「おはようございます。珍しいですね、こんな時間にお会いするのは」 乗り換え駅で降りると、同じく電車を下りた壮一郎が話しかけて来た。 歳は乃梨子より一回りぐらい上だろうか。 工藤夫人とは何度か立ち話をしたことはあったが、夫の壮一郎と言葉を交わすのは初めてだった。 「お…おはようございます」 まだ動揺が収まらず、乃梨子はおどおどと挨拶した。 「今日は主人の忘れ物を届けに来たんです」 胸に抱えていた茶封筒を示す。 「ご主人、お勤めはどちらですか？」 「Ｏ町…です」 乃梨子は言葉少なに答えた。先刻痴漢に遭っていたことに、彼が気付いていたかどうかが気になる。 「それじゃあＴ線ですね」 そのまま、工藤が並んで歩き出す。 「工藤…さんは？どちらまで行かれるんですか？」 「僕はＫ駅までです。途中までご一緒ですね」 そう言われてしまっては、離れて行動するのも失礼になる。何の拘泥も無さそうな相手の様子に、乃梨子は少し安心し始めていた。 Ｔ線の混雑もかなりのものだった。一緒に乗り込んだ壮一郎とは、自然に身体を密着させることになる。満員なのだから身体が近づくのは仕方無いのだが、それが顔見知りの男性だと妙に気恥ずかしい。 （意識しすぎよ。さっきあんなことがあったから、気が昂ぶっているんだわ） 乃梨子の脳裏に、先刻の痴漢の行為がよぎる。 （工藤さんが声をかけてくれなかったら……あたし……） どうなっていたのだろうと考えると、また身体が潤んでくる。 （やだわ……あんな痴漢のこと思い出して…） 乃梨子がひとりで思いを巡らせていると 「さっき、大丈夫でした？」 背の高い壮一郎が身体を屈め、乃梨子に顔を近寄せた。 「え…」 なんのことを言っているのかは、すぐに理解出来た。 カァっと顔に血が上る。 「大丈夫…って？」 とぼけて聞き返してしまってから、乃梨子は後悔した。この話題は続けられても困る。 「いえ、さっきもずいぶん混んでいましたから」 壮一郎は何気ない口調で答える。 （……深い意味は無かったのかも……） 希望を籠めて、乃梨子は考える。 「えっ…えぇ……かなり混んでいて…苦しかったです」 乃梨子の動揺を見透かすように、壮一郎が笑った。 「気持ち良さそうに見えましたよ？」 耳元で低く囁かれる。 （……………っ…） その途端、秘所から愛液が溢れるのが分かった。 （ぁ………やだ……どうして……） 顔を伏せて、封筒をぎゅっと抱きしめ、 「そんなことは……ないです……」 蚊の鳴くような声で答える。 「そうですか」 乃梨子は顔を火照らせたまま俯き続けた。 ※ ※ ※ 俯いたままの乃梨子の頭頂部を見ながら、壮一郎は楽しい気分になっていた。 乃梨子の態度から、彼女がさっきの痴漢に感じていたこと、そしてそれを恥じていることは想像できた。 （今もおま○こを疼かせているんだろうな） 普段マンションの廊下などで見かける乃梨子は、化粧気もあまりなく、Ｔシャツにジーンズといったラフな服装が多い。今は、薄化粧に、清楚なワンピース姿。夫の忘れ物を届けに来たと言っていた。おそらく夫婦仲も良く、貞淑な妻なのだろう。 そんな乃梨子が、痴漢の手で感じて、衆人の中で淫らな表情を晒していたことを思うと、自然に壮一郎の股間が熱く硬くなっていく。 「竹下さんのお邪魔をしちゃったんじゃないかと心配していたんですよ」 世間話をするように、乃梨子に話しかける。 「えっ……いえ……」 声をかけられただけで、びくっとする乃梨子の様子を好ましく見守る。 赤くなっている乃梨子の耳朶をこの場で軽く噛んでやったら、どんな反応をするのだろう。 「偉いですね。ご主人の忘れ物を届けに…なんて。うちの奴なんて、絶対そんなことしてくれないですよ」 乃梨子の反応が面白くて、話を続けてみる。 「今日は…たまたまお休みだったので……」 「そうか。専業主婦って訳でもないんだ」 話しかけながら、乃梨子の腹の辺りに片方の掌を当てる。 ひっ…っと小さく乃梨子が息を飲むのが分かった。 「え…はぃ…。近所で少しだけアルバイトをしてます…」 何気なさを装って、返事をする乃梨子を見ていると、嗜虐的な気分になってくる。 「バイト？どんなお仕事ですか？」 腹部を揉むように掌を動かし、そのまま少しずつ下へと這わせる。 「設計事務所で、事務を……」 乃梨子の声が震え、語尾が消え入りそうになる。 「ふぅん……じゃあ、家事はご主人と分担して？」 指先で、ワンピースの裾をたくし上げていく。