第２０話　ふたり

　遠藤氏が挿入した瞬間、妻は、小さなうめき声を上げただけでした。
　ひょっとして、意識がまだはっきりしていないのかと思わせる反応です。
「うん？川島君、森君、ずいぶんとたっぷりと出したものだなあ。君たちのもので中はぐちゃぐちゃだよ」
　笑顔で部下達を振り返ると、部下達は恐縮するしかありません。落ち着き払って向き直った遠藤氏は、自分の足を妻の足の下に差し込みながら、寝そべった妻の腰を持ち上げるようにして座り込む形で挿入しています。
　足を投げ出して座る遠藤氏の腰に、尻を乗せるような形で妻が貫かれているわけです。この形では、大きな動きなどできませんが、遠藤氏はいっこうに気にしないようです。
　むしろ、抱え込んだ妻の膝をペロペロとなめ、尻の感触を指先で確かめ、しまいには、指を下の方に差し込んでは、こぼれた液体を妻の腹になすりつけています。その様子は明らかに、今の形を楽しんでいました。
　遠藤氏のいたずらに妻は身じろぎはするものの、顔をこちらに向けたまま、反応をほとんど示しません。
　あれほどのオーガズムの嵐のあとで、少し開いたままになっている唇が、これ以上ないほど静かで、穏やかな眠りを表しているように見えます。
「う〜ん、それにしても、さすが、川島君だ。森君、ちゃんと見習わないといかんな。君があれほど自信ありの、こっちの方で、奥さん一筋の川島君に負けたのだから」
　大きな動きではありませんが、遠藤氏がクイクイと腰を遣ってみせました。妻の唇がゆっくりと閉じた以外は、何もかわりません。
「いえ、あの、私も、あの、あっちは、妻一本槍でして。はい。さすが川島部長、ベテランの味、しっかり見せていただきました」
「はは、まあ、君が奥さん一本槍になれるように、僕も応援しようか」
「そんな、本当ですって。結婚以来、妻一穴主義なんですってば」
「ほぉ、それじゃ、神戸支社の、ほら、総務だっけ？あの娘。そっちは…」
「え！　神戸って、あの〜　その、え〜っと」
「ははは、ほら見ろ。こっちもダテに見てないよ。ま、そっちはきれいに片付けられたみたいだからな。ま、遊びも良いが、後始末ができないようじゃ困るがな」
「はっ！申し訳ありません！」
　裸のまま最敬礼する森さんの姿は、恐縮しきっている部下の鏡のようなポーズでした。そのくせ、どこか、その背中にひょうげた雰囲気を持っているのは、やはり、森さんなりの処世術なのかもしれません。
「まあ、そう、気にするな、ただ、今後は、奥さんだけにしてもらわないとな。これから、出世していくのに、いろいろと、ま、なんだからな。どうだ？大丈夫かなあ」
　のんびりした口調でしゃべりながらも、しっかりとせわしなく動き回っていた遠藤氏の右手が、妻の秘所に差し込まれました。妻の身体は相変わらずほとんど反応はありません。
　なんだか、ホッとしている私がいました。あれほど感じた妻のことです。しばらくは意識が戻らないかもしれません。
「はっ。必ず。他のオンナには目もくれません」
「そう硬くならなくてもいい。現に、今も、私は女房以外のオンナに入ってるわけだからねえ。お説教には、最悪の状態だ」
　遠藤氏なりのジョークでした。
　笑顔が浮かんだ上司に、三人の部下達は明らかにホッとして、上司に合わせて、はははと、おだやかな笑い声をたてます。
　その間も、遠藤氏の右手は、妻の秘所に差し入れられたまま静かに動いていました。
「まあ、こうやって、問題にならないように、上手にやっていくには、やっぱり女房がポイントなんだよ」
「はあ、女房が、ですか？」
