第１７話　スクランブル

　目の前に、白い身体が力なく横たわっていました。
　遠藤氏の部下達の怒張を次々と受け入れてしまったのです。
　３人目の永田さんが入る頃には、既にかすれ声になってしまったほど、妻の嬌声は激しいものでした。
　ただ、一人ずつの動きは激しく、妻の反応も強烈でしたが、あっけないほどすぐに放出してしまいました。やはり、素人の、それも絵画教室に来るような真面目そうな人妻の美肉を貪る刺激は強かったようです。
　しかし何よりも驚いたのは妻の反応です。
　いえ、感じたこと自体ではありません。
　男達の最後は、遠藤氏に命じられて、ことごとく、秘所から素早く抜き取って妻の口に放出されましたが、妻は一度たりとも、拒みませんでした。
　それどころか、妻自身の白濁した秘液でドロドロになった怒張を舐めることを嫌がらず、むしろ積極的に舌を絡ませたのです。
　男達のエキスを飲み下し、喉の奥に差し込まれた怒張に苦しそうな表情をしながらも、妻の腰は、大きく突き上げる動きを見せていたのです。
「奥さん、感じてる。初めて会ったばかりの男のエキスを、あんな風に飲み込ませられてる。それなのに、ほら、エクスタシーを感じてるんだもの。素質、あると思うわ」
　私の放出したのものをナカにとどめたまま、優子さんがそう囁きます。
　何の素質なのかとは聞き返す必要もないほど、苦しげな表情の中に浮かぶ喜悦の姿は強烈でした。
　さきほど、さんざんに快感を掘り起こされ、欲しいままに喜悦の声を絞りとられた妻は、もはや力の入らぬ体で、白い身体を横たえています。
　単に横たわっているだけ。
　それなのに、呼吸とともにわずかに揺れる胸と、しどけなく広がった足には、それだけで男に差し出されたオンナの色気のようなものが漂っている気がして、ドキリしながら、思わず見入ってしまいます。
「どう、奥さんのこと。いやらしい姿よね。センセ、嫌だって思う？」
　反射的に、顔を横に激しく振っていました。
「ほんと、センセったら。センセも、すっごく素質あるわよ。ほら、まだ、こうですもの。そうよ、センセったら、奥さんがご主人達に犯されるのを見て、こうなってる」
「犯す」と言う言葉に思わず、またドキリとしながらも、うねうねとした締め付けに、私のモノが、まだ大きいままでいることを突きつけられてしまいます。
　若いころ並に、いえ、十代のころ以上の勢いで、私のモノは目一杯大きくなり、軟らかな肉を突き上げていました。
　さっき、妻の逝く姿にたまらずに、今日、何度目なのかわからない射精をしたまま、それでも、怒張が小さくなる気配がないのです。
　射精をして落ち着くどころか、妻の淫蕩な声が聞こえる度に、もっと突き動かしたい衝動に取り憑かれてしまったのです。
　妻が、もっと、と言ってしまう度に優子さんを突き上げ、イイ！と叫ぶ度に、乳首に吸い付いていました。あるいは、優子さんの身体に、妻と同じだけの快感を呼び起こしたいと思っていたのかもしれません。
　さっき、ようやく、最後の永田さんが妻の口深くに怒張を差し込んで、満足げなため息を漏らしましたが、その口で、永田さんのモノを受け止めただけではありません。
　抜き出す、その瞬間まで、しっかりと射精をした後の怒張に舌を絡みつかせ、最後の一滴まで吸い尽くそうとしていた様子まで、しっかりこの目に焼き付けました。
　永田さんが、ふうと、大きな息を漏らして離れた瞬間、妻の身体からがっくりと力が抜け、抜け殻のように横たわったのです。
「あら、センセ、安心するのはまだ早いわ。まだまだこれからよ」
　イタズラっぽい声で優子さんが耳元に囁きます。
「え？」
「あらあら、センセ、そんな情けない顔しないの」
　くすくすと小さな声で笑いながら、膝の上の優子さんは、私のモノを納めたまま、キスをしてきます。優子さんも、私のほとばしりを受け止めた瞬間、激しく登りつめたはずなのに、その仕草には、どこか余裕があります。
　これが「ベテランの味」というやつなのでしょうか。
　しかし、まだまだ、と優子さんにいわくありげに言われて、私のモノはなぜか急速に力を失いつつありました。
