第１０章　ペナルティ　〜目覚め〜

　入ってきたのは、若い男でした。おそらく、大学生ぐらいでしょうか。
　妻は、扉が開く音に敏感に反応しました。
　何とかして、オヤジの膝から降りようとします。もちろん、オヤジは、片手で身体を押さえて逃がしません。
　逃げられないとわかると、妻は、オヤジの膝の上で懸命に身を縮めようとするしかありませんでした。
　驚いたのは、入ってきた男も同じでしょう。おそらく、たまたま入ったであろう「趣味の店」に、裸のオンナがいて、よがっていたのですから。
「すみません」
　あわてて、そう謝りながら、逃げてるように出て行くのもあたりまえかもしれません。
　むしろ当然の反応だったでしょう。
　妻にとっては、それが幸運とは言えるでしょう。なんと言っても、世間ずれした男なら、こんな美味しい場面で黙って出て行くはずもありません。
　ただ、だからといって「他の客」に、今の姿を見られたのはショックだったに違いありません。
　誰とも知らない他人に、それも、妻自身が見ることもできなかった相手に、これ以上ないくらい、いやらしい姿を見られてしまったのです。
　そのショックからでしょうか。妻は、不自由な身体を折り曲げて、膝から落ちるようにして、丸まってしまいました。
　オヤジにとっても計算外だったのでしょう。
　妻がいなくなった股間には、長大なものが、およそ年齢に似つかわしくない角度で屹立しているのが見えます。
「どうしたんですか、奥さん？」
　白々しく言いながら、妻のお尻を撫で回しますが、妻は、いや、いやあ、と泣くような声を出すばかりです。
　あるいは、アイマスクの下で本当に泣いていたかも知れません。
　オヤジはとうとうしびれを切らしたのでしょう。
　よいしょっと、妻をそのままの体勢で持ち上げると、イスの上に乗せます。
　イスに横向きに上半身を乗せても、下半身は、乗り切らず、やがて、足はゆっくりと床に落ちることになります。
　上体だけイスに寝そべるようにもたせかけ、お尻を突き出す形になってしまったのです。不思議なことに、オヤジの手で、腰の位置を決められると、妻のお尻は、そのまま高くかかげられた形で止まってしまいました。
　くなくなと顔を振りたてるものの、凍り付いたように、姿勢を崩そうとはしなかったのです。
　肩幅ほどに広げた膝をついて、仰け反るように尻を突き出していました。その姿勢は、後ろから見ると、お尻どころか、女性自身を差し出したような姿勢です。
　脚を広げて前から見るよりも、はっきりと女性自身の中が見えていました。
　妻は、見も知らぬオヤジに、女体の全てを差し出した姿勢をとったまま、その姿勢を崩しませんでした。
　二の腕を背中の方に拘束されているため、自然と、妻の両手は背中の上になります。握りしめた手のひらが、妻の衝撃を物語っているようです。背中がしゃくり上げるように、ひく、ひくっと動いているのは、アイマスクの下で泣いていることを物語っていました。
　しかし、妻の崩れそうな風情とはうらはらに、オヤジの勢いは止まりませんでした。素人の、それも、二十代の清楚な人妻をいたぶれるのです。
　夢中になるのも当然かもしれません。
　夢中になると言うことは、当然「仕事」を忘れる可能性が高くなるということ。それは、私と約束した「本番無し」の約束を守らなくなる可能性もまた、高くなるということです。
　しかし、その危険を冒してでも、このまま黙って見ている方を選んでしまいました。
　妻が汚されていく屈辱感と、私以外のオトコにこれだけ感じてしまっている嫉妬、そして、なぜだか私をとらえている、全身が震えるほどの興奮が、金縛りにしていたのです。
　文字通り、ゴクリと、出てもいない生唾を飲み込んで、突き出された白い尻を眺めていました。染み一つない丸い尻。
