「はっ……、あっ……」 体をぶるぶる震わせ、甘い引き波に身を任せるよりも、信じられない思いで茫然って方が大きいかも……。 んでその体は、自分を支える力もなくなりひっくり返りかけたらしい。いつの間にか立ち上がってた香山の腕の中にいた。で、わたしが放心状態から浮上するのを待って、さっきよりかすれた声が降ってくる。 「見かけによらず、大した好き者だ。最高だよ、亜澄」 「あっ…」 わたしからすればなんでこんなことでってほど、香山は感激してるらしい。左手がするっと滑り下りて、クリを捕らえる。 「やっ…も、だめ……」 何回イッたと思ってんだ。……わたしにもわかんないけど。 慌ててその手をつかんで止めると、興奮のあまり強行するかもって予想に反し香山は、おとなしく引き下がってくれる。 「そうだな。おまえは磨けばいくらでも光る女だ。磨きまくる楽しみは長く引っ張るってことで、今日はお待ちかねのコレでやめておいてやるか」 その言葉も終わらないうちに、クリから離した左手でいつの間にか完全復活していたペニスをアソコの入り口にあてがって、その手で腰を、右手は肩を抱えたままわたしを固定して、……えぐり上げるように一気に刺し貫かれた。 「ひあっあああああ！」 それだけで……またイッた。 なのに、連続昇天の大波小波に翻弄されるその間にも香山は腰を動かし、さっきの一回でわたしのイイとこを覚えたらしい的確な突き。……彼お得意のというか、容赦のない天国のはしごでそれよ。 わたしはもう声も出せず、ガクガク痙攣しながら両腕を彼の首に、両脚を腰にからめて懸命にしがみつく。 「そのままつかまってろよ」 「え？」と思う間もなく、わたしを抱えたまま反転した香山が、机に腰かける。――立ったまま少しかがんだ状態でぶら下がられちゃ、さすがに腰を痛めそうだったのかも。 朦朧とする頭でちらりとそう思ったけど、彼の腰の心配どころじゃない。今度は対面座位。自分の体重でさらに深く重くなった快感に、しがみついたまま思わずのけぞったわたしの上体を香山の腕が引き戻し、胸を舐めしゃぶりながらわたしの腰をつかんで縦に横にと、例の素敵コラボで揺さぶる。 「あああっ、すご…すごいよぉ！ あひっ、はっ、あっ、はぁん！ あん、だめ！ ああっ、死んじゃ…ぁはっ、ああん！」 「よだれ垂れてるぞ」 と言いつつ香山の親指が頬を拭い、涙じゃないかと思ったのも束の間、胸から喉へ、顎へと這い上がってきた舌が、そこからさらに速度を落として唇の端へ。 よだれまで垂らしてた、そんなものまで舐められた、なんてことを恥じる余裕ももうない。……牝と化しての本能なのかなんなのかわたしは、反射的に舌を出して彼の舌を舐めた。香山もそれに応じ、わたしを揺さぶりながらからめてくる少し厚みのある舌を、その弾力と触感、そしてもちろん巧妙にわたしの舌を舐め回しからみつかせる動きにもうっとりしながら、夢中で舐め合い、からめ合う。 「ぅん…んんっ……んっ…んぅ…んっ」 これが口の中に入ってきたら、もう一つの性器みたいにステキに犯されるのかしら……。 舌をからませるだけでは終わらないだろう予感と、高まる期待。――どれぐらいそうしていたのか……香山の舌がほんとにするりとわたしの口の中に滑り込んで、キスだけでイカせてやるって勢いのエロエロな舌使いで隈なく愛撫。期待以上の想像以上にわたしを酔わせてくれる。 ほんともう「ふにゃあ」って骨抜きみたいに体中の力が抜けちゃって、よだれどころかおしっこまでちびっちゃいそう。 そして、ここでまた新発見。本当にそれだけでイカされそうなエロいキスのせいなのかどうか、口の中まで性感帯って気づいたのもそうだけど、その愛撫に輪をかけて舌を吸われる快感が……とんでもないの。 全身に電流が走るような……って快感は今日だけで数えきれないぐらいあったけど、それに勝るとも劣らない。それに加えて、アソコはキスの間もおろそかにならない素敵コラボで、素敵に突き上げられかき回されてる。 その快感といったらもう……、脳みそにまで鳥肌が立ちそうなすさまじさで……ああ…ほんとたまんない。 口がきけたら、死ぬ死ぬって絶叫してるかも。 それは体がつながってることで香山にもダイレクトに伝わったらしく、舐めたりからめたりって他の愛撫と組み合わせて緩急をつけながら、存分に吸ってくれる。それこそ、イク瞬間の衝撃でわたしがのけぞって唇を振りほどいてしまうまで。 ――そのキスの間、口をふさがれてるからくぐもった鼻声しか出ないけど、その分夢中で香山の頭をかき抱き、狂ったみたいにキスに没頭しつつ股間も彼のそこに押しつける。ってより叩きつける。何度も何度も。 明日は太ももが筋肉痛になってるかもしれないけど、そんなのいい。ほんとに……イイ。うん。わたし自身だけじゃなく香山の股間もその周辺も、わたしが思いっきり濡らしちゃってるよ。――ズボン脱いどいて正解だったね、センセ。 唇を振りほどき、大きくのけぞってイッてしまう瞬間、よく覚えてないけど絶叫した気がする。