女教師・極姦授業

（前編）

　夜の校舎内はひどく暗いが、完全な闇というわけでもない。月明かりの入る窓際だけがぼうっと青白く、かろうじて歩けるほどの明るさだった。そのぶん、暗闇以上に不気味さもある。
　半年前に落成した鉄筋コンクリート建ての新校舎とは違い、旧校舎は木造だ。内部も荒廃しているから、まるでお化け屋敷のような雰囲気がある。その廃屋内に、床のきしむ耳障りな音が響いた。誰かが板張りの階段を駆けあがってくる。
　黒い影が二階の廊下に飛びだした。
　壁に手をついて息を切らしているのは、女だ。生徒でないと横顔を見ただけでわかる。匂いたつような大人の色気があるし、第一、服装からして制服ではない。
　ブラウスから突き出た胸の隆起も、男が目を見張らずにはおかない量感だ。尻もプリプリッと丸い。たとえどんな服装だろうと、月明かりだけの薄暗い場所だろうと、女そのものの肉体の豊潤さは隠しきれるものではない。
　自分の駆けあがってきた階段のほうを一度だけ見てから、女の足が動いた。
　走るのには不向きなタイトスカート姿で廊下を疾走する。切迫した顔だった。それに数秒ほど遅れて、今度は数人の男が階段から飛びだしてきた。
　五つの影が床を蹴りながら女を追う。逃げる彼女の腕を学生服の手がとらえた。
「いやッ、放してえ！」
　女はそれを邪険に振り払った。ショートヘアの黒髪が揺れる。そしてまた逃げだそうとするが、足がもつれてうまく前に進まない。
　結局、数歩もいかないうちにふたたび腕を掴まれてしまう。今度は別の男だった。
「え？　だ、だめッ」
　さらには腰にも別の腕が巻きついた。
　身動きが取れなくなってもがく女を、すぐに無数の黒い影が取り囲んだ。寄ってたかって押さえつけにかかる。
　女はなりふりかまわず抵抗するが、さすがに多勢に無勢だ。どれだけ振り払っても、身体を揺らして暴れても、新たな手が次から次へと伸びてくる。大蛇の群れに捕縛された美しい獲物のように、無数の腕で羽交い締めにされる。
　激情にまみれた指がブラウスの胸元にかかった。
「あン、だめえ」
　荒々しい手つきで四つ目のボタンまでを外される。露見したのは、白いブラジャーに覆われた見事すぎる乳房だった。下着が特別に小さいわけでもないのに、たっぷりと丸い膨らみが布地の外側まで溢れている。下着が乳房を隠しているのではなく、下着によって持ち支えられているような印象がある。
「うわ、すっげえ！」
　歓喜の声が廊下に響いた。子供独特の舌ったらずな口調である。
　身体を押さえつける彼らの力が一瞬緩み、すかさず女は、腕を振り払って走りだした。ほとんど無我夢中で教室へと逃げこむ。
　廊下と同様、室内はすっかりと荒廃していた。数組の机と椅子が散乱しているだけで、ほかには何もない。出入り口も扉が取りはずされている。
　後方の出入り口から制服姿の少年たちが入ってきた。前からも数人が侵入してくる。これでは逃げようがない。女の顔に狼狽の色が濃くなった。
　男子生徒のひとりが女の前に歩み出た。
「もう逃げないのかよ、先生」
　勝ち誇った口ぶりだった。勇んで襲いかかってくるようなこともない。
「逃げないのなら裸にしちまうぜ」
「だめよ、それ以上は近寄らないで」
「近寄らなくちゃ何もできないじゃないかよ」
「高岡くん。あなた……」
　女のブラウスの前が大きく開き、胸の谷間から右肩までが剥きだしとなっている。彼女はそれを両手で隠した。
「大声をだすわよ」
「こんな時間に人がいるわけないだろ」
「新校舎の職員室には生活指導の先生が残ってます」
「嘘だな。大松のじじいなら一時間以上も前に帰ったぜ」
「……あなたたち、自分が何をしてるのかわかってるの？」
　気勢を張った目で少年たちを睨むが、顔は小刻みに震えている。
「こんなの、絶対にやってはいけないことなのよ？」
「先生が悪いんだぜ、そんなすげえ身体してさあ」
