重厚な木造作りの大きな門構えの前に、黒塗りの外車が静かに止まった。
　何百年生きてきたのかというような大木が茂った森の中。
　後部座席のドアを運転手が開くと、不安そうな面持ちで陰りのある瞳の楚々とした美人が姿を現した。
　余裕がなければ手にする事もできない豪奢な着物を身にまとい、上品ないでたちがすっかり馴染んでいる。
「こちらえ」
　向かいのドアから降りた山下が、落ち着いた風情で先を案内する。
　敷き砂利が目に付く広大な庭の中央を割る石畳を歩いていく。
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　阿蜜多楽経の教祖、鎌田康祐は、「尊師」と呼ばれている。
　まともな仕事もせずヤクザな暮らしをしてきた鎌田が、「尊師」と呼ばれる教祖となって１５年がたっていた、新興宗教である。
　世の中が経済大国を目指し、誰もがあくせく働いている時代。
　鎌田は、婢姻寺を開いた。
　婢姻寺は、最も大きな本殿とロの字形に連なる回廊に１５の院と本殿の真向かいには奥の院、東西の隅には東の坊、西の坊、それに別棟の蔵など巨大な屋敷を有し、おお外を高い塀が囲っている。
　阿蜜多楽経の教義は、真理の呪文により、
「こだわりのない心を得、現世にて極楽を体現し究極の境地へいざなう」
　として即身成仏を説いている。
　極楽の体現のため、「南無蜜多連解経」の呪文を唱えるのである。
　信徒達は、年に一度は供物を求められている。
　信徒の男は１０万一口の金品を、女は１週間の期間、寺の手伝いをするという名目で身体で奉仕をすることとされている、お布施である。
　男達は尊師と共に、信徒として供物を手にすることができる極楽への秘密の儀式である。
　すなわち、お布施として差し出された女は男達の慰み者として奉仕する。
　この淫蕩な阿蜜多楽経の儀式が信徒の男達を麻薬のように引き付け、お布施が絶えることはない。
　この儀式に集まる男達は、妻をもお布施として差し出すことを許容している。
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　山下に案内された香代子は奥の院に通され、明るいうちから檜の風呂で身体を浄められ、単衣の白装束に着替えさせられた。
　その部屋は２０畳はある広い畳敷き、正面には妖しげな仏像は金一色に飾られ、ジャラジャラと黄金の金物が吊り下がり、いかにも寺らしいおもむきである。
　少し手前に経本と鐘が置かれ、分厚い座布団が２つ縦に並べてある。
　香代子は中央から少しズレた後ろの座布団に座っている。
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　婢姻寺が建立された当時、鎌田の教えに嵌まり込んでいた山下には将来を約束した恋人がいた。
　山下の進めにより、お布施として婢姻寺を訪れた淑子は、阿蜜多楽経の教義である現世での極楽を、尊師の手により知らされた。
　半年も過ぎ、得度も間近とみられていた淑子が、突如として姿を消し、山下の前からも去っていった。
　以来、山下は尊師の第一の弟子として使えている。
　婢姻寺の庭に、厳めしい犬が放たれるようになったのも、この頃からである。
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「これは、これは、薗田氏の奥さん、お奇麗でいらっしゃる。寺での修業で更に磨きをかけて頂きましょう」
　尊師が奥の院に現れると香代子に一声掛け、山下に目配せした。
　山下は、小さな阿蜜多女如来に向かい香炉に火をつけ、一礼して座を外す。
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　薗田は株式上場とまでは行かないが、建設業を営む社長である。
　香代子とは親のつてで知り逢った、お見合いだが、卵形で鼻筋の通った優しい顔立ちの香代子の容姿に、互いに惚れ合って結ばれた。
