第３章 妻の変貌

　ぐったりとした妻の口から抜き出した私のものは、妻の唾液に濡れてわずかに反射して光ったまま隆々としていました。
「どう、入れて良い？」
　半ば期待はしていませんでした。
　たとえ、愛撫だけであっても、一度達すると、妻が二度目に応じることは、めったにないのです。
　だから、妻が回復したら、手でしてもらえたらいいなくらいの、少々卑屈な気持ちで聞いてみたのです。
　しかし、今日は違っていました。
　はあはあと息も整わないうちに、こくりとうなずいたのです。
「来て。ほしい…」
　ホンの小さな声ですが、確かに言いました。
　妻がこんなことを言うなんて、一度もなかったことです。つくづく今夜の妻の性衝動の強さが思い知らされました。
　きっと、みんな圭司君のおかげでしょう。
　私は、少し複雑な気分ですが、それでも、圭司君に感謝しました。こんなエッチで、すてきな妻は初めてです。
　妻は、自分の下着でオナニーする「男」と一緒に風呂に入り、勃起している「男」の目の前で身体を洗ったのです。
　そして、妻はその「男」のオナニーを覗いていました。おそらく、覗いていた時から、妻の秘所はビショビショになっていたはずです。妻は、はたしてどんなことを思い浮かべながら、こんなに濡らしていたのでしょう。
　あの真面目な小学校教師である妻に、すばらしく淫靡な本性が隠れていたのです。
　妻の両脚が、自らの意志で広がっています。その広げきった足の間に身を置いて、ゆっくりと身体を重ねていきました。
「ああ！いい！」
　小さな声でしたが、確かにそう口走りました。
　怒張をゆっくりと入れただけで、まだ、動きもしないうちから、妻は、また、達してしまったようです。ヒクリとのけ反った妻を見下ろしながら、そのまま動き始めます。
　達してしまった直後にこうやって、ゆっくりとセックスするのは初めてでした。しかし、今日の妻は、その動きを、受け入れます。それどころか、妻の美肉の感触がいつもとはまったく違っていたのです。
　びしょびしょで、しかも熱を持ったように熱くなった美肉は、あちらこちらの壁がわななくような動きを伝えてきます。しかも、そのうごめくヒダヒダは、一つずつが怒張に絡みつくように動きます。これは、話に聞くミミズ千匹というヤツでしょう。
　妻が実は名器であったことを初めて知りました。
　ただでさえ狭い妻の中は、しっとりと全体がまとわりつくようにしながら、それでいて、あちこちの壁が、うねうねとうごめくのです。
　ゆっくりと抽送を開始すると、妻は私の背中に回した手に力が入りました。
　ぬちゃ、ぬちゃとしめった音がします。
「ああ、あああ、あなた、いいの、いいの、ああ、声がでちゃう、ああ、もう、ああ」
　やめてと言いながら、妻の美肉はさらに私を締め付けてきます。そして、やや肉厚の唇をわずかに開いて、キスをして欲しそうな仕草をしきりにします。
　しかし、キスよりも、今の私が欲しいのは、必死に我慢しようとするのに、こらえきれずに漏らす、妻の淫靡な声です。
　その上、普段だったら、これ以上ないほど貞淑で、清潔感のある顔が、私のキスを求め、声を我慢して、必死にゆがむ表情は何よりも魅力的だったのです。

　その時、私は、確かに、廊下の気配を感じました。
　圭司君、いるな。
　ドアの向こう側で中の様子を必死になって聞き耳を立てているのでしょう。確かに、薄いドアの向こうに、微かですが人の息づかいが聞こえてきました。
　ひょっとすると、懸命に中の様子を聞こうとしているうちに、ドアに微かな音を伝えてしまったのかもしれません。
　私はとっさに、策謀を巡らしました。
「ああ、なんで、おねがい、やめないで」