「そうだ。今日、こうなったことを君たちはカミさんに話せるのか？」
「いえ、滅相もない」
　川島さんが、慌てて返します。もし、上司が、これを妻に言えとでも言い出したらどうしようかと、思ったのかもしれません。
　そのとき、妻の顔が、ゆっくりと反対側へと。つまり、私の方に向けた顔を向こうに向けたのです。
　偶然かと思いました。寝返りだろうと思ったのです。
「まあ、自分だけが遊んだら、そりゃ、カミさんには話せないよなあ」
　妻の腹が、ヒクリとケイレンしたような気がします。しかし、遠藤氏は、妻の方を見向きもせず、相変わらずのペースで妻の秘所に置いた手を静かに動かし続けています。
「おっと、先生、次は先生ですからね。そろそろ、そっちの方を」
　言われて目を向けると、台にもたせかけていた上半身を半ば起こすようにして、優子さんがこちらを見ていました。
『こっちよ、来て』
　一瞬目が合った優子さんの瞳に、そう囁かれた気がしました。
「先生、じゃあ、そっちのオンナ、そう、そいつを楽しんでください。思いっきり奥まで入れてやってくださいね。そうだ、何なら、先生は特別にそのオンナに出しても良いことにしましょう」
　その瞬間、確かに、妻の肩が、ヒクリと動いたのです。あるいは、意識が戻りかけているのでしょうか。　
　相変わらず、妻の秘所には遠藤氏の老練な指がゆっくりと使われていました。
「なあ、そうだろ？私たちは、先生の奥さんに出させてもらうのは楽しいが、先生は、この具合の良いオ○○コに、いつでも出せるんだから」
　遠藤氏の軽口めいた言葉に、部下達は、静かな笑い声で迎えます。
　その瞬間、今度は、妻の曲げられた膝が、ヒクリと外側に開くように動いたのです。まるで、遠藤氏の手を迎え入れるかのような動きでした。
『紀美、起きているのか？』
　意識が半ば戻ったなら、遠藤氏の動きに反応してもおかしくはありません。食い入るように見ツテいる私に遠藤氏が声をかけてきます。
「先生、どうせなら、こっち。もっとこっちに来たらどうです」
　さして広くもない台の真ん中に妻がいて、端で優子さんが尻を差し出していたのですが、遠藤氏の言葉を聞くと、優子さんは、さっさと場所を移ります。
「ほら。先生。早く。女優さん達がお待ちかねですよ。こちらも、準備が整ったみたいですし」
『え？準備って、だって、まだ意識が、それとも、今、戻ったのか…　でも、意識が戻ったからと言ってすぐには…』
　私は遠藤氏の言葉の意味が飲み込めませんでした。しかし、優子さんが妻の横に上って、いきなり妻の微乳に触れた瞬間でした。
「あん！」
　思わぬほど甲高い声が妻の口から漏れたのです。
　向こうを向いた顔は、とっくに、快感に歪んでいたのでしょう。
　遠藤氏は、自分の手技が確かに妻の反応を引き出しているのをじっくりと確かめながらしゃべっていたのです。
　遠藤氏のモノを受け入れたままの腰を、不自由そうな姿勢のまま、妻は大きく動かしました。まるで、遠藤氏が動くことをねだっているような動きでした。
「ほら、先生。はやく」
　もはや、遠藤氏の声に導かれるままに妻の横に上がるしかありませんでした。
　私があがると、優子さんは、妻の身体に頭を寄せるようにして、尻を突き出し、私を迎え入れる姿勢を取ります。
　その優子さんの右手は、妻の左の乳首をいらい続けていました。
「ほら、先生。私も、奥さんに入れてるんですから。先生も、そっちに入れて」
　今日、何度入れたかわからない遠藤氏の妻の美肉は、ヒクヒクとうねるようにうごめきながら私を待っていました。
