グラウンドからは野球部やサッカー部を始めとする活発な声。四つある校舎のあちこちでは、吹奏楽部員が思い思いの場所に散らばって練習しているらしい、でもそれを騒音と感じないトランペット、トロンボーン、オーボエ、フルート……あとなんだろう、とにかくいろいろな音色。――いつも通りの放課後の学校。 その日常の音を遠くに聞きながらわたしは、生徒指導室で二つ並べた長机に軽く寄りかかる形で立っていた。 目に余る素行不良だとか校則違反をしたわけじゃない。でも好き好んで来る部屋じゃなく呼び出されたのは確かだから、わたし一人でもない。――肩幅より少し広めに開いた脚の間、スカートの中で、床に膝をついた学年主任にして生徒指導担当、ついでにうちのクラスの担任でもある香山が、わたしの股間にむしゃぶりついていた。 右手の親指と人差し指がパンティの中にもぐり込んでクリをこね回し、口は薄い布の上からそれを吸い上げ、舌で舐め転がす。で、あいた左手はお尻や太ももをいやらしく這い回る。――男経験がないわけじゃないけど、数えるほどしかないその経験と比べるまでもなく、今までにない深い快感。体の奥が熱くうずきっぱなしで、パンティがヌルヌルに濡れてるのがわかる。 「あふっ……先生、わたしやっぱり…あんっ」 「やめていいのか？ パンティで吸いきれずに、内股にも垂れてきた。こんなにびしょ濡れにするほど気持ちいいんだろ」 「やだ…言わないで」 すっごくイイ。でもそれが怖い。 目的があった、わたしと香山の利害が一致したから、彼とはできる限り関わりたくなかった感情は置いて、今こうしてる。そこに後悔はない。けど、ほんとこんなに感じたことはなかったから……この気持ち良さが怖い。 手と口だけでコレなら、そのあとは……？ 「ここをこうされるのが好きなんだろう？」 スカートの中から顔を出した香山が、二本の指でつまんだクリをこよりのように指先でひねりながらこすり、わたしは我ながら甘ったるい悲鳴を上げて背をしならせ、それで後ろにひっくり返りそうになって、机に置いた両手に慌てて力を入れる。 その反応に香山は、満足気な顔。そしてそのままの顔で……全然深刻ぶるでもなくシビアな現実を突きつける。 「これでおまえは、みんなより早く受験戦争から解放される。正当な手段とは言えんが、それを選択してここへ来たおまえも、それに俺も、もう引き返すことはできんよ。共犯だからな」 共犯……。ああそうだった。 香山が提示し、わたしが自分で決めて踏み出したこの「契約」は、明らかな不正行為。それはわかってるのに、共犯って言葉が妙に甘く響く気がするのは……興が乗った香山がクリを何度もこね回しひねり上げる、それだけのせいか。 わたしは膝までガクガク震わせ両手で体を支えるのがやっと。もちろんさらにびしょ濡れにさせた香山は、その手を止めることはないまままたスカートの中にもぐり込み、さっきよりも濡れたに違いない内股を煽情的に舐め回す。 「あっ…はぁん……！」 内股は、実はわたしが弱いところの一つ。付け根に近いところほど感じやすい。ジュクッジュクッと絶え間なく愛液があふれる感覚さえ、刺激的。 香山は顔が見えなくても懸命に踏ん張る脚の震えでそれを察知したのか、付け根周辺を特にねっとりねぶり回す。さらにダメ押しのように吸いつくのと同時にクリをきゅっと押しつぶすようにされると、もうだめ。 「ああっ、だめ！ イッちゃ……あああっ！」 背が反り返り顎が上がり、両ももで香山の顔を挟んだまま硬直した全身が、ビクビクと震える。それが収まるととても体を支えていられず、横ざまに机の上に倒れて息も絶え絶えに余韻に浸る。――帰りはノーパンか。コンビニで買ってこうか……ぼんやりそんなことを考えながら。 香山からすればそんなわたしは、まな板の上のコイ。