第６章 妻の変化

　風呂から上がってきた妻は、やや赤い顔をしていました。
　私と目があったとき、スッと目を反らせた妻を見て、ああこれは、やったんだと感じました。
　まあ、茜ちゃんも一緒だったことだし、そんなに、過激なことはできないだろうけど、洗ってやったり、触らせるくらいは、あったのだろうと想像します。
　後で茜ちゃんに聞いてみよう。
　どう聞けば自然に聞き出せるのかと考えながら、一方では全部しゃべってしまった方が良いのかとも考えました。何しろ、妻と何事かがあったはずの圭司君は、相当な刺激を受けたはずです。
　今のところ、二人が一緒の部屋にいても、妻は何も不安を感じていない様子が、男を知っている茜ちゃんと、毎晩のようにオナニーをしている圭司君が同じ部屋なのです。
　まして、圭司君は、お姉ちゃんの手で出してもらうことを覚えてしまっていました。
　多分今日も、圭司君は出したがるに決まっています。
「まさか、亜希子が、本当にするなんて」
　自分のことを棚に上げて、妻の意外な大胆さには驚きました。
　もともと性的なことには拒否的なはずでした。
　それなのに、自分の下着でオナニーをする「男」と風呂に入り、おそらくは、自分のカラダを、それも、多分、あの胸を触らせたのです。
　妻は、果たして「その」時、感じてしまったのでしょうか。私の頭の中で、圭司君に胸をいじられ、息も絶え絶えに喘ぐ妻の姿が揺らぎます。
　私以外の男に、感じさせられている妻の姿が浮かんだ途端、私のペニスが今日何度目かの復活をしたのです。
　自分でもなぜなのかわかりませんでした。
　女性がおっぱいを触られているシーンなど、いくらでも目にするし、ＡＶなど珍しくもありません。大人なら、誰だって、頭にそんなシーンを浮かべるのは簡単です。
　それなのに、今日、何度も放出したはずの自分が、触られているのが妻だというだけのことで、また、可能になってしまうことなど思いもよらないことでした。
　私は、そうやって妻が喘ぐ姿を見たいと思いました。
　今日の経験が、茜ちゃんとの関係を変えましたが、私自身を一番変えたのかもしれません。性に対して、パッシブからアクティブに変わったのです。
　以前だったら、見ることができたらという願望だったものが、何としても見てやろうと陰謀を巡らすようになってしまったのです。
　じっくりと考え抜きます。
　妻の喘ぐ姿を浮かべたとたん、ペニスが張り切ってしまったクセに、その一方で、やはり、男の支配欲、独占欲というヤツでしょうか、茜ちゃんが気になります。
　昨日見た、シーン。
　茜ちゃんが圭司君の細く、まだ幼い怒張をしごく姿が頭から離れませんでした。
　圭司君は、すでに、本物のセックスシーンを見てしまっています。相手が姉とは言え、一度は自分を気持ちよくしてくれた相手を、簡単にあきらめられるものでしょうか。
　既に、陰謀の一部は動いていました。実は、姉弟の部屋に、ワイヤレスマイクを隠してしまったのです。
　どうと言うことはない、普通のマイクですが、スイッチの赤いランプはワザと壊してありますから、万が一、見つかったとしても、スイッチが入っているとはまさか思わないはずです。
　もちろん、入念に試して、二人が「それ」をしそうな場所に向けておきましたから、ささやき声まで拾ってくれるはずです。おまけに、弱い電波は、マンションのコンクリート壁は通らなくても、部屋と部屋を隔てる仕切りなら、おそらく通るはずです。
　スイッチをオンにするタイミングが取れないので、みんなが風呂に入っている時につけておきました。このまま入れっぱなしにするしかありません。それでも、深夜まで十分音が拾えるでしょう。
　おやすみと圭司君達が部屋に入っていきました。さすがに疲れたのか、お姉ちゃんも一緒です。
　一緒に入っていく姿を見て、胸の奥がチクッとしました。
　きっと圭司君はお姉ちゃんに求めるに違いない。そんな妄想が、私の心にあったせいでしょう。
　私は二人が部屋にはいると、すかさず廊下を隔てた書斎に入りました。
　ヘッドフォンで聞くと、部屋の中で楽しげに今日の野球の話をする圭司君の声がきれいに聞こえました。
