姿だが、眼光鋭く稟とした顔立ちで全身から光芒を放ちしっかと足を開いて立ち、立ったまま女をかき抱いている。
　その女は打ち掛けの前を広げて男の腰を迎え入れ、男に寄り添い頬を寄せほほえんでいる。
　道祖神のボロ衣の前ははだけて、つきだされた下腹部には不釣り合いに大きくそそりたった男根が誇張されて書き込まれている。
　その巨大な一物は、よく道ばたに見かける石造りの道祖神そのものだった。
　墨絵の老人は、巨根に手を添え、女の衣服からこぼれて露わになった下腹部の女陰の裂け目に大きな亀頭を押し当て、今まさに挿入しようという図だ。

　男女交合の道祖神像はめずらしいが、各地にみられる風習だ。道祖神は村の守り神であり、さらには男女の愛の神として古くから信仰されている。

　その絵の節くれ立った男根が、女の細い縦皺に描かれたふっくらした陰裂に無造作に突き突けられている迫力に、壮一は、妻の妄想の余韻を引きずった気分で引き込まれ生唾を飲み込んだ。

「村の繁栄のため、道祖神様の愛のお恵みに一身を捧げる村おさの女房の姿です」
　そういって修行女は床の間の前に正座し、ふかぶかと拝礼した。
「道祖神様のお恵みで、村人は子宝に恵まれ、村は栄えます」
　そして、すっと立ち上ると、
「あなたさまの奥様も、道祖神様のお力を授かって、子宝に恵まれることができますように」
　そういうと、修道女はいきなり壮一の手を引き、壮一を抱きかかえ、掛け軸の図柄と同じポーズで壮一と向かい合った。

　彼女は、そっと壮一と頬を合わせ、軽く抱きしめて、黙って息を整えている風だた。
　壮一は、合わせた彼女の頬から自分の頬へ、心地よいものが流れこむような不思議な感覚に陶然としていた。
　
　彼女のやわらかな頬に、自分の頬をあててどのくらいの時間がたっただろうか。
　修道女の肩越しに壮一の目には床の間の道祖神の交合図がろうそくの明かりの中でなまめかしく揺れている。修行女に優しく抱えられ陶然とした壮一は、いつまでもこのままでいたい気分にひたっていた。
　と、突然からだが震えるような興奮がわき起こってきた。彼女の下腹部にあてた自分の分身がむくむく盛り上がり、固まり、彼女の柔らかく凹んだ部分に、下履き越しに食い込みはじめていた。
　すかさず修行女は壮一の作務衣のズボンの前空きに手を入れ、勃起した分身を指でつまみ出すと、腰を寄せて自分の衣の襞の間に差し入れ、ぐいと陰裂に押し込んだ。そして彼女の下腹を壮一に押しつけ、一気に根本まで埋め込んでしまった。
　それは、まるでやわらかな口が彼の分身をほおばり、のみこみ、もみあげるような感覚だった。妻との場合はいつも、まるで無反応な妻の膣の中で、一方的に射精するだけの行為だったのとは大違いで、修行女の股間にあるやわらかな口と心地よい喉に、わが分身をしゃぶられ、呑み込まれ、もまれ、握られ、赤子をあやすように愛撫されているような、形容のしようのない快感だった。

　どぎまぎする壮一に、修行女は頬を壮一の頬から離さず、一段と強く抱きしめなら、ほほえんだ。
「じっとして。中で動かしてはいけません。静かに息をはいて、大きく。吸って、吐いて・・・。はい、静かな呼吸に戻しましょう。そうそう、そのまま。」
　修行女はさらに続けた。
「これから、どんなことが起こっても、あなたのモノは動かさないでください。どんなに感じても、がまんして、射精してはいけません。出さずに必ずがまんしてください。
　約束を守ってくだされば、ご褒美にあなたの気に済むようにしてさしあげます。いいですね。」