そして、これまた生まれて初めての失神。といってもそんな長いもんじゃなく十秒ぐらいだったらしいけど、とにかく意識がぶっ飛んだ。 それぐらいすごかった。……すごすぎた。 契約は果たされた。出来レースってバレないよう全力で頑張ったテストを経て、推薦枠は正式にわたしのものになった。 成績ではいい勝負でも、内申ではわたしより自分の方が上とかって、わたしにはテスト前から勝った気でいただろうライバル二人は、納得いかずに抗議しに行ったようだ。 香山は、どんなテキトーな口実を並べたのかはわたしには言わなかったけど、とにかく二人を追い返した。それで逆上した二人が、今度はわたしのところへ八つ当たり気味に「どうしてきみが？ どんな手を使った？」って来るんだけど、それはまあ些細……いや、どうでもいいこと。 受験も戦争、勝てば官軍よ。汚かろうがなんだろうが、手段なんて選んでられますか。と、ちょっとはある良心の呵責に向かって居直ってみる。――うん、ちょっとだけ。それはこの二人のことも嫌いなせいで、汚い手で蹴落としたって罪悪感があまり湧かないのが大きいかもしれない。 あいつらの性格の悪さに初めて救われたわ。……性格ってより人間性なのかな。相手の素行や成績で態度を変えるから。 どっちにしろ二人とも、表面上は取り繕ってうまくつきあってるつもりだろうけど、みんなを見下してるのがみんなに見抜かれてる、間抜けな俺様クンたち。成績がいいだけのバカ。顔見るのもいやなぐらい嫌い。 なんて言って、自分のやったことを正当化するつもりはないけど……。香山があいつらを追い返した口実も、このへんにあるかもね。 ちょっとは気になったわたしが探り入れてみたら、真っ先に出たセリフが「ああ、あのバカどもなー」だったから。 それ以上は言葉濁して結局教えてくれなかったけど……。もしかしてわたし、内申でも勝ってた？ 実力で取れるのにとりあえず食われちゃった口？ ……それは聞かずにおこう。うん。 三年生の担任で学年主任。思った通り香山が忙しいから、そう頻繁にお誘いがかかることはない。平日は週に一回か二回ぐらい。 これが香山にとって多いのか少ないのかはわからないけど、わたしにとってははっきりと少ない。……だから、毎日彼からの連絡を待ち焦がれてるわたしがいる。香山とのエッチを思い出して、自分でいじったりなんてことももう珍しくない。 しっかり病みつきじゃん。なんて自分に突っ込んでみても、お誘いメールが来たらその瞬間に体はどうしようもなく潤み、快楽地獄って言ってもいいめくるめく時間の間、わたしはただの牝になる。性奴隷かってぐらい貪欲に香山を貪る。まあ、香山もテクニシャンってだけじゃなく、絶倫で獰猛な雄になるから、そんなわたしを持て余すどころか余計燃えるみたいだけど。 納得ずくで始めた関係、予想もしてた自分の淫乱ってほどの積極性。それは承知してても、時々不安になる。 こんなんでほんとに卒業と同時に、香山とのエッチやめられるかしらって。 三年生になってすぐ、それまでつきあってた人に「勉強に集中したいから」って言われて、推薦を狙ってたわたしも彼より強い思いで同感、納得のうえで別れた。 『お互い頑張ろうね。合格したらわたしにも教えてね』 ちょっと寂しかったのを笑顔で隠してそう言ったら、なんだか涙ぐんでたけど……とにかくそれで綺麗に別れられたから、香山とのエッチを誰にやましく思うこともない。卒業するまで彼氏は作らないとも決めた。 でも大学に行けば、また彼氏もできるだろう。けど……他の男で満足できるの？ 満足できなかったら、我慢できる？ それとも過去にもいたらしい一部の先輩たちみたいに、香山にすがりつくの？ それじゃほんとに性奴隷だよ。 今の時点で一つ確かなのは、肉体的にはあまり満たされず「エッチなんてこんなもの」って気持ちはあっても、心は間違いなく満たされてた――ピュアだったころのわたしにはもう戻れないってこと。 それを踏まえるとなにが厄介って、外見からはテクニックがわからないってのが真剣に厄介。なんだっけ……年中安売りのバーゲン娘？ そんなんで片っ端から試してみるなんてことしたくないし……。 ちゃんと恋愛もしたいしってのは欲張りかな。 高校より自由な時間が増える大学生活……ほんと今から楽しみなような、不安なような。 でもとりあえず、今日も香山とエッチ。 しかも生徒指導室でもラブホテルでもなく、隣町のシティホテルで初お泊まり。高級ホテルってわけじゃないけど、毎年恒例、推薦合格のお祝いだそうだ。 することは一緒なんだし、正直ベッドとお風呂があるならなんだっていいって言ってしまうと身も蓋もないけど、時間を気にせず一晩中でも…ってのは魅力的。合格確実が最初からわかってても、お祝いってことでラブホテルよりランクアップしてくれた気持ちも嬉しいよね。 うん、恋人ではないけど。 |
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| 2012.4.14掲載 |