らしい。ころんと仰向けにしたうえでブレザー、ベスト、ブラウス全部のボタンがはずされてはだけられ、ブラは丸ごとじゃなくカップだけをアンダーまでずり下ろされ、最後にスカートがめくり上げられてパンティを脱がされ、と……なんだか裸より恥ずかしい気がする格好にされてしまう。 それでも抵抗や協力どころか動くのも億劫で、されるがまま。で、仕上げに上履きも脱がされた足も机の上に上げるように膝を押し開かれると、これまた恥ずかしいＭ字開脚。上から下までオープンの「カモ〜ン」状態の出来上がり。 その膝に手を置いたまま、今にも舌舐めずりしそうな香山の視線がわたしの体を這い回る。 「やだ…先生……」 秋の夕暮れは早いけど、日没まではまだ時間がある充分に明るい部屋。――一日のほとんどの時間をすごす学校の中で、大股開きで欲情しまくりの体と顔を全部見られてる……非日常。 その違和感と恥ずかしさ。舐めるような香山の視線。なのに、それがまたわたしのアソコをうずかせる。――もっと見て。触って。ううん、早く犯して。壊れるぐらいグチャグチャに。 言葉とは裏腹のちょっとアブない思いを読んだのか読まなかったのか、また香山の右手が股間――今度は人差し指と中指がアソコの中に。でも二本の指の股で過敏になってるクリも挟み込みながら、内も外もかき回す。 「あっああん！ そこはだめぇ……！」 「じゃあこっちは？」 思わず腰をくねらせ脚を閉じようとするのを体で阻み、楽しげに言いながら香山は、もちろん右手で股間を嬲るのはそのままに、わたしに覆いかぶさって左手で右のバストを押し包み、舌で左の乳首を愛撫。 「あっ…乳首だめ……！」 「そうか、乳首がいいのか」 そして右も。指先でクリクリと。 「あっ…はっ、あっ、ああっ……！」 弱いところばかり四ヶ所も同時に攻められて、腰を振り立て身悶えしながらわたしは、乳首を甘噛みする香山の頭を両手で抱き締め、……だめと言いつつ胸に押しつける矛盾にも気づかない。 「だめぇ！ またイッちゃう、イッちゃうよぉ！」 「可愛いぞ、長澤。何度でもイカせたくなる」 悦に入った香山の吐息さえ、敏感になった肌を愛撫するようで。――さらに右の乳首を指先でつまんでしぼり上げ。左の乳首をバストの中に押し込むように舌に力を込めて舐め転がし。アソコとクリをグチャッヌチュッと卑猥な水音を立てながらこすり立てる。 「やっ、あん、いい……ああっ、イク！ イクゥ！ あっ……、あはぁあああ！」 短いインターバルでまた昇天。なのに、これで終わりじゃない。鬼か悪魔かわたしの息も整わないうちに香山は、喉が渇いたなと含みのある調子で言いながら椅子を引き寄せて座り、机の上で大股開きしていることで目の前にあるわたしの股間に、また顔を埋めた。そして愛液を音を立てて舐めすする。クリも、アソコの中も、その周辺もと……ねっとりベロベロと舐め回す。 たまらずに悲鳴を上げ、膝を閉じようとしても両手で阻止され、腰もがっちり固定。 「飲んでも飲んでも、どんどんあふれてくる。サービスがいいな、長澤は」 「中を舐められるのも好きなのか？ やらしいなー」 「クリトリス噛まれるのはどうだ？」 香山の口がわたしの股間から離れるのは、時々言葉責めをするときだけ。で、返事をするどころじゃないわたしを嬉しげに観察しては、その間は手でいじっていたのをまた舌で犯す。――それで三回目、四回目と、二回立て続けにイカされ……。 イカされればイカされるほど感覚も鋭くなる。それでも終わらない快楽地獄。もう気が狂いそう。なのにまたアソコを指でかき回され、舌でクリを嬲られると――彼の頭を両手で抱え、彼をそこに押しつけるように、そして自分からも差し出すように腰を揺らめかせ、どうしようもなく漏れるあえぎ声を抑えられずに机の上でのたうち回った。 