　少年の口調には強い訛りがあった。
　彼らが発する歪んだ激情に気圧され、女はあとずさりをした。教室の窓に背中が当たる。昼間なら、田舎の安穏とした景色がそこから見渡せるはずだった。
　今は黒一色の闇しかない。民家の灯りひとつ見えない。彼女の置かれた状況そのものが風景として窓の外にあった。
「先生の裸が見たいんだよォ、ヤリたいんだよォ」
「げ、下品な言葉づかいはやめなさいッ」
「ハハハ。下品、か。いかにも中島先生らしい言いっぷりだな」
　高岡は嬉しくなった。これほど絶望的な状況だというのに、襲われかけているというのに、中島里奈が教師然とした態度を崩さないことが嬉しかった。全校男子が憧れるクールビューティー。常に冷静で、大声をだして生徒を叱るようなこともない。そのくせ、黙っていても妙な威圧感がある。
　切れ長の目が特徴的な顔立ちからして、すでに勝気な雰囲気がムンムンなのだ。だからこそ、焦りと怯えに染まった今の表情がよけいに色っぽい。卑猥なことで泣かせてやりたくなる。
「下品なのは俺たちじゃなく、先生の身体だろ」
「ふざけないで！」
「先生がどれだけエロい女なのか、俺たちが教えてやるよ」
　逃げようとする女教師の手首を高岡が掴み、遠慮なしの力で腕ごと捻った。そのまま肩を強く押すと、彼女の体勢はいともあっさりと崩れ、床に尻餅をついた。
　高岡はさらに肩を突き飛ばし、すばやい動作で仰向けの身体にまたがった。里奈が抗うのもかまわず、ブラウスの襟を掴む。右から左から無数の手が伸びて、女の両腕を床に押しつけた。
「だめよォ、だめだってば……は、放してえッ」
　いくら子供とはいえ、高校生ともなれば体格は一人前だ。数人がかりで組み敷かれては、女の力で太刀打ちできるものではない。タイトスカートの足だけが床を蹴る。
「脱がせろ、脱がせちまえ」
「最初はだれがヤる？」
　無邪気な声で少年たちは叫んだ。中島里奈も悲鳴をあげる。が、その声に気づく人間はいない。中庭の奥にある新校舎にも、グラウンドにも、人影はない。
　校舎横のフェンス沿いをしばらく歩めば校門に出るが、周囲には民家の一軒もない。長い一本道と雑木林があるだけだ。住宅街から離れた高台の上に建つ田舎の高校は、夜ともなると陸の孤島と化す。
　校内で女教師が裸にされていることなど、誰も知らない。

　　☆

「中島先生は二十六歳、国立大学をご卒業し、先月まで都内の女子高で教鞭を振るわれておりました。また、学生時代には数々のボランティア活動に従事し……」
　体育館の壇上で話す校長の声など生徒たちの耳には入っていなかった。彼の横に姿勢よく立つ新任の女教師。その姿に、美貌に、生徒たちの興味は集中していた。
「すげえ美人じゃんかよ」
　列の前に立つ西尾の声だった。
「まるで女優だぜ。なあ、高岡」
「でも、ちょっと気が強そうな感じだぜ」
「そこがいいんじゃないか」
「西尾はショートヘアの女が好みだもんな」
「違うって。ショートヘアで巨乳の女がいいんだよ」
　訛りの強い口調でそう言って、西尾は笑った。
「チクショウ、やっぱり都会の女は違うよなあ」
　冗談半分の顔で舌打ちをする。壇上では校長の長話がつづいている。
「……中島先生には一、二年の世界史を担当していただきます。比較的みなさんとも年が近いので、勉強以外の相談にも気さくに応じてくれることでしょう。それでは中島先生、ご挨拶を」
　校長に紹介された中島里奈が壇上で一礼し、マイクの前に立った。スーツ姿だというのに胸の高さが目立つ。男子生徒が冷やかしの歓声をあげても、眉ひとつ動かさない。
　田舎の子供たちは心酔した。彼らの知らないさまざまなものをこの女教師は持っていた。華があるし、オーラもある。都会の空気を知っている人間独特の眩しさがある。そして何より、教師としては規格外の美貌と肉体を持っている。
　高岡は誰に向けるともなくつぶやいた。
「中島先生、か」
