６．妻瑤子、美男教導師と寝室へ

　瑤子は、教導師茎心に手を引かれ、今日からの居室兼寝室になる薄暗い部屋に入った。
　その陽子の目に最初にとびこんだのは、床の間の燭台にあかあかと照らし出された巨大な男根の道祖神だった。
　さしわたし５０センチほどの基盤の岩石の真ん中に、明らかに女陰をかたどった縦に長い楕円形のくびれの、深い溝がうがたれていて、その溝の真ん中あたりから、木彫りの棒が５０センチほどの高さで突き立っている。黒光りした木の先端には亀頭とおぼしきエラがあり、棒はまさに男根ではないか。太さは大きなナスくらいあろうか、女陰をかたどった石盤を貫いて上向きに立ち、手垢がついたような亀頭は黒光りしている。
　女の膣の中から見た、深く挿入された陰茎、という発想の造りが、見る者の度肝を抜く。陽子はそれと知ってどぎましてして目をそらせた。
　茎心はその陰陽の造形の前にひれ伏して、何か呪文を唱えていたが、陽子を手まねきすると、小声で下履きを脱いぐようにと言う。なんのことかといぶかる瑤子に、教導師ははじめてほほえんで手をとり促した。床の間に上がってその木彫りの男根にまたがり、道祖神のご本尊である木彫りの男根を陰門に迎え、道祖神様のお恵みをお祈りするようにというのだ。言葉遣いはやさしく、調子は厳かに教導師は厳しく言い放った。

　茎心が木彫りの先端に何かを塗りつけている間に、下着をぬいだ陽子は、いわれるままに陰裂を木彫りの亀頭にあてがい、おそるおそる腰を落とした。恐ろしいほど大きな木彫りの男根は、まず、陰門でつかえた。陰裂をこすりつけるほどに、なにやらむずがゆい塗り薬の助けで、エラはなんとか小陰唇はくぐっても、膣口を通らない。（この太さでは無理よ）瑤子は恐怖におののいた。
　このとき、つと廊下に人影が立った。障子の中の気配にあわてた様子で、人影はほの暗い一角の障子を少し開けた。部屋の蝋燭の明かりが漏れて、一瞬、捨吉の紅潮した髭面が闇に浮かんだ。影はそのまま、じっと中をうかがって動かなかった。
　顔面蒼白の教導師は、立ち上がると瑤子の両肩をつかんで押さえつけた。あまりの力に、瑤子の腰は押し下げられて、瑤子の陰門が裂けるほどに広がり、木彫り亀頭の巨大なえらが、ズブズブ小刻みに埋め込まれていった。
「うーん」瑤子ははげしい痛みに耐えかねてうめいた。
「エイッ！」教導師が一気に肩に体重をかけて押し込んだ。
「ぎゃーっ」瑤子は一声発して、気絶し、仰向けに床の間に倒れ込んだ。

　瑤子はその後しばらく気を失ったまま、敷き布団の上に全裸で寝かされていた。
　枕元に行灯があり、薄いせんべい布団に小さな枕の粗末な寝所ながら、瑤子の白蝋のような真っ白な裸体が、薄暗い部屋の中央にくったくなく手足を伸ばし、たおやかに横たわっていた。
　まっすぐ顎を上げて白いうなじを見せ、大きめに誇らしげし盛り上がった乳房が、それぞれ可愛い乳首を外側に向け、白い乳房の下側のくびれの陰影が静かな息づかいに揺れるさまは、神々しいとしかいいようがない。無心のままの両手は腰にそえられ、細く長い指が象牙細工のような気品を漂わせている。