　私がゆっくりと抜いてしまうと、妻が可愛い抗議の声を上げました。
　ああ、こんな切なく、可愛く、そしてこれ以上ないほどの妖しさをこめたオンナの淫靡な抗議を受けて、その声に耐えられる男がどれだけいるでしょうか。
　私が耐えられたのは、ひとえに、一緒に暮らしてきた月日によるものだけです。
　ややかすれた妻の声は、夫の私が聞いても、それほど、媚態を含んだいやらしい声でした。しかし、私は、今日を、夫婦のこれから人生の最大のターニングポイントにしようと決意したのです。
　私の隆々とそびえ立つものは、妻の秘蜜でびっしょりと膜を張ったように包まれています。
「今日は、なんだかエッチだね、どうしたの」
「ああ、わからないの、ああ、お願い、くるしいの、ね、おねがい、ねえ」
　妻のいつにないこらえどころのない姿が、強い快感を物語っていました。
　わななく腰に、ゆっくりと近づき、再び浅く侵入します。それだけで、また、こらえきれない声が大きくなってしまいます。
「ねえ、カーテンを開けてみない？」
私は、普段よりもわずかに潜めただけの声で妻に言いました。
　この声は必ずドアの向こうの圭司君に聞こえているはずです。
「いや、恥ずかしい、みえちゃう」
　夢中になっている妻は気づくはずもありません。妻の声も、私にあわせてやや大きくなります。もちろん、圭司君には妻の声も聞こえているはずです。
「大丈夫、暗いし、ほんのちょっとだから、ね、ね、いい、だろ、ほら、感じる？」
　言葉に合わせて小刻みに動くと、妻はたまらずに声を漏らしてしまいます。
「ああ、感じるっ」
　再び、抜き取ります。
「ああん、お願い、いや、苦しいの、続けて」
　こんな風に、ねだらずにいられない妻は初めてでした。
「じゃあ、カーテンを開けてもいい？」
「だめよ。あう、あ、あ、それ、ああ」
「少しぐらいは良いだろ、ほら、こうしちゃうよ」
「あぁ、あなた、いじわるぅ、あう」
「開けて良いって言ってくれたら、ほら、こうして」
　怒張を浅く侵入させると妻の腰が震えるように蠢きます。
　ハアハアと、荒い呼吸と、もっとと言いたげにウネウネと動き続ける腰が、妻の快感の強さと、それを満たしてくれない、焦らされる悲しみを物語っています。
　ほら、どう？
　少しだけ入れては、開けて良いかと、繰り返す。そんな「甘美な拷問」を数度繰り返すと、あれほど、潔癖なはずの妻の唇がとうとう、媚びたメスの声で屈服を告げたのです。
「開けないと入れてくれないの？」
　目を閉じたまま、かわいらしい声で尋ねます。もうこれは、ＯＫも同然です。ハアハアと喘ぐ顔がいじらしいほど愛おしく見えました。
「そうだよ、言うこと聞いてくれるだろ」
「ちょっとだけ。ほんの、ちょっと、だけなら、ああん、恥ずかしい、でも、苦しいの、言うこと聞くから、早く、お願い」
　妻は、本当に一刻も早く入れて欲しくてしかたないようです。
「じゃあ、カーテンを開けるよ」
　私は、やや大きな声で口にしながら窓の方に向かいます。
　そうです。圭司君達の部屋と寝室はベランダでつながっているのです。
　カーテンさえ開けてしまえば、ベランダから覗けば、私達の行為をすぐ側で見ることができるのです。
　もちろん、妻は、そんなこととは想像もできなかったに違いありません。むしろ、通りを二つ隔てた向こうのマンションが気になっていたのでしょう。
　私がカーテンをバッと開けると、一瞬だけこちらを確かめ、そのマンションが見えないことに安心したのか、再び、右手で目元を隠します。
　月明かりが差し込んできました。
　足を広げきった妻の白い躯がよく見えます。荒い呼吸で胸が激しく動いています。仰向けでも、形が崩れない妻の胸が、呼吸に合わせるように揺れています。