　スピーカーから流れる中島里奈の声が体育館に響いた。

　　☆

　旧校舎の埃っぽい床に組み敷かれたまま、中島里奈はしゃにむに身体を暴れさせた。死にもの狂いの抵抗だった。だが、それがかえって少年たちの血気をはやらせる。
「暴れるんじゃねえよ、おらあッ！」
「ひ、ひいィ」
　もはやボタンを外すのさえ煩わしいといった感じに、高岡は、半脱ぎのブラウスを左右に押し開いた。遠慮なしの力だから、里奈の視界までグラリと揺れた。
「やめてッ、やめてーェ！」
　抗う里奈の声が切羽詰まった悲鳴へと転じる。かまわず高岡は引き裂いた。怒気をこめてブラウスの前を破った。ボタンがはじけ飛び、床にころがる。衣服の下に隠されていた旨そうな肉体が露見する。
　まずは乳房が蹂躙の餌食となった。
「すげえよ、すげえ柔らかいよ、中島先生のオッパイ」
「めちゃくちゃいい匂いじゃんかよォ」
　無数の手が我先にとカップの内側に侵入し、ブラジャーごと丸みを握り、肩紐を肘のあたりまで引きさげる。こぼれ出た乳首もすぐに指で押し潰された。ほとんど奪いあいだった。バーゲン品を前にした主婦でもここまではやらない。
　ブラウスを腕から抜き取ると、高岡はいったん彼女の上から退いた。
「西尾、スカートを取れッ」
　叫びながら左右の足を掴み取り、下半身を強引に横向きにさせた。色っぽい形の尻が床から離れ、スカート後部のファスナーがあらわとなる。
　すかさず西尾が指をかけた。ファスナーをおろし、高岡とふたりでスカートを脱がしにかかる。
「あン、だめえッ」
　里奈が足を振り乱して抵抗すると、さらに別の手が伸びてきた。巨漢の灰田である。
　三人がかりで強く引っぱられ、今度はあっさりとスカートが脱げ落ちた。パンティまで足首から抜き取られた。里奈の悲鳴がいちだんと大きくなる。
「先生、すげえパンティ穿いてるんだな」
　高岡は、奪い取った布地を両手でひろげた。オフホワイトのパンティは極小のセミビキニで、下着というより紐に近い形状のものだった。陰毛はもちろん、これでは陰唇すら覆いきれるものではない。
　少年たちの胸がときめいた。あの中島里奈が、容姿のわりに地味な服装を好む堅物の女教師が、まさか、スカートの下にこのような秘密を隠し持っていたとは。これは知らなかった。夢にも思わなかった。
「東京の女は何から何までエロいんだな」
「まったくだぜ、オッパイもこんなだしさあ」
　誰のものともつかない手が乳房を掴む。いまや彼女は、捲れかえったブラジャーのみの裸というあられもない姿である。
　身体を起こして逃げようとするが、すぐに両腕ごと床に押し戻されてしまう。そして、粗暴な手つきでふたたび乳房を揉まれる。
「やン、い、痛い」
　少年たちの入り乱れる腕の下で里奈はのけぞった。まるで、肉食獣に乳房を噛まれているような感じだった。ほとんど痛みしかない。単なるレイプ以上の迫力と獰猛さが少年たちにはあった。
　都会の女に対する羨望と嫉妬が、田舎の人間独特の劣等感が、彼らの情欲をより破壊的なものにしていた。誰もが怒りにも似た表情を浮かべ、思いおもいに乳房を握り、こねくり、競いあうように左右の乳首を口に含んでくる。淫裂にも指が当たる。
　里奈は太腿を閉じあわせて股間を隠そうとするが、無駄な防御だった。膝の裏側に高岡の腕がまわり、彼女の右足を腰の位置まで引き起こした。
「このやろうッ、暴れるんじゃねえよ」
　もう片方の足も西尾が押さえつけ、それぞれ左右に開く形で固定した。下半身を宙に浮かせた破廉恥この上ない恰好となる。淫裂だって丸見えだ。
「すげえや、もろだしだぜッ！」
　少年たちは顔を並べて熱視した。中身をえぐり取ったトマトのような形状の女性器だった。教室内はひどく暗いというのに、その部分の朱色だけが鮮明に浮きたっている。
　いやらしいのは見た目だけではない。先ほどから蒸れた甘さが教室内に濃くなっているのだ。高級な砂糖菓子にも似たその芳香は、中島里奈の裸身からたちのぼる体臭である。この匂いもまた、少年たちの知らないものだった。