手と口だけで、何度イカされただろう。とりあえず七回目あたりまでは、なんとなく覚えてますが……。 このオヤジ、授業が上手くて人当たりも良くて、ユーモアセンスもある方。だから中年教師の中では珍しく生徒からある程度の信頼や親しみも寄せられ、同僚や上からのウケもいいみたいだけど、その裏にどうもひと癖ある素顔が隠されていそうで、それが不気味でわたしは大嫌い……ってより生理的に受け付けなかった。 なんか胡散臭い。友達にそう言うと必ず「え、そう？」なんて返ってきたもんだけど、その印象は正解だった。――人の弱みにつけ込んで生徒に手を出す下衆。 でも……皮肉にもそれがわたしを勝ち組にしてくれる。 その代償を体で払うわたしは、上手とか下手とか言えるほど男経験は多くはないけど、……こいつ外面がいいだけじゃなくコッチ方面も上手い。耳、喉、脇下、手足の指の間やアナルまで……と、わたしも知らなかった性感帯もどんどん暴かれてく。 これがオトナの世界……官能の世界ってやつ？ 女の体ってのはどこまで開拓できるもんなの？ それ以前に、限界はあるの？ 香山にとってはまだ序盤らしいってのに、未知の世界が垣間見える。自分がどんどん変わってくようで怖いけど……それよりもだ。生徒にこんなことできる機会なんてそうないだろうせいか、とにかくねちっこい。――わたしの全身舐め回していじり倒して散々イカせまくってる香山、まだ一度もイッてないよ。 「あ、ん……センセ……、また…んっ、またイク……イッちゃうよぉ」 「感じやすいな、長澤は。こんなにグチョグチョにして……お尻や机…ん？ 床にも水たまりができてるぞ」 「だって……あんっ…いっぱいするから……」 「そうか。いっぱいされていっぱい気持ち良くなったか」 「ね、もっと……もっとして。舐めて」 「ほんとやらしいなー」 またイキそうってときに、話をするためにクリを嬲る舌を引っ込めた香山の顔を、無我夢中でそこに押しつける。彼はそこでククッとくぐもった笑い声をさせて、要望通りまた舌で舐め転がす。 「あっ、ああん！ もっと、もっと……！ ああっ、イク！ イクイクイクー！」 さらに激しく腰を振るわたしの様子を見てか香山は、ここぞというタイミングで強くクリを吸い上げた。それにはわたしは、今まで以上の歓喜の悲鳴を上げて――全身をビクビク震わせながら、その途方もない絶頂感に浸る。 その最中でも香山は、まだ顔を埋めたまま。両手でわたしの両脚を押さえ、余計ヒートアップしたみたいに執拗にクリを舐めたくる。 わたしは身悶えし彼の髪を両手でかき乱しながら、絶頂から絶頂へはしご。ここまでくると、ほとんど拷問よ。 「も…だめ……あっ、だめぇ……！」 「どうして？」 どこかで止めなきゃいつまでも続くんじゃないかってそのしつこさ。苦痛に近い快感。これ以上は無理って思いで切実に叫ぶと、やっと顔を上げた香山はわかっているくせに嬉しげに尋ねる。……でも、理性なんかとっくにぶっ飛んだ今なら、どんな恥ずかしいことでも言える。 「死んじゃうよぉ」 「なに言ってる、本当の天国はこれからだぞ。ここにもっと大きいものを入れて、かき回すんだ。こんなふうに」 「あ……！ あんっ…やんっ……あっ…おねが……」 そうだ。まだそれが残ってる。ていうより、芯までドロドロに溶けそうなうえにへとへとで、もう勘弁って状態のはずなのに、メインは別腹とばかり体がそれを欲しがってる。そしてそれに、今のわたしは逆らえない。 香山もやっぱりそれをわかってて、わたしの口から言わせたがってる。――きっと体だけじゃなく、二人の「契約」もここからが本番だから。 |
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| 2012.3.31掲載 |