「これからよ。あのね、今日のは、ちょっと変則的なの」
　指先が私の乳首を触れるか触れないかの絶妙の加減でなぞります。
　男のクセに、こんなところが感じるなんて。
　自分でも驚くほど、背中がぞくぞくしてしまいます。
「変則的？」
　かろうじて、私の口は質問することができました。
「そ。本来は、会員の人、全員で歓迎会をするの」
「歓迎会って、こういうことを…」
「もちろんよ。全員のモノを味わって、全員が奥さんの中に、『ご挨拶』をいれちゃうってことなの」
「入れるって」
「もちろん、ほら、センセも、さっき私の中にご挨拶してくれたでしょ？」
「だ、出すってこと？全員が？いったい、何人いるんだ」
「ほら、そんなに慌てないの、ゆっくり説明してあげるから。ね」
「だけど、全員って、いったい何人」
「まあ、そんなに心配なの？大丈夫よ。最初の時は、みんな、出すだけですもの。しち、いえ、８人かしら」
「この他に、か？」
「この人達は、まだ、会員じゃないの。だから言ったでしょ。変則的だって。いつもなら、全員がそろってなんだけど、今日は、新会員の『勧誘』もかねてるの。だから、この人達だけよ」
「勧誘って、部下達を勧誘するってこと？」
「そうよ。もともとは、こっちが目当てだったけど、センセったら、先に清美さんを食べちゃうし」
「あれは」
「いいのよ。その方が、永田さんは誘いやすくなりそうだし。やっぱり若い娘がいたほうが殿方は嬉しいみたいだもの」
「いや、優子さんだって、すごい」
「あらあら、どうも。でも、ね、誰でも入れるわけじゃないの。秘密も守れなきゃだし、なによりも、こういうのを受け止めるだけの夫婦愛がないと」
「夫婦愛？」
「そうよ。そうじゃないと、単に浮気でしょ。愛する妻が、他人に抱かれて悶える、愛する夫が、目の前で他の女を喜ばせてる」
　そう言いながら、優子さんの腰が、しゃくり上げるように動きました。驚いたことに、私の怒張は、さっきのように、逞しくなっていたのです。
「嫉妬って、愛する人にこそ、持てるものでしょ。そして、嫉妬心は、強烈な夫婦愛を燃え上がらせるの。奥さんから聞いた？」
　考えるよりも早く、私はかくんと頷いていました。
「入会の儀式は、みんなに認めてもらうって意味もあるけど、ホントはね、違うの」
「違う…」
　我ながら、間の抜けた返事の連続でしたが、下半身からの甘い感覚と、耳に注ぎ込まれる優子さんの甘く、衝撃的な話に、なんともなりません。
「奥さんのナカから、他人の精液が、ドロって出てくる所を見て、センセは、どう？奥さんを嫌いになる？それとも」
　ゆっくりとした動きで、腰を使いながら、私を挑発的な、それでいて、真剣な瞳。
　その瞳の中に、妻の裸体が映っている気がしました。
　大きく脚を広げた妻の秘所があります。
　どっぷりと濡れそぼち、ピンクと言うより「深紅をくすませた赤」になった腫れぼったい秘唇が、パックリと割れ、白濁した液体がトロトロと流れ始める姿が映し出されると、私はたまらずに、腰をカクカクと突き上げて、怒張を動かします。
「あぁ、う、あう。そう、そうよ、センセ、いいわ。ふふ、もう、決心がついたのね、あん。すごい。これなら、いいわね。決める？」
　慌てて肯きかけてから、身体をピタリと止めます。
『しかし、妻が、なんて言うか』
　この期に及んでも、まだ、そう考えてしまう私は、実は、踏み切れない理由を探そうとしていただけだったのです。
　妻の気持ちは、あの時、しっかりと確認したはずでした。
　黙っていたのを私の返事だと取ったのでしょう。
「ついたみたいね。決心。じゃあ、さ、いきましょう」
「ど、どこへ？」
「決まってるでしょ。奥さんの所」
「えぇ！」
「新会員候補さん達に、センセ達の夫婦愛の強さを見せてあげなきゃ。それに、儀式は儀式よ。最後は、みんなの前で奥さんを抱いてあげなきゃ」
「しかし」
「奥さんは、それを望んでいるの。ちゃんと最後は夫、センセでなきゃダメよ。急ぎましょ。始まっちゃうわ」
