日が傾くのが早くなった。乾燥機から取り出した衣類を畳み始めて、ふと室内の暗さが気になり、乃梨子は立ち上がった。照明のスイッチを入れる。明るい蛍光灯に照らし出されたのは小ぢんまりと整えられたベージュを基調にしたリビングで、この部屋に居るのが一番ほっとするなと思う。 「ただいまぁ」 玄関の方から声がした。 「雅史さん…？」 帰宅にはまだ早い時刻だったが、間違いなく夫の声だった。 「今日、出先から直帰しちゃった」 リビングに姿を現した雅史は、ネクタイを緩めながらにこにこと笑った。 「お帰りなさい。やだ…どうしよ、まだ夕飯の準備なにも出来てないの」 キッチンへ向かおうとする乃梨子を、雅史が背後から抱きすくめる。 「…きゃ…っ……雅史さん……ご飯…作らないと……」 乃梨子の言葉は無視して、雅史の掌がブラウスの上から胸をまさぐりだす。 「ぁ…ぁん………」 軽く抗う素振りをしながらも、乃梨子の身体もすぐに柔らかく、熱くなっていく。 （はぅ……このごろ……毎日………） 工藤夫妻との夫婦交換以来、雅史は毎日のように乃梨子を求めてくる。 「ご飯より、乃梨子が食べたい……」 囁いて、雅史が耳朶を甘噛みする。 「んっ……ぁ……やぁ……ん……」 雅史の声に、乃梨子の秘所がじわりと蠢き蜜を滲ませる。 あれから、雅史の求めてくる回数も増えたが、乃梨子の身体の反応も極めて良くなっている。新婚の頃のように毎晩、休みの日は昼間からでも愛し合うことの多い二人だった。 「乃梨子……乃梨子……」 耳朶、唇、首筋、キスを繰り返しながら、雅史は乃梨子の服を脱がせていく。 「ぁ…待って……雅史さん……カーテンがまだ……」 外はだいぶ暗くなっている。明るい室内の様子が、外から見えるだろうと思うと気になった。 「大丈夫だよ。ここ、七階だし」 ブラウスとスカートを脱がされ、乃梨子は下着だけの姿になる。 下着姿の乃梨子を雅史は満足気に眺め、 「ちゃんと着けてるんだ」 くすっと笑うと乃梨子を抱き上げて、ソファまで運んだ。 乃梨子が身に着けているのは、恥ずかしい部分だけを赤い小さな布地で覆い、他は細い紐になっている卑猥なデザインの下着。数日前に雅史が買って来た物だった。 「だって……雅史さんが今日はこれって……」 頬を染めて乃梨子は胸元を腕で隠そうとする。 「ん？乃梨子はやらしい奥さんだから、こういうのが似合うよ。ほら、隠しちゃだめだよ」 ソファに座らせた乃梨子の脚の間に膝立ちになり、雅史は乃梨子の腕を退け乳房に両手を這わせた。 「んぅ……ね……電気…消して……」 チュパッと高い音を立てて、雅史が乳房に吸い付く。 白い乳房に、何箇所も鬱血した跡がつく。 「見えないって……大丈夫……」 「んっ…ぁ…ぁんっ……でも…っ……二号棟からは……見えるかも……」 胸の形がひしゃげるほど強く揉まれ、乳房をあちこち強く吸われるうちに、乳首が硬く尖り、乃梨子は小さく身悶えた。 「ん？あぁ…そうかな………」 聞き流して、雅史はブラの布地をずらす。 硬くなった乳首の周辺を、雅史の舌先がくすぐるように動く。 「っふぁ………ねぇ……暗くして……」 元々、明るい部屋での行為を滅多にしたことがない。 斜め前に立つマンションの別棟が気になって訴える。 「見たい奴には見せたらいい。俺たち夫婦なんだから、悪いことしてるわけじゃないだろ？」 雅史の指先が左の乳房を、唇が右の乳房を優しく刺激する。乳首には触れそうで触れずに、柔らかな肉の丘を頂上に向けて揉み上げ、舐め上げていく。 「…っ…ぁ……ぁん……でも……」 乃梨子は顔を赤らめ、脚を閉じ合わせようとする。 触れてもらえない乳首が、じんじんと痛いほどに尖る。 もどかしさは蜜をいっそう溢れさせ、腰が小さくくねる。 「だめだよ。全部見せて。ほら」 雅史が両手で乃梨子の脚を大きく広げる。 「きゃ…ぁ…っ…やっ……いや……雅史さん……っ…」 恥ずかしさに乃梨子は両手で顔を覆う。 