３．

　みると鈴木は彼女の口の中でイったようで、ナニを口に差し込んだまま彼女の鼻をつまんでいる。
　彼女は今ごろヤツのザーメンを飲み込みながら、目隠しのしたで悔し涙をながしているのだろうか。
　ああ、かわいそうに。
　オレは腰を前後させてゆっくりと出し入れし始めた。彼女は放心したようにぐったりしている。鈴木はまた彼女の背中とソファーとの間に戻って、背後から彼女の両足を抱えた。もう暴れられても大丈夫だからと目隠しを外した。
　彼女はまぶしいからか、それとも現実に目を向けるのがいやだからなのか、横を向いて目をつぶったままだ。オレはゆっくり出し入れしながら...
「奥さん、ずいぶんご無沙汰だったんじゃないですか？入れたらすぐにイっちゃいましたよね。」
　彼女は無反応だ。今さらながらに感じてないふりをするのが哀れにさえ感じる。
「あんな夫に抱かれるのが...奥さんほったらかしで、よそでオンナ買って、しかも中学生のガキを買って、奥さんをその埋めあわせに使う夫に抱かれるのがいいんですか？奥さんとのセックスに４百万の価値を認めている男に抱かれる方が女として幸せじゃないですか？」
　彼女は薄目をあけて、横目でチラッとオレを見た。正直な女だ、動揺しているのが手に取るようにわかる。
　そして、それからやっと、三脚に乗ったビデオカメラに気づいた。
「ああ、やめて。アレを止めて。いや、いや。」
　急に必死に暴れだす。こういう性格の女なら、当然、セックスシーンをビデオに撮られるなど、この上もなく堪えがたいことであろう。
「残念だけど、最初から回ってるんですよ。今さら止めても無駄ですな。まあ、われわれの防衛手段の一つですな。最後にはビデオテープも一緒にお渡ししますからご安心を。」
　彼女は無視して小柄な身体を暴れさせたが、両手は縛られ、両足は二人の男に抱えられ、身体の中心は串刺しにされているので身動きがろくに取れなかった。しばらく無駄にジタバタと暴れていたが、じきに諦め、逆にぐったりと静かになった。
「奥さん、奥さん」
　放心してしまって言葉が素通りするようになってはつまらない。しつこいほど「奥さん」と呼びかけてから言葉をかける。
「奥さん、出し入れだけでは物足りないみたいですね。」
　淡白な夫のせいで中はあまり開発されてなさそうだ。出し入れしても、感じてはいるようだが、がまんのできる範囲なんだろう。まあ、もっと感じるようになるように開発してゆく楽しみがあると思えばいい。
「でもクリトリスは人一倍感じやすいみたいですね。ダンナさんに相手にしてもらえなかったから自分で慰めて、クリトリス、こんなに敏感になっちゃったんでしょ。」
　さらに出し入れを繰り返しながら、言葉攻めを続ける。彼女は顔をそむけたままさらに紅潮させ唇を噛んでいる。まだ羞恥心が残っているのか、かわいいやつだ。
　すでに終わった鈴木をあまり退屈させてもわるかろう、もうそろそろ最後のステップへ移ろう。オレはニヤリとしてヤツに脇のかばんから取り出したローターを手渡した。
　彼女の右足はかわりにオレが左手で抱える。ヤツは空いた右手でローターを持ち、振動を「中」くらいにする。そしてオレの言葉を待って、それを彼女のクリにあてた。
「奥さん、もっと気持ちよくしてあげますよ。今度はあばれちゃダメですからねぇ。」
　ローターがクリにあたるとその刺激に驚いたのか、目を大きく見開き正面を向いた。
「あ、これダメ。お願い、やめて。」
　声が震えて、歯の根があわなくなりかけている。
「奥さん、こういうの使ったことあります？大人のおもちゃ。」
　抜き差しの速度をゆっくりに、腰の動きを大きくして、返事を待つ。だが、やはりそんな質問には答えない。
「そうですか、使ったことありますか。珍しくはなかったようですなぁ。」
　その言葉にあわてて反応する。
「使ったことなんかありません！」
　もう息も絶え絶えになりつつある。さらにローターの振動を「強」にまであげ、抜き差しの速度もあげた。
「いや、ダメ、動かさないで。」
　中がひくひくと動いている。クリへの刺激の相乗効果で中の刺激も倍増してるのだろう。
「ほら、もうそろそろラストだから、心置きなく感じなよ。」
「いや、感じてなんかない。」
　と言いながらもう目も開けてられず、言葉も最後まで続けられない。
「もう、何度もイッちゃって、あそこもベトベトに濡れているのに...　何を今さら我慢するんです？」
　彼女はイキそうになるのを必死に我慢しているので、中が余計にヒクヒクとうごめいてしまう。オレももうそろそろだ。出し入れを速める。急に膣口がキューとしまり、膣の奥が膨らんだ。ああ、でる！
「あぁ、あぁ、あぁあああ！だめぇ！あああ！」
　オレが中に体液をぶちまけるのと、感極まった彼女が小柄な身体からは信じられないほどの力でと暴れ出すのはほとんど同時だった。しかしそれも、鈴木がローターをクリから離してやるとやっと大人しくなった。
　あ〜あ、射精の直前に抜いて中出ししないつもりだったが、あまりの気持ちのよさについつい中に出してしまった。しかしまあ、この胸の張りなら数日後には生理だろうから心配はいらないだろう。
　まだ柔らかくなってしまってはいないオレのモノを根元までぐっと戻してやる。
「うう...」
　まだ余韻が残っているらしい。放心したようにぐったりしていたのに、反応がかえってくる。
　最後まで羞恥心を失わなかった。途中で泣きはしたが、その後はずっと涙も堪えて気丈な女だ。でも、性感の感度はいいときてる。。。期待以上だったな。
　向かいで鈴木が、オレの考えていたことを見透かしたようにニヤニヤしている。オレもニヤリと笑って返した。

