第16話　交接

「先生は、この後、少し教室から出ていらっしゃるそうだ」
　妻は、狼狽したような、それでいて、どこか、心ここにあらずといった風情のうつろな目を、私に向けます。
　その目に幾ばくかの非難が込められている気もしましたが、この場から出るなどとは一言も言っていない以上、本来、胸を張って見返すべきかもしれません。
　しかし、この後、妻が、私の目を気にせずに乱れる姿を見てみたいという気持ちが確かに私の中にある以上、黙って目を伏せるしかありませんでした。
　囁かれた「入会の儀式」が、これから行われるのでしょうか。
　どちらにしろ、それはひどく淫らで、妻がオトコ達に良いように弄ばれることを意味しているのに違いありません。
　オーガズムに達する恥ずかしい姿をさらした上に、裸のオトコ達に囲まれた妻を残したまま私が去ると言うことは、この後何をされるのかは、痛いほどにわかっていたはずでした。
「じゃあ、先生、後はお任せを」
　横から、いつものように、静かで、それでいて有無を言わせない声で囁かれると、なぜか抵抗する気にもなれません。
　目を伏せたまま、扉に向かいかけて、妻を見たのです。
　段ボールに入れて捨てられた子猫の目で、私を見ていました。
　チラリと扉を見た後で、もう一度、妻と視線を合わせます。
『いいのか？』
　そう聞いたつもりでした。
　この期に及んでも、まだ、決断が付かない私は、卑怯にも妻に尋ねたのです。
　心のどこかで、妻に断って欲しいという気持ちがあったに違いないのです。
　もちろん、妻にも、それは十分伝わったはずです。
　しかし、妻の口は、とうとう「いや」という言葉を発しませんでした。
　未練を残して、足を引きずるようにして扉を出る瞬間、振り返ります。
「紀美…」
　既に妻の目は、私を追おうともせずに、遠藤氏の方を少し不安げな表情で見つめていたのです。

「ふふ、先生、いらっしゃい」
　誰もいないはずの小さな小部屋には、優子さんがいました。
　ドキリとしましたが、ドアを開けた瞬間から、優子さんのつける香水が微かに漂っていたので、半ばは、予想したことでした。
　しかし、その優子さんが、既に裸で待ち受けているとは思いませんでした。
　扉の陰から現れた優子さんは、まるで蛇が木に巻き付いて登る時のように　ぐにゃりと絡まってきます。
　柔らかで、ひんやりした身体が、ピットリとくっつきます。
　自分の身体が思わぬほどに熱を持っていたことに今さらながら気がつかされました。
　ねっとりとしたキスで舌を絡ませながら、優子さんの手が、怒張を手探りでつかまえ、握りしめてきます。
「むぅ」
　握ると言いましたが、実際には、指先で、時に微妙な刺激送り、時に掌で包み込んでじんわりとした快感を送り込む、巧みな愛撫に違いありませんでした。
「あら、先生ったら、ずいぶん、気持ちよさそうな顔をして。どうするの、このまま出しちゃう？それとも、飲んで差し上げましょうか？」
　囁き声に、答えることができません。うかつに気を抜くと、スルスルと亀頭を撫でまわす指先だけで、暴発してしまいそうだったのです。
　もちろん、優子さんのテクニックもすばらしいものでしたが、それ以上に、さっきまでの光景に私は興奮していました。
　優子さんの指先は、私の先端からこぼれるもので、ヌルヌルと動いていました。
「そうねぇ、やっぱり、奥さんを見ながらっていうのがいいわよね、さ、こちらへどうぞ。天国までの特等席。ふふふ、でも、地獄かも」
　こっち、と狭い部屋の正面にある、例のマジックミラーの窓際には、イスが置かれていました。遠藤氏の、いつもの特別席です。
　飾りっ気どころか、肘掛けもないシンプルなイスに、優子さんに手を引かれるようにして座ると、いそいそと、私の上に優子さんが座りこんできます。
「あぁ」
　優子さんの重みが加わったイスが、わずかにきしんだ瞬間、私のたぎったものは、優子さんの優しい締め付けの中に包み込まれていました。　
　優子さんも、押し殺してはいましたが、私のものに十分満足そうな声を漏らしてくれたのに、うれしさと言うより、安心したと言った方が正確だったかもしれません。
「ねえ、見て」
　声を漏らしはしたものの、優子さんには、まだまだ、余裕がありそうです。
