儀式の日。
　婢姻寺には、股間を疼かせた、見知らぬ男達が西の坊に集まっていた。
　りっぱな社会的地位を持った彼らの口は重く、同じ目的の同士と知りつつも会話は殆んどなされない。
　数度の儀式の経験で解説など不要なほど熟知した、お布施の額の多い２０人が集められている。
　大きな阿蜜多女如来が目立つ本殿は５０畳はある広い空間が、むんむんと熱くなるほどの蝋燭に照らし出され、弟子達が忙しく駆け回っていた。
　身体を清め、腹ごしらえを済ませた男達がぞろぞろと集合し始めている。

　太陽は落ち闇に包まれた婢姻寺の異様な雰囲気に包まれた本殿、待ちきれず苛立ちを感じ始めるころ、やっと尊師が現れる。
「いつも、いつも阿蜜多楽経にご協力いただき、ありがとうございきす。今夜は、これまでにない粒揃いのお布施が揃っておりますので、必ずや満足して頂けるものと、信じております」
　オォ〜と、どよめきが起きると静まるのを待った尊師が続ける。
「…失礼して、座らせて頂きます。みなさんも着席を・・・・・・」
　一同が敷き詰められた座布団に着席すると、お布施の女達の名前や生い立ちを披露して、男達の昂ぶりを誘っている。
　永い尊師の話に、男達の眼差はギラギラとした、腹を空かせた狼のように荒々しい。
「それでは、お布施のものを登場させましょう」
　尊師がパンパンと手を叩くと、本殿の東の扉が開けられた。
　黒い鉢巻に目をふさがれ犬の首輪に繋がれた、一紙まとわぬ香代子を山下が引き連れて登場した。
　白い素肌が艶めかしく揺れ、全身に油でも塗り込まれているのか異様に照り輝き、股間に見える恥毛が卑猥さを増し、飢えた野獣の異様な雰囲気がさらに昂ぶり今にも爆発しそうである。
抗う様子もなく、ぞくぞくとお布施の女達が姿を魅せると、妖しい香の薫りと男臭さが臭う空間に、甘い女臭が漂い始める。
　女達は尊師の弟子達に日夜、嬲り続けられ、すでに発情した牝に仕上げられている。
　本殿に足を入れた香代子は、香の薫りに重なるムッとする男臭さと荒い鼻息に、妙な期待が沸きあがり身体は火照り花園の奥の疼きに淫汁を滲ませている。
　正座した女達が尊師の後ろに横一列に並べられ、板張りと畳の境にある丸い金具に引き止められると、尊師が唱え始める。
「南〜無〜蜜〜多〜連〜解〜経〜、・・・・」
　尊師に合わせて高く手を掲げた男達の声が続く。
「南〜無〜蜜〜多〜連〜解〜経〜、・・・・」
　パシッと鞭を空うちする弟子。
「南〜無〜蜜〜多〜連〜解〜経〜、・・・・」
　鞭音に身体をなびかせ女達も続く。
　長々と続き、足に痺れを感じ始める頃、尊師が鐘をカン、カ〜ンと鳴らすと、それが合図なのか、弟子達が女を犬のように四つん這いにする。
「あぁ〜」
　弟子達の手が身体に触れるだけで、妖しい声をあげると誘うように尻を高々と突き出している。
　目には、赤く火照り厚く充血した牝のシンボルがあからさまに見えている。
　男達の声が思わず大きくなり、異様な空間の熱気はさらに高まっていく。
　一番弟子の山下が、陶器の壺からクリームのように粘った液をすくい取ると端の女から順に、女の膣穴に塗り込めていく。
「あっ」、「あぁぁ」、「うぅ」、「ひぃ〜」
　色とりどりの喘ぎ声が順に響き渡ると、カン、カンカ〜ンと鐘がなり女達の向きが変えられた。
「あぁ〜ん」
　黄色い声の鳴り響くなか尊師はおもむろに立ち上がり、厳かに向き直ると男達の眼前に裾前を拡げて怒り立つた怒張をこれ見よがしに揺らし、中央に引き止められた香代子の尻に寄り、有無を言わさず突き込んだ。
「あっ、いやっ、あぁ〜〜ん」
　抗いをみせる香代子にかまわずズコズコと抽送が開始される。
　思わず立ち上がろうとする男達に、厳しい目つきでにらみ返すと、声を大きくして「南〜無〜蜜〜多〜連〜解〜経〜、・・・・」を唱えた。
「あっ、あっ、あっ」
　香代子の喘ぎが響きわたる本殿、背中にも汗の玉をいっぱい溜めヒクヒクと腰を蠢かせ尊師の抽送に素直に応えている。
「あっ、いいっ、イっ、うっ、イくぅ〜〜」
　絶息しベタンと身体を砕けてしまう香代子。
　山下が尊師に替わって、カン、カンカンカ〜ンと鐘を鳴らすと、弟子達が信徒の男達を案内する。
　弟子達は、案内した男の股間に女の顔をもたげて口取りさせる。
「うぐぅ」
　１０人目も砕けた香代子を引き起こし、見知らぬ信徒の男に奉仕させられる。
　クチャ、クチャ、ペチャ、ペチャと硬くなった怒張に、その気になった頃、弟子達が目隠しの鉢巻を解いていく。
「うぐぐっ」
　何やらうめく声も声にならず、顔を叛けることもできずにいる女達はそのうち静かになるとひたすら奉仕を続けていく。
　１０人の女の素顔が晒されると、カン、カンカンカンカ〜ンと鐘がなり残る信徒が案内される。
　先に奉仕された信徒の男達は尻に周って突き込んだ。
「あがっ」
「うぐっ」
「はぁ〜」・・・
　１０人十色の喘ぎ声を響かせる。
　２０本の怒り立った怒張が揃うと、カン、カンカンカンカ〜ンと鐘がなり前後の男が入れ替わる。
　信徒達が牝・牡の本領を発揮して、こだわりを無くすと再び鐘が鳴る。
　カン、カンカンカンカンカンカンカンカ〜ン
　弟子達は牝の首輪を外してく、１０組の牝牡が大きな円に広がって自由思いで繋がりだす。
「あっ」「うっ」「ひぃ」
　牝の喘ぎは鳴り止まず、閉ざされた別世界り淫らな宴が始まった。
　隣の営みに触発されて更に意気込む牡。
　牡は全ての牝を味わおうと短い周期で入れ替わる。
　声を聞けるよう菊壺に嵌めていく。
　顔が見えんと楽しめんと、あれこれ体位を変えていく。
　イ気疲れた牝には、蝋の雫を滴らせる。
　早くに果てた牡には、尊師や弟子達が代わって花園の空きを作る事はない。
　全ての信徒が兄弟になるのも、そう遠くない。

−完−