　乳首は尖りきっています。
　私はゆっくりとベッドに戻りました。
「さあ、いれてあげるよ」
「ああ、うれしい、あなた…」
　さっきよりも、さらにビショビショになりながら、そのくせ、抵抗が無くなるどころかむしろ、さっきより窮屈になった妻のナカに、驚きました。
　そして、私が、再び入ったその一瞬で、妻はまたもや達してしまったのです。
「ああ、あああ！あぅん、あ、ああ、い、いくぅ！」
　もはや押さえられないほどの大きな声で、そう短く叫ぶと、妻の身体から力が抜けてしまいました。
　しかし、私を締め付けている力だけは、さらに強くなり、奥へ奥へと引っ張り込むようなうねる動きまでします。
「ああ、まだ、なの、ああ、もう、わたし、いっちゃったのに、ああ、また、感じるのぉ。どうして、あぁ、さっきもなのにぃ、あう…」
　いつもなら、自分が達した後は、私の動きを迷惑そうに我慢する妻が、明らかに今日は、悦んでいました。
　ゆっくりと動きます。
「ねえ、見えて、ないよね、あぁぁ、あの、マンションから、あぅう」
「どうかなあ、見えてたらどうする、こんなエッチなとこ、誰かに見られちゃったら」
「あん、だめぇ、あなただけなの、誰も見てないもの、あん、もう、ああん、ダメぇ、なに、なんか、あん、へんなの、どうしちゃったの、あああ」
　カーテンを開けたことで、妻は、どこか、底が抜けてしまったような、そんな反応でした。私を受け入れている部分は、そこだけで、ヒクヒクと震えています。
　かえって驚きました。
　妻の今までにないほど激しい乱れ方は、よそのマンションから見られているかもしれないということが原因なのでしょうか。
　だとすると、素直で真面目な妻の、このしなやかで白い躯には、ドロドロした被虐の淫血が流れているのかもしれません。
　私は、性に奥手なはずの妻の白い顔に、別の顔を見つけた悦びを抱きながら、うねうねとうごめく妻の中に、怒張を打ち込み続けました。
　その時、カーテンの向こう側に、影が見えたのです。
『え、２つ？』
　私は驚きました。未体験の快感に夢中な妻はもちろん気づきません。
　ゆっくりと動く私の動きにあわせるように、それでも、声を抑える努力をしながら、私を懸命にかき寄せようとします。
　どうして影が２つあるんだ。
　私は、妻の求めに応じて、深く、長いディープキスをします。ヌメヌメと私の舌に積極的に絡めてくる妻の舌が新鮮でした。
　妻は、ディープキスが苦手なのです。あまり、気持ちいいとは思えないと言ったことさえあります。
　しかし、今、その妻が、私の舌を求め、流れ込む私の唾液を飲み下しながら夢中になってキスを続けています。私の全てを吸い尽くそうかという感じです。
　いつになく、私の舌を吸いたがる妻の口を振り切って、妻の耳に口を付けるようにして、小さな声でささやきます。
「オナニー、見て、興奮したの？」
「え、　…そ、そんなこと、ない、子どもだもの」
「オナニーするのは男の証拠だよ。君のブラジャーにちゃんと射精してたろ？君のことを思い出しながらしてたんだよ、オナニー」
「あぁ、言わないでぇ、あうううぅ」
「オナニーしてるの知ってただろ？」
「そんなことを、あう」
「ヌードを見られたんだよ。あの明るいところで。勃起してたろ？　君が上がったらオナニーしてるの、知ってたよね」
　恥ずかしそうに、目を隠したまま、妻はカクカクと首を振ります。その瞬間、私への締め付けがきつくなりました。また、軽く達しってしまったようです。
「あぁ、だって、あなたが知ったら怒ると思って。あう、ごめんなさい、あう、あぁ、また、ああ！」
　妻がのけ反ります。もう、何度達したのかわからなくなっていました。
「良いんだよ、もっと、淫らになってごらんよ」