　膝に乗せた優子さんが、ゆっくりと前後に腰を動かすたびに、柔らかくも隙間無い肉ヒダに、亀頭全体が、まるで一つの球になって転がされるような心地よさで包み込まれています。
「ほら、奥さん、あれ」
　優子さんにうながされて、少しだけ身体を左に傾けて、覗き込みました。
　妻の周りには、手を伸ばせば、届く近さで、オトコ達が囲んで立っています。
　背中を向けた川島さんのは見えませんが、おそらく全員が、素人の人妻、それも、ついさっきオーガズムを見せたばかりの裸を目の前にして、カチンと屹立していました。
　ずっと、セックスレスだとか言う永田さんまでもが、完全に硬くそそり立たせて、今にも襲いかからんばかりの、欲望をむき出しにした顔でした。
　ガラスに、顔を近づけて耳をつけると、遠藤氏の、あの声が聞こえてくるのです。
「…から、いいわけですね」
　妻が、少しだけためらって、遠藤氏の顔を見返します。
　いったい何を言われたのでしょう。
　心配になりながらも、うねうねと刺激してくる肉ヒダに、私のものは暴走寸前です。
　懸命にこらえます。
　この高い位置からだと、距離を感じさせず、すぐ目の前にいるように見えます。
　その目の前で、妻の両脚を永田さんと森さんが、それぞれの脚を、サッと持ち上げたのです。　
「いやっ」
　妻の声が微かに響いた気がします。
「少しの間、我慢ですよ、モデルさんなら、隅からすみませ見せていただかないと、美しさが描けませんからね。ここは、とっても複雑な場所ですから、よ〜く、見ないと」
　白々しい言葉であっても、遠藤氏が言うと、妻は逆らえないのでしょうか。それとも、こうなったら、どんなことであれオトコ達のなすがままになるつもりなのでしょうか。
　妻は「いや」と、小さな声で言ったきり、抵抗らしい姿を見せません。二人に、それぞれの脚を大きく広げられたまま、じっとしたままです。
　両手で顔を押さえたまま、恥ずかしい場所を、さっき初めて出会ったばかりのオトコ達に、息がかかるほど近くで鑑賞するままに任せたのです。
「いやあ、きれいですよ、奥さんのオ○○コ。良い具合に柔らかそうだ」　
「あぁ、いやあ、ごらんにならないで」
「ほら、せっかく見せていただいているんだから、君たちも、感想を奥さんにお教えするのが感謝というものだぞ。ただし、まだ、触ってはいかんぞ」
　見つめるばかりの部下達に、自ら手本を見せて「言葉責め」をさせようというのでしょう。　
　まだ、ということは、後で触るつもりだというのと同じ事だろうと思います。
「良いか、見るだけだぞ。後でご本人が、許可してくれたら、ゆっくりと触らせてもらおう。じっくりとな」
「あぁ、そんな…」
　もちろん、優秀な部下達のことです。一瞬にして上司の意図を理解してしまいます。
「うっわぁ、きれいだなあ。色も、つやつやしたピンクだし。おまけに、クリトリスが、こんなにプックリして」
「すごい、さっきちゃんと拭いたはずなのに、ここ、また、あたらしい蜜がわいてますよ。あぁ、ほら、また。奥さんのオ○○コがヒクンと動くと、また出てきちゃいますね」
「あ、この、奥さんのいやらしい穴。うねうね入り口が開いちゃってますよぉ、何か入れて欲しいのかなあ」　
「このクリトリス、さっきより、プックリして。まるで、もっといじめて欲しいみたいだね」
　顔を押さえたまま、オトコ達の言葉が響く度に、いやいやを続けていましたが、よく見ると、妻の胸が激しく動いています。
　呼吸が荒くなっていました。
　きっと、オトコ達に脚を抑えられて広げられたまま、隠しようもなく見つめられることが、オトコ達のいやらしい言葉で、その度に妻の頭に刻みこまれてしまうのでしょう。
　間違いなく、妻は、オトコ達のいやらしい視線で、これ以上ないほど興奮していたのです。妻の腰がほんの少しの動きでしたが、ねっとりと動き始めていました。
「奥さん、なんだか、腰が動いているようですが、大丈夫ですか？」
　いち早く気づいた遠藤氏がねばい口調で、囁く振りをしながら、そのくせ、その声は十分にこちらまで届く大きさです。男達が、それにニヤリとするのと、妻が小さく、いや、と呟く声が重なります。
