1.始まり

　俺は、小室亮介22才、大学生だ。
　身長180ｃｍ体重75ｋｇ筋肉質で、わりと着やせしてみえるので、ひょろっとしている様に見える。
　高校時代は水泳部に入っていて、けっこういいところまでいったもんだ。
　今は彼女はいない、大学に入るときに遠距離になり別れたっきりだ。

　近所のスーパーでバイトをしながら、大学生活を送っていたが、ある日サークルの先輩からのバイトの引継ぎをうけなければならなくなった。先輩はオートバイで事故を起こし、足の骨を折って入院したのだ。
　バイトを増やすのは厳しかったが、世話になっている先輩で、断りきれない。
　仕事は小学生の家庭教師で、生意気小僧をおしえるなんて冗談じゃねーと思ったが、しかたがなく引き受けた。
　先輩の話では、生徒は小学生の男の子、父親は大きな会社の管理職らしく金払いはいいとのこと。
　俺の下宿から4つ先の駅の新興住宅地に家を買ったばかりらしい。

　当日、先輩から連絡してもらった時間に間に合うように、駅に降り立った。
　地図のとおりに歩いていくと新興住宅地らしく、あちこちで工事をしている。
　10分ぐらい歩き汗が出はじめたころ、めざすと思われる家があった、そのすぐ近くでも工事が行われている。
　表札ととメモの名前を確認しみつけた家は、まだ新しく結構大きな家で、庭におとなしそうな犬が寝ている、犬はこちらをみつけると尻尾を振って遊んで欲しそうによってくる、これでは番犬になりそうにないな、と思いながら門に近づいた。
　まじめそうに見えると思い着てきた白いシャツとスラックス、堅めのカバンや革靴などをチェックしなおして、ちょっと緊張しながら門のインターホンを押す。

「ピンポーン」

「はーい、どなたですか？」

「嶋田先輩の変わりに祐二君の家庭教師にきました、小室亮介と申しますが、、、」

「はーい、今開けますねー。」

　玄関が開き中から母親が出てきた。
　年は30台前半くらいか、最近よくある小さめのぴったりとしたＴシャツにベージュのチノパンのこざっぱりした女の人がでてきた。
　玄関の段を下りるときに揺れた胸に目がいく。（胸、結構大きいな、、、）
　肩にかかる髪は染めているらしく明るい栗色だ。
　年相応に少々肉が緩みかけてはいるが、スタイルは悪くない。
　小柄ながらでるところは出ているタイプだ。

　門を開けながら、

「暑い中すいません、はじめまして祐二の母です。島田さん（先輩）は大変だったんですって〜だいじょうぶなんですか〜あ、どうぞお入りになって下さい。」

「はあ、、」

（ずいぶん気さくで明るい人だな、、、いい人そうでよかった。）

　玄関に入ると冷房のひんやりした空気が気持ちいい。

「ふー」と一息つくと、

「暑かったでしょう？どうぞお上がりください、最初にちょっとお話させていただいて、そのうち子供が帰ってくると思いますから。」と言いながらスリッパをだしてくれた。

　居間に入るとすぐ右に３人掛けの大きなソファーがあった、その前にはガラスのテーブルがあり、対面には一人用のソファーが２つある。奥のほうには大画面のＴＶ、全面ふかふかした絨毯がしいてある。

　居間の大きなソファーに座り少し待っていると、冷えた氷入りの麦茶をのせたお盆を奥さんが運んできた。
　麦茶をガラステーブルにおくと、対面のソファーにすわり、話しはじめた。

「あらためてはじめまして、祐二の母の川島祥子と申します。小室さんのことは島田先生からお聞きしております、成績優秀であるのはいうまでもなく、スポーツマンで水泳では高校の時の県大会で入賞するぐらいすごかったんですって？そしてなにより子供好きでとっても優しい方だと、おっしゃってましたよ。」

（先輩もちあげすぎ、、、でもそういわれているならそう振舞っておくか、、、）

「いえ、、そんなにほめられるほどではないのですが、、、」と、照れくさそうにした。

　先輩の容態やいくつか質問を受け答えして、好青年にみられたのか、どうやら気に入ってもらえたらしく報酬の話しや勉強の時間などをきめた。
　火曜金曜の週２回夕方から２時間、時給もなかなかの好条件だ、スーパーの方はやめてもいいくらいだった。
　子供が帰ってくるまで少し時間があり、雑談しながらいろいろき聞いたところでは、子供の成績は悪くないとのこと、たまには勉強以外にも身体を動かすことも教えて欲しいとのこと。
　一人っ子でおとなしいタイプなのと、父親が仕事が忙しく帰宅が夜遅く、休日は休日で疲れて寝ている事が多いので、外で遊ぶ機会が少なく心配していること等など、話していると子供が帰ってきた。
　紹介され挨拶が済み、今なにをしているのか、先輩はどのようにやっていたのか、どうして欲しいのか３人で話した。素直な子ですぐになれてくれ、何とかやっていけそうだった。

　次の週から通い始める。
　成績は順調に良くなり、そのうち金曜日は勉強時間を半分にして２階の子供部屋でプロレスごっこをしたり、庭で犬と遊んだりと身体を使うようにした。
　祐二もそうした日はやはり楽しいらしく、どうしても時間どおりに終われなくなり、夕食時にかかることもしばしばだった。