床に手を着く乃梨子を見つめ、七恵は自分の気持ちが冷めていくのを感じていた。 （どうしてそんなに素直なの……？） 結局乃梨子は、嫌がっているようなことを言いながら、悦んでいるのだろう。 七恵だけに見せる時より、もっと興奮しているのに違いない。 「今日はお客様がいらっしゃるんだから、ご挨拶もきちんとするのよ」 声をかけてやると、乃梨子の肩がびくっと震え、 「は…はぃ……」 か細い声で返事をする。 二人の男は、にやにやして乃梨子と七恵を見比べている。 「かてるから…あたし……気づいてなくて……」 乃梨子の息遣いが荒くなっていく。 ショーツの中へ潜った指が、動き始めているのが分かる。 ソファに座った多村が身を乗り出し、 「……肝心なところが、何も見えんなぁ…」 不満気に、ぼそっと呟いた。 「お客様が、乃梨子の厭らしいところ、見てくださるそうよ」 七恵が告げると、 「あぅ……」 乃梨子は、眉を寄せて小さくイヤイヤするように首を振って見せた。 「嫌なの？」 その犬のような瞳を覗き込んで、尋ねる。 「はぅ……七恵……さん……」 「自分で脱げるわよね？」 乃梨子の言葉を遮って、念を押す。 「………」 「それとも、お客様に脱がせていただく？」 七恵の言葉に、多村の目が輝いた。 「ぁ……自分で……自分で脱ぎますっ…」 乃梨子が慌てて答える。 「脱がせてあげますよ？奥さん」 多村の息が、興奮して荒くなっている。 胡座をかいた鼻、鼻孔が開き、肌の脂が先刻までより増したように思われる。 （……みっともない男…。こんな男に見られて興奮するなんて…） 冷ややかに、七恵は思う。 「自分で脱げるのなら、早くしなさい」 多村の申し出は無視して、乃梨子に声をかける。 「はいっ…」 乃梨子は膝立ちになると、ショーツとストッキングを一緒に膝まで引き下ろした。 「上も」 短い言葉で指示を出す。 「え…？…ぁ……はい…」 下着を膝まで下げた中途半端な状態で、乃梨子は上着を脱ぎ始める。 ベージュのブラウスのボタンを、上から順にゆっくりと外していく。 「そのまま。さっきの続きをして」 「なんだ。全部脱がないのか…」 また、多村が不満そうな声をあげ、七恵は思わずクスリと笑ってしまう。 （気の短い男ね……） もっと自分の食指が動く男なら、双頭バイブを使ってみせるのに…と考える。 「お楽しみは、これからですわ」 艶然と多村に笑いかけておき、 「それで？配達の人に気付かずに、乃梨子は厭らしいオナニーをするのね？」 乃梨子の頭を撫でる。 ブラウスの前を肌蹴て、白い尻も丸出しにした姿で、乃梨子はもう一度四つん這いの姿勢になった。 今度は、慎ましやかな菊座も、愛液を湛えた割れ目も露になる。 「はい……誰も見てないと…思ってるので……こんな風に……」 乃梨子の指が動く。 「どこを触ってるの？説明して？」 「クリトリス……です……っ…ぁぁ……」 腰が揺れ、甘い声が漏れはじめる。 溢れた愛液が、腿にひとすじ流れている。 「もう、こんなに濡れて……厭らしい子ね」 「ぁぅ……ごめんなさい……」 「乃梨子の厭らしい音、聞かせて？」 「はい……七恵さん……」 ピチャッ…ピチャッ…小さな水音が響く。 乃梨子の指先が、秘所を叩くように動いている。 「ほら、お客様にお願いしなくちゃ」 「ぁ……はぃ……お客様……乃梨子の……おま○この……エッチな音を……お聞きください……」 ピチャッ…ピチャッ…。 七恵は、静かに乃梨子の頭を撫で続ける。 多村は食い入るように、乃梨子の痴態を見つめている。 壮一郎は脚を組み、椅子の背に凭れた姿勢のままでいる。 奇妙にしん…とした部屋の中、乃梨子の愛液が立てる音だけが響いた。 |
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| 2009.8.31掲載 |
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