　妻を気遣うそのセリフは、いたわるよりも、妻の羞恥を刺激するための剣だったのです。
「ほんとですね、もう、これ、すっごいですよ。腰が動くたびに、オ○○コから、嫌らしい液が出てきてる、ほら、永田君も見てみ」
　大きな身体をかがめて、森さんが、妻の秘所を舐めそうなくらい近づくと、妻の身体がヒクリとします。真面目そうな永田さんまでもが、のぞき込む顔をさらに近づけています。
「あぁ、だめ、そんな、ことぉ、あう」
　森さんの、自然に荒くなった息が、おそらく妻の秘所のどこかにかかって、刺激したのでしょう。ひょっとしたら、それはわざとだったのかもしれません。
「ハハハ、息がかかってしまいましたか」
　チラリと森さんが遠藤さんの方を見ました、意向を伺っているのでしょう。
　あうんの呼吸でしょうか。
　きっと、遠藤氏は無言の内に許可をしたんだと思います。
「あら、奥さん。息がかかっちまいましたか？　それにしても敏感だ」
「あん、あん、あぁ、やめ」
　立て続けに、ふっ、ふぅーっと吹きかける息に、の羞恥心を刺激してくるあまりの状況に、敏感になりきった妻はたまりません。
　息一つで、面白いように女体をくねらせるのです。
　まるで魔法で、操り人形になったように、妻の身体は、息を吹きかけられる度に、ヒクン、ヒクンと動きます。　　

　オトコ達に、オンナの恥ずかしい場所を奥底まで、これほどあからさまに見つめられたまま、息一つで自由に弄ばれる妻の姿に、私の嫉妬心と興奮は、膨らみきっていたのです。
　妻が私以外の男達に囲まれ、弄ばれています。
　当然、嫉妬心で私の胸は張り裂けそうです。しかし、妻をそうさせたのは間違いなく私なのです。
　妻自身が、果たしてそれを望んでいたのかどうか、それはわかりません。しかし、こうなることが半ばわかった上で、さっき、私を見送ったはずでした。
　それに、そもそも、このモデル役を引き受ける決心をしたのは妻なのです。
　ひょっとしたら、妻自身も望んでいるのかもしれない。だから、私は妻を見守るんだ。
　そんな、自分の都合の良い言い訳を自分にしながら、目の前で、息一つで、夫以外には見せてはいけない姿をさらけ出し、聞かせてはいけない嬌声を上げている妻から目が離せなくなっていました。
　その息を呑む光景に、自分の怒張が肉ヒダに包まれていることを忘れていました。しかし、妻の声が、甲高いものから、ねばっこい声に変わり始めたのに気づいたとき、不意に私自身にも「スイッチ」が押されたのです。
　優子さんの不思議にうねくる肉ヒダに包み込まれていた私に、放出の気配が、急速に訪れたのです。背中を急速にこみ上げる感覚が駆け上ってきます。
　妻は、２人にそれぞれ抱えられた足を、ヒクヒクと動かして、顔を振り立てています。
『え？まさか…』
　妻の声に、急速に、せっぱ詰まったものが込められていました。妻に、オーガズムの波が訪れようとしているのがわかります。
　そして私も妻のオーガズムと競うように、放出の欲望が満ちてきていました。
　そうなると、ゆっくりとうねる肉ヒダの締め付けだけではもの足りず、優子さんの腰を捕まえて、一気に上下させてしまいます。優子さんも協力して強烈な締め付けを送り込んできます。
　締め付ける力そのものは、妻の方が上ですが、先端から包み込むようなねっとりした締め付けは、味わったことのないものでした。
「あぁ。だめぇ！」
　一瞬、目を見開き、信じられないという表情をした後で、妻はそのまま仰け反ってしまいます。男達の息に弄ばれただけで、達してしまったのです。
　その瞬間、私自身も爆発していました。
「うっ、くぅ」
　男ながら、思わずわずかな声が出てしまうほど、経験したことのない放出感でした。
　軟らかな肉ヒダの一番奥に、何度にも分けて、ドクン、ドクンと塊を打ち出してしまいます。
　女体の反応と言うべきでしょうか。あるいは、優子さんのすばらしいテクニックなのでしょうか。
　放出する怒張を、今までとはまったく違う、きゅ、きゅ、きゅっとい鋭い締め付けで、放出する度に、根本から、ぐぐっと搾り取るような美肉の動きでした。
　私の先端は、いつのまにか、美肉とは違う感触の、コリコリするものに半ば包まれるように締め付けられていました。
「うふ、ね、わかる。これ」