　たったそれだけの行為ですが、私は十分興奮してしまいました。しかし、欲望というのはエスカレートするもので、私は部屋の中を見たいと思いました。
　最近はビデオ用の小型カメラが出回っています。配線さえ引き回せれば、全ての場面を見ることは、それほど難しいとは思えませんでした。明日にでも、秋葉原にある、その種の専門店を尋ねてみようと決心したのです。
　二人の会話がちっとも、期待する方向に行かないうちに、あれやこれやと一時間がたっていました。
　私は、マイクの音声を拾うようにセッティングして録音スイッチを押しました。いささか旧式の語学練習用ですが、そのかわり３倍の録音時間が作れます。
　寝室では、既に妻がベッドに入っていました。
　珍しい。
　宵っ張りの妻は、この時間には、たいてい本を読むか、仕事の続きをしています。それが、今日は、パジャマを着てベッドに入っているのです。
　珍しいね。
「うん、今日はなんだか疲れちゃったから」
　ふうん。
　私は、服を全て脱ぎ捨てながら、何気なさを装って尋ねます。妻の何気ない表情に、わずかな違和感を覚えます。
　どうだった？
「え？何がよ」
　わかってるよ。どこまで？
「だから、何のことよ」
　私は、裸になると、妻の方を向きました。私の腰からは、はやくも期待に満ちた怒張が突き出ているのが見えるはずです。
　自分でもいささか、今日は度を超えているなと思いながら、それでも、妻に、その怒張を見せびらかしながらベッドに近づきます。
　夫婦の約束ごとで、私が裸でベッドに入る時は、セックスの要求です。
　妻は、よほどのことがない限り応じてくれることになっています。もっとも、この合図を使って良いのは、年に何度もありませんでしたが。
　それだけに、妻は、私の怒張から目を離せなかったに違いありません。　
「いったい、どうしたのよ」
　私が、大きくなったモノを左右に揺らしながら近づいてくると、さすがに目を逸らせながら聞いてきます。
「昨日もしたばっかりでしょ」
　ほんわかした拒否の言葉を口にするワリには、妻の口調に、何事かの熱を帯びているように感じます。
　私は、何も答えず、ベッドに滑り込み、妻にキスをします。
「まだ、子ども達も起きてるわよ」
　本当にダメなら、この時点でキスを拒むはずでした。しかし、妻は自分から私にしがみついてきたのです。拒否とは明らかに違う、積極的な行動です。
　妻の手に力が入っていました。
　大丈夫だよ、疲れてたみたいだからね。ゆっくりと始めようよ。
　私は、ついばむような動きで唇に短いキスを重ねます。
「あうう」
　キスだけで、こんな声を出すのは珍しいことでした。
　興奮してるの？
　ううんと首を振りますが、目が潤んでいます。
　私がパジャマのズボンに手を入れようとすると、妻があわてて、私の邪魔をします。しかし、力が入らないのでしょう。私が妻の両手を重ねるようにして持ち上げると、ダメっと言いながら、顔を背け、抵抗しなくなりました。
　私は左手で妻の手を押さえたまま、ゆっくりとウエストからズボンに手をくぐらせました。パンティーのゴムの隙間に手を差し込みます。
「あぁ」
　さわさわとした茂みに触れると、妻はため息を漏らしました。
　そのまま妻の秘唇に指を伸ばします。
　あれ？　なんで？
「ああ、しらない…」
　そんなことないでしょ。
　私は、大きく指を使い、ぬかるみをすくい上げる動きをしました。
「ああん、やめて、ゆっくりするんでしょ」
　え？ゆっくりだけど。
　私は指をゆっくりと大きく、繰り返し動かします。
「ああ」
　妻が目を閉じたのは、逆らわない合図だったのでしょう。しかし、私は、手を押さえたまま、上衣のボタンをゆっくりと外していきます。
「ゆっくり、ゆっくりっと」
「ああん、ずるーい」
　既に妻の声には、しっとりとした媚態が含まれていました。
　私は押さえている手を離さずに、右手一つで、ズボンと下着を脱がします。妻は何も言わなくても腰を上げ協力してくれました。
　ゆっくりと妻の足の間に移動しました。
　まだ、妻の両手を押さえていました。妻は大人しく、されるがままです。
　ふと思いつきました。
　ボタンを一つ一つ片手で外していくと、妻はまた、ため息のように、ああ、とつぶやきました。
