先に言っておきますが、このお話は「毒物」と言って良いほど危険です。
　以下の条件に当てはまる方はこの作品をお読みになられないようご注意ください。
　と言いますのも、内容がエロいだけでなく、主人公の行動が明らかに犯罪行為と言えるからです。

１、１８歳未満の方。
２、現実と虚構の世界の区別が出来ない方。
　ご自分の行動に自らで責任を持てる１８才以上の方のみお進みください。
　読者の方の犯した違法行為について、当方は一切責任を負いませんのでご承知おきください。

　俺の名前は車井俊介。歳は３６才で、本職はフリーのコピーライターだ。
　時々、三流誌だが執筆の依頼があって、官能小説のコーナーなんかを任せられることもある。
　まあ、収入はそこそこと言えるだろう。
　俺の小説の特徴は、想像では書かないところだ。
　あくまで実体験を綴る。
　だが法律スレスレのかなりやばい話もあるから、きっと架空の話だと思うだろう。
　まあ、それはそれでいいと思う。
　フィクションであってもノンフィクションであっても、読者が満足すればそれでいいのだから。

　そんな俺にも、もうかなり前の話になるが忘れられない女がいる。
　女の名前は早乙女衣葡（さおとめ　いぶ）といった。彼女は人妻で当時２５才だった。
　衣葡は、まるでファッション雑誌からそのまま抜け出したモデルのような飛び切りの美人だった。
　いや、現実に大学時代はモデルをしていたと聞く。
　背は１６２〜３ｃｍで男をそそるナイスボディーな女だった。
　スタイルだけでなく、すっきりとした顔立、涼しげな瞳、それに透き通るように白い肌。
　どれをとっても俺好みと言えた。
　初めて見た瞬間、｢これは！｣と思わせる女というものは滅多にいるものではない。
　だが、彼女は俺のハートに強い衝撃を与えた。

　そうは言っても、所詮は人妻。そうそう簡単には近づけない。
　俺が落とす術を模索しているさなか、驚いたことに向うからチャンスを持って飛び込んで来た。
　ただし、皮肉なことに彼女の夫経由で。

　俺のゴルフ歴は長く腕前はハンディが７。いわゆるシングルプレーヤーだ。
　いくつかの大会で優勝経験もある。

　そんな俺のゴルフ仲間が同じマンションに住んでいた。
　１人は薬剤師（４５才）で、もうひとりは八百屋（５３才）をやっている。

　２人とも大した腕とは言えないが、もう付合って１０年は経つ。
　同じマンションということもあって、ゴルフだけでなく、飲み仲間でもある。
　酒を呷れば、話題はゴルフよりもシモネタばかり。
　彼らは俺も舌を巻くほどの好色家たちだった。

　とある日曜日、夫婦連れが引っ越しの挨拶にやって来た。
　夫は「早乙女」という苗字で、実直そうなサラリーマン風の男だった。
　髪を七三分けにし、黒縁の眼鏡、小太りな体形とどこの会社にでもいそうな男だ。
　歳は４０才だと後から聞かされたが、歳以上に老けているように思えた。

　その妻、早乙女衣葡。
　その美貌と若さから考えて、夫とはあまりにも不釣合いだと思った。
　俺の湿気た嫉みがそう思わせたのかも知れない。
　結婚してまだ２年で、子供もいないと後から聞かされた。

　俺は夜ベッドに潜ると、若妻衣葡の艶めかしい姿が瞼に浮かんで眠れなかった。
　あの小太りな旦那に抱かれて、悶え狂う妖しい女の影。
　そんな一人よがりな妄想が嫉妬と苛立ちを増幅させた。
（ふっ、今に見ていろ。必ず俺のものにしてやるから）
　俺は無意識のうちに股間に手を伸ばしていた。

　彼らが挨拶に来て以来、特に早乙女夫妻と会話をする機会も無かったが、突然俺の元に朗報が舞い込んだ。
　俺がゴルフ好きであることをどこから聞いたのか知らないが、ある日、夫がやって来て、俺にゴルフを教えて欲しいと頼み込んだ。
　何でも、彼は今度職場が営業畑に変わったらしく、接待ゴルフができなければ務まらないのだという。
　４０才になるまで、パターすら握ったことが無いらしい。
　彼からすれば同じマンションにコーチがいれば願ったり叶ったりであろう。
　俺にとって、早乙女の依頼はまさに『渡りに舟』の心境であった。

　様々な欲望が溶岩のようにふつふつと俺の中で煮えたぎり始めていた。
　その夜、薬剤師と八百屋にそのことを伝えると、彼らは喜色満面の笑みを浮かべ手を叩いて喜んだ。
　八百屋に至っては酒を飲みながら、「へへへ、飛んで火に入る夏の虫とはこのことだね〜。実はね、俺もあの早乙女の奥さんの顔を初めて見た時から、もう何かムラムラしてさ〜。あんなベッピンとコレができたら死んだって構わないよ〜。わっはっはっは！」
　等といいながら、人差し指と中指の間に親指を挿し込む卑猥なしぐさを見せながら、高らかに笑っていた。