　ちょっとしたきっかけで業界仲間から、淫猥な阿蜜多楽経の事を聞かされ俗世間と掛け離れた、別世界の儀式に嵌まって入信した薗田であったが、いよいよ妻の香代子を、お布施に出す決意をしたのである。
　身持ちのよい香代子は、夫一人に愛をささげ尽くし８年を過ごしていた。
　お布施の話も夫を信じて、「寺のお手伝いを」と迎えの車に乗ったのである。
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「お手伝いは、どんな事をするのでしょう？」
　山下が居なくなると香代子は、胸の二つのポッチと股間の黒い繁みが透けて見える薄い白装束で、法衣をまとった尊師に問い掛ける。
「心配いりません、ご家庭での家事の行為以外に必要なものはありませんから。それでは、まず阿蜜多女如来に向かって正座してください」
　優しく、重々しい声で指導を始める尊師は、細い数珠を香代子に渡す。
「はい、…正座とか、あまり得意じゃないんですが」
　居心地が悪そうに、落ち着かない香代子。
「大丈夫ですよ、そう長くはありませんから、それでは私に合わせてお題目を唱えることから始めましょう」
　香代子の前にひかれた厚い座布団に座ると呪文をとなえ始める。
　阿蜜多女如来は服を一切まとっていない、細身の身体と豊満な胸をあからさまにさらし、合わせた手は高く掲げられ、一本足でバランスよく立っている。右足は膝が「く」の字に曲げられ真横に開き左足の膝に添えられ、狭間にはリアルに表現された女の園が再現されている、
　尊師考案の卑猥な像である。
　手元にある鐘をコン、コ〜ンと鳴らし、意味不明の呪文を続ける尊師。
「南〜無〜蜜〜多〜連〜解〜経〜、・・・・」
「さあ、いっしょに、南〜無〜蜜〜多〜連〜解〜経〜・・・・」
　数珠をまとわりつかせ重ねた両手を、尊師を真似て高く掲げ、戸惑いながらも後につづく香代子。
「南〜無〜蜜〜多〜連〜解〜経〜、・・・・」
　しばらくすると、香のかおりに酔ったのか、頭がぼんやりする。
　奇妙なポーズの如来像が遠くなったり近くなったりと、頭がふらついてくる。
「奥さん、正座が得意でないようでしたら、かまいませんから、足も身体も崩してください」
　阿蜜多楽経と香の効果を露わにする香代子に満足げな尊師が嫌らしい目つきで身体を舐めるように見つめている。
（今回の供え物は楽しめそうだ、なんといっても美人だ）
　尊師の言葉に足を崩して横座りになる香代子。
「そう、そう、手と数珠は崩さないで、しっかり掲げて下さい」
　香代子と向き合うように座りなおした尊師が、白装束の襟を崩し股間をはだけさせてしまう尊師。
「なにを？」
　朦朧とした意識で抗い、腰をくねらせる。
「阿蜜多女如来をごらんなさい、尼僧は一紙まとわぬ、あのお姿で悟りを開かれたのです、一歩でも近づかねばなりません。さあ、さあ、手を合わせて唱えつづけるのです、南〜無〜蜜〜多〜連〜解〜経〜」
　さらに大きく胸と股間をはだけさせてしまうと、尊師は香代子の胸に手を宛がってくる。
「あっ、止めて下さい」
　合わせた手を崩して、身体を引く香代子。
「なりません、手は合わせてなさい。阿蜜多女如来の胸を御覧なさい、あのように乳首を大きくしなければ悟りは開けません、さぁ身体を楽にするのです」
　香代子の両手を合わせ、後ろに周ると二つの胸を擦りだす。
「南〜無〜蜜〜多〜連〜解〜経〜、・・・・」
　香の効果も手伝っているのだろう、湧き出る掻痒感に瞳を潤ませる香代子。
「あっ」
（指示どおり、お手伝いするといっても、こんなこと…）
　股間の花園が潤みを滲ませるのを意識して身悶える香代子、心も身体もざわめいている。
　香のかおりに淫らな掻痒感はさらに昂まっていく。
「そうです、寝姿でかまいません、右足を折って如来像を真似るのです」
　香代子の肩を引き倒し、崩れた足を如来像に合わせて整える。
「つづけましょう、南〜無〜蜜〜多〜連〜解〜経〜、・・・・」
　くの字に折られた足、香代子は股間の園が冷えた空気に触れると、なぜか心地よく、晴ればれした爽快感が押し寄せる。