「たまんねえよなあ、こんな匂いプンプンさせられたらさあ」
　女教師の暴れる足を高岡はさらにひろげた。
「俺らで押さえといてやるからさ。今のうちにヤッちまえよ、今野」
「ぼ、僕が最初でいいの？」
「誰でもいいからぶちこめよッ、はやく！」
　臆病そうな眼鏡の少年はいそいそとズボンを脱ぎ捨てた。下半身裸の姿で床に膝をつく。
「入れちまえばおとなしくなるさ」
「う、うん」
　口では遠慮じみたことを言っていた今野であったが、ペニスはすでにこれ以上ないほど隆起していた。亀頭の先端が、薄めの陰毛を飾ったルビー色の肉唇に当たる。
　けれども、なかなか埋没しない。緊張と薄暗さのために膣口の見当がつかないのだ。その上、挿入をいやがる里奈がしきりに腰を揺らしている。
　淫裂の表面を数回ほど幹が滑ったあと、唐突に今野は呻いた。
「ッああーン！」
　里奈も割れた声をあげた。いつの間にかブラジャーが身体から奪われ、裸の乳房全体がヌルヌルッとした涎の濡れ光で覆われている。巨乳マニアの南がさんざんに舐めまわしたのだった。その乳房が、突き入れの衝撃で震える。
「へへへ、入ったか？」
「ああ、入ったな」
「ずっぽり串刺しだぜ、すげえや」
「今野もこれで童貞卒業か」
　女教師の手足を押さえつけたまま、彼らは、無邪気な声で眼鏡の少年をからかった。罪の意識などどこにもない。
「どうだよ、今野。はじめてのオマ×コの感想は」
「うん、すごいよ。下半身がドロドロに溶けちゃいそうだ」
「先生も喜んでるぜ」
「そ、そうなの？」
「動けばすぐにわかるさ」
　今野の腰が動いた。半分ほどまで男茎を引き抜き、遠慮がちな動作で突き入れる。愛液の擦れる粘っこい音が響いた。
「すごいや、すごい濡れてるよォ！」
「チ×ポが好きなんだよ、先生は。大好物だから、いつでもハメられるようにあんなパンティを穿いてるのさ」
「つまり、先生はスケベな女ってこと？」
「スケベじゃなく淫乱なんだよ」
　里奈は首を左右に動かした。歪みきった顔で何度も首を振った。
「中島先生は淫乱な女だったんだね」
「うう……ち、違うの。今野くん、そうじゃないの」
「大丈夫だよ。僕、淫乱な中島先生も好きだから」
「ンあゥ、だ、だめッ」
　里奈の両足が宙でピクンッと震える。今野の腰が前後に揺れはじめたのだった。感動の声を何度ももらしながら、ぎこちない動作で突き入れる。
「あーン、ッや、やめて……お願いだからやめてッ、こんなのいやあン！」
　無数の手で床に押しつけられている里奈の裸身がきしんだ。すさまじい絶叫が無人の廊下にまで響く。拷問かと思えるほどの大声である。
　そんなふうに里奈が乱れるほどに、少年たちの激情も熾烈なものとなる。今野の腰振りの動きが加速し、左右の乳房を掴んだ高岡と南の指に力がこもり、罵りや嘲りの声が女の裸身に落ちる。
　普段の沈着冷静な中島里奈の姿を知っているだけに、この落差は魅力的だった。誰もが有頂天にならずにはいられなかった。はやくも絶頂を迎えつつある今野の横で、西尾と灰田が次々とワイシャツを脱ぎ捨て、上半身裸となった。
「うあァ、せ、先生……僕、もうだめだよ」
　今にも泣きだしそうな顔で今野は呻いた。
「で、出ちゃうよォ」
「いいぜ、今野。そのほうが先生も喜ぶ」
「たっぷり中だしだァ」
「え……だ、だめッ。そんなのだめよ！　絶対に許さないんだからッ！」
　少年たちは派手な手拍子を鳴らした。「中だしッ、中だしッ」と声を揃えて叫ぶ。異様な光景だった。突き入れられている里奈まで獣じみた悲鳴を飛ばす。
　美人教師の膣内に熱い飛沫を放ち、誇らしげな顔で眼鏡の少年が離れると、休む間もなく今度は西尾が挑んできた。
「俺は騎乗位がいいな。先生、上に乗ってケツを振ってくれよ」
「だめえ、これ以上はいやンッ」