　妻が、手を押さえられていることに反応している！
　私は一度妻の手を押さえていた手を離し、パジャマをめくりあげました。そのまま、セーターを脱がすようなやり方で、上に脱がしていったのです。
　途中まで。
　私は、頭の上で腕を抜く最後の段階で、手首の所にわざと脱がしかけのパジャマをくるくると巻き付け、腕から抜けないようにしたのです。
　ちょうど、パジャマで拘束されてしまった形です。
　えっと言う感じで上を見上げた妻は、自分の腕が抜けなくなってしまったことを知ったのです。
　そのまま、妻の上に倒れ込み、妻の拘束された腕を押さえながらささやきます。
「ほら動けないだろ」
「ああ、そんなあ、あなた、どうしたの」
「言うこと聞くんだよね」
「ああ、なんだか、こわいわ。ね、取って」
「言うこと聞くんだろ」
　そう言いながら、私はピトピトと妻の秘所に怒張を突くようにくっつけます。びしょびしょの妻の秘所は、その刺激で、ヒクンと動くのが、感触でわかりました。
「言うこと聞くんだろ」
「ああぁ、あん、はい…」
　拘束したことが決め手なのでしょうか。それとも先ほどの風呂からの刺激なのでしょうか。妻はすっかり、昨日の通りの従順な様子になってしまいました。
「ほら、これで、君は動けない。手を縛っちゃったからね。動かせないよ。動かすとお仕置きが待ってるからね」
　私は、妻の拘束した両腕に枕を乗せ、その枕に妻の頭を乗せました。もちろん、その気になれば、いつだって、腕を抜くことができるはずです。
　しかし、すっかり私のペースに乗せられた妻は、あたかも、本当に縛られているかのごとく、イヤイヤをして見せました。
「うん、良い子だ。さ、ごほうびをあげようね」
「ああ、ああ」
　一気に貫きました。
　拘束された姿の妻が、なぜか、いっそう従順な色気を出していることで、すっかり大きくなっていたのです。これでは、まるでＳＭだなと思いましたが、いや、ＳＭそのものだと思い直しました。
　妻は、両腕が拘束されたことで、今まで見せたことのないような、頼りなげな風情で感じて見せたのです。
　秘唇の潤いは、前戯もそこそこだったのに、私を迎え入れて、早くもうねうねとうごめいていました。
　妻の中は、昨日のように、肉壁という肉壁が私を包み込むようにうごめいていました。怒張をうねうねと包み込む動きは、たまらない刺激です。
　しかし、さすがに、私には、まだまだ余裕がありました。いきなり、追い込むよう腰を大きく打ち付け、妻の中をこすりたてます。
「ああ、いい、ああ、あなた、ああ」
　妻は、早くも悲鳴のように快感を告げ、もっともっと、と身体で催促します。
　あと何度か往復すれば、おそらく達してしまうであろうというところで、私は怒張を引き抜きました。そして、ぴたりと入り口にくっつけます。
「え？ああ、ああ、なんで、あなた、ああ、おねがい」
　妻の腰がヒクヒクと動いています。ヌメヌメとした秘口の中に入らないように、しかし、ぴったりとくっついているように慎重に間合いを取ります。
　妻は、言葉にできない不満を、悲鳴のように、ああっと声を出します。焦れたように腰を動かしますが、もちろん、これ以上、中に入らないように動きを合わせます。
「ほしい？」
「うん、あ、あう、いやぁ」
　とっさに、素直な返事をしてしまってから、恥ずかしそうに顔を背けます。
「入れてあげようかな」
　妻は目を閉じたまま、じっとしています。期待を込めた表情です。おそらく、このまま、私の怒張が、ズブリと肉をかき分けるのを期待しているはずでした。
「ね、喋ってくれたら、ごほうびだよ」
「なに？」
　妻は、ようやくこっちを向きました。顔を見られるのが恥ずかしいのか、こちらを向いたとたんに私の首をギュウと抱きしめ、くっついてきます。
「今日のお風呂のコト。ちゃんと喋ったら」
　私は、ごく浅く、入り口に侵入して見せます。
「ああ」
　素早く抜き取り、またくっつけただけの状態にすると、媚態を含んだ、恨みがましい声で、いじわる、とささやいてきます。
「さ、ちゃんと話してくれたら」
　私はまた、軽く挿入し、抜き出して見せます。