　私の膝から立ち上がった瞬間、強い締め付けでなくても、びしっと隙間無く包み込んできた美肉からジュボっという湿った音をさせて、私のものが抜け出ました。
「センセ、今度は、このカタイので、奥様を可愛がるよ。みんなのドロドロしたもので、ぐちゃぐちゃになったオ○○コを、たっぷりと楽しんでみて」
　耳元で囁かれながら、私の怒張は、射精したばかりとはとてもではなく信じられないほど、硬くそそり立っていたのです。
　頭の後ろがちりちりとする感覚がして、強烈な光が頭の中にあふれます。その光に映し出されているのは、ヌメヌメとぬかるんだ妻の美肉に、怒張を突き立てようとする私自身の姿でした。
　
　優子さんに背中を押されるように、一人、下に戻った時には、遠藤氏の説明は、すっかり終わっていました。
　ぶらぶらと、半ば大きくなったままの怒張を揺らしながら入る瞬間はひどく気まずい思いでした。躊躇はしたのですが、優子さんは、断固として、服を着て出ることを認めなかったのです。
　遠藤氏の部下達は、私の顔を見て、気まずそうな表情をしましたが、私が裸でいることに瞬時に気づくと、小さな、おぉという声を誰となくあげました。
　ドアを開けた瞬間から、かえって、心が据わったというか、なんといっても、ここは私の砦である以上、舞い上がった気持ちが取り戻せたような気がしました。
　だから、いくぶん冷静になって、あたりを眺めるゆとりを取り戻せたのです。
　先ほどの射精から時間があったためでしょうか。妻を半円形に取り囲むように立っている男達の怒張は、再び頭をもたげていました。しかし、一度放出したためでしょうか、何となく余裕のような雰囲気が漂います。
　その男達の背後に、います、妻がいました。
　台に上半身をうつぶせにして、床に足を降ろしています。その姿だと、白く丸っこい尻だけがキュンと突き出すことになるのです。
　その尻は男達に差し出されているのも同然でした。
　そして、妻の頭に、何かがくっついているように見えました。
『アイマスク？』
　そうです、いつか、私も妻に使ったことのある、あのアイマスクを妻は付けていたのです。差し出した尻、見えない目。これでは、男達に自由にのしかかってくださいと言わんばかりの姿です。
　森さんなどは、スキあらば尻の一つも触れる距離で、妻の様子、いえ、遠藤氏の様子を窺っていたのです。
　男というものは、一度、自分が挿入したオンナには、その後はいつだって、犯す権利を持っているとでも、思うものなのかもしれません。
　今、森さんが、妻に触れないのは、何よりも上司である遠藤氏に遠慮しているだけで、良いといわれれば、もう一度、言え、一晩中で妻の身体をむさぼるつもりに違いありません。
　一方で、部下達は、妻を自分たちに差し出した男、つまり私を、別の惑星の生物でも見るような目で見つめてから、慌てて、目をそらし、またチラチラと妻と私を見比べるのです。
「どうだ、良かっただろ。美人の上に、あれだけのオ○○コの持ち主だ。おまえ達の奥さんも、みんな美人だが、なかなか、お互いの味を比べるわけにもいかないからな。良い経験だろ」
「はっ。あ、いや、先生、お人が悪い、奥様なら、そうとおっしゃっていただければ。いや、お恥ずかしい」
　川島さんは、ばつの悪そうな顔でしながら、言い訳のように言いますが、それでも、森さんは、顔を紅潮させながら、すごい、先生の奥さんはすばらしい、すばらしい、と繰り返します。
　永田さんはと言えば、居心地の悪そうな表情で、曖昧なお辞儀をするばかりです。
「さあ、諸君、さっきは、すばらしかっただろう」
「はあ、まったく。良い体験させて、もらいました」
　森さんの表情は、あながち上司に媚びを売っているのではなく、思いもよらない「出し物」に、すっかり興奮してしまっているようでした。
「これも、先生の強烈な夫婦愛のおかげだよ。今日は、お二人の第二の結婚式というわけだ。さあ、みんなでお祝いに祝砲を撃たなきゃ。そうでしょ、先生。興奮しました？」
　私が、黙って肯くと、また、誰となく、おう、という声が漏れました。
「はい、景気よくいかせてもらいます。もっと、感じさせて見せますよ」
