第３話 清美
　
　モデルと二人っきりになって仕事をすることなど、別に珍しくもありません。
　そんな時は頭のスイッチがどこかで切り替わっているので、モデルを「オンナ」として見たこともありません。
　そこにあるのは「美」の一つの表現に過ぎませんし、イマジネーションの原型が転がっているだけに過ぎないからです。
　そのスイッチが、私の中で壊れてしまったようです。
　恥ずかしげに立ちつくす清美さんの前で、私はオトコとして立っていました。
「今日は私しかいませんから、プロのモデルさんとしてお願いしますね」
「はい」
　言葉少なの清美さんは、この間よりは緊張していないような気がしましたが、目の中に別の光があったようにも感じられました。
「さっそく準備を」
　淡々と事務的な私の言葉に、清美さんは、持っていた鞄を抱えて、この間の納戸に向かおうとします。
「あ、今日は、普通のモデルさんと同じにするって言いましたよね」
「え？あ…　はい」
「こちらで脱いでください。美は出現するときから美でなければいけないんです」
「そ、そんな」
「モデルさんは、みなさん、そうなんですよ」　
　みなさん、という言葉を強調すると清美さんは下を向いてしまいます。
　もちろん、普通は目の前で脱ぐなんてことは、ありえません。しかし、この世界に疎い清美さんはそれを知るわけもないのです。
　救いを求めるような目で視線を送ってきますが、私は再び作業台の準備をするフリをして、無視します。
　つかの間、動かずに、いえ、動けずにいた清美さんも、私が顔を上げないので、仕方ないと思ったのでしょう。
　いかにも、ここで脱げといわんばかりに、中央にカゴを置いておきました。
　普段のイスは片付けてしまい、代わりに私の作業台をおいてあります。
　おそらく、清美さんを困惑させているのが、真ん中に置いてある、白いシーツを掛けた高さ五十センチほどの寝台でしょう。

　一見すれば、硬めのベッド。二人寝るには十分な広さですから、ラブホテルにあるようなものと同じに見えるかもしれないのですから。
　寝台と言っても、寝るためのものではありませんが、何も知らない人妻にとって、オトコと二人っきりで裸になるには、あまりに生々しすぎるものです。
　知らん顔をしたまま、作業台のあれこれを整えていると、ふうーっとため息が抜ける音が聞こえました。それは、清美さんの何かが切れる音だったのかもしれません。
　甘い香りが、衣ずれの音と一緒に漂ってきたので顔を上げました。
　学生のような白いブラウスを脱いで、チラリとこちらを見ます。
　私は努めて厳しい表情を浮かべて、それを見ていました。
　内心では人妻が羞恥の中を脱いでいく姿に、芸術家とはほど遠い、単なるいやらしい中年男の心境でしたが、端から見れば謹厳な芸術家の姿のはずです。
　ですから、目を合わせて、慌てて視線を落としたのは清美さんの方でした。
「大丈夫。待ってますからね」
　相手が待っていると言われて、本当にゆっくりする人はいません。もちろん、良く気の付く清美さんの動きは一気にスピードアップしました。
　スカートがストンと落ちます。
　脱いだ服を名残惜しむようにきちんとたたむその指先には、人妻らしい生活がにじみ出ています。普段は、この指先で、夫の服もたたんでいるのです。
　しかし、今は私だけのために、裸身をさらけ出そうとしているのです。
　さすがに、ブラを取るときは、あちらを向きましたが、私は咎めません。パンティーストッキングを降ろすのに、片足ずつ、抜こうとしている間に私は、つかつかと近寄ります。
　片足だけ脱いだまま、私の足音に清美さんが凍り付きます。
「どうしました」
「いえ」
　すぐ後ろに近づいた私の気配に、おどおどしながら、しゃがみ込んでしまいます。
「さあ、ちゃんと脱いで」
「は、はい」
　よろよろと立ち上がりながら脱ごうとしたのが悪かったのか、バランスを崩してよろめいてしまいます。
「きゃ」
「おっと」
　尻餅をつきかけた背中を支えると、手のひらに清美さんの柔らかい感触が伝わります。
「さ、こっちですよ」
「すみません」
　手をさしのべて立ち上がるときに、もはや、清美さんは、その豊かな乳房を隠そうとはしませんでした。