　教導師がそうしたのか、自然にそうなったのか、両足を心なし広げたままの、しどけない姿は、瑤子の性が白梅の匂うように、咲きこぼれている風情だった。

　障子の外から門番捨吉はなまつばをのみこみながら、まばたきもせずに、咲き誇る瑤子の白磁の裸体に見入っていた。美形だった。顔もからだも。際だつ美しさゆえの、あまりのみだらな姿態に、捨吉はうめき続けた。
　捨吉の一物は突っ張ったままで下履きはぐずぐずだった。なにせ、夕方、捨吉は着衣の瑤子の下履きを無理矢理下ろして、後ろから挑んだだけだから、彼女の、白い全裸をはじめて見たのだ。息がつまるほどの、彼の興奮は無理からぬことだった。

　そうとは知らいはずの教導師は、瑤子の裸体を無視するように枕元で瞑想している。

　捨吉が血走った目をこらすと、僅かに広げられた内股の奥は、さきほどの木彫りの挿入で僅かに出血があったのか、教導師がふき取った残りの血が陰毛にこびりつき、陰毛から見え隠れする瑤子のふっくらとした陰門は、何もなかったようにゆるんで、陰唇の茶褐色や朱色の縦皺のふくらみの息づきが、捨吉の痛切な記憶を呼び覚ましていた。
　そうだ、あの皺の一番下にぽっかり開いたピンクの穴、暖かい、狭い、ぎちぎちきしむようなの穴のなんと甘美で美味だったことか！処女といたすようなきつい送抽、腰をふりよがり声をあげる瑤子、ああ、彼女の汗のむせ返る豊かな腰の重みが股間によみがえる！

　ふとわれにかえった捨吉は怒りに震えた。（けしからん。気交術もかけずにあんな目に遭わせるとは。言語道断だ。）捨吉は、すぐにでも、瑤子を抱きしめて、介抱してやりたかった。しかし、今の彼にはなすすべがなかった。次第に荒くなる呼吸を押し殺して、捨吉は、教導師に気付かれぬ内に退散するしかなかった。廊下の障子の隙間は閉じられた。燭台の気流が変わったのか炎がゆれた。
　
　教導師は、明かりに照らされた端正な顔をあげた。男らしいきりりとした居住まいで、瑤子の枕元ににじりよった。
　瑤子がみじろぎしたからだ。すーっと深い吐息をもらし、瑤子はぱっちり目を開けた。目が合った。
「何もおっしゃいますな。まず、お詫びしなければならないのは、私です。あなたを、あのうような目に遭わせてしまいましたのは、皆、わたしの責任です。さぞ、お苦しかったでしょう。心からお詫びいたします。」
「実は、これにはワケがございました。さきほどまで、そこの廊下の物陰で、捨吉があなたさまのことを心配して、控えておりましたが、退出したようです。　
　その捨吉が、夕方あなた様にかけた気交術を解くために、手荒なことをいたしました。もう、術は解けて、あなたのおからだは、元のおからだに戻っています。」
「つまり、今回、あなた方ご夫婦が、この祠をおたずねになったのは、あなたさまが、ご主人の子種を無事お迎えできないことでしたね。」
　ここまで言うと、教導師は額に汗をにじませて、瑤子から目をそらした。茎心はは、畳をじっと見つめながら言葉を継いだ。
「それというのも、立ち入った物言いではございますが、あなたが、ご主人様を迎え入れる度に苦痛があり、お二人の愛の営みが不十分だったという、ご事情とうかがっております。」
「それを、功を焦った門番捨吉が、滝の小屋で出過ぎたことをいたし、あなたに気交術を試みてしまったのです。結果はうまくいって、彼は得意でしたが、この道場の手順を無視した行為だったのです。まだ、あなたやご主人様のお心やお体のご準備が整っていないからです。」
「そこで、さっき非常手段で、術を解きました。重ねてお詫びもうしあげます。」