　身体を起こして逃げようにも、強姦のショックと疲労で足腰が立たない。
　かまわず里奈は手足を動かした。床を這いながら少年たちのあいだをすり抜け、衣服も取らずに出口をめざそうとする。猥褻な形の尻が左右に揺れる。
　少年たちは怒声を飛ばして追いかけたりはしなかった。いそいで捕縛する必要などどこにもなかった。そんなことをせずとも、灰田が大股で五、六歩ほども進んだだけで、いともあっさり彼女の正面に立ちふさがった。
「そんな恰好でどこにいく気だよ、先生」
　進路を変えて後ろの出口に向かおうとする里奈の背後で、大柄な少年は右手を振りあげた。
　容赦のない平手が尻に落ちる。
「ひン……ッ」
　里奈の手足が止まった。四つん這いの背中がのけぞり、細腰のあたりを中心にブルブルッと震える。まるで鞭を入れられたサラブレッドだ。
「あ、あなたッ。教師になんてことを……」
「そんな恰好でケツをクネクネさせて、教師も何もないだろ」
　教え子に暴力を振るわれたことで、里奈の錯乱もより強大なものとなった。焦りと怯えのために、息があがる。四つん這いで逃げる尻の揺れ幅も大きくなる。逃げるふりをして誘っているような感じだ。少年たちはゲラゲラと笑った。
　ようやく出口の前まで歩んだところで、里奈の体勢が突然に崩れた。
　受け身を取る暇もなく前のめりに倒れ、身体の前面をしたたかに床に打ちつけてしまう。灰田に右の足首を掴まれたのだった。それでも無理に逃げようとすると、今度は別の手が彼女の左足を掴んだ。
「みじめなもんだなあ、先生」
　うつ伏せに倒れる里奈の頭上で高岡は言った。
「こいよ、さっさとつづきをはじめるぜ」
「まだまだあとがつっかえてるんだからさあ」
　ふたりの少年に左右の足を強く引っぱられる。
　里奈は壁の縁にしがみついて抵抗するが、その手もすぐに壁から離れた。前へ逃げようとする彼女の意志に反して、裸身が後退する。埃まみれの床をズルズル引きずられる。
「いやいやッ、いやあーン」
　里奈は大声でわめいた。出口が、月明かりの廊下が視界から遠ざかる。女として、また教師としても、これ以上の屈辱はないはずだった。教え子の男子生徒たちから安い荷物のように扱われている。
　部屋の中央まで引き戻されたころには、里奈もすっかりと抵抗を諦め、狭い肩を震わせるだけとなっていた。
　その裸身を高岡と灰田が引き起こした。左右から挟む形で抱き支え、それぞれが彼女の両膝に腕をまわし、下半身ごとかかえあげる。
　ムッチムチの両腿が大きく割れて、足先が床から離れた。
「いやン、こんなの……」
　自然と声がこぼれる。開脚の形で宙に担がれたこの姿勢は、見せびらかし女以外の何ものでもなかった。もしくは、親の手を借りて放尿する女児だ。大人の女が他人に見せていい姿ではなかった。
　両膝に腕をまわされているから、ろくに足を閉ざすこともできない。首を揺らして困窮する彼女の下には、仰向けで床に横たわる西尾のそそり立つペニスがあった。
「俺たちが手伝ってやるよ」
　抱き支えるふたりが姿勢を低くすると、自然と里奈の裸身も下降した。大股開きの淫裂が亀頭に接近する。西尾はペニスに指を添えて角度を調整した。
「位置はこんなもんで大丈夫か？」
「いや、もうちょっと前だな。もう少し前……いいぜ。そこだ、そこ」
「じゃあ、おろすぜ」
「ああ。ゆっくりと頼む」
「だめよ、そんなのしちゃだめえ……ゥ、ンうう」
　あたかもクレーンゲームの景品のように、女の尻がストンと少年の腰に落ちた。精液まみれの淫裂に新たな勃起が突き刺さる。今野よりもひとまわり太い勃起である。
「へへッ、最高のオマ×コじゃんかよ」
　西尾は真下から裸身を見あげた。無理やり床の上を引きずられたから、里奈の肌じゅうが埃で汚れている。特に乳房の黒ずみがはなはだしい。
　けれども、その汚れすら女の魅力の一部だった。美人教師を無理やりレイプしているという実感がこみあがってくる。腰を突きあげて泣かせてみたくなる。その欲求を行動へと移そうとしたとき、先に里奈の身体が動いた。