　今日の妻は、本当にいつもと違っています。
　一緒に風呂に入った「男」のオナニーを見ながら、ビショビショに濡らしてしまった妻。今日のこの反応そのものが、明らかにいつもと違うことだらけでした。
　ひょっとして。
　私は妻をさらに追いつめてみることにします。
「明日も、風呂、一緒に入るんだろ」
「ああ」
　妻は、答えずに、一声唸ると、締め付けが、ヒクンヒクンとリズムをつけたかのような反応をします。
　そして、ためらうように、おずおずと口が開きます。
「多分」
　そう言ってから、一呼吸置いて、でも、もうやめると付け加えました。
「なんで？やめることないよ。今日だって入ったんだし」
「ああ、でも、恥ずかしいし、あなたに、ああん、悪い、から…」
　つまり、妻は、自分の下着でオナニーする男と一緒にフロにはいるのは「恥ずかしい」けれど「嫌」とは思っていないということです。
　驚きでした。
　そして、その驚きと妻の淫靡な姿に後押しされて、私は妻をけしかけます。
「いいんだよ。こんなにエッチになってくれるなら大歓迎だ」
　ああ、と声を立てながら、そんなこと無い、と小さく抗議します。
「ほら、ほら、言うこと聞かないと、抜いちゃうよ。言うこと聞くかい」
「ああ、また、抜かれたら、ほんとにおかしくなっちゃう。苦しいの、お願い、ゆるして、もう、ねぇ、いじわるしないで」
「言うこと聞くよね」
　私がささやき、セリフを指定します、もちろん、言うことを聞かなければ、抜くと脅かしながらです。
　何度も入り口付近まで、抜くフリを繰り返します。
　こうなってしまうと、淡泊なはずの妻も、しょせん「オンナ」でした。
　もはや、私の怒張欲しさに、いえ、オーガズムという甘い瞬間欲しさに、全面降伏するしかなかったのです。
「ほら、言ってごらん、そうしたら、一番奥まで入れてあげる」
　そう言いながら、入り口付近で、ヌルヌルと今にも抜けそうな様子でダメを押します。
「ああ、あなたの言うことを何でも聞きます。ああん、もう入れて、早く、ああ、お願い、ちゃんと一緒に入るから、一緒に入って、身体を洗ってあげるから、お願い入れて」
「それだけじゃないでしょ」
「ああ、おちんちんもちゃんと洗うの、あう、そんなことしちゃいけないのに、ああ、ちゃんと、私の身体も洗ってもらうからあ、あ、だから、はやく、はやく、お願い」
　最後の方は、腰がうごめき始め、腰を突き上げるようにして、自分から私のペニスを飲み込んでいきました。キュウッと締め付ける動きは、まもなく私の限界を呼びます。
「ほら、いくよ。明日、楽しみだよ、ちゃんとあそこも洗わせてやるんだよ、君のオッパイも洗わせてやるんだ。大きくしたら、ちゃんと出してやるんだよ、君の手で」
　どこまで、私の言葉を理解していたのでしょう。
　しかし、妻は必死になって快感を受け止め、あえぎながら、何度も、何度もコクコクと首を振っていました。
　そして、最後にもう一度「君の手で出してあげるんだよ」と言った瞬間、また達してしまったようです。
　果たして、偶然でしょうか？
　しかし、私にも考える余裕はなくなりました。
　妻はけいれんを起こしたように私を締め付け、全身で強くブリッジを作ったのです。
　この締め付けには私も抗えませんでした。
　弾力のたっぷりとした、柔らかなオッパイを握りしめるようにしながら、一番奥までの深い動きを続けると、私の背中を駆け上がってくる射精感が、脳に達してしまいました。
　私は、妻の一番奥に、ひょっとしたら、直接子宮の中に注ぎ込んでいるのではないかという締め付けの中で、引き金を引き続けました。それは、十代のころの身体が震えるような射精感でした。
「ああ、だめ、いく、いっちゃう、あなた、ああ！」