　至近距離の私の視線を感じていたはずなのに、いくぶん腰を引き気味にしたまま、素直に立ち上がったのです。
「じゃあ、脱いで、この上に上がって。寝そべってください」
「は…　はい」
　一瞬、ためらってから返事をします。チラリとこちらを伺いますが、私がじっと見つめているのを知って、真っ赤になりながら、最後の下着に手が伸びました。
『あれ？』
　妙な脱ぎ方でした。まるで、下着の内側を、いえ、身体をというより「布地の裏側」を見られるのを恐れるように、丸めながら脱いでいます。
　昨日はつけていなかった香水の香りが広がります。私の鼻腔が、ふんわり広がる香水に混じって、女性のあらわな匂いをとらえていました。
『濡れてるのか？』
　下着に付いた証拠を見られまいとして、妙な脱ぎ方をしたのでしょう。
　それは、清美さんが、まぎれもなくオンナとして興奮している証しでもありました。
　清美さんの興奮に気づいたことをおくびにも出さず、謹厳な芸術家の仮面をかぶったまま尋ねます。
「さてと、ところで、今日は確かめなくて良いですか」
　我ながら、下心見え見えでした。
「…あの、…多分。でも、ひょっとしたら」
　真っ赤な顔で答えながら、ハッと気づいたかのように腕を躰に巻き付けるようにして柔らかそうな裸身を隠します。
　この間「確かめる」とは名ばかりに、さんざんに弄ばれたことに気づいていないのでしょうか？清美さんは、はっきりと断りません。
　むしろ、つけいるスキがあるような答え方でした。
　ひょっとして清美さんもそれを望んでいるのかもと、都合よく考えてしまいます。
「じゃ、一応確かめましょう。今日は時間がありますから、その台に乗って、きちんとやりましょうね」
　一瞬、ビクッとした気がします。
　それでも、頬を赤らめながら、両手を身体に巻き付けるようにして隠したポーズで、素直にコクリと頷いたのです。
「すみません」
　時間がありますからと言えば、じっくりと弄ぶ口実ができたということです。それなのに、清美さんは、自分の身体を弄ぼうとするオトコに対して礼を言うのです。
　ぎこちない動作で、ベッドほどの高さの台に寝そべります。
　その間、一度も、目を合わせませんでした。
「はい、手を上にして」

　慎み深く、左手で胸を押さえ、右手を股間に当てるポーズで寝そべる清美さんの横に立つと、その左手をグッと持ち上げます。
　私の目の前に、清美さんの白い腋下が広げられます。
　すぐ横には、豊かで柔らかい乳房が、すこし外側に流れているのが見えます。
　まだ桜色の乳首が、いくぶん荒くなった呼吸をするごとにフルフルと震えます。
「じゃあ、確かめますね」
「お願いします」
　下心十分に、人妻の綺麗に手入れをされているワキを眺めるのに、お願いされるというのもヘンな気がしました。
『あれ？』
　綺麗です。いえ、綺麗すぎました。
「きれいになってますね」
「あの、昨日エステに」
　なるほど。確かにこれはプロの仕事でしょう。しかし、だとすると、なぜ、清美さんは、私の「確かめる」を断らなかったのでしょうか。
「さすがプロだ、今日は大丈夫そうですね」
　そう言いながら、綺麗になっている腋下の柔らかい肌に、スルスルと指先を走らせました。

　くすぐったくないギリギリ、微妙な力加減で撫でるのは、確かめると言うより愛撫に近い物でした。いえ、愛撫そのものだと言っても良いでしょう。
「あぁ」
　ため息ともつかないわずかな声が清美さんのルージュを引いた唇から漏れます。
　ツルツルした腋下を、そうやって撫で上げた何度目かだったでしょう。
「あ、いやっ」
　突然、手を降ろしてしまったのです。
「だめですよ。もうちょっと。頑張りましょうね」
　やさしく言葉を掛けながら、ぐっと腕を持ち上げると、その上から体重を掛けるように身体をもたせかけます。
　ついでに、反対の腕も持ち上げて、清美さんの頭の上で一緒に片腕で押さえてしまうと、もう清美さんは身動きができません。
　清美さんにのしかかるように反対の腋を覗き込みながら、左手を伸ばします。のしかかる格好ですから、肘の辺りが胸に触れるのは、ごく自然な動作です。
　もちろん、硬くなっている乳首に、わざとあたるようにしているのですが、清美さんはそれを拒否しません。