　隣で妻が、じっくりと遠藤氏に責められ、優子さんに微乳を弄り回されながら淫声を噴きこぼしているのです。もはや、頭の中がどうにかしてしまったように、私自身も怒張をどうにかしたいという欲望だけがありました。
　妻の微乳をいじりながら優子さんの尻が持ち上げられています。
　そのまま何も考えず、その軟らかな肉の中に一気にじゅぶりと挿入しました。
「はぅ、あう」
　優子さんの中は、たっぷりと濡れています。強烈な締め付けはなくても、ヒダヒダが、それぞれ別の方向に動くような、そんな締め付けで迎え入れられると、思わず、怒張を動かしてしまいます。
　人前でセックスすることなど考えたこともない私ですが、今、この瞬間、後ろで見ている目が、一切気にならなくなっていました。
　今日何度目になるのか思い出せないほどですが、極上の感触に包まれて、あの強烈な射精感が、再び私の腰の奥から昇ろうとしていました。
　しかし、それほどの快感を送り込んでくる、たっぷりと濡れた柔らかな優子さんに包まれながらも、目は妻から離せません。
　余裕のない腰遣いで、快感をむさぼっている私の動きを横目に、妻のじれたような腰遣いを弄ぶように、深く浅く動いています。
　時には立て続けに奥までストロークして妻の悲鳴を上げさせて、そのまま登り詰めそうな呻きをあげると、すばやく浅くかき回す動きに変化します。
　逝きそうにしておきながらも、生殺し状態のままにしておくその動きは、実に楽しげに見えました。遠藤氏の表情もどこか涼しげな顔です。
　私はと言えば、逝きそうになりながらも、逝かせてもらえない妻の腰が、遠藤氏の腰遣いに媚びるようにうごめくのを、優子さんの腰遣いに重ねてしまいます。
　もはや、腰の裏側から、白い何ものかが沸々と湧き上がり、妻のいやらしいうめき声を聞きながら、優子さんのナカに放出したいということだけが頭にあります。
　しかしそれ以上、横にいる妻と一緒に逝きたいという欲望が、今妻が陥っている、逝きたいのに逝かせてもらえない「快感地獄」を私にまでもたらしてしまったのです。
『紀美、一緒に、ああ、でも、もう、限界だ、はやく、逝かせてもらって…』
　私の口が、妻を逝かせてやってくれと動きかけたその時でした。
　ぐっと奥までの早いストロークをきっちり３度した後で、遠藤氏はあっさりと引き抜いてしまったのです。
「あぁ、ああ！いやあ！」
　悲鳴にもにた妻の、いえ、実際に、それは悲鳴でした。妻の腰が遠藤氏の怒張を追い求めるようにうごめきます。
「さ、奥さん、ちょっと、体勢を換えるからね。ほら、こうやって、そう、自分で持ってごらん、そう、奥さんは身体が柔らかいから大丈夫でしょう」
　遠藤氏は、妻の両膝を持ち上げて、腰で身体を折りたたむようにしてしまいます。そのうえ、胸のそばまで引き上げられた膝を妻自身の手で固定させます。
　足を広げたまま、自らの手で、膝をぐっと抱え込むように持った妻は、ドロドロになった秘唇のみならず、すみれ色の後孔までもさらけ出す姿になったのです。
「は、恥ずかしくて、こ、こんな格好、あぁ、もう、許して、お許しを、あうぅ」
　許してと言いながらも、遠藤氏にさせられた形を、妻は崩そうとしません。遠藤氏の手で強制された、オンナとして恥ずかしい部分を自らの手で全てさらけ出す姿のままでした。
　それは、オンナが快感を支配する主人に媚びを売る姿そのものだったのです。
　あの真面目な妻が、私に見られていることがわかっているのにもかかわらず、全てを支配者に捧げているマゾ奴隷のように従順なオンナになりきっていることに、唖然としながらも、遠藤氏に強烈な嫉妬をしてしまいます。
