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【愛撫】

　二人ともソファーに戻り、彼女には座って足を広げるよう言い、オレは服を脱いだ。だが彼女は足をキュッと閉じ、手を膝の上においたまま例によって硬直している。オレの手で足を広げるまできっとあのままなんだろう。
　服を脱ぎ終わり彼女に近づくと、いつの間にか彼女は赤面していた。そして唐突にこう言った。
「あの、、、していただかなくて結構です。わたしの方が、、、しますので。」
　消え入りそうな声だったからというのもあって、最初、意味が分からなかった。
「はぁ？」
「いえ、ですから、この前のように・・・していただくんじゃなくて、わたしが・・・口で・・・いたします。」
　なるほど。そう言うのならクンニは後回しにしよう。しかしそれは口にせず、だまって彼女と場所を代わった。オレがソファーに浅く腰かけ、彼女はそのすぐ前の床にひざをついた。そしてすぐさま彼女は、苦手なものを食べるときの子どものように、目をつぶってオレのモノを口に入れようとする。
「いや、待って。」
　オレは彼女を止めると、両手を取って、モノを握らせる。
「その前に、手でさすって。それと、ちゃんと見て。どうなってますか、コレ。」
　彼女は気まずそうに見てる。一応じっと見ているが、凝視したいような目線をそらしたいような感じで、落ち着かない。
「どうなってますか。」
　もう一度尋ねる。
「堅くなってます。」
　彼女はゆっくり手を動かしながら消え入りそうな声で応える。
「いいですよ、もうくわえても」
　彼女は動揺が現われた顔を隠すように、オレの下半身に覆いかぶさった。
「んぐ、んぐ...」
　彼女はお上品に、音を立てないように、顔を前後させモノを出し入れしている。
　前回、鈴木にしているのを見て思ったとおり、ぜんぜん経験がないわけでもなさそうだが、あまり上手でもない。歯を当てたりするような粗相はせず、ずいぶん丁寧ではあるのだが、刺激がソフト過ぎる。根元をしごいている手も丁重過ぎて物足りない。
　オレはしばらくそのソフトな刺激を楽しんでいたが、彼女が顔を前後して出し入れするばかりで一本調子なのにも飽きて、少し「指導」をすることにした。
　彼女を止めて、モノの裏側やカリクビなどを指差しつつ...
「ここを唇でこう刺激するんですよ、あるいはここをこう・・・」
「それをすると男はムズムズしてくるから、その後に全体をパクッと・・・」
　もともと物事をていねいにする性格のようで、コツを教えると飲み込みもはやい。
「ほら、顔を上げて。男の表情でどうするのがいいのか知るんだ。」
　少し顔を上げた。小さな顔の小さな唇の中にオレのモノが収まっていて、見ていてすごくエロティックだ。
「・・・してるとこ・・・見ないでください」
　一瞬、口から出して言う。無視してジッと眺めていると彼女は恥ずかしそうに目を伏せた。
（ううう、気持ちいい。）
　やっと羞恥心も薄れてきたのか動きも大胆になってきた。しかし刺激は相変わらずソフトで、だからなおさら挿入欲をそそられる。ムズムズしてたまらない。
（クンニはなしにして、もう入れてしまおうか？）
　しかしここは我慢することにした。まだ二回目だ。身体も心もたっぷりと攻め過ぎるほど攻めなければならない。
「ありがとう、気持ちよかったよ。」
　オレはソファーから立ち上がり、手を取って彼女も立上がらせた。そして、背中に手を回し、再び濃厚なキスをした。