　妻は、子宮を直撃された刺激が決め手になったのでしょう。連続して、高みを極めたようです。
　腰をガクガクさせながら、私に、思いっきりしがみついたまま、強く、深く、逝ってしまいました。

「もう、変なこと言うんだからぁ」
　妻は、やや怒ったような声で私の背中をぴしゃりと叩きながら言います。
　回復するまで、たっぷり三十分はかかったでしょう。
　もう寝たかと思っていたのに、突然、話しかけてきたのです。
　ひょっとして、意識が飛んでいただけかもしれません。妻が失神したことなど見たことありませんが、ひょっとすると、これがそうなのかもしれません。
　たっぷりと快感を注ぎ込んだおかげか、やや媚態を含んだような、優しい怒り方でした。
「え？何」
「だって、カーテン開けちゃうし、変なコト言うし。私、絶対、洗ってあげたりなんて、しないからね」
「でも、今日はずいぶん感じてたよね。こんなに君が感じるなんて知らなかったよ。ありがと。なんだか人生が急に明るくなった気がする」
　私の笑顔は、演技ではなく、心の底からだったのが、きっと、伝わったに違いありません。
　だから、妻は、急に黙ったまま、こんなエッチな奥さんで良いのと、私に聞かせるでもなく、つぶやきました。
「あのさ、奥さんが、これだけ、気持ちの良いセックスをさせてくれたら、ぼくの人生は２００％、うれしさアップだよ」
「なんなのよ、それぇ」
　といいながら、そう言うものなのかなと、小さくつぶやいたのも聞き逃しません。
「あのさ、真面目な話、圭司君、君と風呂に入るのを急に拒否されたら、頭の良い子だから君に見られたの気づいちゃうと思うよ」
「やっぱり、そうかなあ」
「もちろんさ。だから、明日も、拒否しない方が良い。それと、ほら、男の子ってオッパイ離れしないって言うだろ」
　そう言いながら、オッパイをゆっくりと揉みます。もうやめてと、そっと手をどかされてしまいましたが、どこか、優しげな、どかしかたです。
「母親の愛情を受けてない圭司君にとって、君のオッパイに触れるということはとっても大切だと思うんだよ。でも、今さら恥ずかしくて、触らせてなんて言えないだろ？」
　妻は真剣な表情で聞いています。チャンスです。
「だから、洗うって形で一度ちゃんと触らせてやれば、その気持ちが昇華して、君のブラを使うなんてことが逆になくなると思うんだ。それに、お母さんの手で身体を洗ってもらうのは、子どもにとって本能的な喜びなのはわかるだろ」
　妻は真剣な表情でうなずきます。根が真面目なのです。
「ここは、ちょっと、君が我慢することが必要なんじゃないかな。そうすれば、かえって、ヘンなことはしなくなるものさ」
　もちろん、口からでまかせです。一度、妻のオッパイにさわれば、その感触を思い出しながら、一度と言わずに、また何度でもオナニーするに決まってます。
　二十八歳の妻の身体は、若さからくる張りつめた美しさと、十分に成熟した大人の魅力を併せ持っているのです。その上、その生来の真面目そうで、整った顔立ちと成熟しつつあるプロポーションを見れば、男なら誰だって触りたくなるに違いありません。
　そして、一度その肌に触れれば、その感触に誰だって勃起してしまうでしょう。ことに、今夜の妻を見てそう思います。
　少年にとって、初恋の相手が、若き女性教師というのもよくあることです。圭司君でなくても、きっと、今夜もどこかで、女性教師をおかずにしながらオナニーしてる少年がいるはずです。しかし、そんなことがあるなんて、真面目な妻にはきっと思いもよらないことでしょう。
　圭司君のオナニーは、妻を劇的に変えてくれました。私は妻がどこまで変わってくれるのか知りたかったのです。
