| （１７） ペニスの位置を指で調節してから、女の尻が沈んだ。たっぷりと濡れた膣口を亀頭が塞ぎ、左右にはみ出た二枚の肉唇が破裂しそうなほどに膨張する。 大木は呼吸すら忘れて魅入った。無毛の淫裂だから、顔を寄せるだけで挿入の一部始終がありありと見えた。 この上なく卑猥な眺めだった。彼が関係を持っているふたつ年上の女子高生とはまるきり違う。あるはずの恥毛がないというだけで、交接の迫力も色香も倍だった。しかも、彼が知っているどんな女性タレントよりも美しく、どんなＡＶ女優よりも猥褻な肉体を持った女である。 茎の半分ほどが埋まったところで、真穂と拓海が同時に短く呻いた。 「ゥあン……ふ、太い……」 真穂は少年の肩に両手を乗せると、尻で小さな弧を描いた。そうしてはまっているのを確かめてから、さらに腰を落とした。 「あァ……先生ッ」 白い尻の密着した少年の太腿が震える。その上にまたがった女の背中もきしむ。 真穂は余裕たっぷりの顔で微笑んだ。 「ウフフ。とうとう繋がっちゃったわね」 大人の面目を保つために出た言葉ではない。口を閉ざしたままでは、すぐにでも快感の波に呑まれそうだったのだ。 「先生のなかにオチン×ンが入ってるの、わかる？」 「うん。すごいよ、こんなのはじめてだよ……すっごく気持ちいい」 「先生もいいわ、すっごくいいの。でもね」 真穂はクネリと尻を揺らした。人間の男と交接をしたがっている牝蛇の腰づかいである。それから拓海の胸元に指を伸ばし、ワイシャツのボタンをひとつずつ外した。 「本当によくなるのは、これから……」 左右に開いたワイシャツの下は素肌だった。胸板と呼べるほどの厚みはないが、貧相なわけでもない。 真穂は、少年そのものの身体つきを指で触れた。肩から脇腹までをつうとなぞり、乳首を爪先ではじく。微弱な愛撫に、拓海は声を震わせた。膣内に刺さった男根も悶える。 その勃起性感に桃色の喘ぎをもらしながら、彼女はさらに、大きな乳房の先端だけを彼の肩に押しつけた。線を引くように、ときに丸く上半身を揺らし、乳首を指のかわりにしてそっとなぞる。羽の愛撫である。 こんな真似は夫にだってしたことはない。宮内に教唆されたわけでもない。拓海を喜ばせたい一心で繰りだした思いつきの淫技だった。 「ああッ、先生のオッパイが当たってるゥ」 「ねえ、動いてもいい？ 先生がお尻を動かしてもいい？」 彼の答えを待たずに真穂はそれを実行した。乳首愛撫の緩慢な動きが、徐々に情交の揺らめきへと変転する。 少年の肩に当たった乳房が上下する。濡れてもいないのに艶のある黒髪も揺れる。 「す、すげえやッ」 驚嘆の声を発したのは大木だった。彼は自分で勃起をしごいている。 「あン、そんなこと」 真穂は首を捻って彼の勃起に顔を寄せた。 夫の声を聞きながら宮内の男茎を舐めたのは数日前のことだった。しかし、あのときと今とでは状況が違う。膣内に埋まっているのも、目の前にあるのも、どちらも生身の男のペニスなのだ。 ならば、両方とも味わってみたい。硬くておいしいもので膣と唇を同時に塞がれたい。そんなことを考える自体、すでに常軌を逸脱したことだった。 口に含み入れようとしたとき、扉の外で物音がした。誰かがトイレに入ってきた。 乾いた足音は個室のすぐ横で止まった。ズボンのファスナーをおろす音、次いで、便器を打つ放尿の音が聞こえてくる。目に見えないその男の背後、扉一枚を隔てた個室のなかでは、全裸の若妻が少年の上に騎乗したまま息を詰めている。 マンションの通路での記憶がいやでも彼女の脳裏によみがえった。やがて男は、洗面所で手を洗うこともせずにトイレから出ていった。 「ねえ、お姉さん」 安堵のため息のあと、大木が口を開いた。 「やってみたいことがあるんだけど、いいかな」 「え、何？」 「ちょっとこっちを向いてみてよ。ううん、そうじゃなくてさ……身体ごとさかさまにしてこっちを向くんだよ」 躊躇しながらも真穂は従った。淫裂から勃起を抜いて尻を翻し、今度は拓海に背中を預ける形で彼の膝にまたがった。 股間の真下にある亀頭に片手を添えて、尻を沈める。慣れない体位のためか、挿入するのにやや手間取った。ようやく埋没すると、拓海の口から新たな弱声がこぼれた。 「いやァン、こんなのって……」 真穂も恥じらいの声を発した。流されるがままに実践してみたものの、これは想像以上に卑猥な体位であった。第三者の目に触れさせるための、見せびらかすための情交の形なのである。 勃起の刺さった淫裂も、喘ぐ表情も、すべてが大木の視線にさらされているのだ。両膝も拓海の腿に乗りあげたままだから、自分の意志では足を閉ざすこともできない。 彼が身じろぎのために足を開くと、自然と真穂の股まで割れた。 「ああッ、だめ、拓海くん……足を開いちゃだめェン」 「そ、そんなこと言われても」 勃起の埋没感もほかの体位とは異なるものだった。普段と違う角度で膣襞を圧迫されているから、いやでも腰が揺れる。新しい性感に、声が出る。しかし、驚きはそれだけではなかった。 大木のペニスが乳房の谷間に押しつけられた。 