ショーツの小さな布地に淫らな染みが広がっている。 「濡れてる……乃梨子……こんなに……」 股布がずらされ、雅史の指先が陰唇の上を這う。 「ぁ……はぁ……」 愛液が溢れる。 乃梨子は腰をびくんと浮かし、切なげに雅史を見つめる。 「こんなに蜜が……厭らしいな…乃梨子……」 雅史の声が上擦る。 「乳首、舐めて欲しかった？」 上目で乃梨子を見つめながら、雅史の舌先が乳首を捉え、指先が反対の乳首を摘みあげる。 「んっ……んくっ……」 乃梨子は大きく仰け反り、胸を前へと突き出す。 「俺の…可愛い…乃梨子の…おっぱい……」 乳首を強く吸い上げられる。 「んぁ………ぁぅ……雅史さん……」 この頃の雅史は、行為の最中に『俺の』という言葉を多用する。 その言葉を言われると、工藤夫妻とのことを意識してしまう乃梨子だった。 （もう、忘れたいのに……） 他の男に抱かれた自分のことを、雅史はどう思っているのだろう。 他の女を抱いた雅史のことを、自分はどう思っているのだろう。 乃梨子はなるべく考えないようにして、今までの時間を過ごして来た。 「ぁ……ぁ……っ……はぁ……」 雅史の指先が花びらの上を動き始めて、乃梨子の心を掠めた想いは消えていく。 「ぁん…だめ…………雅史さん……」 身体をくねらせると、乳首を吸っていた雅史の唇が、少しずつ下に移動する。 「すごく……厭らしい身体になったな……乃梨子……」 唇は脇腹を這い下り、太腿の付け根を舌先がちろちろと擽る。 「や…んっ……ぁっ……ぁぅ……っ…」 秘所が疼き、乃梨子は腰を跳ね上げる。 雅史の指摘どおり、感じ易くなっているのが自分でも分かる。 「ここも舐めて欲しい？」 指先で溢れる蜜を掬いながら、雅史が見上げてくる。 「んっ…ぅん………ん……」 羞恥に顔を染め、乃梨子はコクンと頷く。 「ほんとに、やらしくなったな……」 雅史は顔を乃梨子の股間へ伏せ、ざらついた舌で蜜を舐め取りはじめる。 雅史の口調が気になる。 気になるけれど、長くそのことを考えていられない。 「ぁっ…ぁぁ……雅史さん……」 乃梨子は喘いで、膝裏を自分で押さえ腰を浮かす。 雅史の指先が、左右から淫裂を広げる。 とろりと蜜が流れ出る。 雅史の舌が、下から上へと何度も丁寧に左右の花びらを舐めあげる。 「んぁ……ぁん……やぁ……ん……」 びくびくっと乃梨子の身体が震える。 （だめ……この頃……いっぱい感じて……） 感じすぎては、雅史が壮一郎のことを強く意識するだろうと思う。 それでも、感じる身体を抑えられない。 ぬぷり……指が挿入される。 「ぁぁ……はぁっ……」 もっと…というように、腰を突き上げてしまう。 「厭らしい乃梨子、みんなに見せてあげようか」 ゆっくりゆっくり、雅史は指の抜き差しをはじめる。 「……ぁ……ぁ…いやっ……ぁはぁ……や……恥ずかしい……っ…」 明るい光に照らされながら、乃梨子は自分で膝裏を押さえ、ソファの上で腰を跳ね上げる。 「びしょびしょだよ…乃梨子……ソファが汚れちゃいそうだ……」 挿入する指が二本に増える。 ぐちゅっ…ぐちゅっ……水音が響く。 「あぁ……すごいよ…乃梨子のここ……指を締め付ける……」 指を動かしながら、反対の手を使って雅史はスラックスを脱いでいく。 雅史は蹴飛ばすようにスラックスと下着を脱ぐと、下着をずらした状態の乃梨子に硬く勃起した肉棒を宛がい、乱暴に腰を押し進めた。 「ぁぁぁ……ぁはぁぁ………」 柔らかな肉を掻き分け、肉棒が侵入してくる。 「あぁ……いぃよ……乃梨子のおま○こ……きついよ………」 「んっ……ぁぁ……ぁんっ……」 ぴくっと膣が収縮する。 「乃梨子のおま○こは、俺だけのものだよ」 この頃、挿入しながら、必ず雅史はその台詞を言う。 「んっ…ぁんっ……雅史さんだけの……ぁぁぁ……」 肉棒を締め付けながら、乃梨子はガクガクと頷く。 