美佐枝は意を決して女体担保金融に向かった。幸枝と同じ恥かしい身体検査を受け、傷ついた心境で言われたのは幸枝と同じ内容だった。金を借りて日本に帰って他の派遣を探してやり直そうと考えて来た。だがこの国に残って熟女ソープかＳＭクラブで働かなければ融資は受けられない。
　身体検査の前に同意書を書く。白衣の女性係員に更衣室で全裸に成る様、脱いだ衣類は備え付けられている手提げ袋に入れ検査を回るよう指示される。何と検査会場を全裸で回らされるのである。
　手提げ袋は透明である。脱いだブラとパンティを小さくたたんで、スカートとブラウスの中に仕舞込む。
　白衣の女性係員に促されて、更衣室を出て最初の計測コーナーに入る。若い男性係員が二人待機している。二人の視線は全裸の美佐枝の乳房、土手の黒い塊、やや太目の太腿をチェックしている。美佐枝の顔は真紅である。
　立っている方の男性が物を扱うように美佐枝の身長を測り、体重計に載せる。もう一人が座ってパソコンに数字を入れて行く。バスト、ウエスト、ヒップを測り、片脚を揚げさせ太腿も付根を測る。女陰は丸見えである。
　男性は役得のように美佐枝の躰をべたべた触りながら各部を測って行く。女としての体系の凡てがパソコンに入力されてしまった。内股から膝までを測る時は性器に男性の手はベッタリ付いていた。
　次のコーナーでは産婦人科の診察台に載せられる。女性器は全開である。そこにも三人の男性係員がいる。男性係員の手で両手両脚が固定される。美佐枝は恥かしさで眩暈がしそうである。
　ノギスを持った男性が乳首の直系、高さ、乳輪の直径を測り、乳房の外周に線が引かれ、スキャナが撮影して行く。続いて女の一番恥かしい部分にノギスが当てられ、クリも剥き出しにされ、測られ、膣口も広げられ美佐枝の頭は真っ白である。男性の目はしっかり注がれている。
　さらに内診に使う開口器も膣に挿入され、奥までスキャナで捉えられ、膣周辺の色も凡て記録されて行く。あまりのことに美佐枝は目に涙をたたえ始めている。
　性病検査といわれ、尿道に綿棒を差し込まれる。
「うああああーーん」
　痛そうである。既に涙は頬をつたっている。病院の検査で痛みだけなら泣きはしないと思う。女性の恥心を丸裸にする審査に怒りと、情けなさと、恥かしさに痛さが加わってほぼパニック状態なのである。
　さらに心電図が着けられる。男性係員の指が内診のように美佐枝の膣に侵入してくる。恥かしさの極致のなか、真っ白な頭で受ける急激な刺激に美佐枝は耐えきれず上り詰めてしまう。
　さらに膣圧計の計測が行なわれる。感度も確認され、とことん女の性的プライバシーを、女の機能を、丸裸にし抜く検査である。
　次の部屋では乳がんの検査が行なわれ、医師らしい男性に乳首を摘ままれ乳房を揉まれる。
　最後に衣服を着け、受付担当者の前に座る。
「条件はＳＭクラブのパーティ要員。叉は熟女ソープに勤めていただく範囲の融資となります」
「日本に帰って毎月普通に返済は出来ませんか」
「年齢的に我が国では風俗の範囲が限定されます。さらに担保価値も年齢的にぎりぎりです長期ローンで返済不能になってからでは担保価値がなくなっています」
「熟女ソープですぐＳＥＸをしないと駄目ですか」
「熟女ソープよりＳＭパーティーをやって頂きたいのですよ」
「私ショーを見てまいしたので、あれはとても」
「熟女ソープは安いですよ。一人８０００円ですからね。でも成り手は多いんですよ」
「考えさせてください」
「カードだけ発行しておきましょうか、有効期限は３ヶ月ですが、ＳＭなら一年は有効です」
　女体担保金融を出て美佐枝はビルの共同トイレに飛び込む、悔し涙が溢れ出て止らない。
　日本に帰る一心でこんな恥かしい審査に耐えたのに結果は日本に帰れない。男性係員に好きなように一時間余りも躰全体を弄繰り回された。余りにも悔しい。
　一通り泣き収まるとビル群の連絡通りを歩きながら考えた。