　夫の私が言うのも、なんですが、男なら誰でも撫でまわしてみたい、そんな柔らかさと硬質の弾力性を感じさせる尻です。
　クリンと丸い双球の狭間には、わずかに、谷間と茂みが見えていました。
　オヤジは、おもむろに妻の尻に、先ほどのジェルを垂らしたのです。
　妻は、ビクッとなりましたが、それ以上の反応はしません。イヤとも言わず、逃げもしないのです。
　しかし、ピンクのジェルが尻の谷間を伝って、おそらく、濡れそぼっている秘唇に達したのでしょう。その瞬間、ひくんっと尻たぼをすぼめる動きを見せます。
「奥さん、やっぱり、定番はディルドとローターですよね。どっちが良いですか。ま、最近のディルドは、電動ばっかだから、バイブっていうんですけどね」
　嫌らしさが前面に出た声で喋りながら、ウズラの卵のようなピンク色の物体を妻の尻の谷間に沿って動かします。
「いや！いやあぁ、なんなの？これ！いやぁ、いやです、これ。取って、取ってぇ」
　泣き声に近い声を上げながら、妻はくなくなと尻を左右に動かしますが、オヤジは太い指で器用に摘んだものを、意外に慎重な手つきで動かすことをやめません。
　本当に嫌なら、妻は逃げ出すこともできたはずです。
　それなのに、尻を差し出す姿勢は、決して大きく崩れようとはしませんでした。
　逆に、まるで、もっともっととおねだりするかのごとく、クナクナと尻を振っているだけなのです。
　蜂の羽音のような振動音が低くこもるたびに、妻の、あんという声が聞こえてくるのは、きっと、秘唇の中に埋め込まれるように動かされているためでしょう。
　いやぁという妻の声が聞こえ、背中の手が、静かに握ったり、開いたりし始めます。おそらく、妻の内心の衝撃とは別に、身体が勝手に快感をむさぼり始めているのでしょう。
　オヤジは突然こちらを振り向きます。そして、傍らのショーケースにあるバイブをあごで指すのです。
「ほら、これがローターですよ。次はバイブを味わってみましょうね」
　私はオヤジの言葉があたかも命令であるかのように、ふらふらと、その中の一つを手に取りました。
　手に取ったのは、ごくありふれた大きさのものですが、どこか、まがまがしい雰囲気を持っているように見えました。
　今までは、話を聞くことすら妻が嫌ったため、使ったこともありません、私も、このようなものを実際に手に取るのは初めてでした。
　もちろん、妻もこれから初めて体験することにのです。
　震える手で箱から出す間にも、妻が後ろからオヤジにローターで責められ、可愛らしいあえぎ声を上げています。
　そう、妻の声は、しっとりしたものから、今度は、あん、あんという、短い、どこか子犬の鳴き声に似たものになっていたのです。
　その声は、モーターの力で強制的に送る込まれる快感に、妻が負けそうに、いえ、既に快感に支配されてしまっていることを意味していました。
　そっと、妻の後ろに近寄ります。
　すでに、妻の秘所の外側は開ききり、ローターをヌルヌルに浸していました。
　のぞき込む私を見て、オヤジは、よろしく、と言いたげに場所を譲ります。
　私が右手に持ったバイブは、ピンク色で軟らかなゴムのようなものでできています。ホンモノを擬して、先端部には段差まで付いています。
　私は、その一番太くなっている部分まで、ゆっくりと入り口付近にこすりつけます。
　腰が逃げるのかと思いましたが、意外にも、グッとわずかに突き出すように尻に力が込められました。
　柔らかくも、ぬめった手応えが、妻の淫靡な感覚を物語っているようです。
「あん、つ、つめたい、何これ、ぃ、いや、いや、お願い、やめて」
　拒否と、許しを乞いながらも、尻がクナクナと動いてしまいます。
　腰をわずかに引こうとしますが、姿勢を崩してまで逃げようとはしませんでした。そして、浅く潜り込むたびに、ああっと、先ほどとは違った、湿った、なまめかしい声に変わってきます。