　妻は抜き取ろうとする私の動きを引き止めようと腰を動かして追っかけます。しかし、拘束された妻は、動くのもままなりません。
　あっさりと、私に引き抜かれてしまうと、もうダメ、お願いと懇願するような小さな悲鳴を上げます。
「さあ、お風呂であったことを教えてごらん」
　そうやって、妻を問いつめた結果、予想もしていなかった、いえ、期待以上のことをしゃべってくれたのです。

　あのね、ホントよ、お風呂に入る時まで、そんなつもりなかったの。でもね、うん、だって、圭ちゃんの目が、うん、そうなの、せつなそうな目をしてたの。
　だから、つい「洗ってくれる」って、気がついたら、そう言っちゃってて。
　あぁ、あなた、切ないわ、もう少しだけあう、あう、いじわるぅ。あん、話すから、ね、少しだけ、あ、あうう、はうう。
　えっと、そうよ、つい言っちゃったの。そしたら、うん、やっぱり男の子よ。ううん、あれ、あの目、まるであなたみたいに、エッチな目になったの。あん、いじわるぅ。ちゃんと喋ってるんだから、離しちゃいやあ、あう、はう、ああ。そうよ。あう。
　あの目、キラって光ったみたい。なんだか、男の人にとんでもないこと言っちゃったって気がしたんだけど、あう、あん、もう、あう、そ、そうよ、もう遅かったみたい。
　
　妻はその瞬間、何事かを思い出したように、ひくりと身体を震わせました。まさに、その瞬間、圭司君は男の目になったのに違いないのです。
　あこがれの先生の身体に堂々と触ることができるのですから、それでギラつかない男などいないはずです。
　しかし、その後の展開は、少々予想と違っていました。
　どうしたことか、急に、茜ちゃんまでが、私も、と申し出て、勝手に半分こっと決めてしまったそうです。その上、茜ちゃんは、私がしているようにスポンジではなく、直接手にボディーソープをつけて洗い始めたそうです。その手つきはまるで私のようだったと、ちょっとドキリとする妻の言葉でした。もちろん、妻は、Ｈな手つきという意味で言っているだけでしょうが。
　もちろん、圭司君はお姉ちゃんのマネをします。
　二人とも無邪気さを装っていたようですが、妻にははっきりと感じられたそうです。
「もう、わけがわからなくなってしまったわ。あの子達、あれって、絶対…」
　二人の手つきは、洗う手つきと言うより、あちこちを触って、感触を楽しんでいるようだったと言います。
「ああ、そうなの、胸を、そうなの、あう、ね、もうちょっと、ね、もうちょっとちょうだい」
　いつにない、積極的なおねだりに、少しだけ怒張を進めました。
　目を閉じた妻は、口を半開きにしたまま、おぉと声が漏れました。そのまま、先端を入れたままの怒張をわずかに動かして、その先を催促します。
「あん、あう、だ、だめぇ、ずるい、あん、もう…　あのね、二人とも、ち、あうう、そうよ乳首まで摘んできたんだもの。あうう、もう、なんだかわかんなくなっちゃいそうだったの、ああん、もう、もう限界よ、狂っちゃう、お願い、…入れて！」
　これほど切迫した妻は初めてでした。そろそろ限界に来たのかもしれません。
　いくよ。
「ああ、あなた、お願い」
　目一杯大きくなった怒張を、一気に突き入れます。
「ああん、だめぇ、ああ、いい、もっとぉ、あああ！あう！」
　はあはあ。
　妻は一突きで達してしまったようです。妻のからからぐったりと力が抜けてしまいます。目を閉じたまま、ハアハアと喘ぐ妻は、寝てしまったかのように、反応が無くなります。
　しかし、さんざんに、狭く、窮屈に締め付ける秘口に出した私には、まだまだ余裕があります。そのまま、ゆっくりと抜き差しを再開します。
　妻の美肉は、茜ちゃんの、ギュウという締め付けとは違いますが、かといって、ゆるんだ場所は少しもなく、やわやわと、そのくせピッタリと私の怒張を包み込んでいました。
　わずかに、身じろぎをして、妻のナカで動かします。
　あん、と小さな声を立てて、遠ざかりかけていた様子の妻の意識がはっきりしてきたようです。
　ね、胸を触られた後、ここはどうだったの？
　私は、ここと言いながら大きく動いて見せます。きっと濡れていたはずです。
　どうだったの？
　私の言葉に応える余裕もないように､不自由なままの手で、しがみついてきます。