　　　＊　＊　＊

　彼女は取り憑かれたように急いで服を着ると、今度は逆に放心して部屋の壁の前でぼぅっと立ちつくしていた。オレは不自然なほど丁重な言葉づかいで話しかける。
「取り引きの話しがありますので、こちらにかけてください。」
　彼女はふらふと歩いてきてソファーに座る。身を縮め、堅くなっている。必死で悔し涙を堪えているのか？
「お約束通り、現金はいただきます。それから調査報告書をお渡しします。ただし、相手の少女の個人情報に関しましては抹消させていただきます。」
　と言いながら、少女の身元について書いてあった書類だけ取り出し、灰皿の上で燃やしてしまう。どうせデタラメな情報なのだが、デタラメだとわかっても都合が悪い。
「残りの書類は、はいどうぞ。」
　封筒ごと彼女に渡す。
「奥さんが持っておくことをお薦めします、離婚の交渉のときに役立ちますので。」
「これでおしまいなんですね？」
　まるでうめくように、彼女は訊いてきた。
「いや、わたしが飽きるまであと数回お付き合い願いますよ。いや、わたしは飽きっぽいからご心配なく。」
　もちろん、これほど気に入ったのだ、数回やって飽きることなどあり得ない。
「そしたら、この報告書の写しをお渡しします。それから今日撮影したビデオのテープもですな。そしたらすべておしまいです。」
　ニコニコと作り笑いを浮かべて喋ってみるが、彼女は顔をこわばらせたまま黙っている。
「それから一つお願いがあるのですが...」
　話しが彼女の耳にちゃんと入っているのを表情で確かめながら先を続ける。
「ダンナさんとは、奥さんには事情を説明しないという約束になっていたんですよ。だから少女買春の件や、奥さんがディスカウントの代償になったということなんかは、奥さん、聞いてないふりをしていただくと助かりますな。」
「どういうことですか？」
　急に表情を険しくして尋ねてきた。
「いや、だからですな、自分の後ろめたいことは隠しておきたかったんでしょうなぁ。買春のことを奥さんには隠しておくっていうのはもちろんのことなんですけどね。奥さんをわれわれでいただいちゃうってこともダンナさんは一切知らなかったってことにしておきたいという条件だったんですよ。」
　険しい表情がさらに蒼白になる。
「しかしいざとなるとわれわれも事情も説明せずに力ずくでレイプするのはあまりにも奥さんがかわいそうで、われわれとしても後味が悪そうだから、事情をお話ししてから同意の上でセックスすることにしたんですよ。」
　妻を性暴力の餌食に差し出しておきながら、自分は無関係で罪がないふりをしようとした不誠実な夫にさらなるショックをうけて彼女は言葉を失っている。
「でもそれはわれわれが勝手にやったことだから、それは黙っておいていただけると助かりますなぁ。そのかわりわれわれも、奥さんが最後は感じてイってしまったことはダンナさんには黙っておきますから。」
　彼女は愕然としたままだ。オレの言葉は最後は耳に入ってなかったかもしれない。最後の最後に精神的に大きな一撃を与えてしまったが、しょうがない。夫婦で話し合ってやっぱり警察に届けようなどと結論されても困るのだ。二人は引き離しておかなければならない。
「では、帰りましょうかな。」
　オレは、彼女を促して立たせた。
「お約束通り、ご自宅までお送りします。」
　一人で帰して、途中、思い詰めて自殺でもされてはもともこもない。早く子どもの顔を見せるのが一番だ。帰って「ママ、おなかすいた、晩ご飯まだ？」と言われれば、子どものためには仕方がなかったのだと自己正当化をするだろう。

−第一部完−