（どうしてこんなに……）
　呪文を唱える香代子に、用意された枕を宛がう尊師は、胸への愛撫を続けている。
「そぉ〜、極楽が迫ってきます」
　二つの膨らみにそっとソフトに宛がわれ行き来する指、堅くしこりを持った乳首に触れる指の動きに、ヒクッ、ヒクッと蠢く腰。
　尊師の手の動きは、徐々にその範囲が広げられていく。
　二つの胸の外側へ、脇の下を超えて、背中との境をなぞり上げる。
「あぁっん」
　湧き出る快感を必死で押し留めようとする香代子。
　尊師はあたりまえのように結ばれた帯を解く。
「さあ、阿蜜多女如来の悟りを感じ取るのです」
　尊師の指は、薄めの恥毛を超えて花園の閉じた花弁を割り開く。
「あっ、いけませ〜ん、あぁ、や・めて」
　朦朧としていても、いまだ抗いをみせる香代子。
「いけません、堪えてはなりません。こだわりを捨てるのです」
　花弁の奥に太い指を押し進める尊師。
「あぁぁ〜」
「そうです、潤いが悟りへの道を開くのです。唱え続けましょう」
　溢れる花蜜を感じ取るとその入口にそっと指を出し入れする。
「あっ、南〜無〜蜜〜多〜、あぁっ、連〜解〜経〜」
　濡れた指を花芽へ運び揉みあげる。
「あぁ〜」
　大きさを増した香代子の花芽は花弁を引き連れ、こんもりした丘を１ｃｍも飛び出している。
「おおっ」
　思わず手を止めた尊師は、驚きの表情を隠せないでいる。
　花芽の突端は男の物のように小さく割れ、たらりと淫汁を滴らせた。
　香代子の奇異な体質に心昂ぶらせる尊師、思わず顔を寄せていく。
「あっ、だめっ、イく〜〜」
　尊師が皮の剥けた巨大な花芽を吸い上げた。
「そうです、こだわりを捨て悟り開きなさい」
　顔を上げた尊師は、花芽の先を摘むと己の筒先とおなじように擦り上げていく。
「いやぁ〜っ」
　腰を突き上げ飛び出した花芽をヒクッと蠢かせる。
　香代子は数分、気を失った。
　力なく萎えた膝を押し開き、張り裂けそうなほど強張った肉棒を口を開けピンクに照り輝く花壺に押し込んだ。
「はぁっ」
　弾力のある穂先がググッと奥深くにたどりつくと、意識を戻す香代子。
「…いけません」
　巨大な花芽を突き立てたまま、香代子は尊師の肩を突き放す。
「手は合わせていなさい」
　硬い肉棒の送輸を開始しする尊師。
　意識せづとも尊師の恥骨が飛び出し硬くしこった花芽を擦り、自慢の肉棒が見え隠れする。
　俗世間も時間も忘れ、法悦に向け花と棒の摩擦は続いた。
・
「うっ、おおっ」
　必死で堪える尊師。
　花壺の奥に膨らんだ風船が尊師の肉棒を押し返しつつ、引き離さんとばかりに肉棒の根元を締め上げている。
　行き場を失った肉棒の穂先は、香代子の腰振りで奥の子壺に掻き回されている。
　尊師は負けてなるものかとばかりに怒張らせ、きつくまとわり着く花壺にいきんで突き返す。
「あぁっ、いい、・・・・・・すごい」
「あっ、…あっ、…あっ、ぃぃ」
　尊師の首に手を廻し、頭をもたげて身体を丸めるとひとしきり激しく腰を振りつける香代子。
「あっ、あっ、あっ、いい、…もう・・・あっ・・・だめぇ〜」
　大きな肉棒が子壺の奥にまで突き上げてくると、否応なく今までにない大きな波が押し寄せてくる
。
「イ、あっ、いい、あっ、・・・・・・イきそうです」
　ついさっき突き放した尊師の肩に手を回してしがみつき頭を浮かせて腰を振りつける香代子は、絶頂を前に全てを忘れ快感に身を任せる。
「あぁっ、あっ、それ・いいっ、あっ、…もっと、もっともっと」
「あっ、そこ、そこいい、…あっ、突いて、あっ、もっと早くぅ〜〜」
「あっ、あっ、あっ、・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
　グッと全身を強張らせ、尊師の背中に爪をたて、香代子は最初の法悦を体現した。
（身体はできておるな）
　尊師は花壺から噴出した蜜液で照り輝いた肉棒を、きつい締め付けのなか引き抜いた。
「山下、後は預けるぞ。わしは新入りの指導にまわる」
　扉の外に待機した山下に声を掛け、その場をまかせて奥の院を出た。