　けれども、その嫉妬心は、私の心の奥に、何か、今まで知らなかった種類の快楽をもたらしたのも事実だったのです。
「う、ぅ、うっ」
　広げたままの妻の淫唇が、遠藤氏の怒張を求めてヒクリとうごめいたのを見た瞬間、私は、身体の奥底からこみ上げてくる衝撃に耐えきれず、固まりのような白い毒液を放出してしました。
　ドクドクと優子さんの子宮に放出しながら、いつまでも止まらないかのような強烈な快感が、私の腰から背骨へと溶かし続けていました。
　オトコにも、こんな強烈な快感があったのかと、思い知らされるような射精でした。
　頭がくらくらとするような射精の快感がさめやらぬ間に、遠藤氏は妻の秘唇の前にどっしりと座りこんでいました。
「さてと、先生。こっちは、どうです？使ったことあります？」
「え？」
「ほら、ご主人が見てるよ、もっと深く入れてあげるから、ほら、口で息をして、そう、深く吸って、そう、ゆっくりと吐き出す」
　抗う声をあげながらも、妻の口は、言われたとおりに息を吐き出します。
　妻の尻穴に右の指を入れながら、左手は、親指でクリトリスを細かく振動しながら人差し指で秘唇をじゅぶじゅぶと浅く、撫で回しているのです。
「あう、いやぁ。ねえ、あう。ああ、お願い、そっちは良いの、そっちは。ああ、お願い、苦しい、ください、お願いよぉ、ああ！お願い、します、あうぅ、ください、ませ！ああ！」
　もはや、妻の中に私の存在が浮かんでいるのかどうかわかりません。しかし、しきりに、遠藤氏に怒張を求めています。その口調はもはや哀願としか言えませんでした。
　その上、指を深々と入れられている尻穴をさほど嫌がっているようには見えないのも意外でした。
　むしろ、指が深く入る度に、妻の全身に汗がうっすらと浮かび、アイマスクの下の頬は、紅潮を深めているように見えました。
　目線で呼ばれた私が顔を近づけると、遠藤氏が、指を動かしながら、私の耳に囁きます。
「奥さん、ちゃんといわれたとおりにしたと、さっき言ってましたよ」
「は？」
「今日、これが始まる前に、ちゃんと浣腸しておくようにってね。もちろん、自分で買ってくるのも条件でした。そして、今、この中はきれいなものです。ほら、ちっとも汚れてないでしょ？」
　指を浅く出し入れしながら、遠藤氏はニヤリと笑います。
　私は声が出ませんでした。
　そんなことを妻は、一言も言っていませんでした。
　私に何も言わないまま、妻が遠藤氏の「命令」を実行していたということに、ショックの一言では語れないほどの衝撃を受けていました。
　妻は、その命令が、その後、自分の身に何をされるためのことなのかを十分承知の上でのことに違いありません。
　おそらく、浣腸を買ってくるのも初めてなら、実際に、自分でしたことだって初めてだったはずでした。女性なら、そんなものを買うだけだって充分恥ずかしいことに違いないのです。妻がどんな顔して買ったのか、どんなことを考えて尻に入れたのか。
　そんな恥ずかしい「命令」に、なぜ、唯々諾々と従ってしまったのかと思うとやるせなさで一杯になります。いや、そんな命令を、いとも易々と実行させてしまった遠藤氏に、妻がどんな気持ちを持っているのかと、それを考えただけでも、私の嫉妬心は大きく膨れあがります。
　あの初めて遠藤氏を受け入れた夜、私の知らないところで妻の心のどこかが、占領されてしまったのでしょうか。
　他の男達を次々と受け入れながら、今までにないオーガズムを感じてしまった妻の肉体には嫉妬しつつも、その裏側で、妻を独占している「私」は得意になっていた部分があります。