　それどころか、左手を動かしながら、乳首の先端がツツーっと腕にこするようにすると、あぁ、と声を抑えられなくなってしまいます。
　腕触れる乳首の感触が気になります。
「こっちは、良いみたいですね。次は胸、見ましょうか」
　言った次の瞬間には、たっぷりとした乳房を手の中に入れていました。
「あぁ、先生、だめ」
　ダメと言いながら、清美さんは避けるそぶりもしないまま、甘い声を立て続けに漏らします。豊かな胸を絞り上げるようにすると、乳首だけが尖りきっています。
「ああ！」
　絞り上げた先端をつんつんと人差し指でつつきます。
「あう、先生、それ、あう！」
　もはや、とっくに愛撫以外の何者でもありませんでした。清美さんだって、そんなことはわかっているはずでした。でもそれを許しているのです。
　目の前に、尖った乳首があります。この状態で吸わないのは男じゃありません。
「これ、吸ってもいいかなあ」
「あぁ、あう」
　甘い声を漏らしながら、首を横に振りますが、吸っちゃうよと顔を近づけても避けようともしません。
「あう、先生」
「いいね、おっぱい、エッチに尖ってるから吸っちゃうよ」
「いやあ」
　そう噴きこぼしながら、私にしがみついてきます。
「ああ！ああん、あう」
　しがみつく手にぐっと力を込めながら、目を閉じたままの清美さんは、すっかり感じてしまっていました。
　ペロペロと乳首を舌全体で転がすようにすると、逝ってしまいそうな、せっぱ詰まった様子で感じてくれます。
　私も夢中で、清美さんの胸を揉みながら、乳首を舐め、吸い、時に前歯を軽く当てます。
　突然、股間に柔らかな感触を感じました。
　清美さんの左手が、私の股間をまさぐるのです。
　人妻ゆえに、自分が感じてしまうと、無意識にオトコのモノを握りたくなるのでしょうか。それとも、夫婦のセックスでは、旦那さんへの「おかえし」をしつけられているのでしょうか。

　ズボン越しに私のモノを握りしめたのもつかの間、まどろっこしいとばかりに、ファスナーを巧みに降ろしてしまいました。
　さすがに人妻です。
　純朴そうな東北美人の清美さんの手が、まるで商売女のような器用さで、私のモノを取りだしたのです。
　ギンギンと巨大化しています。

　極限まで張りつめたものをやわやわと握りしめてくる感触は、甘い痛みにも似た快楽をもたらしました。
　お返しとばかりに、私も清美さんの秘所に手を伸ばします。まっていたとばかりに脚がすっと広がります。
　指先が秘裂をとらえます。ぬちゃっと音がして、指がぬかるみに埋まりました。
「ああん、いやぁ」
　その音に恥じらいを取り戻したのか、あるいは、秘唇をかき回されたせいなのか、私のモノから手を離し、再び、ひしとしがみついてきたのです。
　もはや、良いのかと聞くのもヤボです。
　相手は小娘ではなく、さんざんに性を知っている人妻なのです。
　裸のまま、相手にしがみつけば、その美肉にズブリと突き立てられることなど当たり前のことです。いえ、それを望んでいるからこそ、その柔らかな肉体をオトコにくっつけるのに違いないのです。
　勝手な理屈の前に、腕の中の柔らかな白い肉体が、全ての道徳心を痺れさせてしまったのです。
「むぐぅっ」
　唇を合わせると、私の舌を招き入れるように絡みついてきます。人妻の口中を蹂躙しながら、片手でもぎとるように、服を脱ぎ捨てていました。
「あぁ、先生」
　清美さんの手が背中に回されます。
　その手に誘われるように、柔らかな肉体に被さってしまいました。
　怒張が清美さんのぬかるみにくっついてしまうと、うぅ、っとうめくような声を出しながら腰を合わせてきます。
「あ、だめぇ」
　そう言いながらも、ごく自然な動きで私を迎え入れたのです。
「ああぅ」
　子供を産んだことのない、若い美肉は、ピッタリと私を締め付けます。
　はやる気持ちを抑えてゆっくりと抽送を続けると、あん、あん、という可愛らしい声が早くも漏れてきます。
　妻と違って、身体全体の軟らかい肉がクッションとなる心地よさです。
　手のひらからこぼれるほどの乳房は、弾力がたっぷりとあるクセに、力を入れるままにいくらでも形を変えます。おまけに、握りしめるごとに、甲高い声が漏れるのです。
　その柔らかい感触の中で、乳首だけが、ピンと硬くなっているのが手のひらの中にあたります。