「やン、ちょっと……な、何を」 「お姉さん、このままさっきのやつやってくれよ」 「え、え」 「両手でオッパイを揉むんだよォ、頼むよォ」 まだ十代の男に懇願の口調で命令されて、真穂は、ほとんど反射的に左右の乳房を握った。いや、握るのではなく下から持ち支える形である。 自然と肉肌が中央に寄って、彼の巨根を挟みつける恰好になる。乳房を揉むと勃起も上下に蠢いた。そして、亀頭が顔面に向かって飛びだしてくる。 「あァン、やだ、何これ……す、すごすぎるゥ」 圧倒されながら、真穂は乳房に挟んだ勃起をしごいた。無意識に指が動いた。 驚愕すべきは見た目のいやらしさだけではない。思いも寄らぬ情交の形だというのに、恐ろしく感じるのだ。勃起が皮膚の下に埋没しているような感覚がある。胸の谷間が第二の女性器になった気さえする。 精液と涎が潤滑油の役割をはたしているため、摩擦も絶妙だった。硬くて熱いものが肌を滑る感覚がいい、ヌルヌルがいい。しかも、膣穴は拓海のペニスで密栓されている。 そのことを思いだした瞬間、真穂の身体が自然と動いた。勃起を挟みつけた胸を張り、上体を尻ごと上下させ、二本のペニスを身体の内と外で擦りはじめる。 「うわああッ」 突然の衝撃に拓海が声をあげた。大木が「すげえや」と口にする。 異様な光景だった。美顔を精液でドロドロに汚した若妻が、ふたりの少年に前後から裸身を圧されている。挑発の姿態で交接しながら、別の勃起を胸の峡谷に挟んでいる。しかし、輪姦ではない。気圧されているのは、むしろ少年たちのほうだった。 「最高だよ、お姉さんのオッパイ。すっげえ気持ちいいよ」 「僕もいいよォ、すごいよおォ」 最高の女が最高にいやらしいことをしているから、じっとしてなどいられない。何かを叫ばずにはいられない。そんな声を前から後ろから浴びせられ、真穂の狂乱もいっそう深いものになる。 「あーン、は、入ってる……あンあンあンッ……ズ、ズブズブきてるゥ」 尻が動く。便器がガタガタと音をたててきしむ。個室内の熱気が急速に高まり、女のおびただしい汗が、恥液が、甘い匂いのスコールとなって床に落ちる。 最初に絶頂を迎えたのは拓海だった。真穂の細腰を抱き支えながら低く呻き、次いで鋭い声を発した。トイレの外まで響いたのではと思えるほどの絶叫である。 熱いマグマの噴出を膣内で受け止め、今度は真穂が悶えた。嵐の海に投げだされた難破船の裸身が大きくのけぞり、白い背中が少年の肩に座礁する。絶頂の連鎖は大木にも伝わり、すぐに彼は、真穂の唇に勃起をねじこんだ。 上下の穴から次々と牡液を注がれ、真穂は、自分の肉体が白い泥沼に落ちていくのを感じた。ドロドロに溶けて、喜熱そのものになる。 気がつくと、真穂は大木の勃起を指で上下に擦っていた。 顎から胸元にかけてが精液で濡れている。ふたつの乳房までベトベトだった。今さっき大木が噴出したものがもれ落ちたのか、左の乳房のほうが汁量が多く、てかりも強い。 大木は、その精液を指で乳房全体に塗り伸ばした。白濁の色が次第に薄まり、肌に染みこみ、最後は女の淫臭の一部となった。指が乳房から離れると、真穂は、命じられたわけでもないのにその指を口に含んだ。 目を閉ざしたまま丹念に吸う。眠りかけた仔猫の表情である。 大木はつい吐息をもらした。全裸で何かを咥える女の顔は、それだけで罪だった。 「お姉さん、俺もオマ×コしたいよ」 怒りと懇願の混ざった目で非常識なことを言ってくる。 「ヤラせてくれよォ」 真穂は黙って身体を起こした。拓海の勃起が淫裂から抜け落ち、溢れ出た精液が床を白く汚した。 便器の蓋には大量の愛液が付着している。何もかもが恥液でドロドロだった。 まるで今の自分のようだ、と真穂は思った。気がつけば、彼女自身が便所そのものになっている。 排泄物ではなく、男の性欲と精液を処理するための便器である。 罪の重さが一瞬だけ心をかすめる。取りかえしのつかないことだから、泣きたくなる。取りかえしのつかないことだから、すべてを忘れて性熱に埋没したくなる。 そのために真穂は拓海の肩に両手を乗せて、背中を色っぽくへこませた。見事な尻を、淫裂を、大木に献上する形となる。 拓海はまだ放心のなかにいた。薄開きの目線を天井に泳がせ、唇の端からは涎まで垂らしている。 まるで寝ぼけ顔の中年男のようだ、と思った。そんな少年の頭に両手をまわしてしがみつき、彼女は、首を捻って大木を見据えた。 「きて」 排泄のための室内に甘い声が溶ける。挿入を待ち焦がれた尻が揺れる。 すぐに亀頭が侵入してきた。宮内や拓海のものより太い男茎が淫裂へと沈む。 真穂の表情に淫ら色の苦悶が戻った。身体のきしみは拓海にも伝わり、彼は、女の乳房の谷奥で短い呻きをもらした。そこが屋外の公衆便所であることなど、もはや誰もが忘れている。 |
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| 2008.9.6掲載 |
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