「俺のチンポは……誰のもの……？」 「乃梨子のもの……ぁんっ……雅史さんのチンポ……乃梨子のおま○こだけに…入れて……」 激しく腰を使う雅史にしがみつき、脚を絡め、喘ぎながら淫語を口にする。 心の奥で、七恵を抱く雅史のイメージが明滅する。 「ぁぁぁ……毎日、乃梨子のおま○こ……犯したい……」 「ずっと…犯して……雅史さん……めちゃくちゃにして……」 壮一郎に犯されている自分。 七恵を相手に腰を振っている雅史。 頭の中に浮かぶイメージを振り払うように、乃梨子は首を振り、雅史の背中に爪を立てる。 「乃梨子、乃梨子……あぁ…出るよ……っ……ぁぁ……」 雅史の腰の動きが一際激しくなる。 「ぁ…ぁぁ……イク……雅史さん……んっ……んんっ……」 ひくひくと膣壁が蠢く。 膣の奥で、雅史の肉棒が膨れ上がる感覚がする。 「ぁぁぁ………イクぅ…………」 強く肉棒を締め付け、乃梨子の身体が硬直する。 「あぁ……乃梨子………」 雅史の動きが止まり、どくっどくっと肉棒が脈打ち、乃梨子の中へと精液が注ぎこまれる。 二人一緒に絶頂を迎えながら、心のどこかが冷えて行くのを乃梨子は感じていた。 ※ ※ ※ キッチンから野菜を切る音が聞こえてくる。パンツ一枚でソファに寝転がったまま雅史がそちらを見ると、対面式キッチンの向こうから恥ずかしそうに乃梨子がこちらを見返した。 帰宅してすぐにリビングで愛し合った後、乃梨子は恥ずかしいデザインの下着の上にエプロンだけを着けた姿でキッチンに立っている。 卑猥な姿の乃梨子を見ると、すぐに股間が充血してくる。 （それにしても…乃梨子、変わったなぁ…） 雅史は思う。 乃梨子は元々従順な妻ではあったが、以前の乃梨子なら今のような格好をしてくれと頼まれても首を縦には振らなかったはずだ。 （それが今は……） 雅史がエプロンだけ着けろと半ば命令した時の、頬を紅潮させ脚をもじつかせながらも素直に従った乃梨子を思い出す。 （七恵さんたちに感謝すべきなのかな） 淡白な乃梨子を不満に思ったこともあった。 乃梨子の様子が変わって来たのは、あの夫婦交換からだと思うと、乃梨子が乱れることに、嬉しさ、悔しさ、憤り、苦々しさ、愛しさ、いろいろな感情が雅史の中で入り混じる。 ソファから起き上がり、キッチンへ向かう。 乃梨子は白い身体に赤い紐状の下着、白いフリルのついたエプロン姿で野菜を刻んでいる。 「暖房入れたから、寒くないだろ？」 背後からふわりと抱きしめる。 「あ……うん。雅史さん、包丁、危ないよ？」 乃梨子の手が止まり、包丁をまな板の上に置く。 その動作で、乃梨子が期待しているのが感じられて、半勃ちだった股間のものが一気に硬くなっていく。 （なんだ…この淫乱さ……） 抱きしめていた掌をエプロンの中へ這わせ、下着をずらして柔らかな乳房を包み込む。 「ぁん……ね…ご飯…作れない……」 軽くイヤイヤするように首を振りながらも、乃梨子が身を預けてくる。 「うん……俺が勝手にこうしてるから、乃梨子はご飯作って」 両方の乳首を指先で摘みながら、耳元で囁く。 「んっ……でも……っ……」 柔らかかった乳首は、すぐに硬くなっていく。 「ちゃんと作らないと駄目だよ」 指先でコリコリと刺激すると、乃梨子の身体が微かにくねった。 「ぁ…ぁんっ……作れない…っ……だめよ…雅史さん……」 シンクの端に掴まって、乃梨子が首を横に振る。 「今日は何を作るつもりなんだ？」 後ろから乃梨子の尻へ下着越しに勃起したものを押し当てる。 「ぁぅ……餃子のつもりだったけど……変更しようかな…って…」 緩やかに、乃梨子の腰が動く。 「何に変更するの…？ほら、手が動いてないよ？」 硬くなった肉棒を下着から取り出して、尻の谷間に宛がう。 「……だめ……危ないでしょ……んっ…ぁん……やめて……」 下着の紐を解いて、ブラもショーツも脱がせていく。 