「先生、あぁ、とっても」
　背中をかき抱くように両腕で抱きついてきますが、爪を立てないように気遣ってくれています。
「感じる？」
　耳元で問いかけると、あどけない表情のまま、驚くほどの素直さで、コクリと頷くのが、とてもいじらしく感じます。
『ご主人と比べてどう？』
　そう聞きたいのを我慢して、少し強い抽送を始めると、とたんにしがみつく手に力が入ってきます。
「ほら、どう、これ。ほら、ほら」
　しっとりと包み込まれたまま、柔らかな美肉の中で、角度を変えて、深く浅く抽送を続けると、たちまち、口を半分開けたまま、我を忘れた表情になってしまいました。
「あ、先生、あん、あうん、あん、来る、きちゃうぅ」
　体重を清美さんに預けて両手で、乳房を絞り上げるようにして乳首をいじめると、それが決め手になったのでしょう。
「あ、きちゃう、あうう」
　ヒクヒクと身体の奥からケイレンさせて、たちまち達してしまったのです。
　逝き方というのは、いろいろありますが、清美さんは、小刻みにオーガズムを感じて、最後に大きなオーガズムに達するタイプのようです。
　このタイプは逝った直後でも、次々と新たな快感をくみ出すことができます。
　だから、ハアハア喘いでいる清美さんの全身のケイレンが治まらないうちに、再び動き出すと「すごい」と言っただけで、また、あらたな快感に身を委ねてくるのです。
　さすが人妻です。
　もうこうなると、より大きな快感を得るために身体が自然に動き出すようでした。
　私を乗せたまま、ゆっくりと腰がグラインドを始めます。
「すごいね。いつもこうなるの？」
「いやん、先生のエッチ」
「ほら」
　腰をしゃくり上げるように動かすと、立て続けに、甲高い悲鳴のような声を上げます。ひょっとして、また軽く達したんでしょうか。
「ああん、違うの、違うのぉ。だって、最近、すっかり。あん、そのせいだもの」
「え、ひょっとして最近してないの」
　こくりと頷きながら、恥ずかしい、としがみつく手に力が入ります。
「いつからしてないの」
「あう、こっちに来てから、忙しいんだもの。東京は慣れないし、帰ってくるのも遅くて」
「そんなにしてないんだ。こっちに来る前も？」
「ちょっとだけ。その前は、新婚だったもの」
　恥ずかしそうに、私の首に顔を埋めるのを引きはがしてさらに尋ねました。
「どのくらい」
「ああん、もう、先生のエッチ。そんなこと聞かないで」
「大事なことだよ。でも、この身体、さんざん、旦那さんとエッチしてる気がするんだけど」
「そんなこと、わかるの？」
　恥ずかしそうにしながら、それでいて、素直に首をかしげる表情は、今まさに夫以外のオトコをくわえ込んでいる時のものとは思えません。
「そうだよ。週に二回はしてたんじゃない。金と土の夜とか」
　もちろん当てずっぽうです。しかし、どうやらズバリだったようです。
「ああん、先生、やっぱりエッチ。何で分かるの」
「ははは、ヒミツ。で、東京に出てきたらまったくか。そりゃ、激しくもなるよね」
「いや、いやぁ。言わないで。でも、久しぶりだから、とっても良くって、あぁクセになっちゃいそうよ、先生」
　そう言いながらも、清美さんの美肉が、うれしそうにヒクンヒクンと立て続けに締め付けてきます。
　どうやら、清美さんは、割り切って今の快感を楽しんでくれる気のようです。それなら、たっぷりと楽しんでやれと、こちらも思えます。
　毒を食わば皿までも、でした。

　そうなると、身体の間にはさまれた乳房の感触がとっても気持ちいいのですが、別の形もしてみたくなります。特に、この豊かな胸を思いっきり楽しむなら、清美さんに動いて貰った方が都合が良さそうです。
「じゃあ、思いっきり楽しもうね」
　清美さんの返事も聞かず、つながったままで身体を起こします。
　あぐらをかくようにして、その上に、清美さんを乗せると、私の膝に座ったままで向かい合う形になります。
　そのまま、コロリと仰向けになれば、騎乗位でした。
　これで、両手で清美さんの胸を楽しむことができます。
「さあ、好きなように動いてごらん」
「あぁ、こんなこと、主人とも」
「やったことないの？」
　恥ずかしそうにコクリと頷きます。そのくせ、すぐ動きを覚えて、次第、次第に腰の動きが大胆になってきます。