　こんなにも、いやらしく、かわいらしい女である「妻」の心は私だけのものだったからです。
　しかし、これでは、心まで、私の独占が崩れてしまったことになります。
　その嫉妬心は、強烈なものでした。
　気がつくと、まるで媚薬でも盛られたかのように、私の怒張は高々と首をもたげていました。遠藤氏はチラリと私の怒張に目をやると満足げに頷きました。
「さてと、先生。そろそろ、こっちも準備できたようです。いただいても、よろしいですか」
　妻には、一切を聞かず、遠藤氏は私に決めさせようとします。
　もちろん、私ですら、したことのないアナルセックスを、いきなり他人にさせるわけにはいきません。いくら遠藤氏にでも、妻の後ろの処女は、夫である私のものに決まっています。
「せっかくですが…」
「あん、あう、へ、ヘンなのぉ、ああ、もう、あう」
　断ろうとした瞬間、妻の淫声が重なります。そういえば、妻は嫌がっているような仕草こそするものの、本気で指から逃げようとしていません。
　むしろ、遠藤氏に言われたとおりに、懸命に口で深く息を吐き出しながら、尻の力を抜き、協力しているように見えます。
　なによりも、遠藤氏の命令を聞いて受け入れる準備までもしていたのです。妻の心は最初から聞くまでもなかったのかも知れません。
「あう、ああぁ、もう、あう、どうにかしてぇ」
「ほら、奥様もこうおっしゃっていますが？」
「ああ！」
　妻は既に、尻穴を、夫以外のオトコに捧げる準備ができている。そう思わざるをえません。
　なぜなら、遠藤氏は、もはや、左手を動かしていません。
　尻穴に入れた指は、いつの間にか２本になっています。妻のすみれ色の後孔は、粘膜を柔らかく伸ばしながら楽々と受け入れています。いえ、受け入れているだけはありません。浅く深く動かされるだけで、その度にねっとりした淫声をこぼしていたのです。
　そのねっとりした声が、私を頷かせてしまったといっても良いかもしれません。頭の奥で、もう一人の私が、ダメだ！と大声を上げていました。
　しかし、その声は、胸の中でうつろな山彦だけを残したまま、私は大きく頷いていたのです。
「さ、奥さん、ご主人のお許しが出ましたよ、今、入れてあげますよ」
「うぐ、ふぅうぅ」
　指が引き抜かれる瞬間、妻の喉から空気が漏れるような、そんな声が漏れます。
　引き抜かれた後の尻穴は、さっきまで二本の指を飲み込んだ形から少し閉じ気味ですが、さんざんに広げられたせいか、今はピタリと口を閉じる力を失っているかのように、わずかに中心の穴が残っていました。
「さ、大丈夫ですよ。まず、充分濡らしてと」
　怒張を一気に妻の秘唇に挿入します。
「ああ、いい！あう！」
「ほう、だいぶ、さっきよりも濡れてますね。お尻、感じたの？奥さん」
　反射的に、そんなこと無いと、妻が言うはずだと思っていました。しかし、妻の首は素直に、コクリと頷いていたのです。
「よし、よし、そうこなくちゃ。奥さんみたいなタイプは、尻でもたっぷりと楽しめるってことを教えてあげよう。そうだろ？ほら、奥さん、教えて欲しい？」
　たっぷりと妻の白っぽく、ドロドロした秘液をまぶした怒張を尻穴に突きつけながら、遠藤氏が尋ねます。
「ああ、あう、恥ずかしい。ああうぅ」
「奥さん、教えて欲しいんだね？」
「あう、お、教えて、うぅあう、教えてください！　あう！どうにでもして、もうオカシクなっちゃって、ああ、お願いします、なんとかして！入れて、ああうぅ、お願いします、あぅ」