　嬉しそうに森さんが応じると、意外にも遠藤氏がやや真面目な顔になったのです。
「どうだい、君達。せっかくだ、君達も先生のようにしてみないか。きっと、カミさん達も感じるし、君たちだって興奮も。ほら、先生のようにすごくなるよ」
　みんなの視線が、一斉に私の怒張に注がれた気がしました。ごく平凡な大きさの私ですが、半ば勃起していただけのはずの怒張が、この部屋の淫靡な空気を嗅いでから、急速に力が満ちていたのです。
　いえ、ヘンな話ですが、部屋に満ちている、セックスの匂いが、すべて、妻に集中しているのかと思うと、男達の怒張の一つ一つに、興奮させられてしまったのです。
　この男達の怒張が、妻の肉を味わい、あれほどの声を上げさせたのかと思うと、背中に戦慄のようなものが背中を走りぬけたました。
　部下達は、一斉に、私の怒張に視線を合わせてから、それぞれが、恥ずかしげに視線をそらします。
「いえ、うちのなんて、とてもではありませんが、奥さんと比べられちゃうと」
「先生、川島さんの奥さん、どうです？」
「どうって…」
「先生、もう、奥さんを通じて、お互い義兄弟になった仲だ。秘密は無しにしましょうよ。ウチのから聞いているんですよ。モデルの話」
「モデル？」
　部下達は一斉に驚いたように私の顔を見つめます。
「そう。女房達は、お互いにモデルをやって絵の勉強をしてたんだよ。もちろん、モデルと言えば、ヌードってことだ」
「じゃあ、まさか先生は、ウチのの…」
　川島さんが唖然とした顔で、私を見つめます。
　そこには、男として女房を寝取ってやったという勝利感が、一瞬にして崩れ、呆然とする表情が固まっています。
「もちろん、ウチのも、先生はご覧になったはずだ、みんなのも、ね」
　私は頷かざるを得ません。
「どうでしたか、先生」
　覗き込むような遠藤氏の目には、深い光が宿っている気がします。いったい遠藤氏が何を言わせたいのか、その光が、おぼろげに教えてくれています。
『しかし…』
　私を見つめながら、ゆっくりと動いた遠藤氏の手は、忘れられていたかのような妻の白い尻を、ゆっくりとなで始めました。
　妻はヒクリと身体を震わせますが、無言のままです。
　しかし、ゆっくりとした手つきではあっても、妻は、さんざんに感じさせられて敏感になっています。その上、視覚を奪われている妻にとっては、容易にこらえることのできない快感となっているのに違いありません。
　ヒクヒクと尻たぼが引きつる動きをします。
　声の近さから、妻は、今触っているのが遠藤氏だと知っているのでしょう。
「先ほど、先生の奥様は、私たちが覗き込むだけで、たっぷりと濡れてしまいました」
「ああぁ」
　妻の声が、微かに聞こえました。
　ついさっき、その身に起こったこととは言え、改めて言葉にされると、羞恥心をあおり立てられ、快感を増幅させてしまうのかもしれません。
　何よりも、視覚を奪われている妻にとっては、頭にわき起こる、さきほどのイメージは、強烈に感じられてしまうのに違いないのです。
「どうです？ウチのは。優子は、濡れましたか？」
　遠藤氏の視線に、私は考えるまでもなく肯いていました。
「みんな、濡れましたか？」
　一瞬、３人の部下達の誰かが、あるいは、全員が、コクリと、唾を飲み込む音を立てた気がします。
　私の頭がゆっくりと縦に振られた瞬間、おぉ、といため息が漏れた気がします。
「そうだ。みんな、女房が、アソコの奥まで濡らしているところを先生に見られたんだ。まあ、女房達も、濡らしたというのだから、嫌というわけではなかったんだろうよ」
　妻の、甘い吐息ともまがう、わずかな声が響き渡った瞬間、ほんの少しだけ間が空きます。
「おやおや、おまえさん達も、先生と同じ趣味と見えるな」
　遠藤氏の視線は、部下達の怒張が、いつの間にか屹立しているのを鋭くとらえていました。部下達は、今さら硬くなった怒張を隠すわけにもいかず、かといって、上司にくってかかるわけにもいかず、困惑しています。
「安心しろ。男というのは、カミさんが大事なら、同じように反応するものさ。おれだって、女房から聞いた日は、さんざんに、女房を逝かせまくったんだからな。っと、話が長すぎたな、奥さんがお待ちかねだ。さてと、ゲームにかかるとしよう」