「ごめんなさい、あ、もう、あなた、また、来ちゃいそうなの、ああ」
　私は､腰を逃がすようにして、ごく浅くしてしまいます。
「そんなあ、あなた意地悪しないで、ひどい」
　ちゃんと侍ってくれなくちゃ。どうなの？
「感じてたの。ああん、ごめんなさい、だから、茜ちゃんが、ここもって言ったとき」
　妻の美肉が私を強く締め付けます。茜ちゃんが狙ったのは、妻の秘唇そのものだったのでしょう。もちろん、圭司君も、触ろうとするに決まっていました。
「ああ、慌てて逃げたの。怖くて。どうなっちゃうのかわからなくなったの。あん、きっと濡れてたと思うわ。ねえ、お願い、もう、もう、ください、ね、あなた」
　くくられたままでしがみつく腕には､いつになく力が込められています。
　あと一つだけ。
　圭司君、大きくしてなかった？
「わからない」
　そんなはずはないよ。正直に言わないと、抜いちゃうよ。
　私は本当に抜いて見せました。
「ああ、だめぇ、いじわるぅ、抜いちゃいやぁ」
　甘く媚態の含んだ声で妻がおねだりします。ここまで、妻が露骨にほしがるのは、めったに、いえ、一度たりとも見たことがありませんでした。
　ダメだよ。ちゃんと言うこと聞くんでしょ。
　コクコクと機械のように、うなずきます。もう妻は、自分の中を満たして欲しい一心なのでしょう。
　さ、言ってごらん。大きくしてた？
「大きくなってたの。あぁ、知らないフリをしてたけど。あんっ、すっごく大きくなって、カチンカチンだったの。先端の赤い部分が見えていたわ」
　おそらく、仮性包茎の包皮がめくれるほど大きくなっていたのでしょう。妻は、しっかりと、若いオスのペニスを、それも包皮が剥けかけた様子まで見ていたのです。
「入れて欲しいと思った？」
「え？」
　圭司君の、硬いオチ○チ○。
「そ、そんなわ、そんなことないモン、そんなこと、ああう、あう、ないモン、ああん、あなただけぇ」
　何度も、否定しますが、何となく、そう思ったのではないかと思わせるような狼狽ぶりでした。
「ほしい？」
　その様子を見て、ふと思いつきました。
「ああ、欲しいわ」
　熱を帯びた声でした。
　じゃあ、圭ちゃん入れて言ってごらん。
「ああん、あう！」
　その時驚いたことが起きました。くっつけていただけの妻の秘唇がヒクンヒクンと動いたかと思うと、妻が達してしまったのです。
「ひどいわ、そんなこと、言えるわけ、あん」
　まだ、興奮の頂から降りきっていない妻の中に、カリの部分まで入れたのです。妻は、言葉で達してしまった頂から、降りられなくなったようでした。
「欲しい？」
　うんうんと妻は、もうコントロールが効かない様子です。
「じゃあ、言うんだよ。言えるだろ」
「ああ、無理よ、お願い、もう」
　ほら、ほんの一言、言えば、あげるよ。
　私自身も、最大限に大きくなっています。若いオスのようにはいかなくとも、十分に硬くなった怒張を、ぬかるんだ入り口で、わずかに左右に振って見せます。
「ああ」
　さあ、言ってごらんよ。圭ちゃん入れてって。
「ああだめぇ､言えない」
　しかし、もはや､身体の疼きが、たまらないのでしょう。大きな喘ぎ声が漏れます。快感と、逝く手前で焦らされた疼きの狭間で、はあはあと喘ぎながら、妻はとうとう口にしてしまったのです。
「圭ちゃん入れてぇ」
　もはや、声の大きさまで気が回らないのか、思わぬほど大きな叫びになりました。
　私は、即座に、無言で一番奥まで突き入れていました。
「ああ、いい！」
　妻はヒクヒクと足がけいれんするように私を抱きしめる動きをします。妻のしなやかな脚が、私の腰に回されます。またもや、軽く達した気配です。
　こんな風に崩れるように逝くのも初めてなら、自分から、こんな体勢を取るのも初めてでした。
「お願い、手をほどいて、ああう、お願いよぉ」
　もどかしげに妻が懇願します。その手は、私をしっかりと抱きしめたがっていました。オンナは、愛する相手を抱きしめながら、達したいモノなのかもしれません。
　私は、ゆっくりと腰を遣いながら、妻の両手をほどいたのです。
　ほどくと同時に、待ちかねた妻の両手は私の背中にぎゅっと回されました。