「奥さん、ほら、これ入れて欲しいんでしょ、気持ちいいモンねぇ」
　妻の頭の側に回ったオヤジは、そう妻に語りかけるように声をかけますが、妻は、いやあ、とどこか甘えたような拒否の声を出して、顔を振るだけです。
「じゃあ、ちょっと、入れてみましょうか、ほら、半分くらい入れちゃいますよ」
　オヤジは、妻の方を向いていましたが、それは私に対する指示でした。
「ほら、ほら、入っちゃいますよ。バイブ」
　私は、そろそろと、妻の中に入れていきます。
　入り口のすぐの所で、わずかな抵抗感がありました。しかし、先端部の丸い段差を飲み込むと、あとは、ツルッと言う感じで半ばまで、あっさりと埋まってしまいます。
「ああ、やめてぇ、ああん」
「ほら、奥さん、あんまり声を出すと、ご主人、見に来ちゃいますよ、いいんですか？こんなとこ見られて」
「ああ、だめなのぉ、あぁ、もう、もう、やめてください」
「ほ〜ら、出し入れしちゃいますよ」
　私は、妻の柔らかな肉の中で、ゆっくりと動かし始めました。しかし、何となくためらわれて、入れるときも、最初に埋まったあたりまでしか入れませんでした。
　バイブを半ばまで飲み込み、そして、ゆっくりと引き出されてくる妻の秘腔の中の肉は、ぬめぬめとした、イソギンチャクを連想させる光景でした。
「ああ、もう、もう、ヘンに、なる、から、あん、やめてぇ」
「ほら、これ、口に入れましょうね、ほら、あーんして」
　そう言いながら、なんとオヤジは、硬くなった怒張を妻の唇に押しつけるではありませんか。
　いくら見えないとは言え、人妻です。自分の唇に押しつけられているものが何なのか、わかるはずです。
　いやいやをしながら逃げようとします。
　しかし、やはり姿勢を崩してまで逃げようとはしません。まるで、バイブが妻をイスに縫いつけてでもいるかのように、妻は動かないのです。
　何をしてるんだ、早く逃げないと。こんなオヤジのものをしゃぶるのか。
　私は、自分から望んで、妻をここに連れてきたことも忘れていました。
　嫌がっては見せるものの、本気で逃げようとしない妻にいつのまにか、私自身が本気で腹を立てていました。
　これこそ、嫉妬かもしれません。自分でも矛盾しているとは思うのです。
　私が望んだ状態だとはいえ、見ず知らずのオヤジのものを口に押しつけられて、それでも、逃げようとしません。そんな妻を見て、さっきあれほど大きかった怒張がいつの間にか縮こまってしまっていることに気づきました。
　私は、妻に「それはいや」と言って逃げることを期待したのです。一方で、妻が、このオヤジの怒張を飲み込んでいく淫らな姿を見たいというのも本心なのです。
　いやいやと顔を振る妻の唇には、オヤジが怒張を押しつけたままです。
　嫌がっているのに、その姿は、まるで、唇をこすりつけているように見えました。オヤジの怒張からは、早くも先端から透明な粘液が出て、妻の唇がテラテラと光っています。
　オヤジに押さえられた妻の頭は、今や逃げようもなく、ぬらぬらと唇で奉仕しているのも同然です。
「ほら、じゃあ、スイッチを入れますよ」
　再び、私の方を見ます。
　私は、オヤジが怒張を押しつけるシーンに見とれて、思わず手を止めていたときでした。ドキリとして、あわててスイッチを探します。
　手元のスイッチを探し当て、手に振動が伝わって来た時に聞こえたのは、くぐもった妻の声でした。
「むぐうぅ、ん、むぅん、んんん」
　妻のくぐもった声が響きます。
　驚きました。私がスイッチを探したほんのわずかな間に、妻の口には、オヤジの怒張が入り込んでいたのです。
「ほら、いいですよ。もっと舌を動かして」
　ほら、ほらと言いながら、動けない妻の口に抜き差しを繰り返します。　　
　私は手を動かすのも忘れて、ひと時、怒張をくわえた妻の口元を見つめてしまいました。