　もちろん、子宮口の感触だと気がつきますが、射精の最中の私は答えることができません。
　代わりに、さらに優子さんの脚を持ち上げて、もっと奥へと押し込もうとしていました。
「あぁ、素敵、もっと出して、まだまだ、いっぱいできるはずよ。あああ、いいわ」
　もっと、もっと出したい、子宮の中に注ぎ込んで一杯にしてしまいたい。
　そんな意地汚い思いでいっぱいになってしまう、我ながら欲張った射精でした。

　気がつくと、さっきよりも、苦しげな妻の声が響いていました。登り詰めたはずの妻の秘所に、川島さんが顔を埋めていたのです。
　いったい、どういうことになっているのか、妻の両胸は永田さんと森さんが一つずつ分け合って、乳首を舐め、さすっています。わしづかみとはいかない妻の微乳を舐め、さすりながら快感の津波を送り込んでいるのでしょう。
　もはや、支えられていない妻の両脚は、Ｍの字になったまま大きく広げられ、川島さんの動きを妨げていません。
　妨げていないと言うよりは、川島さんに、自らの秘所をさらけ出してみせる、いえ、自ら、舐めてと訴えているようでした。
　妻の微乳を絞り上げるように、森さんの大きな手がかかって、先端にも離散が吸い付きます。
「あぁう、い、あう、い」
「奥さん、感じてるようですね、いいですか？」
　森さんに遠慮するように、片手だけで、妻の胸を弄る永田さんの肩越しに、遠藤氏が尋ねます。
　果たして、それは、意味がわかっているのかいないのか、妻は、何度も、カクカクと人形のように首を動かして答えています。
　その間も、妻の絶叫するような声は止まりません。窓越しにここまでくっきりと響いて、放出したばかりの私にからみつくような気がしました。
「紀美…」
妻の細い身体がまた仰け反っていました。
「奥さん、ほら、こっちもですよ」
　遠藤氏に誘導されるがままに、妻の両手は胸を触り続ける永田さんと森さんの怒張を握りました。
　握るだけではありません。よくみると、促されも、命令されもしないのに、妻の手はゆっくりと動き、指先までもが巧みに２人の怒張のカリをたどるように動いていたのです。
　遠藤氏が身をかがめて何事かを囁くと、妻が目を閉じたままいやいやと首を振ります。
「川島君、もっとだ。奥さんは、まだ物足りないって」
「あぁ、そんなこと、言って、あう、あう、な、あう、い、あぁ、いぃ」
　遠藤氏の言葉にどうやり方を変えたのか、妻の反応が急に激しくなります。顔が急に激しく左右に振られ、Ｍの字に曲げた足が、ヒクンヒクンと痙攣するように閉じては、また広がるのです。
「はうぅ！」

　身体の中から吹き上がってくるものをこらえきれないとでも言うように、妻の口から、壮絶なうめき声とも突かない、そのくせ、甘い声が絞り出されます。
　ぐっと突き上げられるように伸びた首の白い筋が、もう、さっきから何度訪れたのかもわからないオーガズムが、さらに妻を押し上げているのがわかります。
「川島君」
　すっと、身を引いた川島さんの口をおうように、ヒクンヒクンと腰が突き上げられるように２回、動きます。
　それは、求めてはいけないものを求めている、メスの動きでした。
　夫のある身でありながら、女の奥底までかき回してほしがっている、嫌らしいメスの本能に妻の身体が突き動かされているとしか思えない動きです。
　妻の微乳だけは、相変わらず２人に好きなようにいじくられ続けています。
　森さんが、遠慮がちな永田さんに気がついたのでしょう。自分は、指だけで妻の乳首を責めながら、今度は永田さんに、乳首に吸い付かせます。
　妻の秘所は、自らが絞り出した秘液でビショビショなのがここからでもわかりました。そのびっしょりと濡れた秘唇をさらに広げるように、腰が何度も持ち上げられるのです。
　何度も逝っておかしきなった身体です。そのうえ、さらに敏感な胸を２人がかりで責め立てられながら、秘唇の刺激が無くなってしまうと、もはや妻の身体は耐えられなくなっているようでした。
「あぁ、もう、あう、もう、いやあ、あぅ、あう、あぁぁ」
　嫌と言いながらも妻の両脚は広がったまま、いえ、まるでオトコを、ここに早く突き立てて欲しいと叫んでいるかのように、ヒクヒクと腰を突き上げる動作を繰り返すのです。
