8.証拠

　その日の夕食、祥子は出来るだけ台所に立っているようなメニューを選び、ダイニングテーブルにはほとんど座らなかった。
　亮介の顔がみれない、、、そのくせ離れた台所からは気になってちらちら見てしまう、、、。

　食事が終わり、洗い物をしていると、皿を持った亮介が近づいてきた。
　祥子は緊張をさとられないように、　
「すいません、ここに置いてください。」　と、いつものように声をかけた。
　たったそれだけのことで、ドキドキした。

　皿をおいた亮介は、居間に行き遊びつかれて眠そうな祐二と話している。

　そこに電話が鳴った、、、。祥子がでて話し始める。

「ええ、、、はい、、、Ｙシャツはまだ会社にありますの？、、、ええ、、、はい、わかりました、、、ええ、、、」

　亮介が聞き耳をたてていると、どうやら旦那からのようで泊まりになる連絡らしい。着替えのことでなにか話をしている。

（よし、ラッキーだ、今夜一気にいくか、、、）

　視線を祐二に戻すと、もう眠りそうだった。そのまま話しかけずに寝かしてやり、そっとトイレにたつ。
　電話が終わるのをまち、奥さんが祐二が寝ているのを見つけ、声をかけたのを待ってトイレから出て行ていった。

「祐二、そんなところで寝ないで上に行ってちょうだい、、、。」

　しかし、疲れきって寝た祐二はまったく起きない。

「どうしました？」と、とぼけて聞くと、

「祐二がこんなところで寝てしまって、、、。」

「あらら、じゃあ、僕が２階まで運びましょうか？」

「いいんですか？すいません、まったくこの子は、、、」

　子供に意識がいっているのか、さっきの緊張はみてとれない。

「祐二君今日は疲れたんですねー、全然おきませんよ？」
　祐二を抱え、階段を上がりながら先導する奥さんに話しかける。
　目の前にある祥子の足や、スカートの上からわかる太もものラインに思わず勃ちそうになる。

「そーなんですよ、この子は小さい時からこんな感じで、一回寝ちゃうと起きなくて困っちゃうんですよ、、、あ、すいません、ここにお願いします。」

　ベットの布団が整えられたところに祐二を下ろす。

「すいません、こんなことまでさせてしまって。」

「いえいえ、、、。」
（このままでは、帰ることになってしまう、、、なんとか引き伸ばさなければ、、、）

「そうですかー小さいころから一度寝ると起きなかったんですか、、、いまでも可愛いですけど小さいころはもっと可愛かったんでしょうね〜」階段を下りながら、きっかけをつかもうと話しかけた。

「ええ、今はなかなか生意気になったけど、よく笑う子でね〜あんまり手がかからなっかったんですよ〜。それでね、、、」と、やはり子供が可愛いのか、よくしゃべる、、、。さっきまでの堅さはもうない。

　俺は、居間に入ったところでひらめいた。
「小さい頃の祐二君も見てみたいですねー、写真とか見せてもらってもいいですか？」

「ええ、ええ、今もって来ますわね。」と、子供の自慢は楽しいらしく、明るく言いアルバムをとりにいく、その後姿を眺めながらソファーに腰掛けた。

　パタパタスリッパの音がして奥さんが帰ってきた、アルバムを何冊か抱えており、それをガラステーブルの上においた。白い薄手のシャツと長めのフレアーなスカートが、いい感じだ。

　そのまま絨毯の椅子がないところに直接座り、アルバムを双方から見えるように斜めに置くと、写真の解説を年代順にはじめた。

　俺はつとめて明るく振舞い、和んだ雰囲気を作ることに専念した、一通りアルバムを見たあと、奥さんが、

「あら、もうこんな時間、ずーとしゃべっちゃってのども渇いたわね、今なにかもってきますから。」と、台所にいく。

　ちょっとして、冷えたお茶を持ってきながら、

「久しぶりにこんなに話したわ、ごめんなさいね引き止めちゃって。」

「いえいえ、全然平気ですよ、どうせ帰ったってやる事ないですから、それよりさっきの写真で見ましたけど、奥さん男の人にもてたでしょう？」

「えー？そんなことないわよ。」

「うっそー、あんなにきれいだもの、もてたはずですよー。」

「またまた、おだててってなんにもでないわよ。亮介君こそもてるでしょ？」
（社交辞令とわかっていても、悪い気はしないわね。）

「そんなことないですよ、ナンパにはいくんですけど、これがまた失敗だらけで、、、。」
（亮介君ねえ、、、さっきの会話でずいぶん打ち解けた感じになってきたなあ、、、そろそろいいかな？、、、）

　亮介はナンパの失敗談に織り交ぜ、少しずつエッチねたをまぜていった。
　祥子はおなかを抱えて笑っている。

「いやーそんなわけで、全然なんですよ、、、でもうらやましいなー早く結婚したいですよー、なんたってもうやり放題じゃないっすか？」

「そんな、単純じゃないわよ、いろいろ大変なんだから。」

「えー？でも旦那さんとはバンバンやってんでしょう？」

「そんなわけないじゃない、結婚して何年経っていると思ってんのよ、最近じゃあ全然、、、。」

「えー？もったいねー、うっそみてー、俺、奥さんなら毎晩でもしたいっすよ。」

「またまた〜うまいなあ、亮介君は、こんなおばさん相手にエッチな気分になんないでしょうに。」

「あー疑ってますね〜？ちゃんと証拠もありますってば。」

「？？証拠って？？」

「いいですか？奥さんの協力が必要なんです。協力してくれますか〜？」

「？いいけど？」

「じゃあ説明しますね、恥ずかしいけどエッチな気持ちの証明といったら、やっぱ勃つかどうかじゃないっすか？でしょ？」

「え？ええ。」

「だーかーらー、ほんとーに恥ずかしいんですけど、俺がここであれを出してですねえ、奥さんが、、、ちょっと色っぽいポーズでも、、、そうだなー、、、そう！そのシャツのボタンをちょっと開けてもらって、それに感じて俺のが勃ったらエッチな気分になった証拠になりますよねえ？」

「そ、そうかしら？」

「そうでしょ？なんか間違ってます？」

（確かに間違ってはいない、、、のかな？、、、理屈ではそうかもしれないけど、、、）

「でも、そんなこと恥ずかしくてできないわ、、、。」
　耳まで真っ赤になった祥子がうつむきながら言った。

「はあ？なーにいってるんですか奥さん、奥さんより俺の方が全然恥ずかしいですよ、奥さんは見るだけ、ちょーっとボタン開けるだけじゃないですか？でしょ？なーんにも問題ないじゃないですか？」

「そ、そうね、亮介君のほうが恥ずかしいわよね。」

　ふっと祥子は夕方盗み見た亮介の巨大なものを思い出した。
（あれが、、、あれがもう一度みれる、、、さっきよりも間近で、、、そして私をみて欲情してくれれば、あれが勃起したところが見られるかもしれない、、、）
　頭がボーっとしてきて、よくわからなくなっていく、、、。

「そうよね、私より亮介君の方が、、、でも出す必要ってあるのかしら、、、」

　もう一度つぶやいた小さな声を聞いた時、亮介は聞こえないふりをして、行動に出た。