「あなたは、私の気交術ではじめて女性の体が男性に対してどんなに気持ち良く反応するものか体験なさいました。失礼ながら、奥様のおからだが、あなたのご立派な分身に、ここまでお応えなさったことはないのではないでしょうか。」

　壮一はなにもかも彼女に見透かされていることに唖然としていた。
「でも、奥様は、男性とのセックスの悦びをご存知なかったのですが、さっき滝の小屋で門番の捨吉が、気交術ではじめて奥様のおからだに悦びを施してさしあげたんですよ。
　でも、ご心配なく。捨吉は、奥様に女の悦びをお教えしました間、奥様のおからだの中で快感を感じたはずですが、射精はしていません。彼は、修行の身ですから、自分を抑えなければなりません。
　でも、捨吉の気功術が奥様にみごとにかかって、ごらんになったように、奥様は我を忘れてあの汚い捨吉の男性自身を口にされ、すすんで迎え入れられて、捨吉の長く太く硬いモノをお体の中で存分にいとおしむことを体験なさったはずです。
　その証拠に、あの醜悪な捨吉が長い時間奥様に挿入している間、ご主人もごらんになった通り、奥様はご主人が目の前にいらっしゃることもお忘れのように、遠慮なく声を上げ、快感にもだえ通しておいででしたね。
　捨吉の術はそのあと、奥様が捨吉と離れてから、ご主人とからだを合わせられた間もずっと奥様を捉えていました。ですから、ご主人を愛してさしあげた時も、あんなに激しく感じることができたのです。
　すみません、なにからなにまで盗み見してしまって・・・でも役目なものですから。」
　
　修行女の話を聞いて、壮一のもやもやした心の中にどす黒い疑惑が一気に広がった。
　そうだったのか。捨吉と妻のけだもののよな激しい交合の姿が浮かび、捨吉の汚い一物を大股開きで迎える妻のよがり声が耳を襲う。壮一の股間は、捨吉へのはげしい嫉妬に狂ったように修行女の膣のなかで怒張した。
「ああ、ちょっと辛抱してくださいね」
　そういうと、彼女は膣の中の壮一の硬くなった分身を膣口で優しく握った。壮一は、鋭い快感に驚き、思わず腰を引いた。かまわず彼女は、腰をおしつけ、彼の亀頭に子宮口をあてがった。彼はいまにもイキそうになった。うめいて腰を引く彼にはかまわず彼女は、２，３回「握る」と、腰の動きを止め、子宮口を亀頭に押し当てたまましばらくじっとして、彼にガマンを強いた。
（うーん）壮一は歯をくいしばって耐えた。
　今度は、がまんしている間、数を数えてください。きょうは、十まで数えましょう。これから、毎日少しづつ時間を伸ばしてがまんする訓練をします。あなたが、自由に射精をコントロールできるようにするのが、さしあたっての私の役目なのです。」

　彼女はそーっと膣の握力を強めた。壮一はいままでになく鋭い快感を先端に感じた。
（ひとーつ、ふたーつ、三つ・・・）壮一は心の中で数えた。六つでもう爆発しそうになり奥歯をかみしめたが、ふるえが止まらなくなった。八つで、チビたような感じがした。息も絶え絶えに「十」を数えた。彼女はすっと腰を引き、つるりと壮一の分身は女の陰裂から抜けた。すかさず彼女が、彼の股間に朱塗りの椀をさしだし、どくどくとほとばしる白濁を受けてくれた。

　終わると、修道女は濡れた手ぬぐいで手際よく後始末してくれた。
　朱塗りの椀を、床の間に供え、彼女はまた念入りに拝礼した。
　修行女は壮一に向き直ると壮一に一礼した。壮一もあわてて向かい合って座った。
「あなたのお体から出た聖なるお水は、これから毎日お預かりして溜めておき、大修行師様、つまり当歓喜院の院主様が、奥様に子宝をお授けする聖受式に、溜めておいたご主人のご聖水をお供えすることになっています。」