　ひょっとして、純朴そうな清美さんは、何かを経験しているような気がします。
「清美さん、ご主人以外とは」
「ああん、聞かないでぇ」
「知りたいなあ」
　腰の動きに合わせて、ゆさゆさと揺れる胸を手のひらで下から持ち上げるようにして、指先で乳首を捻り上げます。
「あぁ！それ！先生、あう、いいの」
「ほら、もっとよくしてあげるよ。だから、教えてよ、旦那さん以外に知ってるの」
「一度だけ」
「いつ」
「あぅ！ああ、くる、きちゃいそう！あ、あ、あ、うぅ、来るの、来ちゃいそうなの。お願い、先生、動いてぇ！あう」
「動いてあげるから、話すんだよ」
「あん、恥ずかしい、あう！あう！また、来るっ」
　私の上で背中をピンと弓なりに仰け反らせて、また達してしまったようでした。
　身体を立てているせいでしょう、清美さんの秘蜜がトロリと、二人が接している部分にこぼれてくる感触があります。
　もちろん、清美さんを休ませるテはありません。
　下から小刻みに腰を突き上げながら、片手をすき間にねじ込んでクリトリスをクチュリと弄ると、また、あらたな快感に清美さんは身をよじり出すのです。
「いつ？」
「あん、あの、絶対、ナイショですよ」
「もちろん」
　苦笑混じりに答えます。ナイショでなければ困るのはこっちもです。
「ああん、結婚前に。友達と独身最後ねって、遊びに行ったら、男の子も来てて」
「来て？知り合い？」
「あう、お願い動いて。オカシクなっちゃいそう。あぁ、友達のカレの友達らしくて、途中で友達が帰ってしまったの」
「一人だけ残されたんだ」
「いつもより、お酒を飲んでいたら、いつの間にか寝ちゃったみたいで。気がついたら、ホテルに」
「そこで犯されたんだ」
「あぁ、いやあ」
　それだけで、また軽く登りつめてしまったようです。
　強烈な締め付けで、私の暴発を誘ってきますが、かろうじて耐えられました。
「あれ、まてよ、それって、一人？友達って一人だけだったの？」
「あぁ、だめえ。聞かないで」
　清美さんの腰がゆっくりとうねるように動き始めます。
　イヤイヤをしながらも、美肉がヒクリと震えるのはなぜでしょうか。
　それほど、すごい体験を思い出したのでしょうか。
　そう言えば、さっきの答えが「ひとり」ではなく「一度」だったと思い当たります。
「何人」
「違うの、違うの。あぁ、一人よ」
「本当のことを言わないと、抜いちゃうけど」
「あぁん、うそ、そんないじわるは、お願い、言います、言いますからぁ、あぁ、本当は、三人で」
「全員としちゃったんだ」
「あぁ、いやあ。だって、気がついたら、裸にされてて。あう。ああ！お願い、う、動いてぇ」
「旦那さん、いや、その時はフィアンセか。フィアンセのよりも感じた？」
「ああん、だってぇ」
「感じたんだ」
　イヤイヤをしながら、そのくせ腰の動きが止められないようでした。
「だって、みんなに見られながらなんて。感じてる所を見られてると思ったら。あんなの初めてで」
「見られたら感じちゃったの」
「あぁ、恥ずかしい。あぁ、お願いです、あうぅ、もうお情けを、お情けを。お願い。上になって。普通のカタチで、お願ぃ」
　私の上で、自らの胸を抱きしめるような仕草をしながら、腰を必死になって動かして､ひどくじれったそうな表情でした。
「よし、じゃあ、行くぞ」
　つながったままで、清美さんの柔らかい身体に再びのしかかると、猛然と怒張を抜き差ししました。
「あぁ、先生、あう、もう、きちゃいそう。あう、お願い、先生、お情けを」
　おねだりの正体に、ひょっとしてと思いました。
「中に出して良いの？」
「あぁ、今、大丈夫な時だし」
「時だし？」
「あれが、中に広がると、すっごく気持ち良くなっちゃうから。奥で。ああん、もう、恥ずかしい」
「その時の三人にも出された？」
　もう、頂上が近いのでしょう。必死の表情のまま、首を横に振ります。
「彼に悪いって､一生懸命頼んだら、許してくれて。コンドームを。そのかわり一晩中だったから、あう！ああ、き、きちゃうから」
「旦那さん以外の精子は初めて？悪い奥さんだ。旦那さん以外の精子が欲しいんだね」
「あう、そうなのぉ。悪い奥さんなの、夫がいるのに。あぁ、出して､出して。思いっきり。あう！あ、あ、あ、く、来る、きちゃうから。ああん､お願い、お情けを、うう！」