　妻が目一杯口を広げて男のモノに歯があたらないようにしているのがわかります。
いくらなんでも、と思いました。私に対してすら、得意でないフェラを、今日初めて会った、こんなオヤジにさせられるのです。
　妻が嫌悪感を感じているのかと思いました。
　しかし、心の奥底はわかりませんが、すくなくとも、していることは、嫌悪感を感じているとはとても思えないことでした。
　もはや、口の奥までオトコを受け入れてしまっているのです。
　オヤジの長いものは、半ばまで入れた状態で喉の奥に突き当たってしまうようで、オヤジが突き入れると、ぐえぇという声とも付かないうめきが妻の喉から漏れます。
　それでも、健気に、歯をあてないように口をあけ、自ら頭を動かして、オヤジの長いものを唇と、そして、多分舌を絡めて、こすりたてているのが見て取れました。
　不自由な身体を、目一杯動かして、オヤジに奉仕しているのです。
　なぜか、妻が奪われてしまったような屈折した思いが、私の胸をいっぱいにしました。
　それは、取り残されている思いでした。
　そこで、この瞬間の、唯一の妻との「つながり」である、手中のバイブを美肉に強くこすりつけるように動かしたのです。
　さっきまでのためらいは、今の私にはありませんでした。あるのは、オヤジに奉仕している妻に、精一杯つながりたいという欲望だけでした。
　妻に対する歪んだ征服欲なのかもしれません。
　ヴィーンというモーター音が、妻の体内に飲み込まれるとブーンという低い音に変わり、また、抜き出すにつれて、その音が高くなります。
　その度に、妻は、オヤジのものに塞がれた口の隙間から、ため息のようなくぐもった淫らな声を噴きこぼすのです。その瞬間だけ、妻を取り戻しているような気がして、深く、浅く、小刻みに、そして大きくえぐり込むように、動かし続けました。
　不自由な体勢のまま、妻の尻がゆっくりと上下に動きます。
　それは、後ろから、このオヤジのものに貫かれている姿そのものでした。
『このオヤジので、やられたがってるのか？』
　もちろん、妻の口は、オヤジのものをねっとりとしゃぶったままです。
　いえ、さっきより、こころなしか、妻自身の首の動かし方が大きく、速くなっているような気がします。
　その姿を見て、いっそう手を速く動かします。バイブを通じて、妻のオンナの中身が、ヒクヒクとくわえ込むような動きをしているのが手に取るようにわかります。
　突然、妻が大きくのけぞりました。その瞬間、オヤジのものを口から吐き出すようにして、大きな声を上げたのです。
「ああ、だめ、ああ、いく、いく、いっちゃう、だめぇ！！い、くぅ〜」
　バイブは、妻の体内で低い音を上げています。その瞬間、妻の秘腔がヒクンヒクンと奥に飲み込むようなケイレンをして締め付けたのが、ハッキリ伝わってきたのです。
　茫然としたまま、バイブを入れたまま硬直している私の目を見て、オヤジはニヤリとすると、手を伸ばしてきました。
　私はバイブをオヤジに譲ったのです。
　そして、オヤジは私に隠れろと合図をします。
「奥さん、どうでしたかぁ、昇天しちゃいましたねぇ、気持ちよかったでしょう」
　そう言いながら、親父の手が尻のあたりで動いているのが見えました。
　おそらくバイブを持つ手を動かしたのでしょう。
「ああ、もういやあ」
　妻の拒否する声が、どこか甘えた物言いなのに驚きました。男を咥え、自らの恥ずかしい肉の中から快感を絞り出されたことで、妻がこのオヤジに馴染んでしまった気がしたのです。
　妻は、この破廉恥な行為を強制した相手に甘えているのでしょうか。
「さ、約束通り、奥さんの方が先に逝っちゃったから、私のちん○んを、奥さんの中に入れさせてもらいますよ」
「あっ！いやあ！」
　元の場所に隠れた私がカーテンの隙間から見ると、オヤジが湯気が立つようなバイブをアイマスクをつけたままの妻の目の前にかざしているところでした。