「よしよし、今、入れてあげるからね、さ、奥さん。さっきみたいに、口で息を大きく吸って、そう、ゆっくり吐く」
　ふう〜と、息を吐き出した瞬間、遠藤氏の凶暴な先端部分が、ダークパープルの粘膜を押し込むようにして、グニュリとめり込んでいきました。
「もういちど。ほら、吸って、…吐く」
「はうう！」
　遠藤氏の腰が不意に、ぐっと沈められます。凶暴な怒張のカリの部分が、まだ私が入ったこともない妻の後孔に沈んでいました。
「よしよし、上手だ、これでいい。もう、これ以上太い部分はない。たった２回で受け入れられるって言うのは、なかなかあるモンじゃない。上手だよ」
「あう、恥ずかしい、あぁ、とうとう」
「そうだよ。奥さん、尻の孔にオトコを受け入れたんだ。どうだね」
　小刻みに動かしながら、遠藤氏は黒い怒張の大半を妻の中にいれてしまったのです。
　妻は、私の目の前で、尻孔の処女を夫ではない他のオトコに捧げてしまったのです。
「あう言わないで、恥ずかしい。なんだか、お腹が苦しくて」
「それだけかなあ。ほら、ここ、どう？感じるだろ」
「あぁ、聞かないでぇ、あふぅ、う、あううぅ」
「ダメダメ、ほらこっちも、どうだ、ウン、なかなか、締まりも良い」
「恥ずかしい、あう、あう、ヘンなの、あまり動かないで、あう、ヘンなのぉ」
「イヤイヤ、これは、奥さん。なかなかだよ。これなら、最初から逝けるかもしれないよ。初めてのアナルセックスで逝っちゃったら、もうやみつきになっちゃうだろうよ」
「だめぇ、こんなことぉ、だめぇ、あう、ヘンなの、あう、お願い、です、あう、あまり、お動きに、ならない、で…」
「どうしたの？痛いの？」
「違うの、あう、ああ、違うの、なんだか、身体が、どこかへ、飛んでいきそうで、ああ、お尻が、お尻が燃えちゃう、あう、ああ、あぁ、あう、だめぇ」
「ほら、もっと動かしちゃうよ。良いんだよ、感じて」
　握りしめた妻の手に突然力が入りました。妻の唇が切なそうに噛みしめられた後、開きました。
　てっきり、動かさないでと哀願するのだと思ったのですが違っていました。
「あぁ、お願い、します、あぁ、どうにかして、あう、もっと。もっと」
「もっと？もっと動いて欲しいの？奥さん、尻の孔で感じてるんだね？エッチになった？」
「あう、そうなの、エッチなんです、私。もっと動いて、あぁ、メチャメチャに、して、良いから、あぅ、あう、お願いします、ああ！もう、メチャメチャにして！」
　閉じる間もなく、淫声を吐き続けている妻の口から涎がツッと流れ落ちます。とっさに、それを拭おうとして妻の手を離しかけると、逆に、グッと妻の手が私の手を握りしめるのです。思わぬほどに強く握りしめられた、その力に、妻の感じている快感の強さを思い知らされます。
「あぁ、おう、あう、うおおおぅ」
　低い声が妻の口からあふれるように噴き出したかと思った瞬間、妻の背中が大きなブリッジを作ります。
「イク！」
　一声だけをかろうじて絞り出したのです。
　パクパクと口だけが何度も閉じては開き、閉じては開き、しかし、肺の中の空気は残っていない、そんな動きを瞬時に繰り返すと、ガクンといきなり妻の全身から力が抜けてしまったのです。　
　一瞬、妻の身体が、ぐったりと動かなくなりますが、遠藤氏は、それすら許しません。
「まだまだだよ。ほら、まだ逝けるだろ」
「うはあぅ、あう、もう、あふう、も、もう許して」
「許しても良いが、奥さんの身体は、もっと欲しがってる。そしてね、アナルのオーガズムは、もっともっと深くなるんだよ」
「ああ、そんなことをしたら溶けちゃう。おかしくて、あうぅ、ああ、ヘンなの。今、ちゃんと、逝ったのに。うぅ、あ、あ、あ」