　その様子を見ていた遠藤氏が妻にかがみ込みます。首をいやいやと振りながらも、もう一度何事かを囁かれると、妻の目を閉じたままの顔が、一瞬、大きく歪みました。
　その瞬間、妻の腰の動きも止まります。
　まるで、天と地のあらゆる動きが止まった、そんな気がしました。
「あぁ、だめぇ」
　だめぇと言いながらも、妻の顔は、大きく頷いていたのです。
　その妻の頭を慈しむように、ゆっくりと撫でながら、遠藤氏の顔は、川島さんに向けられました。
　向こうを向いた川島さんは、遠藤氏に大きく頷くと、いそいそとした動きで妻の両脚の間に近づきます。
「そうですよ。もっと、あげて。そう、ほら、もっと、こう」
　回り込んだ遠藤氏は、妻の両脚をぐっと持ち上げると、折りたたむようにＭの字に開いた足を持ち上げてしまいます。
「じゃあ、年の順だろう。うん、いや、私は年だからね、君たちから。ほら、奥さんが待っているだろう。川島君、君が部下に見本を見せないと」
「は、それでは」
　短くそれだけを答えると、その大きく張りつめている怒張を、片手で支えながら、妻の無防備な下半身に近づけるのです。
「いいの？奥さん、やられちゃうわよ、あらあら、まあ、こっちはすごくなってる。奥さんやられちゃうのに、センセったら、やっぱり。ふふふ、いいのよ、センセ、ほら」
　私の怒張は、さきほど放出したばかりだというのに、いつの間にか、優子さんのナカで再び膨張していたのです。
　その膨張を身体で感じ取った優子さんが、私の上で腰を使い始めたのです。
　円を描くように腰を動かされると、私を包み込んだ肉ヒダが、その度に、うねうねと怒張のあちこちを刺激します。ことに、亀頭を包み込んだ肉ヒダが、カリに巻き付くように動くのは、経験もしたことのない感覚をもたらします。　
「うっ」
「ああ！」
　思わず私が声を漏らしたのと、妻の叫ぶような甲高い声は同時でした。
　川島さんの怒張は、その時、深々と妻の中に差し込まれていたのです。妻が、私と、そしてこの間の遠藤氏のモノ以外の感触を、胎内で感じ取った瞬間でした。
「センセ、いいわ、すっごく硬くなってる」
　さっきは、思わぬほど早い私の暴発で逝かなかった分を取り返すかのように、私を搾り取る動きをします。
　中に出された精液というのは、オンナを感じやすくさせるのでしょうか。それとも、逝かなかった分、上昇が早いのでしょうか。　
　ひょっとすると、妻の身に起きていることを、我が身に置き換えているのでしょうか。　理由はどうあれ、優子さんの感じ方は、すばらしく早く、私にしがみついて、早くも達しつつあるようです。
　そして、その淫らな肉ヒダに包まれたまま、妻をと見下ろすと、信じられない光景でした。
　まだ、挿入した感触を味わおうとじっとしたままの川島さんの腰を、妻のしなやかな足が締め付けるように動いたまま、妻の背中が強いブリッジを造っていました。
「ああ！はううぅ！」
　妻のその、胎内から何かが吹きこぼれるような壮絶な声は、奥まで一度突き入れられただけで、オンナの頂点に達してしまったことを示していました。
「紀美…」
「あう、あぁ、いいわ、センセ。あう、ほら、奥さんも逝っちゃった。もっとよ。センセ。もっとしてもらわないと。奥さん、この後、何回でも逝かされちゃうのよ」
　耳たぶを甘咬みされながら、そう囁かれると、この後妻がどうなってしまうのか、戦慄が走った気がします。いえ、ひょっとしたら、怒張に巻き付くように動く優子さんの肉ヒダが、そう感じさせたのかもしれません。
「どうする？センセ。いっぱい奥さん逝かされちゃうのよ」
　私の嫉妬心をかき立てるように、腰をグラインドさせながら、さらに囁かれると、たまらずに、優子さんの腰を持ち上げ、下から突き上げていました。
　川島さんの腰が猛烈な勢いで動かされていました。まだ、先ほどのオーガズムから下りきっていない妻の身体が、仰け反っては、のび、仰け反ってはのびています。
「あう、あぁ、いいわ、あう、いい、ああ、また、いくっ！」
　怒張が優子さんの胎内に包まれながら、心は、妻とシンクロするように興奮に包まれていました。響いてくる、その叫び声は、妻なのか、優子さんなのか、もはやわからなくなっていたのです。