　何と言うことだろう、日本に帰っても仕事はないと暗示されているようであった。このまま白い目で見られながら働くのか、それは耐えられない。風俗で見知らぬ人に裸を見られるほうがまだ耐えられる。
　クレジットカードを使っても直ぐ仕事がなければ間に合わない。ここで多岐江と同じ仕事をするか、熟女ソープか、きっとそこから抜けられなくなる。
　ディスカウントチケットを探してみたが、金権ショップそのものがこの国にはない。更に巽発の便にはエコノミー席が存在しない。乗る人がいないらしい。
　美佐枝はこの国の中で仕事を探そうと考えた。この国に男女雇用機会均等法はない。殆どの企業の職員が自国からの赴任なのである。販売員などは２５歳までの制限である。殆どクローン女性が就業している。風俗以外の女性の求人はない。その風俗も女体担保金融の身体検査をしたドクターの言い分通りだと思う。

　美佐枝は芳谷の訪問を受け入れなかった。そして工事現場の仕上クリーニングの仕事を見つけた。これならば寮に入れて一日一万五千円貰える。建物の仕上がりに内部を清掃して引き渡す業務である。
　男性ばかりの寮ですよ事故が合っても責任はもてませんと監督に言われた。他に選択肢は無かった。
　そして寮に入って二日目に男性６人に廻されてしまった。寮は仮説で１ＤＫの二階建て住居である。若い作業員らは一日目に美佐枝に目をつけていた。美佐枝がコンビニに夕食を買いに行き戻ってくるのを待伏せられた。
　美佐枝がドアのかぎの暗証番号を入力するのを待って身躰を押さえられた。自分の部屋に押し込まれ、６人がかりで全裸に剥かれた。泣き喚く美佐枝に一人づつ挿入する。一巡すると浣腸器を持ち出し、Ｍ字開脚に押さえられ、２０００ＣＣを流し込まれる。
　浴室に担ぎ込み、「出て、出てー」と泣き喚く美佐枝の両脚を広げ見ている前で排泄させられる。美佐枝は喚き泣きつづける。排泄後シャワーで身躰と浴槽を洗われ、担いでベットに投げられる。
　一人の男性が仰向けに寝て、美佐枝を担いで上から美佐枝の女陰を男根に差し込む。後ろからもう一人がアナルに挿入する、二穴挿入である。
「ぐおおおおおぁぁ」「がああああぁぁぁ」
　美佐枝は痛みで暴れ、喚き泣く。
　それでも彼らは自分たちは合意の上だと主張した。それでも美佐枝は訴えた。この国では女性の訴えだけでは犯人は逮捕されない。実名報道もされない。犯人たちも美佐枝も仕事に出た。現場は代えて貰えた。
　裁判は直ぐに行なわれた。６対１の遊びか強姦かが争点になる。判決は『強姦と決めるには冤罪に成らないと確定できる合理的説明が出来ない。依って疑わしきは罰せずの精神に準ずる』である。裁判長以下１９名の判事補が協議で決める。無罪の再審は無い。冤罪の場合のみ再審請求が出来る。遂に美佐枝は日本に帰るまでと言い聞かせ、熟女ソープに転職せざるを得なかった。
　そんなある日、客で来たのは芳谷通商の出向役員の一人だった。美佐枝はびっくりしたが断る自由は無い。
「高見舞は居なくなったよ。今艮宮の生門丑街のＳＭクラブで女王様をやっているよ」
「何故」
「よくはわからないが多額の借金を作ったらしいよ。突然止めて行ったよ」
「そうですか」
「芳谷社長はほっとしていた様子だが」
「そうですか」
　男は美佐枝の乳房で体を洗ってもらい、マットの上で美佐枝の中に出した。
「あの日ショーに出ていた多岐江さんて居たでしょう。きみがかばって喧嘩の元になった人。芳谷社長と結婚するんだよ」
「ええ、でも奥さんは」
「それも不思議なんだが、この国が嫌だって離婚して日本に帰ってしまった」
「はーそうなんですか」
「並木会長の紹介の、偉い占い師さんの言う通りに、多岐江さんの戸籍をある人の養女にしたらことですっと捗ってしまったのだ」
「そうなんですか、それは素晴らしいですね」
「きみも飛び出さないで芳谷の所に帰れば良かったのだよ」
「あんな事になったらとても帰れません」
「いいじゃないの。誰も冷やかさないよ」
「そういう問題じゃありません」
「こんなところで働くよりは、そんなにいい金に成らないって聞いたよ」
「いいえ、あの場では出来ません。これとは違うのです」