　私の説明は、子どもと母親の関係になぞらえることで、妻の母性本能を確実に刺激するはずです。いえ、実は、ひょっとして、妻も、口実が欲しかったのかもしれません。
「そういうものかな」
　といいながら、寝返りを打ってしまいました。妻はまもなく寝息を立てました。よほど疲れていたのでしょう。これ以上追いつめないことにしました。明日になれば、わかることです。
　寝付けないまま、けだるい身体を仰向けにして、考えてしまいます。
　月が青く輝いていました。
　かすかに、妻の寝息が聞こえます。静かな夜でした。
　それにしても、影が２つとは。
　今は人影のない、ベランダに目をやります。
　圭司君が覗きに来ることは予想通りでした。しかし、もう一つとは、考えても見ませんでした。
　あの影は、確実に、茜ちゃんです。
　夫婦の営みは、あの快活で、まじめそうな少女の瞳に、どう見えたのでしょうか。
　突然、ハッと気がつきました。
『あの子たちは、今どうしているのだろう』
　いつの間にか、カーテンの間から影は消えていました。部屋に戻って、仲良く並んだ布団で大人しく寝たのでしょうか。
　しかし、圭司君が、さっきの妻の姿を見て、そのまま治まるとは思えません。あの年頃から、性欲は無限に湧いてくるものなのです。
　さっき、風呂場で見た、発展途上のペニスを思い出しました。
　廊下に出てきた気配はありません。
　茜ちゃん…
　姉弟です。まさか、いきなり姉に襲いかかるなんてことはないでしょうが、あのカチンという音がしそうなくらい、硬そうな、皮をかぶったペニスが、どうなっているのか。
　妻のよく寝ていることを確かめた私は、そっとベランダに出ました。
　今度は私が覗く番です。なんだか変な気分です。
　いえ、別に変なことを期待していたわけではないのです。ただ、あの姉弟の、いやハッキリ言って、茜ちゃんの、まっすぐな瞳が目の前に浮かんでしまったのです。
　私はそっと、隣の部屋の窓に忍び寄ったのです。
　
　ある意味では、予想していたことでした。しかし、十分に衝撃的でした。
　部屋のカーテンが全開。それどころか、窓も全開です。
　月明かりが、開いた窓の中に差し込み、闇に慣れた目には、何が行われているか一目でわかりました。
「おねえちゃん、でちゃう」
　と圭司君の切迫した声が聞こえます。本人は声を潜めているつもりなのでしょうか。
　圭司君は、ズボンとパンツを脱ぎ捨て、窓側におかれたローソファに座ったまま上を向いています。茜ちゃんは、圭司君の足の間に半ば膝立ちするように座っています。
　あの長い黒髪を片手で掻き上げて、右手は、圭司君の、月明かりにもなま白く見えるペニスを握り、包皮ごと激しく動かしています。
「けいちゃん、いいよ、出して、お姉ちゃんに、見せてごらん、いいよ、ほら」
　その時です。茜ちゃんの手をはじき飛ばすようにペニスがピンとはぜて、先端から白い固まりが飛び出したのです。
　いや、実際には速すぎて、飛びだした固まりそのものは見えませんでした。しかし、それが、茜ちゃんの顔を直撃したのは、わかります。
　ビックリした茜ちゃんはとっさに、手を離して、顔に飛んだものを払う仕草で後ろに尻餅をついたのです。
　仕方がないとはいえ、一番気持ちの良いときに、ペニスを包む手を喪ってしまった圭司君は哀れでした。しかたなく、姉の目の前で、ペニスを自分でしごくしかありませんでした。
　動かす先から、ぴゅっ、ぴゅつという感じで次々に飛び出してきます。いったいどれほど出てくるものなのか。その若さを少しうらやましく感じました。
　私自身も、あのくらいの時には、あれほど出していたのかどうか、思い出せません。ひょっとして、圭司君の出した量は、人並み以上のような気もしました。