「奥さん、素直になって。どうなの？言ってごらん」
「あう、恥ずかしい。今、逝ったばかりなのに、あう、身体が、あう、ヘンなの、ああ！また！来る！あう、あう、いやぁ、来るぅ！」
　涎まみれの顔を振り立てながら、妻がオーガズムの頂から降りられなくなったように、もはや、言葉も出ません。
　激しく、全身が引きつっているこの状態で、妻は息ができているのかすらわかりません。
　ただ一つだけの真実は、そうやって、全身がオーガズムの波に包まれ続けながら、私の手を握りしめている左手だけは、力が少しも抜けなかったのです。　　
「このまま、意識が飛ぶまでやっても良いが、今日は、記念日だ。ご主人にも参加してもらおうか」
「あう、きゃ、いや！」
　あっと思った瞬間、妻は抱きかかえられるようにして、身体が反転します。尻孔に入っている怒張を中心にして、クルリと一回転するかのように、体勢を入れ替えたのです。
　握っていた私の手は、いともあっさりと離れてしまいます。
　なんだか、無性に寂しさを覚えながら動きを見守ると、妻の両手と両脚は、ゆっくりとした動きでしたが、まるで遠藤氏の使用とすることがわかっているかのように、よどみなく動くのが不思議でした。
　まるで、遠藤氏の意志までもが、妻の胎内に注ぎ込まれているかのようでした。
　私のメラメラと煽られる嫉妬心などお構いなく、これ以上ないほど従順に、言われるがまま、両手をつっぱらせて頭を持ち上げ、四つんばいになり、尻をさらに高く持ち上げています。
「さあ、奥さん、旦那さんのを」
「あ、ぐ、ぐぅ、あう、ぐっ」
　腰をクイと動かして誘導すると、妻の身体はノロノロと動きますが、その間も、絶えず身体の中撫で何かが弾けているように、背中を反らせ、顎を引いてはのけ反り、ともすれば、両手から力が抜けガクリとなるのです。
「ほら、奥さん。前の孔に、ご主人を入れなきゃ」
　え？と驚いた時には、まるで、尻に入れた怒張がリモコンにでもなっているかのように、妻があっさりと私の膝の上に手を掛けます。
　その気配に押されたかのように、そのまま横になった私の上に妻はよちよちと乗ってきていました。もちろん、遠藤氏の怒張を尻に受け入れたままです。
　私の真上に、なんのためらいもなく、ただひたすらに、尻に入れた怒張の操り人形になっているかのような妻がいます。
　しかし、私自身も、さっきからのマゾ奴隷のような淫猥な姿の妻に、復活したばかりのはずの怒張が限界を迎えていたのです。見たこともないような妻の淫猥な姿を目の当たりにして、柔らかく濡れたあの場所に包まれたいという思いだけがあったのです。
「あぐぅ」
　妻が、上から私に抱きつくように、唇を重ねてきます。重ねながらも、妻の口からは、悲鳴とも、喘ぎに似た呼吸ともいえない声が、絶えず漏れていました。
「ほら、奥さん腰を、そうそのまま、入れて。違う、奥さんの手で入れるんだ」
　妻が、尻に遠藤氏を受け入れたまま、私のものに手を伸ばします。
　左手で首に抱きついたまま、右手で私のものを手探りにするのです。そのアイマスクの下の表情は、もはや、尻を支配するものだけ、いえ、妻の快楽を支配するものだけが全てであるかのようでした。　
『紀美…』
　私のものを掴んだ瞬間、確かに一瞬、首に巻き付いた腕がヒクリとしたのです。
　他のオトコを尻に受け入れながら、夫のものを受け入れようとする背徳が、妻を緊張させたのでしょうか。あるいは、２人の男を一度に入れるという「期待」が、身震いを呼んだのでしょうか。