「どうして、もっと柔軟に考えなくちゃ。美佐枝ちゃんの歳でセクハラＯＫ秘書は雇ってもらえないけど、会社の受け入れがあれば通ってあの時の倍以上の給料が貰えたんだよ。俺たちだって少し願いが叶って美佐枝ちゃんのおっぱいに触れたし」
　何がどうなったか一瞬に美佐枝は切れてしまった。自殺用に持っていたナイフでその出向役員の肝臓を一突き。即死である。
　即刻逮捕され、刑は公開陵辱刑及び、無期懲役（終身女体奉仕刑過重）である。過重は前回の裁判を強姦でっち上げとして刑に加算された。過重分はＳＭパーティの生贄にされるのである。ＤＮＡ改造され今の若さを保つようになった。老化が始まったとき恩赦になる見込みである。

　クラブシャトーに国家保安部の名前で幸枝に指名が入った。それも五日連続である。礼子ママは喜んだが、幸枝は大きな不安を拭えなかった。だが久下少佐の名前すら幸枝は知らない。そして幸枝に選ぶ権利はまったくない。
　話は前後するが、並木会長の動きは早かった、多岐江はその日に引き取られ、極東金融は次のバンスの女を二人紹介してきた。礼子ママも多岐江は客に受けが良いが、二人入れてもらえば、ローテーションは良くなるので交換条件を受け入れた。芳谷にも義理を作れる。

　艮宮にあるファッションホテルの中である。そこはＳＭショーのできる大きな部屋もある。久下少佐はそこを借り切った。仲間は２０人集めた。みな女を虐めるのは好きである。
　幸枝は黒田が他のパーティに付き添ったので礼子ママがついて来た。軽く飲み物が用意され質素なパーティである。道具は総て部屋に揃っている。一部大きな桶と巨大な氷の塊を持ち込んだだけである。礼子ママは幸枝を引き渡すと引き上げてしまった。
　久下少佐が幸枝に挨拶をする。
「我々はこの国の御役所的立場の人間ばかりだ。全員階級は少佐だ。と言っても二名ほどを除いては軍人ではない。警察や裁判所、住民役所、企業管理部、空港管理部などに配属されています。幸枝さんには今日から五日間私たちの御遊びの相手をしていただきます」
「なぜ私を指名されたのですか」
「野洲課長を覚えておられますね」
「えー」
「でも驚かないで下さい。野洲課長を想定したゲームをしようというだけです。これから貴方の裁判ゲームを行ないます。でもあくまで遊びです。もちろんＳＭの刑罰が下りますが、あくまでシャトーのルールの範囲です。それも一本鞭で性器を叩いたりまでの酷いプレイは致しません。一本鞭も使いません。でも屈辱的な表現や痕の残らない範囲の痛みは耐えて頂きます」
「私に復讐をするのですか」
「あーいやいや、遊びです。あくまで我々の余興です」
「あのーおねえさん、野洲課長の為に復讐しようなんて者は一人も居らんから」
　南條少佐が口をはさむ。
「では被告人を裸にして被告席に」
「脱ぐんですか」
「いや我々がみんなで脱がすんです」
「えー」
　何人もの男性に躰を押さえられ、背中のファスナーを下げられ、ワンピースを剥かれる。ブラジャーをじりじりと剥がす。小振りのおっぱいが露出する。パンティも丸めてじわじわ降ろす。何人もの顔が股間の高さにある。全裸の幸枝を座らせる被告席は開帳台である。
　裁判長役、検察官役、弁護人役、そして幸枝の彼氏役である。
「幸枝さん、その男は貴方の彼氏役の被告人です。貴方の手で裸にして下さい」
「エー私が脱がすの」
「それも御仕事です」
「はーい」
　太ってはいないが体格の良い男である。
　脱がした男を平らな診察台に寝かせる。
「幸枝さんこのＭを犯してください。ＳＥＸも仕事です。上に乗ってこいつの性汁を抜き取って下さい」
　幸枝は上に跨る。デブではないが体格はいい。膝を折ってしゃがむと太腿の肉が強調される。怒張したＭ男の一物に腰を被せる。動かしてやると気持ち良さそうである。
「ビンタもしてやって下さい」
「えー、私が叩くのですか」
「Ｍ男なのです。それもＳＭの仕事でしょう」
「はい」
　自分もされると思うと怖い。躊躇してしまう。力が入っているようで控えめに叩く。