　瑤子は布団から体を起こすと、正座して深々と教導師に頭をさげた。
「よく分かりました。わたくしはなんでもございませんので、ご心配なく。むしろ、茎心さまのお心遣いに、十分お応えできなかったために、ご迷惑をかけてしまい、お詫びもうしあげなければならないのは私の方でございます。」
　茎心は、このときはじめて心の動揺を覚え、瑤子の能面のような厳しい中になまめいた表情の美しさにほれぼれ見とれた。瑤子がキッと茎心に視線を合わせた底光りする黒い瞳の輝きに、成熟した女を感じて目をみはっていた。
「今後の予定は明日また詳しくご相談します。奥様のこの次の生理日は確か・・・」
「来週の火曜日、後４日です」
「では、ちょっと失礼して・・・これからわたくしの気交術で少しばかり、奥様のご気分を楽にしてさあしあげます。これでゆっくりお寝みいただけます。ごめん！」
　茎心は、瑤子の肩をかかえて寝かせると、自分の袴を脱ぎ、瑤子の股を割って腰を落とし、両手を瑤子の顔の横につき、覆い被さるようにして胸を瑤子の胸に合わせた。茎心の一物は当然のように、茎心の胸の動きに従って、瑤子の下腹部のあちこちの肌や陰毛に直接当たっては硬度を増していた。
　しかし、茎心は一心に彼女と胸を合わせ、彼女のやわらかな乳首に、茎心の勃起した乳首をつきたてると、じっと呼吸を整え、彼女の呼吸に自分の呼吸を合わせて、深い呼吸を静かに続け、動かずじっとしていた。
　小半時はそうした不自然な姿勢をとらされていたろうか。
　瑤子は、不安に身構えたことをいつのまにか忘れて、茎心の乳首が瑤子の乳首に心地よく食い込み、なにもかも吸い取られていくような夢心地の時間が過ぎた。
　そのうちには広げた股の内側の茎心の膝のぬくもりが心地よく感じられ、早く抱きしめてほしいと恋しさが募るなか、茎心の作務衣に焚きしめられた香に酔っていった。
　すると、突然、瑤子の股間の縦の溝に、茎心の並外れて大きな玉が二つ入った陰嚢がそっと押しつけられ、男の勃起の先端は、瑤子の下腹のマウンドの陰毛の中に収まった。陰毛の中からはじまった割れ目が、ふっくらした大陰唇にはさまれたなだらかなくぼみになり、そのくぼみの真ん中に押しつけらた陰嚢の中で、２つの大きな硬い玉がグルグルうごめいていた。
　玉は動き続け、一つはクリトリスの根本に落ち着き、一つは膣口を塞いだ。瑤子は、奥歯を強く噛んで、茎心の勃起した乳首の甘美な刺激に固く立ち上がった瑤子の乳首の快感と、２つの玉の動きが呼び起こす陰門の快感のさざなみに身構え、両足を踏ん張っていた。
（もっと！）心でそう叫んで、瑤子の両足は茎心の腰にまきつき、股間をせりあげて、茎心の陰嚢がクリトリスと膣口を穏やかに刺激するここちよい動きに身をまかせていた。
　その動きを止めて、じらしながら、茎心は瑤子に言い放った。
「あなたは、夫以外の男とならうまくいくという夢をおもちでしょう」
「じじつ、きょう、滝壺の小屋ではじめて夫以外の男性に触れて、心からの悦びを経験されましたね。
　ここへおいでになるについては、子宝を授かる修行を理由に、ご主人とのセックスの苦痛をのがれて、他の男性に快楽を与えてもらうことを、密かに楽しみにされていたのではありませんか」　
　畳みかける茎心の詰問に、もう瑤子はいちいち答える気力を失ってしまった。
「それは違う！」と打ち消したかったが、心の底では、見事に本心を見抜かれて、瑤子は度を失っていたのだ。
　茎心は、硬く閉ざしていた瑤子の膝を割り、股間に顔を寄せ、大陰唇を指で開きながら上下にしごき、広げた小陰唇を摘んで内側を注意深く点検、ぽっかり開いた膣口をうかがっていたかと思うと、右手の長い人差し指と中指をそろえて、膣に差し入れ、前後の膣壁から、奥の子宮頸部へと動かし、彼女の反応を確かめながら、指を出し入れし、ぐるぐる回し、触診を続けた。