「ンうう……ッ」
　膣の奥深い場所を亀頭が圧迫する独特の感覚に、里奈の長い睫毛が震えた。だが、彼女は少しも動いてなどいない。腰も尻も振ってなどいない。動いているのは、彼女を抱き支える高岡と灰田の腕だった。
「あァン、だめえ……し、しないで」
　ふたりの少年に膝を担がれたまま揺さぶられ、宙吊りの裸身が跳ねる。勃起の刺さった淫裂が尻ごと上下する。
　里奈は自由のきく腕だけで抗うが、この姿勢ではなんの意味も持たない。彼らの意のままに操られる人形も同然である。卑猥なポーズで上下に揺さぶられるだけのマリオネットである。無数の腕で捕縛されながら、一対一では絶対に不可能な情交の形で犯される。
「ンンゥ……お願い、放して……いやなの、こんなのはいやなのよォ」
「つまり、好きにやらせてほしいってわけか？」
　里奈の耳元で高岡はつぶやいた。
「自分で動くっていうのなら、放してやってもいいぜ」
　それでも里奈が黙っていると、高岡のほうから抱きかかえた膝を放した。
　すぐに灰田も身体から離れ、里奈は、崩れそうな裸身を西尾の腰に手をついて支えた。和式トイレで用を足すのと同じ姿勢になる。
「見せてくれよ、先生。都会の女がどんな腰振りをするのか」
　高岡は、上から体重を乗せるようにして彼女の肩を押した。勃起がより深く淫裂に埋没する。これでは身体を起こして逃げることもできない。
「はやくやれよ」
「だめよ、そんなの……無理よ」
「やらなきゃずっとこのままだぜ」
　里奈は首を横に振った。それから、埃まみれの裸身をもぞりと揺らした。
　もう一度だけ高岡に哀訴の視線を向けてから、重たい尻を前後させた。膝を折り曲げた中腰の姿勢でそんな動きをすれば、自然と左右の太腿も開く。勃起の突き刺さった淫裂がもろだしになる。
　西尾の腰から手を離せば隠すこともできるが、それでは不安定な姿勢を支えきれない。結局、諦めて尻を揺さぶるしかなかった。それしかなかった。
　少年たちは下品な歓声をあげた。
「すげえじゃん、先生」
　細い身体に不釣りあいな丸尻が揺れる。空を泳ぐ龍のようにクネクネと前後する。圧倒的な迫力といやらしさだった。その場にいる誰もが息を呑んだ。
　恥じらいからくる動きの緩慢さも、またいい。かえって扇情的な感じがするのだ。これは、男を挑発しながら自分が楽しむための腰づかいだ。
「普段はてんで澄ました顔のくせにさあ」
「ああ。すげえテクニックだよな」
「クラスの女たちもこんなことするのかな」
「違うさ、中島先生が特別なんだよ」
　アダルトＤＶＤすらろくに見たことがない田舎の少年たちにとって、男に騎乗して腰をくねつかせる中島里奈は、まさしく動くエロ本だった。喘ぐ顔も、揺れる乳房も、何もかもが猥褻の極みに見えた。高岡は唇の端を吊りあげて笑った。
「これで先生は俺たちのペットだぜ」
　彼が手にしているものを見て、里奈は愕然とした。どこからそんなものを用意してきたのか。リードの鎖がついた首輪だった。
「先生も好きなんだろ？　こういうのがさ」
「いやよ、そんなの。教師をなんだと思って……ッあ、うあァン」
　突然に里奈はのけぞった。西尾が下から腰を突きあげてきたのだ。ふたつの乳房を乗せた裸身が跳ねる。
　黒枷の環が女の首に巻かれた。
「ああゥ、だめ、だめえ……」
　里奈の声にすすり泣きの甘さが混ざりはじめた。途切れがちな重く低いその声は、絶頂時の女特有のものだ。太腿にも小刻みな震えが生まれている。
　性的に無知な少年たちは、女の魅惑的な変化にさえ少しも気づかない。

あなたのひと言が作者の励みとなり、新たな作品が生まれます。ご感想宜しくお願いします。

2010.7.31掲載

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