＊　＊　＊

　舌が絡み合う・・・みほはすっかり、うっとりとした気分になってしまっていた。一生懸命にフェラをしている間にすっかり頭がぼうっとなり、理性が沈黙してしまっているところに、恋人同士のようなキスをされたからだ。
　フェラをすると自分から言うのは思い切りが必要だった。男性器を口に含むのは、今まで何度か、夫に言われるまま、やったことがあった。薄暗いベッドルームでごそごそと口の中で夫のモノを出し入れするだけのことだった。彼女自身、ひどく抵抗を感じながらしぶしぶという態度だったし、夫もたいして気持ちよさそうではなかった。
　しかし今日は違った。明らかに夫のモノより太く硬く黒いモノを明るい照明の下で見させられた。
　それだけでもう自分の心拍数があがるのがわかった。そして言われるままに愛撫し、興奮で男性器が堅くなったり、男がとろけるような表情を見せたり・・・
　そのとき、みほの背中にあった男の両手が上下に分かれた。片手は腰からヒップのあたりを、もう片方はうなじから肩にかけてをなではじめた。
（いやぁん、きもちいい。。。）
　男の背中にまわしたみほの手に思わず力が入る。
（ダメ、しっかりして、感じちゃダメよ。）
　自分に言い聞かせるが、ぞわぞわとした快感が足先から頭まで全身を駆け抜ける。
　男はやっと唇を離し、彼女をソファーに座らせた。両足を掴んでゆっくりと押し広げていく。
「あかり、暗くして・・・」
　思い切って甘えた声で言ってみる。
「ふふ、後からな。」
　却下されたが、あまり強く要求するわけにもいかない。彼女は目を閉じた。
（ああ、いれられちゃう・・・）
　この前のときと違って今度は、二回目だからか、嫌悪感などの抵抗はかなり少なかった。しかし、男の気配は自分の体を通り過ぎ、さらに下まで行った。彼女は何が起ろうとしているかすぐに理解した。
「あ、やめてください。」
　しかし見ると男はニヤリとしただけで何も応えない。
「結構です、していただかなくても、結構ですから・・・ああぁ、見ないでください。」
「たっぷり鑑賞するために部屋もまだ明るいままにしておいたのだから、当然見ますよ。」
　これを避けたくて思い切って自分からフェラを申し出たのに。。。
「奥さん、オレのをくわえている間にずいぶん濡らしちゃったみたいですね。」
　足を押し広げられただけで陰唇は大きく口を開けてしまっていた。そこから溢れださんばかりに溜まっていた愛液を男は中指の先につけて、クチャクチャとひわいな音を立てる。
「それに、クリもすっかり立ってしまってるし・・・クンニされるのを待っていたんでしょ？」
　男は指をゆっくりと上に動かして、彼女の突起を、円を描くように撫でる。指先はそこに触れるか触れないか程度で、だから刺激としては弱いはずなのに、ぞくぞくするような反応が身体じゅうを駆け巡った。
（どうしよう？まるで下半身だけどっかに飛んで行ってしまいそう。）
　男は指先で、わずかに強弱を付けながら速さもわずかに変えながら、彼女の興奮の証しを撫でまわし続ける。
（ううう、きもちいい、、、ああ、むずむずする、、、もっと、、、いや、もうだめ、、、）
　あまりにも刺激が強過ぎるような、それでいて焦れてしまってるような、そんな感じだった。
「奥さん、すごいですよ、クリはコリコリに堅くなっているし、あそこからはどんどん愛液が溢れてくるし。」
「ああ、もうダメ、止めてください。見ないでください。」
「なんですか、やめてもうそろそろ口でして欲しいんですか？」
（そうだ、口でして欲しい、この前のように口で・・・）
「そんなんじゃありません、、、」
「まったく、素直じゃありませんなぁ。」
　男は指でクリトリスをさすりながら、アヌスとワギナの間あたりに舌先をつけた。そしてそれを上に移動させ、クリトリスのすぐ下まで舐めあげた。さっきまでとは違った感じの電流が全身を駆け巡る。
「あぁ！」
　彼女の声を聞いて、男は何度も繰り返し舐めあげた。
　気が変になりそうだ、言葉が出ない、意味もなく涙が出そうになる。男の方を見ると、目があった。さっきからずっと彼女の表情を観察していたのではないだろうか。
　男はフッと微笑むと、ついに彼女のクリトリスを口に含んだ。

＊　＊　＊

　今、全身の神経が集中してしまったようになっている突起を口に含まれて、まるで下半身全体が男の口の中に収まったような錯覚を覚えた。
（きもちいい、、、）
　実際に声に出してしまいそうになるのをやっとの思いで我慢した。
　しかし、男はひとおもいにはイかせてくれなかった。またさっきの指のときと同じように、舌先をクリの頭にほんのかるく触れさせ、小さく円を描いて動かした。
　快感を産み出している突起がこれ以上なくしこっているのが自分でもわかる。男の舌先に込められる力が少しづつ強くなる。ゾクゾクともビクビクとも、なんとも表現しがたい快感が波のように全身を走り回る。
（このまえよりも気持ちいい、、、）
　この前もあまりの強烈な、生まれて初めての感覚に驚き、戸惑ったのだが、今日はそれ以上だった。
「うっ、、、」
　まったく我慢などするいとまもなく、彼女は絶頂に達した。断崖絶壁からまっさかさまに海に飛び込むように。失速したり途中で止まったりなどまったくなく。かろうじて歓喜の声をあげてしまうのは我慢したが、足は引きつったように伸びきり、手はソファーをギュッと掴んでしまっていた。
　しかし男に愛撫をやめそうな気配はない。それどころか、彼女の腰を掴んでいた両手を上の方に持ってきて、彼女の胸を愛撫し始めた。人差し指と中指の間に乳首をはさんで刺激しながら、手のひら全体で胸をもむ。ときどき手をはなし、人差し指と親指でコリコリと強めの刺激を乳首に与えたかと思うと、また胸全体を刺激する。
「はあ、はあ、はあ、、、」
　激しい呼吸があえぎに変わりそうになるを必死でがまんする。
（でも、我慢して隠そうとしたって無駄なんじゃないだろうか？相手から見たらもう感じてしまってるのはみえみえなんじゃないだろうか？）
　一瞬、ビデオに写っていた自分の痴態が思い浮かぶ。しかしすぐに大波にさらわれてそんな考え事をしている余裕は消え去る。
　快感が、潮が満ちてくるときの波のように次から次へと押し寄せる。絶頂へとみほを押し上げ、一瞬だけひくが、すぐに次の波が直前以上の絶頂へと押し上げる。これ以上もないほど感じているという状態が、すぐ直後には更新される。ほとんどイキっぱなしと言ってよかった。
（もうダメ、気が変になっちゃう、どうなってもいい、ガマンなんてできない。）
　彼女はどうしていいか分からなかった、いや、自分でもどうしたいのかさえ分からなくなっていた。
　わけも分からず大声をあげて暴れだしそうになっていたとき、新たな刺激が加わった。
「・・・・・」
　いつの間にか手は胸から下半身に戻っていた。そしてその片手の指を彼女の中心に潜らせてきた。クリトリスから得ていたのとはとはまた違う快感が全身を駆け回る。そしてその快感に呼応して、クリトリスからの愉悦も倍増する。
「ああ、、、ああ、、、あっああっ、、、」
　自分がよがり声をあげているという自覚はあったが、もうそれを押しとどめる気力は残ってなかった。今まで絶頂だと思っていたところの遥か上に別の絶頂があって、そこまで竜巻にのみ込まれ一気に巻き上げられたような気がした。
「ああっ、、ああっ、、ああっ、、、」
　ずっと舞い上げられてしまったまま、彼女のは地獄のような悦びが果てしなく続いていくような錯覚に陥っていた。