　ヒクンヒクンと腰を突き出すように動かしながら、奥から強烈に締め付けてきます。
　柔らかな美肉に強烈に締め付けられる快感の中で、身体の奥にあるものを開放します。
「あう、来る、くる、あう！先生のが、あう！また！く、来るっ！あうう！」
　背徳の快感に身を任せながら、妻とは違う美肉の中に、信じられないほどたっぷりと注ぎ込んでいました。
　ふ〜うと、呼吸が落ち着いたとき、清美さんの上からどこうとすると、このまま、と抱きしめてくるのです。
清美さんの柔らかな身体に乗った感触は、心地よいものでした。
　まだ完全には力を失っていないモノを入れたまま清美さんの柔らかな身体に、ぐったりと体重を掛けてしまいます。
「重くない？」
「生まれ育った所は雪国だったから」
「雪国だと何か？」
「う〜んと、ね、厚くて重い布団に包まれるのが小さいときからスキだったの」
「へぇ」
「ヘンだと思うでしょ？でも、終わった後、男の人、って、ホントはだんな様だけだったんだけど、こうやっていると安心できるから」
　そう言って、キスをせがむ顔がひどく純情そうな顔です。夫以外のオトコのキスをねだる顔には、とても見えませんでした。
「こないだ…　先生。…エッチですよぉ」
「え？なんのこと」
「とぼけてもダメです。だって、すっごくエッチな顔だったもの。調べるなんて言って。一杯」
「一杯？」
「エッチなことするんだもの」
「でも、今日も清美さんは来たよ。自分から調べて欲しいって言ったね」
「いやん、そんなこと言ってないもの。ただ、」　
「ただ？」
「先生の目がいけないんですよ」
「どうして？」
「すっごく真剣で、そのくせ、すっごくエッチなんだもの。身体の奥の方まで見られちゃうような。先生の目を見てたら身体の奥が、なんだか熱くなっちゃったの」
　温かな手のひらで、私の背中をしきりに撫でます。
　さすがに、若い美肉です。ピッタリと私を包み込んでいるくせに、そのくせ、ツルンと私を吐き出したりせず、慈しむように溜めていてくれます。
一度出したとはいえ、その感触はひどく心地良いものでした。
「ホント、今日はモデルをするだけのつもりだったんですよ。信じてください」
「途中からおかしくなったの？」
「先生のお顔を見たら、この間の恥ずかしいこと思い出しちゃって。先生の目が、すっごくセクシーなんだもの」
「そうかなあ」
　私にはそのつもりが無くても、人妻である清美さんには、心の内のやましさが見えてしまうのかもしれません。
『これは油断してはいかんぞ』
　これから、あの二人の番が来るのですから、心してかからなくてはいけないと改めて思います。
「この間、感じちゃったね」
「ああん、もう、先生、それ、いいっこなしです。恥ずかしい。あん」
「今みたいに濡れてたよ」
「先生、お願い、許して。だって、あの時、先生ったら、胸、いっぱい触るんですもの」
「本当は、その前から濡れてたでしょ」
　どうやら図星だったようで、顔を赤らめてイヤイヤをしますが、そんなこと、と小さな声で抗議しただけで、私の肩に顔を埋めます。
「あれ、先生、どうしたんですか」
　実は話している間も、清美さんの美肉が、やわやわと刺激していたのです。
　その上、十歳近く離れた、この少女のような笑顔を持った人妻の胸の弾力を感じてしまって、再び欲情していました。
「こんなの数年ぶりだよ」
「ああん、先生、素敵、あう、また、すごい」
　軟らかい肉に包まれたまま、たまらずに、再び動き始めてしまいました。
「これからも、時々、モデル、頼めるかなあ」
「もう、先生ったら」
　可愛らしく首をかしげる仕草は、今まさにオトコを飲み込んでいるとは思えません。
「本当にモデルだけかしらぁ」
　ホンのちょっとだけ、背中に爪を立ててから、耳元に赤い唇を寄せてきます。
「彼が復活するまでですよ」
「もちろん。お互いに平和にね」
「あう、先生、また、すごくなって来ちゃった」
　うれしそうな清美さんの声を聞きながら、再び逞しくなった怒張を突き動かします。
「あん、先生っ、あう」
「もっと楽しもうね」
　うんと頷く清美さんの柔らかな身体に再び激しく腰を使います。
　清美さんの可愛らしい淫声を聞きながら、ふと、遠藤さんの顔が浮かんだのが不思議でした。