赤くなった乃梨子の耳朶を、軽く噛み舌を挿入する。 「は…ぁぅ……や……ん……」 「ちゃんと作りなよ。いつまでたってもご飯できないよ？」 片手を前へと這わせ、指先でクリトリスを捉える。 先ほどの行為の名残りか、新たに溢れさせた蜜か、硬くなった突起はぬるぬると濡れていた。 「んぁっ…ぁ……っ…だめぇ……っ…」 泣きそうな声をあげて、乃梨子が身悶える。 「また濡れて……やらしいな…乃梨子……」 感じている乃梨子を見ると、欲情する一方で腹立たしい衝動のようなものを覚える。 乱暴に秘所を捏ね上げ、いきなり中指と人差し指、二本の指を突き挿した。 「ぁ……はぁぁっ……あぁっ……」 乃梨子はシンクに手をかけ、お尻をこちらに突き出してくる。 「ご飯作りながらも、やらしいことばかり考えてるんだろ？」 指を素早く抜き差しすると、くちゃくちゃと水音が響き、愛液が糸を引いて床にまで垂れ落ちていく。 「っ…ぁんっ……だって…雅史さんが…ぁぁっ…んっ…」 乃梨子の腰が前後に揺れる。 背後から覆いかぶさるようにして、乳房を揉みしだき、挿入した指で膣壁を擦りながら愛液を掻き出す。 「っふぁ……あぁ……んっ……んっ……ぁはぁぁ……っ…」 （前の乃梨子は、こんなに声をあげなかった） （こんなに、腰を振らなかった） もっと乱れさせてみたい。 どこまで淫乱な乃梨子になるのか、見てみたい。 壊してやりたい。 まな板の上に乗っていたキュウリが目に入った。 雅史は挿入していた指を抜き、衝動的にそれを掴むと、愛液に満たされた蜜壺へと突き立てた。 「あ……ぁ……ぁぁぁぁっ…」 膣口が蠢く。 長いキュウリを半分近く呑み込んで、乃梨子の秘所からは涎のように愛液が流れる。 「乃梨子のおま○こ…なんでも入るんだな」 こんな野菜を悦んで受け入れている乃梨子が腹立たしい。 冷たい言葉をかけながら、回すようにキュウリを動かしてやる。 「んぁ…ぁぁ…いやぁ…っ……雅史さん……んっ…ぅ…いや…っ…」 口では嫌がりながらも、後ろに突き出された尻は淫らに左右に揺れる。 「気持ちいいんだろ？いいって言えよ。ほら……ほら……」 ゆっくりゆっくりキュウリを抜き差しする。 「ぁぁ…ん……はぁ…こんなの……いやぁ……」 首を振り、涙を浮かべる乃梨子の乳首をきつく摘みあげる。 「んくぅぅっ……ぁ……ぁぁぁぁっ……」 乃梨子の全身を小波のように震えが走るのが分かった。 「乃梨子、こんな物で逝ったのか？」 蔑むような言葉が口をついて出る。 「…はぁ…ぁぅ………いや……雅史さん…もう……」 肩で息をつく乃梨子の中からキュウリを抜き取り、猛っていた肉棒を奥までいきなり突き入れる。 「あぁぁ……ぁはぁぁ……」 膣壁が絡みついてくる。 乃梨子が身体をくねらせる。 「ぁ…ん……雅史さん……雅史さん………」 甘い声をあげた乃梨子の膣がきゅっと締まる。 「あぁ……乃梨子……」 熱い肉に包まれていると、さっきまで感じていた腹立たしさに変わって、愛しさが込み上げてくる。 奥へと挿入した肉棒を、意識して震わせる。 「ぁんっ…ぁ…ぁぁ…いぃ……」 仰け反る乃梨子の顔を無理に後ろへ向かせ、唇を重ね舌を挿し込む。 「ん…んっ……んん……」 乃梨子も舌を差し出して絡めて来る。 （…乃梨子……好きだ……） 深いキスを繰り返しながら、雅史はゆっくりと腰を回す。 「んんっ……んぅ……っ…っ……」 喉の奥でくぐもった声をあげ、乃梨子の膣は収縮を繰り返す。 （誰にも……渡さない…） 徐々に突き上げる腰の動きを早めながら、雅史は細い身体をきつく抱きしめた。 |
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| 2009.4.11掲載 |
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