　力一杯、私を抱きしめながら、恥ずかしい、とささやいたのです。
　はたして、これは、拘束されたことがでしょうか、それとも、圭ちゃんと叫んでしまったことを言っているのでしょうか。
「ほら、ほら、エッチになっちゃったね、もう、どんなことでも抜かれたら、我慢できないだろ」
　コクコクと、機械仕掛けのように頷きながら、しがみついています。
　私は、ほらほらと動かしながら、さらに追い込むべく、妻の耳にささやきました。
「せんせい、きもちいい？」
　私は、圭司君の口調をまねしたのです。効果はてきめんでした。
　入り口がぎゅうっと強く締め付けたかと想うと、中へ中へと誘い込むようにうねり始めたのです。
「ああ、あなた、やめて、ああ、あなた、ああ、やめてったら」
　今入っているのが、夫のものであることを自分に言い聞かせるように、しきりに、あなた、を連発します。相変わらず、ヒクヒクヒクと痙攣するような動きと、ナカへと誘うヒダの蠢きが、何とも言えない快感を生み出してきます。
　妻の中の極楽と言っても良い動きに、限界に近づきつつあります。多分、昼間のことがなければ、ここまで耐えることは不可能であったでしょう。しかし、私は、自分を、もう一度戒めてから、大きく動かしました。
「せんせい、気持ちよくないなら抜いちゃおうか」
「ああ、いやぁ、いじめないで」
　もう、あなた、とは言いませんでした。代わりに、喉が何かを飲み下したかのようにこくりと動いたのです。そして私への締め付けが突然さらに激しくなりました。腰がガクガクとけいれんするように動いています。
「せんせい、きもちいい？」
　もう妻は限界でした。うん、と言いながら、今にも達しそうです。大きく腰を打ち振って、妻の一番奥へと打ち込むと、先端がプニュリとした感触に突き当たります。
　子宮口か。
　そう思った瞬間でした。
「圭ちゃん、いいの、ああ、いいの、ああ、せんせい、ああ、い、いくっ！」
　腰を突き上げるように動かしながら、妻は息をするのも忘れたように、ああと長く細い悲鳴を上げながら、ブリッジを作りました。
　そこが、私にも限界でした。
　妻が自分以外の男の名を呼びながら達してしまったことが私のスイッチを押してしまったのでしょうか。腰から溶けていってしまいそうな、そして、最大限にふくらんだ私の先から、とめどなくはき出されるのは、どうしようもなく熱くたぎった溶岩でした。
　今日、何度目かの、そして最も激しい射精でした。

　私自身も消耗していたのでしょう。気づいたときには、朝になっていました。
　疲れたとはいえ、普段よりかなり早く寝てしまった私が起きた時は、まだ、目覚ましが働くまで十分時間がありました。
　
　妻もあのまま寝てしまったようです。布団をいつの間に掛けたのか、全裸に布団だけ掛けて、まだよく寝ていました。
　そっと、風呂場に行きました。まだ、はっきりと目が覚めていない私は、シャワーを浴びようと思ったのです。裸のままの私は脱ぐ必要もなく、そのまま素通りしようとした脱衣所の籠がふと目に入りました。
　そうだ。
　私は、昨日の圭司君のことが気になりました。
　籠の中を見ると、妻のブラジャーが、丸められ、隅の方に隠すように入っていました。触るまでもなく、そこから青臭い、独特の匂いがしています。
　私はなんだか、ときめくような、それでいて、安心したように感じました。
　妻の下着が汚されたのです。若いオスのオナニーの道具にされた下着は、ほとばしるような若いオスの精をしどどに浴びたのです。
　妻の下着を汚した若いオスは、オナニーをしながら、実際にその手で触った胸の感触を思い出していたはずでした。彼の頭の中では、妻を屈辱的な姿勢で犯しているシーンが次々に浮かんでいたに違いないのです。
　昨夜のセックス。
　最後の瞬間、妻が、圭司君の名を呼びながら逝ってしまったのが気になりました。
　妻が他の男とセックスする。そんな非現実的な話は、今まで、時折、密かに想像するだけのはずでした。セックスに消極的な妻が､他の男の話など受け付けるはずもないからです。
　しかし、にわかに、現実味を帯びた気がしました。