　気配がわかるのか、わずかに妻の顔が逃げています。
「それだけは、お願い、それだけは、許して」
　逝ってしまった直後だからでしょうか。震える妻の声は、弱々しいものでした。
　オヤジが言った「約束」など、私はしりません。ひょっとして、私からの「命令」と言って、妻に吹き込んだものでしょうか。
　そう言えば、と私は思い出しました。
　さっき、オヤジに後ろから胸を揉まれながら、オヤジに何かを囁かれて、突然、大人しくなったシーンが確かにあったのです。そして、懸命に不自由な手でオヤジの怒張を扱いていたことがありました。
　オヤジの言葉からすると、自分が行く前に妻が逝ってしまったら、妻の美肉に挿入することになっているとでも吹き込んだのでしょう。
　とすると、妻は不自由な手で、何とかしてオヤジを早く逝かせてしまおうとしていたのでしょうか。
　だとすると、妻にとって、バイブを抜かれると言うことは、バイブの代わりのものが入ってくるということを意味します。もちろん、それは、さっきまで自分がしゃぶっていたオヤジの長いものです。
「だって、旦那さんに言われているんですよ」
「お願い、それは、それだけは、許して」
　妻は、マスクで隠された目をオヤジの声のする方に向け、懇願します。しかし、それでも、妻は、イスの上に上体を乗せ、尻を高くかかげた姿勢を崩しませんでした。
　ここからはよく見えませんが、逝ったばかりの妻の秘腔は、びしょびしょに濡れ、簡単に男を飲み込むはずです。オヤジが後ろに膝立ちすれば、簡単に差し入れることができるでしょう。この姿勢のままでは、男にセックスをしてくださいと言わんばかりなのです。なのに、妻は口ではイヤ、イヤと拒否しながら、その姿勢は崩そうとしないのです。
　ひょっとして、その懇願とは裏腹に、妻の肉体は、ホンモノの男性で満たされることを望んでいるのでは、と思わせるのに十分な姿でした。
　しかし、オヤジはさすがに商売です。私の注文をきちんと守ってくれたのです。
「奥さん、じゃあ旦那さんには内緒にしてあげましょうか」
　妻の背中がヒクンと動きます。
　ホッとしたようにも、落胆したようにも見えました。
　尻たぼがひくりとえくぼを作ります。
「その代わり、こうなっちゃったものをどうしましょうか？」
　明らかに好色な笑みを浮かべて、背中に固定された妻の右手に、まだ大きいままのモノを握らせるようにあてます。
「ああ、そんなあ、いやあ」
　拒絶の言葉を発しつつも、妻は、オヤジのものを、確かに自らの意志で握ったのです。
「そうですよ。ちゃんと最後までしてくださいね」
「わかり、ました。あの、もう、手をほどいてくださいませんか」
　妻の控えめな要求は、カチャという小さな金属音で、受け入れらたことがわかりました。
「おっと、マスクは、まだ外さないでくださいね」
　両肩をさするようにして、硬直した関節をほぐす妻に、そう念を押します。オヤジは、傍らのイスに座って、投げ出すように両足を広げます。
「さ、始めてください」
　オヤジの足に触れた手で探りながら、妻の両手は徐々に核心に迫りました。
　とうとう、両手がオヤジの長大なものにたどり着いたとき、妻はオヤジの足の間に正座をするような姿勢になっていました。
　妻のしなやかな優しい指が、オヤジのものにからみつきます。右手は、幹の中程をもって、こすりたてながら、左手で根本の方に伸びます。
「うん、奥さんの指、気持ちいいですよ。そう、袋の方も、そう、そっとね」
　そして、おもむろに妻のマスクをはぎ取ったのです。
「いやあ」
　なぜか、妻は視界が回復したことに羞恥を感じたようでした。突然の明るさに戸惑った部分もあるのでしょうか。
　いえ、目の前に、男の怒張があることに、恥ずかしながらも視線が釘付けになっていました。
