「お願い・・もう来て・・ネェ・・」

　女は熱心な俺の舌が送り込む、あまりの快感に声を上ずらして、叫ぶように哀願している。
　俺は枕から外れた女の透き通るほど白いお尻を、今度は、枕を腰の後ろに敷き直して低くすると、女の両脚を抱えていた。
　そのまま身を乗り出しと、女の素敵な足首は俺の肩に掛かったまま腰から二つ折になり、女は身動きが出来なくなっている。
　俺の股間のものは、信じられないほど屹立していた。それを、柔らかく潤んだ狭い洞窟に、一気に根元までぶち込んでやった。

「ああぁ・・これよぉ・・これが欲しかったのよ」

　女は喘ぎながら、呻くように言っている。
　女の恍惚とした白い貌と咽仏が印象的だった。
　俺は咽仏はさて置いて、その表情には何処かで見たような気がしたのだ。
　確か、新婚当時の妻もこんな顔を見せていたことがあると、思い出していた。
　そう云えば、妻のこのような表情は久しく見てはいない。いや、こんな表情をさせてやっていなかったことに気付いた、と言った方が正しいかも知れなかった。

＜女房だって、こんな表情をさせてやらなくてはいけなかったんだ・・＞

　ふと、そう思った次の瞬間、女が自由にならない腰を動かした。
　挿入した穴がキュンと締まって、腔の周りで捲れかえっている襞がザワザワと動いたような気が俺にはした。
　それは、俺の肉筒を広く柔らかく握るような締め付けかたであった。
　俺は耐えられずに激しく腰を動かして、女の腔を穿った。
　何時の間にか女の両手が、俺の肩先に引っかかっている白い両脚の外側から背中に廻されている。

「ああッ、イク・・イッちゃうぅ・・」

　唄うように女が叫んで昇り詰めたのと、俺の砲身が勢い良く精を迸らせたのは、ほどんと同時だった。
　その時に、俺の脳裏には、妻のイク顔が浮かんでいた。

　俺はやや柔らかくなった砲身を抜いた。
　女はグッタリとして白い脚を俺の尻に掛けていたのだが、俺が身体を離すと腰を上げた姿勢を崩してはいない。
　それ故に、薄紅色の肛門は俺から丸見えであった。
　彼女の肛門は俺の大きさに開いたままで内部は真っ赤だ。
＜ここに入っていたのか。よくぞ入ったものだな・・・」俺は改めて驚いたものだ。上体を彼女から離して俺が見ていると、ポッカリと開いたそこは徐々に少しづつ縮んで行く。それと共に俺が放出した白い粘液が絞り出されている。
　妻の女陰をシゲシゲと見たことは無かったけれど、精液を吐き出しているところなんざ、＜女の陰部ソックリだなあ・・・＞と思ったものだ。

「あうんっ。イヤァ・・・恥かしいわ」

　女は暫く両脚を上げてお尻を晒したまま快楽に浸っていたようであるが、俺がジッと見つめていることに気がついたのだ。そう呟いて白い裸身を朱に染めて、脚を下ろしてしまった。
　彼女は直ぐにうつ伏せになってしまったが、脚を伸ばしたときに仰向けになったため、彼女の前の部分が見えている。
　俺は女を抱いたのか、それとも男を抱いたのか判らなくなってしまい、不思議な気持ちになってしまった。
　しかし、甘い女声の鼻声は今でも俺の耳に残っているんだ。


　翌年、俺の家には第２子が誕生している。
　夫婦仲もこのところ悪くはない。
　あの女との一晩のことは、俺は会いたいと思って探したのだが、どうしても会うことが出来ないのだ。最近は夢を見ていたのかも知れないと思っている。
　もちろん、あの朝方のセックスが俺の記憶として鮮明に残っているのだが、俺は誰にも話していない。
　俺だけの記憶の秘密であるからだ・・・。

（終わり）