　それにしても現金なものです。妻のナカにたっぷりと出して、今後の期待を思い浮かべながら、肝心の、そのオスが、昨日何をしたのか、気になりだしてしまいます。
　シャワーもそこそこに、書斎に向かいました。いささか旧式になってしまったラジカセの巻き戻しボタンを真っ先に押します。
　タオルであちこち拭きながら、ヘッドフォンを被ります。
「…ってきたんだ。だから、ぼくが投げたら…　キュルキュル　明日勝てばね…　キュルキュル　ほら布団、そっちもって…　キュルキュル　…ねがい、たのむよぉ、おねえちゃん　ガチャ」

『もう、しかたないわねぇ、もうしないっていったでしょ』
『だって、ほら、こんなになっちゃって』
『もう、わたしはあなたのおねえちゃんだよ、なんでこんなこと』
『ありがと、ああ、きもちいいよ、おねえちゃん』
　驚きました。茜ちゃんは、やっぱり昨日と同じことをしていたのです。それも、口では、こんなこと、と拒否していますが、弟の頼みを、わりとあっさりと受け入れたようです。
　茜ちゃんには、やはり、淫蕩な血が流れているのでしょうか。
『ほら、どう』
　さすがに、セックスを知ってしまった後です。弟のものとはいえ、男のモノを触れば、興奮せずにいられないのでしょう。どう、と聞く声も、どこか声が湿り、興奮が隠せない様子です。
『ね、おねえちゃん、せんせいのオッパイおおきかったね』
『うん、ほら、どう？』
『ね、おねえちゃんも、せんせいみたくなるの？』
　それに対する茜ちゃんの返事は、雑音に紛れ聞き取れませんでした。
『ねえ、おねえちゃん、オッパイさわっちゃダメ？』
『あたりまえでしょ。ダメに決まってるわ』
『なんで』
『なんでって、だって…』
　哀しげな圭司君の声に、茜ちゃんはちょっと弱ったような返事です。　
『お願い、ね、ちょっとだけ、ちょっとでいいから、触らせてよぉ』　
『もう。ちょっとだけだよ』
　布地がすれる物音だけがします。きっと、茜ちゃんが、パジャマのボタンを外しているのでしょう。
『ちょ、ちょっと、そっちはダメだって』
『だって、ボクだけ、はだかはずるいよ』
　しばらく、少し大きめの物音がします。おそらく、調子に乗った圭司君が、全部脱がそうとして、茜ちゃんがそれに抵抗しているのでしょう。
　ということは、もう茜ちゃんの上半身は裸になってしまったのかなと想像してみます。
『もう、ほら、これでいいんでしょ。もう、これだけだよ。これいじょうしたら、してやんないからね』
『ありがと、おねえちゃん』
　しばらく、小さな物音しかしなくなりました。それでも、かすかな空電音の向こう側で幼い快感に息を荒くしている音が聞こえるような気がします。
『いたっ。そっとよ』
　え？茜ちゃんの声です。そっと、って何を？
『わあ、やわらか〜い、でもせんせいのほうがおおきいね。かたさはおねえちゃんのほうかな、いて、ごめんよぉ』
『どう、まだぁ？』
　弟にあの発展途上のオッパイを触らせながら、あのカチンと音がしそうな怒張を動かしているのでしょうか。いつしか、私のものは、大きくなり、はち切れんばかりの自分の勢いに、自然に自分で握りしめていました。
『あ、おねえちゃん、でそうだよ』
『ほら、おねえちゃんのむねにだすのよ』
『あ、ああ、でちゃう、あう、おねえちゃん』
　茜ちゃんは、弟の射精を､あのふくらみかけた胸にさせたのです。圭司君は、そんなことを一言も要求していません。オトコの精を、胸にかけられるのを、茜ちゃんは自ら望んだのは、いったいどういうことなのでしょうか。
　しばらく無言が続きました。しかし、マイクはかすかな、何かがこすれるような音を拾っています。きっと、たっぷりと出した圭司君のものを茜ちゃんがぬぐっているのでしょう。
　あれ、それなら、あれはいつ出したのだろう？
　さっき確かめた妻のブラジャーには、確かに、強い匂いがしていました。いつの間に出したのか、不思議な気がしました。この年齢だと、いくらでも、精液が作り出せるのでしょうか。
『さ、もう、おねえちゃんねるから』
『うん、ぼく、オシッコいってくる』
　ガチャとドアの開く音がしました。
『おじさんたち、いまごろ、してるんだろうな』