　彼が膣壁前部のＧスポットをなでたとき、瑤子は一瞬苦痛で顔をゆがめた。
「あなたのご主人が入るとここが痙攣したのではありませんか」
「・・・・」
「でもあなたは、快感を感じているふりをなさっていた」
「・・・・」
「きょう、門番の捨吉のモノがここにあたった時はいかがでした」
「ええ、あの・・・」
「いい気持ちだったんですね」
　瑤子はこっくり頭をうごかした。
「捨吉の気交術で、ここが気持ちよく感じられたのです」
「これはどうですか」
　いうなり、茎心はいつのまにか引き出した硬く長い逸物を、ずぶりと、瑤子のさっきから潤っていた陰裂に突き立て、ずーんと突っ込み、一気に子宮頸部を突いた。
「痛あーーー」
　瑤子はうめいて、体を頭の方にせりあげて、茎心の逸物から逃げようとした。
「さっき申し上げた通り、あなた様のおからだは、元の状態に戻っています。でも、ご心配なく、私どもが、あなたのおこころの障りを解き明かし、必ずご清門の痛みを取り除いてさしあげます。
　あなたさまの修行がうまくいけば、ご自分の気交術で快感を自在に得られるようになります」
　茎心は挿入した姿勢のまま瑤子の乳首を唇でもてあそび、なめ、噛み、最後は強く吸い付けた。
「うーーん」
　瑤子は胸を茎心の口に押し当てるようにそらし、足を広げて硬直した。
　茎心は挿入しまま、じっと動かそうとせず、陰茎を瑤子に預けたままで長い時間を過ごした。
　瑤子は両足を茎心の腰にまきつけ、心地よい夢の中にいるような気分になっていた。腰を瑤子に押しつけたまま、茎心は瑤子の乳首を優しくなめたり、強く吸い付けたりを繰り返していた。
「ここがあなたのお好きなポイントですね」
「うーーん」
「そろそろぼくの気交術が効き始めます。あなたもじきにできますよ」
「あーーー！」
「ほら、膣が快感でふるえてますね、ご主人がお喜びになりますよ、ほら、これです、ここです、ああ、いいですね、ああ、いいですね、奥さん、奥さん、うーーん」
「うお−−ん」
　人妻瑤子は、大きく開いた足を突っ張って、恥ずかしそうに顔を手で隠し、のけぞるように気をやった。
　茎心は、硬い怒張を瑤子の中におさめたまま、全く動かないままだったが、瑤子の快感の大波が子宮から全身に広がる間、優しく彼女の乳をなめ、つつき、くわえ、吸い続けた。
　瑤子はからだを硬直させ、弓なりにし、再び足を強く踏ん張ってイッた。茎心は、いたわるように、からだを添えたまま呼吸を整えて、瑤子の硬直がゆるむまで待った。

　大きく広げた股間から茎心が怒張を引き出すと、亀頭は透明な液体でひかっているが、先端からは白濁が溢れた形跡はなかった。
　接して漏らさず、練達の教導師茎心は、すずしい顔で、身仕舞いをただし、ぐったりした瑤子を寝かせたまま、足早に出ていった。
　
　と、先ほどから廊下で瑤子の寝所をうかがっていた人影が、するりと瑤子の寝所にすべりこんだ。
　かれは、瑤子に添い寝をするように横たわり、まだ意識がもうろうとしている瑤子の片足を抱きかかえて持ち上げ、開いた股間に腰を入れて、巨大な怒張を陰裂に突っ込んだ。ひしと瑤子がその男に抱きつき、足をからめ、下腹部を強く押しつけ、激しい快感の波におぼれていった。
　行灯の火に、黄色い歯を光らせながら、瑤子の乳首は捨吉の臭い口にかぶりつかれ、乳房に歯形を残すほど、きつくすいつかれていた。「わーーー」気が付いた瑤子は、子宮からわき起こる戦慄と快感の渦に身を投げて、三度われをうしない、捨吉の逸物に股間を押し当ててよがり声をかみ殺していた。

（つづく）