　壮一は、その説明も上の空で聞き流し、自分の性欲の高揚をもてあましていた。
　修道女もそれと察して、意地の悪い目で壮一を見つめながら、
「あなたと私は、性的な相性が良いようです。うまくいかないときは、他の修行女さんと交代になるんですが、私たちは大丈夫です。　奥様には女性道場で男性修行師が、ご主人の聖水を迎えて子宝を迎えららえるようおからだの修行のお手伝いをさせていただき、やがては道祖神様に本当の悦びをお授けいただけるように、奥様の修行のお世話をさせていただきます。
　私も男性道場であなた様に、心身の状態を体得していただけるよう、また、奥様が子宝をはらめる状態になるように、奥様を愛してさしあげる方法の修行のお手伝いをさせていただきます。よろしくお願いいたします。」
「それにいたしましても、さきほどからの、数々の無礼をお詫びいたします。よくがまんしてくださいました。お約束のご褒美です。」

　そういうと彼女は、床の間に向きなおり、下履きを脱ぐと、床の間の道祖神交合図に深々と礼拝し、頭を畳にすりつけたまま、お尻を高々とかかげて膝を広げ、黒々とした茂みからのぞく朱と黒の縦皺の濡れそぼった割れ目を壮一に向けて言った。
「さあ、ご存分になさりませ。」

　壮一は、無我夢中で猛り立つ分身をにぎり、怒張を陰裂にぶちこんだ。一気に根本まで入れると、彼女の体の奥の肉がからみつき、強く握ってくる。このままでは暴発しそうなので、振り切るように半分抜き、また強く押し込み、また入れ、また出す・・修行女の大きな尻にはげしく腰をうちつけ、陰嚢を彼女の淫水あふれる股間にたたきつけながら、呼吸も荒くピッチをあげて送抽を続けた。

　彼女は額を畳に押し当て、両手をついて道祖神を拝礼し、一心に呪文をとなえながら、膝でふんばり壮一の情熱を受け止め続けた。

　あまりの鋭い快感に大きくうめいた壮一が、彼女に絞りとられるように盛大に放出した。彼女は、壮一の聖水を膣の奥深く大量に受け止め、彼の出し入れする分身に吸い付くように膣の奥深く飲みほした。
　彼は歓喜してうめいた。彼女は、彼が放出し切ったあとも離れようとせず、繰り返し搾り取るような彼女の膣の動きがしばらく続くうちに、膣の奥でやわらかかった一物は再び勃起し、彼は激しく欲情し、うなり、わき起こる鋭い快感を彼女の子宮口に押しつけ、うめき、ピッチをあげ、登り詰めた。

「おやすみなさい、また明日お目にかかります」
「あ、それから、これは余計なおせっかいなのですが、捨吉は、奥様との行為を中途で止めて精を抑えましたので、きっと、奥様をわがものにとの思いが募っているはずです。いずれ正式に院主に申し出て、院主の前で奥様に気交術を使い、修行が上達したことを認めてもらい、晴れて修行師に昇進することも、考えているかもしれません。
　そうなれば、有頂天になった捨吉は、気交術で奥様のお気持ちもおからだも思いのままにするこさえ望むやもしれません。いやそれどころか、奥様が彼の気交術で妊娠も可能になったことも確かめようとするのではないでしょうか。奥様に我が子を、きっと彼はそういう野望を密かに抱いているに違いありません。
　いずれにしても、あなた様の大事な奥様は、捨吉にはもはやなくてはならないひとになったはず、ご注意くださいますように。」

　壮一は、いっぺんい夢から覚めた。さっき妻との別れ際に感じた不吉な予感がよみがえってきた。しまった、こんなとことへ来るんじゃなかった・・・
　修行女は、股を広げたまま呆然としている壮一の股間を拭き清めると、目を合わさないように黙礼してそそくさと廊下の暗闇に消えてしまった。

（つづく）