　圭司君は、さっき、オナニーをしたばかりです。妻のブラジャーに、おそらくたっぷりと掛けていたはずです。それなのに、次々と出てくる精液は、勢いよく次々と、飛び出てくるのです。
　茜ちゃんも、ビックリもしていたのでしょう。気がつくと、自分の顔をぬぐうことも忘れて、じっと、弟がしごく姿を見つめています。
「はああ」
　がっくりと力が抜けたのでしょう。圭司君はそのままソファの上でぐったりしています。茜ちゃんは、ハッと気づいたように、傍らのティッシュを抜き出して、そこ、ここと飛び散ったものを、拭き取り始めました。
　圭司君は、まだ、ぐったりとソファに身体を投げ出すようにして座ったままです。
　あちこち、拭き取った茜ちゃんは、また、弟の前に座り込むと、ちょっと考え込む様子です。それから、おもむろにティッシュを取ると、弟のペニスを拭き始めました。
　その先端を吹き始めたかと思うと、一瞬ためらったように見えた後で、ペロリと皮を剥き降ろしてしまいます。真っ赤に見える発達途上の亀頭は、さすがに敏感な場所だけにティッシュで拭こうとすると、圭司君はとっさに払いのけるように逃げます。
「おねえちゃん、そこ、やめて、いたい」
「ふ〜ん、出した後って、さわったらダメなんだ。みんなそうなの？」
「知らないよ。大人になると、もっと平気になるかもしれないけど」
　圭司君は、姉からティッシュを受け取ると、そっと自分で拭きながら、そう答えます。
　たしかに、仮性包茎のペニスは、普段、皮で保護されているから敏感です。射精直後に触られると痛いのかもしれません。
「さっき、すごかったね」
　じっと、ペニスを拭き取るところを見つめたままの茜ちゃんは、うっとりとした声で答えます。
「うん、先生、あんな風になっちゃうなんて」
「おじさんのみたいになれば、大丈夫なのかな」
　突然、私のことに話題が移ったので、ドキリとしました。
　大丈夫です。端に寄せられたカーテンの後ろにいる私には気づかないはずです。
「ぼくのも、あんなに大きくなるのかなあ」
　私は静かに苦笑しました。平均値の私のものも、少年にとっては巨大に見えるのかもしれません。
　突然、茜ちゃんは話題を変えます。
「いいなあ、けいちゃん、先生とお風呂入れて」
「お姉ちゃんだって、入ってるじゃないか」
「ううん、私はおじさんと入ったことなんてないわ」
「入ればいいじゃん」
「ダメよ、私なんて、相手にされてないもん。先生もダメって言うに決まってる」
　今日は、よく驚かされる日です。してみると、茜ちゃんは、本当に私と一緒にお風呂に入りたがっていると言うことでしょうか。
　目の前の、パジャマ姿の茜ちゃんと、夕方、偶然見た、ヌードが重なって見えました。
　姉がなぜためらうのか、理由のわからぬまま、圭司君は、疲れたのでしょう、布団に身体を移してパンツをはき始めました。
　ふと、思いついたように、姉を見上げます。
「ねえ、お姉ちゃんはいいの」
「いいのよ、けいちゃんが苦しそうだったから、手伝ってあげただけ。でも、これっきりだよ」
　茜ちゃんは、手の平をクンと嗅いでから、立ち上がりました。なんだか、一瞬私のペニスの匂いが嗅がれたような気がしたのです。胸がドキドキしました。
「もう、寝よ」
「うん」
　私は、そのままベッドに戻るしかありません。密かに愛読するＨ小説の主人公達のように、そのまま、巧妙に茜ちゃんを脅して、などということは考えもつきませんでした。
　部屋に戻ると妻は何も知らぬままよく寝ていました。
　妻の横に身を滑らせて目をつぶると、茜ちゃんの手に、私の大きくなったペニスが握られている姿が浮かんできました。
　その晩は、なかなか寝付けませんでした。