「ほら、奥さん。ちゃんと、自分が握っているものを見て」
　下を向く妻に、そう何度か命じると、妻は、恐る恐るという感じで、顔を上げたのです。
「ほら、これですよ。入れてみますか、奥さんの中へ」
　オヤジが、わざとそう言うと、やめて、と言いながら、横を向き、そして、ちらりと、こちら、つまり、私がいるはずのカーテンを見たのです。
　もちろん、ちらりと見た程度では、私に気づくはずもないのですが、ドキッとします。妻は、いったい、どんな気持ちでこっちを見たのでしょうか。
「ほら、奥さん、よそ見している場合ではないですよ」
　ほら、とオヤジは妻の頭に手を当てて、自分の方に向けます。再び、妻は、私以外の怒張に間近に向き合うことになったのです。
　妻の真剣な、そして淫靡な眼差しが怒張に注がれます。
　しなやかな細い指が、巻き付くように怒張を握りました。
　オヤジは、妻の右手をもって動かし始めました。一度動き始めると、自然な動きで、右手が動き続けたのです。
　そっと手を離すオヤジ。
　驚くべきコトに、妻はしなやかな指を巻き付けるようにして、怒張をしごき続けていました。
　男の出す透明な先走りがこぼれて、妻の指はヌメヌメと光っています。　　
「奥さん、小学生でもあるまいし、手だけで、男が出すわけ無いでしょ。わかりますよね？」
　もちろん、そうと知って使った例えではないでしょうが、妻の両肩がヒクンと動いたのが、ここから見てもわかりました。
『圭ちゃん……』
　妻の心の声が聞こえた気がします。
「いやあ、あああ、いやあ」
　か細い悲鳴に似た声が聞こえました。しかし、そこには、大量の淫靡なものを含んでいたのです。
　オヤジは、その妻の反応を、あるいは期待ととらえたのでしょう。
　わずかに歩を進め、怒張を妻の顔に突き出します。
「あぁ、いやぁ」
　微かな声がこぼれますが、熱を持ったような顔つきのまま、熱い視線が注がれていました。
　妻は、今、目の前の怒張を見て、誰かと比べているのでしょうか。私のもの？いえ、きっと圭司君の、あのカチンと音がしそうなくらい硬い、尖ったものに違いありません。
　だからこそ、オヤジの言葉に、あれほど反応したのです。
　オヤジは妻の頭を後ろからそっと自分の方に押します。
　その力に逆らうことなく、妻はゆっくりと、そのやや肉厚の唇をゆっくりと開けながら、オヤジの怒張に向かって近づいていったのです。
　だらしないことですが、私は、それ以上見ていることができなくなりました。
　妻の両手は自由になり、奪われていた視界も戻ったのです。いわば、いつもの状態です。
　その妻が、乳房を搾り上げる拘束具をつけただけの姿で見ず知らずの他人の足の間に跪いている。そして、今や、その男の怒張を自らくわえ込んでいくのです。
　その姿を、見ているのは辛すぎました。しかし、それもこれも、私自身が望んで仕組んだことです。我ながら矛盾していました。　
　ツライと思いながらも、私自身は、カチカチに硬直して膨らんでいたのです。
『ううぅ、亜希子ぉ……』
　ひょっとして、いましめられた姿のまま、オヤジの怒張に貫かれた姿の方が、こんな切ない気持ちにならなかったかもしれません。
　妻は、私からの命令という間接的な理由があるにしても、自らの意志で、私以外の男の怒張に「奉仕」しているのです。
　いいぞ、とか、むぅといううなり声とともに、手の動かし方を指示し、舌遣いを褒める声が聞こえます。
　男の満足げな声は、妻が、かなり積極的に奉仕しているように思えました。
　不得意なはずのフェラチオなのに、妻はどうやら大変熱心にしているのです。
　見たいという気持ちと、ためらいが激しく交錯し、私のズボンははち切れんばかりに膨らみ、苦しいほどです。