　上司の言葉に、どんな表情をするべきなのか、頷くべきなのか、喜ぶべきなのか、曖昧な表情でこちらを窺いながら、部下達は、曖昧に、私に頭を下げます。
「いいかい。ルールは、さっき言ったとおりだ。奥さんは、先生をチ○ポだけであてなきゃいけない。ひとり、１０秒だけ入って、次と交代だ。全員が交代したら、奥さんが、何番目に入ったのがご主人なのか、あてなきゃいけない」
「あぁ、そんな」
　妻の声には、ヒドイと言いたげな恨みがましい響きが入りますが、それ以上に、甘い媚びが浮かんでいるように感じました。
　男達に差し出すかのように突き出した白い尻だけが、モジモジと動きます。
　シミ一つ無い、丸い尻に、幾筋もの生乾きになった秘液の流れた後が、鈍く光ります。
「そうそう、最後まであてられなかったら、罰ゲームも用意した。さあ、みんな、たっぷり楽しもうじゃないか。かまうことはない。先生は、みんなのカミさんの濡れたオ○○コをじっくりと見てるんだぞ。世の中フィフティフィフティじゃないとな」
　遠藤氏にあおられると、部下達は呪縛が突然解けたように動き出します。
「さてと、さっきと違って、年の順と言うわけにも行かないな。こうしようか。最初の回は、先生が順番を決める。あとは、私に、順番を決めさせてもらう。どうだい？」
　遠藤氏は、男達が妻を貫く順番を私に決めろと言うのです。
　しかも、その「どうだい」は、私に聞いてはいません、部下達に向けられた言葉でした。もちろん、反対があろうはずはありません。
「じゃあ、先生、早速順番を決めてください。おっと、声をお出しにならないで。順番に指さすだけですよ」
　遠藤氏の表情は、ゆったりした笑みをたたえています。
　目隠しをしたオンナの後ろから男達が貫く順番を、その夫に決めさせる。
　そんな鬼畜の行為を迫っているとは思えないような、慈愛に満ちた目でした。
　そのくせ、遠藤氏の怒張は、完全に硬くなっているのです。
　このまま逃げ出したい、もうこれっきりにしてくれと叫びそうになりながら、ふと、私の目に、妻の尻が映りました。
　その白く、クリンと丸い尻は、私の狼狽を知らぬげに、遠藤氏の愛撫を受けて、もじもじと動いていたのです。
　真面目な妻が、尻を差し出した姿勢のまま、じっとしていたのです。
　その姿は、今から、夫以外のオトコ達が、尻にのしかかってくるのを知らないとでもいうように見えました。もちろん、妻は、全てを聞いているのですから、いまからその身に起きることを知っています。
『待って…　いるのか？』
　そう、まるで、その姿は、早くオトコを尻から入れて欲しいと、待っているメスの姿に重なってしまったのです。
　妻の心の中を斟酌する余裕はありませんでした。
　ただ、その瞬間、妻は私よりも落ち着いているような気がして、私の心は、なんだか悔しい気持ちで一杯になったのです。
　そのときに、私も心を決めたのかもしれません。
　私の指は、考えるよりも先に、遠藤氏に突きつけられていました。
　恭しくお辞儀をすると、一度、妻の尻から手を離して、手真似で部下を呼び寄せたのです。
　おそらく、さっきまで触っていた遠藤氏が入ることを妻に悟られないようにするカモフラージュのつもりだったのでしょう。
　囲まれた部下から、一度、スッと、後ろに回ってから、つかつかと妻の尻に近寄ります。
　その怒張は、しっかりと大きくなったままです。
　遠藤氏は、一度かがみ込むように妻の秘所をのぞき込むと、満足げに頷きました。
『そんなに濡れてるのか』
　私たちのやりとりを聞きながら、ただ、尻を撫でられていただけのはずの妻の秘所は、改めて愛撫を必要としないほど、濡れそぼっていたようでした。
　妻の尻まで半歩の距離になってから、一度、私を見て、黙礼をすると、その怒張に右手を添えて、一気に妻を貫きました。
「うっ」
　妻の背中が一瞬仰け反るほど、唐突な侵入です。
　しかし、それほど簡単にオトコが入れるほど、妻の身体が濡れていたとは。いくらさっきのことがあったと言っても、不可解です。