　ドキッとしましたが、私がこれを聞いていることを知っているはずもなく、茜ちゃんの独り言です。ひょっとして、弟のモノをしごきながら、私と妻とのセックスを心配していたのでしょうか。
　少しの間、無音部分が続き、いきなり圭司君の声が入ってきました。
『おねえちゃん、おねえちゃん、またしてるよ』
　そのうれしそうな、それでいて興奮を抑えきれない口調から、それは寝室の私達のことだとわかります。
『いくなら、けいちゃんだけいって。おねえちゃんねむいの』
『チェ、きのうは、おねえちゃんがみようっていったんじゃないか』
　ガサガサ。
『って。わかったよ、ぶたないでよ。ボクだけみてくるね』
　ああ、これは。窓から出て行ったのでしょう。昨日は窓から見えたのですから。
　ほんのちょっとの間をおいて、戻る音がしました。
『きょうはあけないみたい。でも、なんか、せんせいのこえがきこえる。ドアのほうにいってみるね』
　私はぎくりとしました。録音された時間から考えて、このときは、妻に淫らな言葉を強いて、私まで夢中になっていたときです。
　どこまで聞こえていたんだろう…
　茜ちゃんだけ残ったのか、無音のままでした。
　私が、早送りボタンに手を掛けた瞬間でした。
『おじさん、茜にして、なんでもするから、セックスして、ああん』
　唐突に入っていたこの声は、いったいどのような心境からこれをつぶやいたのでしょう。いえ、つぶやくと言うには、余りにもハッキリと発音されていました。
　最後の、いやにしっとりしたため息のような声。
　私は、一人になったこの瞬間を狙って、茜ちゃんがオナニーをしたのではないかと想像してしまいました。しかし、それを改めて尋ねるわけにも行かず、きっと永遠に謎になってしまうのでしょう。
　私は、またまた続いた無音に耐えかね、倍速ボタンを押していました。
『キュルキュル　ガチャ　…ねえちゃん、おねえちゃん、ね、おきてよ、おきてよ、せんせいが、せんせいが、もう、しょうがないなあ。せっかくだいニュースなのに。せんせいがボクのなまえをよんでくれたんだよ。でもなんでなんだろ…』
　ああ、やはり聞かれていたのです。それも、たぶんクライマックスの瞬間でしょう。
　私が、この後どうすれば、さらに妻を淫靡な世界に陥れることができるかと考えている内に、テープは、もう、何も意味のある音を出さなくなっていました。　
　今日は仕事に行くフリをして、半日掛けて、目当ての物を手に入れました。驚くほど安く、性能の良いカメラが出回っていました。
　店で、さんざん説明を受けたおかげでしょうか。我が家に秘密カメラ網を張り巡らせるのに、それほど、たいした時間はかかりませんでした。
　幸い、レンズが小さい上に、整理整頓の神様に見放されて半世紀ぐらいたっているのかと思わせる我が家です。カメラを置く場所を選ぶのに時間はかかりませんでした。画像は電波で飛ばせるので配線は必要ありません。
　しかも、電波そのものは弱いため、コンクリートは通過せず、せいぜい３０メートルという到達距離は、私の黒い企みには、おあつらえ向きでした。
　マンションの向かいには、通りを隔てた建物しかありませんし、このマンションのよその部屋では、電波が遮られる。ということは、よそに電波は届かず、書斎の中で秘密を覗くのにはピッタリということです。
　今日は、迎えに行けないよ、と言っておいた茜ちゃんも、そろそろバスで帰ってくる時間でしょう。
　安かったので、余った予算で、少々旧式のハードディスクタイプも余分に買いました。なんとなしに買ってしまったのですが、これは他のカメラと違う使用法があるはずです。
　どこに置こうか考えているときに、茜ちゃんが帰ってきたのです。
　お帰り。
『ただいまぁ！』
　元気に私に駆け寄ってくると、直前でブレーキを掛けて急ターンしました。
　どうしたの？
『あの、汗かいちゃいましたから』
　そんな、気にしないのに、という声を背中に、茜ちゃんは風呂場に飛んでいってしまったのです。そんな背中を見ながら、追いかけて私も入ろうか、いや、そろそろ圭司君の帰ってくる時間かなと時計を気にしたときでした。
　電話が鳴ったのです。
　我が家の近所にある小さな個人病院からでした。警察官を名乗る人物が、告げたのです。
　圭司君が入院したと。