　しかし、今、自分のものを取り出して、一度しごけば、あっという間に射出してしまうにきまっています。私は、ズボンの上から、不自然な形でふくらんでいる怒張の向きを直すだけで我慢しなければなりませんでした。
　鈍い快感とともに、私の怒張はズボンの中で上を向きました。
　しかし、その鈍い快感さえも、今、妻の唇がオヤジのものをどのように包んでいるのかという想像が私自身を責めさいなんだのです。
「良し、奥さん、もっと早くだ。そう、もっと奥まで、出すぞ」
　突然、男の切羽詰まった声がしたかと思うと、うっ、という男の放出のうめきが聞こえました。
「ほら、ちゃんと飲んで、ちょっとでもこぼしたら、そのまま奥さんの中に入れて２回戦だからな」
　つかの間の静寂。
「そう、いいぞ、ちゃんと最後まで、吸い取って。そう、そこで軽く吸うんだ」
　男は、出した後の残滓まで、妻に吸い出して飲ませようとしているのです。そして、妻は、おそらく、それに素直に従っているとしか思えません。
　男の満足そうな、ふう〜というため息が聞こえます。
　私は、今の妻の表情が見たいと思いました。しかし、目隠しのない今、うかつにのぞけば、妻と目が合ってしまう危険性があり、耳をそばだてるしかありませんでした。
「いやん」
　妻の小さい声が聞こえました。あるいは、オヤジが妻のどこかに触り、それを拒否しているのでしょうか。いいえ、この声は、拒否と言うより、恋人が不意に触れたときの、甘やかな声でした。
　ほんの僅かな間に、妻は、こんなオヤジに、体が馴染んでしまったというのでしょうか。
　オンナのすごさのようなものを思い知った気がしました。
「本当に、奥さんのオッパイはきれいだよなあ」
「ああ、もう、やめてください」
「ほら、これ」
　妻の胸に何をしたのでしょうか。妻は、あううというベッドでの声を出しながら、しかし、手を払いのけなかったに違いありません。その証拠に、ああ、という声が連続して聞こえるのです。
　どうして、よけないんだ！
　私は、一段落したと思ったあとに、しつこく続く妻の嬌声がたまらなくなったのです。しかし、今や、妻の視界は自由です。目が合ってしまったときのことを考えると、覗き見ることはできません。
「お願い、もう、許してください」
　だから、妻のそんな懇願の声を聞いたとき、私自身が限界を感じたのです。もうそろそろ出るべき時でした。　
「じゃあ、奥さん、もう服を着て良いですよ」
　終わりを告げる声がしたのは、その直後でした。
　妻の軽い小走りの足音がしました。きっと、さっきの場所に服を取りに行っているのでしょう。
　今なら、と思ってカーテンの隙間から覗くことができました。妻は、身体を隠すことを優先させたかったのでしょう。何よりも、まず、ワンピースに足を入れ、身に着けたところでした。
　今しかありません。
「どう？ちゃんと選べたかあ？」
　私は、わざとのんびりした声を上げて、カーテンから出たのです。
　妻はとっさに、立ちすくむことしかできませんでした。　
「いや、ゆっくり鑑賞させてもらいましたよ、どうですウチのは？」
　無理して話しかける私に目があうと、オヤジはニヤリとしました。
　オヤジの方に笑顔を向けながらも、その顔は多分強張ったものだったに違いありませんでした。だから、私が、ゆっくりと妻に近づいたときに、私の動揺が悟られなかったは、ひとえに、妻がそれ以上に動揺していたからに違いありません。
　妻は、止めかけたボタンをそのままに、前をかき合わせたまま、立ちつくしたように硬直して、ややうつむいていました。
　黒髪の間からのぞいた頬が赤くなっているのは、羞恥のためでしょうか、あるいは、興奮のためだったのでしょうか。
　私が、そばまで近寄って、どうだったと聞くのと交錯するように
「ああ」
　とため息を漏らしながら私の胸によろめくように飛び込んできたのです。