　やはり、この異様な空気が妻の脳を淫靡に支配してしまっているのでしょうか。
「あ！あ！あ！」
　遠藤氏が、一回ごとに、挿入角度を変え、速さを変えたストロークをすると、その度ごとに、妻の甲高い声が響きました。
『何で、そんなに』
　そう思わざるを得ないほど、妻の反応は過敏すぎるモノだったのです。
　やはり、優子さんに言われた「素質」と言う言葉が、心にのしかかってきます。
　きっちり１０秒だけ、そのくせ、たっぷりと楽しんだという風情で遠藤氏が離れると、みんなの期待は私に注がれました。もちろん、みんな、自分も早く妻の肉を味わいたいに違いありません。
　しかし、遠藤氏にあれだけの反応をしてしまった妻の肉を確かめたい気持ちを先にせずにはいられませんでした。
　だから、みんなの視線を無視して、私自身が妻の尻に近づいたのです。
　遠藤氏がしたようにかがみ込んで、妻の秘所をのぞき込むと、見慣れていたはずの妻のものと、そのたたずまいが全く違っていたのです。
　男達に、さっきまで、さんざんに蹂躙された秘所は、入り口の小さめのびらびらが、これ以上ないと言うくらい充血して赤くなり、はれぼったい姿に変わっています。
　尻や足の方にまで、うっすらと秘液の乾いた跡が、まるで、カタツムリが集団でアイススケートでもしたように、至る所についていました。
　ひっそりと普段は閉じているはずの、オトコを迎え入れる入り口は、閉じきる力を失ってしまったかのように、ぽっかりと親指が入るほどの口を開けて、広がったままでした。
　そして、先ほど遠藤氏にされたためでしょうか。新たな秘液が、奥からとろりとこぼれてくると、まるで、その秘液を恥じるように、うねうねと真っ赤な「中身」がうねくる様子がはっきりと見えました。
　広がったままの入り口にショックを受けた私は、妻が変わっていないことを自分自身の肉で確かめるしかありません。
『き、紀美。これは…』
　一気に埋め込んだ妻の美肉は、閉じきる力を失っていたはずだったのに、思っても見ない強い力でピッチリと締め付けてきました。
　その意外な締め付けからは、さっき逃がした「オトコ」を、「今度は、最後まで離さないぞ」というオンナの欲望が伝わってくる気がしました。
　そんな、いつもの妻とは違う、淫らな欲望が丸出しになったような美肉に、つい、我を忘れて、しまいました。
　その上、私の嫉妬心を燃え上がらせたのが、今までとは違う場所までもが、オトコを締め付けるべく、柔らかな美肉がまとわりついてくることでした。
　妻の美肉は、夫以外のオトコ達を立て続けに受け入れ、異様なまでの体験の中で、明らかに変わってしまったのです。
　私以外のオトコが妻を変えた。
　そう思うと、私の嫉妬心は爆発したかのように燃え上がったのです。
　いつものように、妻のナカの感触を確かめる余裕もなく、交尾するオス犬のように、ただ、ひたすらに腰を打ち振ってしまいます。
　そんな、何の技巧もないストロークにも、かすれかけた喉から、さらに悲鳴のような嬌声を上げてしまう妻の背中で、あちらこちらの筋肉がヒクヒクとなっていました。
　妻の背中を、白い津波が駆け上ろうとしているのかもしれません。
　たった１０秒の挿入の、しかも、まだ、二人目でした。それなのに、あっという間に、逝きそうな気配になったのです。
　しかし、気がつけば、後ろから忍び寄ってきた遠藤氏に肩をそっと叩かれていました。
「あ、いや、あうぅ」
　逝きそうになった身体から、怒張をいきなり抜かれて、妻は、おねだりしたそうな、何とも無念そうな悲鳴を上げます。
　おそらく、女のとどめを刺して欲しかったのに違いありません。
　反射的に腰を引いた私の怒張に、妻の秘液が、白く濁ってまとわりついていました。
　無念と言いいたげな様子で、尻をくねくねと動かし続ける姿を見つめながら、次の人間を指名することも忘れて、しばし茫然と立ちつくしてしまいます。
　その私の肩に手を掛けて、のぞき込んでくる遠藤氏の目には、相変わらず、慈愛に満ちた光が宿っていたのです。