「もっと強く」
　容赦なく叩く。
「立て続けに」
　とにかく叩きつづける。
「有難う御座います」
　Ｍ男は礼を言っている。
　Ｍ男の手は太腿に、何人かの手は乳房を後ろから掴んでいる。やがてＭ男は幸枝の中に性汁を発射する。Ｍ男から幸枝が離れると何人かで幸枝の膣を掃除する。そしてなんとマスタードを取り出す。
「ああーんそれは」
　幸枝は愛玩する顔になる。
「なんですか、これはシャトーのお決まりのプレーでしょう」
　久下少佐はあたり前の様に言う。
「駄目です、幸枝さんが痒みに苦しむ顔をみんな期待しています」
　南條少佐である。
「あああーあ」
　遂に指先で究極の個所にピンポイントで塗られてしまった。
「さて裁判を始めましょう。幸枝さんは被告人席に」
　幸枝は開帳台に、Ｍ男は横の床に座らされる。
「被告人代理の植松少佐は心残りが無いように幸枝さんの局部を舐めておくように、もうじき痒くなってくるから慰めてあげなさい」
　検察官と判事は現役である。ただこの国の裁判は裁判長の他に１９人の判事補が就く。この場合は一人だけなので残った１５人がその代わりに裁判長の後ろに並ぶ。久下少佐が弁護人代行である。後二人が看守の役であり、軍人があたっている。
　Ｍ男は遠慮なく舐めまくる。だが究極の個所には舌は届かない。気持ちがよいのと痒いのがバランスしてなんとも言えない。
　幸枝が苦しみながらおふざけの裁判は終了した。
　幸枝は公開陵辱刑である。
　彼氏の代行Ｍ男は絞首刑となった。椅子に乗せて、天井から吊ったフックに掛けた縄にくびを吊るす。二人の看守が椅子を取る。まさに首吊り状態である。２分でみんなで下から持ち上げ、縄を外し、床に寝かせる。時間は測っていたが動かない。
「幸枝さん人工呼吸してください」
「はい」
　幸枝は青くなってうろたえながら人工呼吸をする。だが蘇生しない。焦り皆の方を見回す。皆静かに見ている。
「駄目です。どうしましょう」
　誰かが簡単な電気ショックを与える、なんと直ぐ蘇生した。
「どうだ気持ちよかったか」
　Ｍ男は黙って指でもう一回を意思表示する。
「駄目だ。一回に一回だけの約束だ。足りなきゃ自費でＳＭクラブの女王にやってもらえ」
　何とＭ男のいつもの常習なのである。
「えーうそー、私びっくりしたあ、酷い」
　次は公開陵辱刑である。
　まず女性自身を自分の指で広げさせられる。皆で写真を撮っている。自分でモロ出しを拡張した写真を撮られるのは本当に辛い。
「さあ、次は剃毛、浣腸だ」
「えー、これ何とかしてください。痒くて堪りません」
「Ｍ男さぼってないで舐めてやれ。あんなにたくさん女の手でビンタしてもらったんだろ」
「あのあれでは届かないんですが」
「ははは、それがいいんだよ」
　開帳台に固定されイチジク浣腸が注入される。アナルと膣の両方に栓をする。電マで交互に両方の栓に振動を与える。幸枝は苦しみと痒みにあぶら汗である。振動と浣腸の苦しみと痒みのバランスが幸枝に唸り声を上げさせる。
「そろそろ抜いてほしいか」
「お・・お願い・し・ま・す」
　もう恥も外聞も無い不様な醜態である。
　手の縄を解く。
「さあ、自分でアナル栓を抜いてください」
「えー」
　痒みに耐えかねて、膣の腺を動かしながら、アナルの栓を抜こうとする。膣の栓は動くがアナルの栓は抜けない。もう気が狂いそうな状況である。
「ああ・・ああ」
　仕方なしに南條少佐が抜いてやる。膣の栓を両手で握ったままだらしなく水まみれの弁を垂れ流す。Ｍ男に拭かせ、南條少佐はスタンガンを持ち出す。先がガラスの筒状になっている。
　おっぱいにあてる。
「ぎゃあん」
　台の上で幸枝が飛びのく。
　膣の栓を抜く。スタンガンをバイブレーターの様に膣に挿入する。
「ああ、ああ・ああ・ああああーあーあーあわあわあわ」
　開帳台の上で腰を浮かして廻して抵抗する。
「どうですか、痒みには」
「怖い、ああ・・嫌、嫌」
　既に幸枝は泣いている。
「そろそろ膣を洗え」
　ドクターの指示である。
　セペで弄りながら幸枝の膣を洗う。