乃梨子の右手が、それを拒むように服を抑えたが、無視してぐいっと布地を引っ張る。 「……ぁ……」 小さく声をあげかけて、乃梨子が唇を噛んだ。 「いえ……主人は家のことはほとんど何も……」 周囲に気付かれたくないのだろう。会話を懸命に続ける乃梨子の様子が、愉しくてたまらない。 （どこまでそうやって平静を装っていられるか、見ててやるよ） 服の中へ手を入れ、直に腹を触る。細身に見える乃梨子だが、腹部の肉はそれなりに柔らかい。微かに汗ばんで、肌が指先に吸い付くようだ。 「ご主人が羨ましいなぁ…ウチは、家事は全部当番制ですよ。今日も朝食は僕が作りました」 「そ…そうなんですか…」 止めて…と言うように、乃梨子が見上げて来る。心なし、瞳が涙で潤んでいるようだ。恥ずかしいのか、悔しいのか、それとも欲情で潤んでいるのか。 「オムレツなんかね、上手に作りますよ。こう…ポーンとひっくり返してね」 掌はストッキングと下着のウエスト部分を一度に乗り越え、乃梨子の茂みの中へ潜り込んでいく。 さっきの痴漢はどこまで手を入れていたのだろう。 スカートの中まで、下着の中まで、それとも濡れた淫裂の中までか…。 「いいですね……オムレツ……」 相槌を打つ乃梨子の声に、甘い吐息が混じる。 壮一郎は指先を伸ばし、小さな花芽を探り当てる。 「僕の作るビーフシチューなんて旨いですよ。今度、ご主人と一緒に食べにいらっしゃるといい」 花芽はすでに蜜に塗れてぬるついていた。 （やっぱり濡らしていたな……漏らしたみたいじゃないか…） 「は…はぃ……ぜひ……。……っ…」 乃梨子と目が合ったので、にやっと笑って見せる。 （さっきより脚を開いてるじゃないか。そんなに触られたいか？奥さん） 「妻にも言っておきますよ。ご主人にもいい刺激になるかもしれない」 指先で、花芽を捏ねる。乃梨子が、壮一郎の胸に顔を埋めて来た。 （そろそろ耐え切れなくなって来たかな） 「ごめんなさい……あたし……ちょっと気分が……」 掠れた声は、はっきりと乃梨子が欲情しているのを伝えてくる。 「あぁ、大丈夫ですか？僕に掴まっていて良いですよ」 言いながら、細い腰を抱き寄せた。 抵抗する素振りは無い。 「はぃ……すみません…」 謝りながら、壮一郎にしがみ付いてくる。 （自分で立っていられなくなったか……） 「普段はあまり電車に乗ったりしないんでしょう？こんなに混んでいたら気分も悪くなりますよね」 ぬぷ……。 中指を第一関節まで挿し込む。 「…っ…ひぁ……はぃ……」 「あぁ……きついですね。もうすぐ着きますから、我慢できますか？」 指を回すようにしながら奥へと挿入する。 大量の愛液が壮一郎の指を濡らしていく。 （可愛い顔して、結構淫乱だな…こんなに濡らして…） 「はぃ……だいじょうぶ……です……」 壮一郎の胸に凭れたまま、乃梨子の腰が緩やかに動く。 ゆっくりと中指を出し入れしてやる。 微かに、くちゅり…と水音が聞こえる。 乃梨子の背後に居た男が、壮一郎を見てニヤニヤと笑った。 二人のしているプレイに気付いているのだろう。 男に、ニヤッと笑い返すと、乃梨子に挿入する指を二本に増やし、一気に奥まで突き上げた。 「………くっ……はぁ……っ…」 乃梨子が大きく息を吐く。しがみ付く指先に力が篭り、身体を震わせる。 膣内で二本の指をバタつかせるように動かす。 「……ぁ……ぅ……」 乃梨子が切なげに見上げてくる。 「さっき邪魔をしたお詫びです」 低く囁くと、指先で膣壁のザラついたところを擦り、愛液を掻き出す。 くちゅっ…くちゅっ……。 淫らな音が、乃梨子の耳にも届いたことだろう。 「は………ぁ………………っ……」 膣壁が収縮して、指が押し出されるような感覚がする。 同時に、多量の愛液が掌に流れ出てきた。 「………っ……んっ……」 達したらしい。乃梨子は息を弾ませている。 そろそろ下車駅が近い。 壮一郎は、べとつく掌を乃梨子の下着で拭き取りながら、手を抜き去った。 （これからじっくり愉しませてもらうか…） 慌てることは無かった。 乃梨子は、３軒隣の部屋の住人なのだから。 |
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| 2008.12.27掲載 |
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