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１．
会いたいってしつこく誘われたら断れ無かったんだもん・・・。
別れた男だけど、大好きなまま別れちゃったから今の彼がどんなのか気になってもいたの。
すっごく切ない別れ方をしたので、私はその後３年くらい新しい恋すら出来なかったくらい。
待ち合わせ場所に現れた彼は、数年の空白など無かったかのように「お待たせ」と参上した。
「全然変わってないな〜」と思い、ちょっぴりドキドキしながら助手席に乗り込む私。
「どこか行きたいところ、ある？」って聞かれたけど、彼にお任せすることにしたの。
ちょっとオシャレなレストランに入って軽めのオーダーを済ませ、
「久しぶりね。元気だった？」なんてごくごく普通の会話をしていたら突然彼が「やり直したいんだ」と言ったの。・・・私にも家庭があるし、彼にも家庭があるのに。
ちょっと考えてから「私あんな思いするの、もう嫌だからTとは関わりたく無いよ。」ってキッパリ断った。
そしたら、すっごい真剣な顔で「俺だってあんな思いはしたくないんだ」って。
ずっと待っていた言葉だったのかもしれない・・・。聞いた瞬間ポロポロと涙がこぼれてしまった。
続けて彼はこう言った。「別れた事をこんなに後悔した事無いんだ。やっぱり俺にはあみが必要で俺のことを心から理解してくれるのってお前だけなんだ。俺も二度とあんな思いはしたくないし、絶対にそんな思いはさせないから。」
すごく力強かった。
思いもしなかった展開に私の心はドキドキしていて、随分慌てて「だってお互い家族があるじゃない。」
って言ったような気がする。
食事が運ばれて来て、ちょっとは考える時間をもてた私達はお互いの夫婦生活について語り合った。
二人とも愛の無い結婚生活をスタートさせてしまった経緯があるので「良くわかる」心境がった。
気持ちの上でのこともだったし、体のことも。
彼の気持ちが充分に理解出来たところで、彼はこう続けた。
「こんな言い方すると卑怯なヤツだと思われるかもしれないけど・・・。セックスするなら気持ちが良い方がいいよね？やっぱり愛が無いセックスじゃ気持ちが満たされないんだ。だからずっとあみとのセックスの事忘れられなくて・・・。」
その言葉を聞いた瞬間、彼とのセックスを思い出し下半身にジンと衝撃が走った。
「なに言ってるのよ〜！貴方ならどこででもエッチ出来るでしょう？」と、からかって笑ったけど・・・彼は真剣だった。
「他にいろんな女探そうとしたんだ。で、声かけた女の子とホテルに行ったりしてみたんだけど・・・俺ダメだったんだ。やっぱり気持ちが無い娘と「いざ」と思っても全然感じないんだ。
セックスするならあみじゃないと満たされないんだなって良く分かった。
セックスだけじゃ無い。俺が唯一心を許せて、自分を全部さらけ出せるのはあみだけなんだ。
だから・・・俺に必要なのはやっぱりあみだって事、つくづく感じて・・・」
普段はとっても力強くて男っぽい彼なのに、心からの気持ちを話すときは泣き出しそうになる。
そんなところは全然変わっていない。私の大好きな彼のままだった。
思わず今すぐ抱きしめたくなって、心では既に彼を受け入れていたような気もするのですが、言葉ではハッキリとお断りしました。
「でも、お互い守るものがあって・・・そんな事はしちゃいけないんじゃない？」って。
すると彼は「あみが嫌だったら良いよ」って言う。
冗談っぽく笑い飛ばして話をする私とそれに笑顔で答える彼。
でも、私に向ける彼の視線の奥は真剣そのもので「私はこのまま抱かれてしまうのかも・・・。」
って覚悟を決めさせるくらいの迫力があった。
そんな彼の気迫と私の揺らいだ心を隠すように、明るく何事も感じていないように振る舞う。
彼もそんな感じに振る舞ってくれて、私達は食事を済ませた。
会計に立った彼の背中を見て、ふと「彼についていけば私の人生任せられるのに・・・」そんなふうに思った。
そして店を出ると、彼は明るく「じゃー久しぶりにドライブにでも行こうか！」と言ってくれた。
ドライブの先に何があるのかを半分期待しながら・・・。
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