　次は上体を後ろ手に縛り、両方の膝を縛りフックを付け、クレーンに引っ掛け、逆さ吊りにゆっくり持ち上げる。
「あれ蝋燭は」
　南條少佐が予定を確認する。
「カットだ時間が足りないし、かなり消耗している」
　氷の塊に載せて蝋燭の刑が予定されていたのである。
　逆さ吊りになったところで全員平手打ちである。
「ああーん」「ああーん」
　５．６人叩かれてもう泣いている。考えてみれば鞭打ちより屈辱的な光景である。
　続いて汚物の入った桶が運ばれる。本日のメインディシュである。幸枝を逆さ吊りにしたクレーンは汚物桶の上で止まる。横に水槽もある。この部分の床は大型バスタブを中心にタイル造りに成っている。
「いやああああああああ」
　汚物の手前で止る。
「あああ」
　いったん上がる。
　また下がる。
「いやいやああああああああああ」
　髪の毛がつく。
　もう一度上がる。
　下げる。
「あああああ・・・・・・・・」
　乳首までしっかり浸かる。
　１０秒２０秒３０秒、引き上げる。汚物水を髪の毛から垂れ流している。
「・・・・・・・・・・・・・」
　水槽に降ろす。
「・・・・・・・・・・・・・・」
　浸ける。上げる、もう一度浸ける、ほぼ綺麗に出てくる。
　クレーンをゆっくり降ろして床に寝かせる。目と口をきつく閉じて振るえている。
　更に三人づつ並んで小便を掛ける。
　目を強く閉じ、口もきつく閉じ、眉間に二重の皺を作って耐えている。
　全員終わった後Ｍ男がホースで洗う。縄を解き様子を見る。
「幸枝さん。今日はこれで終了だから、バスを使ってください」
　だが震えたまま動かない。
　暫くして立とうとするが動けない。もう体力が無いのだ。
　久下少佐らはストレッチャーを運びこみ、幸枝にバスロープを羽織らせ、上からカバーを掛けて運び出す。幸枝の要求でクラブに電話を掛けるが迎えに来られない。幸枝は自分の部屋に運ばれるのを拒否したので別のルームに運ぶ。ベットに寝かせて幸枝の荷物を置いて彼らは引き上げる。
　幸枝は死んだように眠った。翌朝１０時に目がさめた。一瞬にして昨日の恐怖が蘇る。汚物に浸けられた絶望的な感触、ビンタは精神的に効く。
　多岐江さんが言っていた。男性に平手打ちされるのは痛いだけと思えるようになりました。でも高見舞の平手打ちは辛かった。でも自分には男性が耐えられない。鞭の方がましかも知れない。
　確かに究極の一本鞭は使わなかった。最初は柔らかい雰囲気だった。つい気が緩んで甘えた言い方さえした。だが恐ろしい計画が裏に練られている気さえする。最後は紳士的に和気あいあいとやっているが、やんわりと酷い事を強制しそうである。
　本人の趣味とはいえ植松少佐の絞首刑は肝を潰した。人工呼吸をさせたところなど自分への威嚇としか思えない。
　最後は紳士的に此処に運んでくれた。自分の部屋まで運ぼうとしたが拒否したので此処にしてくれた。３時までの部屋代も払ってもらっている。だが何故か川越の農場のパーティで豪華ロームに泊められ丁寧に送られたがその裏にある残酷さと同じイメージがする。あと４回、鉛のような重みがのしかかって来る気がする。
　おふざけの裁判といえども弁護人役の久下少佐は自分の辛さを余りにも代言していた。
　・・・・被告幸枝は女としてのお値段に格差をつけられました。野洲課長のやり方は管理者の範囲を逸脱した行為といえます。
　確かに最初の提示額は２５万でした。ある女性に４０万まで提示しあの辛い被疑役をやらせました。一人を高額に提示してあとは見直さない、辛い仕事かつ同じところでの賃金格差は身にしみます。そして故意とも言える達成額を満たさせないローテーションと回りくどい苛めは殺人の動機として・・・・・・・・・・・・・・・・・・
　そして判決で彼氏は死刑。自分は公開陵辱刑、終身女体奉仕刑である。この刑は無期懲役の何倍も重い。そしてこれからの幸枝の将来を物語っている気さえする。多岐江ならばこの状況を柳のように切り抜けられるのかも知れない。でも自分の性格では出来ない気がする。