　ねっとりとした妻の美肉は、ドロドロとしたものが満ちあふれながらも、ピッチリと柔らかな粘膜が締め付けてきます。
　その上、確かに、怒張の裏側、ちょうど、遠藤氏の入っている部分がうごめいているのが粘膜越しに伝わってくるのです。
　肉体的にも、そして精神的にも、今私の上にいる妻の美肉は、味わったことのない感触でした。
　私はとっさに、妻のアイマスクをはぎ取っていました。
　まぶしそうに目をしばたたかせたのもつかの間、妻は私の唇をむさぼるようにキスしてから叫びます。
「あう、あう、あぁ！もう、あなた、あうぅ、あぁ、あなた、ご、ごめんなさい」
「いいんだ、僕が望んだんだから」
「私、あう、こ、ん、な、に、あう、エッチで、信じられないけど、あう、あぁ、また」
　また、一波大きなオーガズムに襲われたのか、目を一瞬閉じて仰け反りますが、その震えも解けないうちに、また、むしゃぶりつくようなキスを浴びせます。
「ご、めん、あう、なさい、あう、でも、良いのぉ、あぁ、ごめんなさい、あう、身体がぁ、溶けて、あなた、お願い、ちょうだい、あなたのを、ください、あうぅ、あなたぁ、もう、うぅ」
　妻の肩越しに、遠藤氏の笑顔がありました。
　その柔らかな深い瞳が、妻にとどめを刺そうと言っていたのです。
「紀美、愛してる、紀美、スケベな紀美、愛してる！ほら、ほら、ほら！逝け！」
　不自由な体勢ながらも、下から妻を突き上げながら、妻の微乳の先端を両手でひねりあげます。
　さんざんに他の男達に弄り回された乳首は、赤く腫れ上がり、いつもの倍ほどに膨れあがっています。その膨れあがった乳首は、今までにないほどの快感をくみ出すボタンにもなっていたのです。
　私の首にしがみついた妻の身体が、何度もヒクンヒクンとけいれんするのが伝わってきます。　
　粘膜越しに、遠藤氏の怒張が激しく私の怒張とこすれ、それがまた、妻の美肉に快感を湧き起こすようでした。
　いつの間にか、遠藤氏の怒張と動きをリンクさせていました。妻を上と下とで同時に攻めながら、立ち上ってくる快感までもが、遠藤氏と私、そして妻までもが完全に結びついていた気がしました。
「紀美、紀美、愛してる、紀美ぃ、うっ」
「あ、な…　はぐぅっ…」
　遠藤氏が硬直しながら、妻の処女孔の奥に放出している姿が妻の細い肩越しに見えます。怒張の裏側で、何ものかが、ドクンドクンとうごめいた気がしました。
　私もまた、先端が妻の子宮の入り口に包み込まれながら、限りなく引き金を引き続けていました。
「ぐふぅう、うっくぅ」
　声にならない声をわずかに漏らしながら、前と後ろにオトコを受け入れながら妻の身体が、何度も痙攣します。
　それは、妻の真実のオーガズムだったのかもしれません。
　しがみついた指先が私の方に爪を食い込ませていました。閉じたままの妻のまぶたで睫毛がフルフルと震えます。
　長い、長い硬直の後、急に妻の身体から力が抜け、ぐったりと私の上で、のびてしまいました。
　満足げな表情を浮かべながら、妻の小さな顔が私の首もとに埋め込まれるような姿勢で、妻は意識を失っていました。
　そして、私自身も、これ以上ないほどの射精に、まだ、腰のあたりの感覚が戻ってきません。腰が抜けたように動けなくなっていました。
　ふと目を上げると、力なく伸びてしまった妻の肩越しに、遠藤氏の満足そうな瞳が、私に語りかけていました。
　おそらく、今日一日の爛れたようなセックスの終わりを迎えたのでしょう。
　しかし、この終わりの瞬間こそが、妻と私の、新しいページが始まった瞬間でもあったのです。
　　 〜ｆｉｎ〜