　私の腕の中の妻の体からは、ほのかなオンナの匂いに混じって、男の放出した精液の匂いが立ち上ってきたような気がしました。
　妻の耳に囁きます。
「どうだった」　
　妻はそれには答えず、子犬のように私の胸におでこをこすりつけるだけでした。

　店を出てから、高速の入り口にあったホテルに入るまでの１０分ほど、結局一言も口をきかないままでした。
　少し乱暴に妻をベッドにうつぶせに倒すと、突き出した下半身からワンピースをわざと派手にまくり上げます。
　どきりとしました。
　下着は、オヤジから返されなかったのです。
　足をバタバタさせた瞬間、まだ、濡れそぼったままのオ○○コが、ぱっくりと口を開けています。
「なんだ、これなら、そのまま入れる」
　有無を言わせず、後ろから挿入しました。
「はううう」
　身体から絞り出すように声を上げながら、妻は、顔の下でそろえた手に頬を押してつけながら、目を閉じました。
　それは、まるで何か苦行に耐えるような表情でした。
　表情からは読み取れませんが、妻の体が、どうしようもないほどオトコの怒張を求めていたのだけはわかりました。
　私を包み込む美肉は、動く度に粘着質の音をたてるほど濡れそぼち、そのくせ、しっかりと握りしめるような力で締め付けてきます。
　前戯をする必要もないはずです。まくり上げたワンピースの尻の部分は、そこだけ変色したかのようにびっしょりと濡らしていました。
　ここに来るまでの間、トロトロと秘蜜をこぼし続けていたのでしょう。
　黙ったままだった車内の妻が、いったい何を考えていたのか気になります。
　しかし、改めて尋ねるには、まだ早すぎました。
　その代わり、妻の身体を責めることに専念します、
　目の前の、下半身だけベッドから突き出すようにして尻を差し出す姿は、先ほどの店の中の光景とダブってしまいます。
　最大限に膨張した私のモノは、妻の身体の中で隙間なく柔らかい美肉に包み込まれています。襞の一つずつが、うねうねと私にからみついてきます。
　その極楽と言っても良い妻の肉の感触に、先ほどの妻の痴態に興奮しきっていた私が耐えられなくなるのはあっという間でした。
「う、く、く、出すぞ」
　せっぱ詰まった声で妻にそう告げたのは、こんなに短時間では逝かないであろう妻への警告のつもりでした。しかし、妻が取り残されるという心配は杞憂だったのです。
「ああ、ダメ、ダメになる、あなた、あなた、ああ、あな、あああ、いく、いく、あなた一緒に、お願いぃ　いくう！」
　ガクガクと身体を揺すぶりながら、腰は別の生き物のようにカクカクと雌犬のようにうごめかしながら、妻の背中は美しいアーチを描き、その瞬間、妻の全ての動きが止まったのです。
　次の瞬間、私をくわえ込んだ美肉だけが、搾り取るような動きをみせました。そして、それが私の最後の瞬間でした。
　大量のなにものかが、私の背中を駆け上り、音が聞こえてくるのではと思ってしまうほどの強い勢いで、妻の胎内に大量の白濁液を注ぎ込んでしまいました。
　奥の奥。子宮口を先端がつつくほどに差し込んだ怒張から、しわぶきが子宮口に注ぎ込まれたはずです。
　その瞬間、確かに妻は、再び、いえ、三度、四度と、全身をケイレンさせたのです。
　私は吐き出した残滓を全て妻の中に置いたまま、いまだ硬いままの怒張を妻に入れゆっくりと動いていました。
「はあ〜」
　私は全てを放出した満足感と少しばかりの疲労感から、妻に後ろから覆い被さるように身体をかぶせ、のしかかりました。
　妻はひょっとして、幾ばくかの間、呼吸すらしていなかったかもしれません。
　オーガズムの身体の硬直が溶けたかのように、私の重みを乗せたままベッドに崩れ落ちていったのです。
「大丈夫か」
　思わず、妻に声をかけましたが、妻は幸せそうな表情のまま、意識を失っていたのです。
　それが、妻の、初めての失神でした。