夫婦交換の翌日、雅史は早めに家を出た。 乃梨子はまだベッドで寝息を立てていた。 普段なら、雅史の起きる気配に気付かない乃梨子ではないのだが、さすがに疲れていたのだろう。雅史自身、明け方近くまで七恵とも乃梨子とも二度ずつ交わり、身体の芯にどんよりとした疲れが残っていた。 勤務時間中も、ともすればぼうっとして、昨夜のことを思い返してしまう。 厭らしい仕草で服を脱ぐ七恵。そして、乃梨子。 今までしてくれたことのない、念入りな乃梨子のフェラチオ。 じゅぼじゅぼと言う、乃梨子の唇から零れた音まで思い出される。 七恵の白い肌。豊かな乳房。 何より興奮したのが、大きく脚を開かれ、壮一郎に貫かれる乃梨子の姿だった。 心が捩じ切れてしまいそうな嫉妬と同時に、もっと乃梨子が泣き叫び、厭らしい言葉を叫べばいいのにと思う自分がいた。 （俺…変なのかなぁ……） 冷静に分析しようと思うのだが、思い出すうちに雅史の股間は熱を帯び、仕事中だというのにトイレに駆け込んでしまう有様だった。 幸か不幸か、急ぎの仕事が何も無かったので、昨夜の饗宴を反芻するうちに、一日が過ぎていった。 （………？） 終業時刻を過ぎた頃、携帯に着信があった。 登録に無い番号である。 「はい。竹下です」 『あ…もしもし？雅史さん？』 少し喉にかかったような、アルトの声が耳元で響く。 昨夜、雅史の身体の下で、大きく喘いでいたのと同じ声。 「な……あ、っと、工藤さんですか？」 ’七恵’と言いかけて、周囲を気にして言い直す。 『そうそう。今ね、この近くまで来てるの。お食事でも一緒にどうかなって思って』 「え？」 意外な相手からの唐突な申し出に、戸惑った。 『５分後に会社の前で待ってるわね。じゃあ』 一方的に電話は切れた。 （はぁ…相変わらず強引な人だなぁ） 溜息をつき、苦笑する。 慌てて帰り支度をしながら、ふと疑問に思う。 （なんで、俺の携番知ってるんだ？） 答えはひとつ。 乃梨子が教えたに違いない。 （俺と七恵さんが連絡を取り合っても構わないってことか？） 昨夜の、どちらかといえば夫婦交換に協力的だった乃梨子の態度も思い出す。 （なんなんだよ。いったい） なんとなく不愉快な気分になりながら、雅史はオフィスを後にする。 電話での言葉どおり、通用口を出てすぐの角に、見覚えのある黒の乗用車が停まっていた。駆け寄り、助手席のドアを開く。運転席の七恵は、淡いベージュのスーツ姿だった。 「どうしたんですか？いきなり……」 「良かったわ、すぐに来てくれて。乗って」 雅史の言葉を遮り、七恵がエンジンをかける。 （……なんだかなぁ……） 首を傾げながら、雅史は助手席に乗り込んだ。 どうも七恵の押しの強さに、いつも負けてしまう。 それは決して、不快なことではなかったが。 車がスタートする。 街には、クリスマスのイルミネーションが輝いていた。 数時間後。 雅史は、家へ向かう途中の国道沿いのラブホテルの一室に居た。 シャワーの音が聞こえる。 ネクタイを緩め、ソファに座った雅史は、リモコンを操作してテレビを点けた。 （なんでいきなりこんなことになったかなぁ…） 所在なくザッピングしながら考える。 昨夜も工藤夫妻に押し切られ、うやむやのうちに二度目の夫婦交換を行うことになってしまった。雅史も大いに興奮して、愉しんだことは事実だった。 今日も結局、七恵に強引に誘われるままに夕食を共にし、そのままラブホテルへ来てしまった。 このところの自分の行動が信じられなかった。 （すぐ次の日にまた誘って来るなんて……七恵さんも元気な人だよなぁ…） 妙なところを感心しながらも、バスルームでシャワーを浴びている七恵の豊かな裸身を思い描くと、雅史の股間もすでに充血していた。 （けど、スワップじゃなくて、二人でホテルはまずいんじゃないか？） 乃梨子が知ったら、怒るだろう。 （いや…でも…） 自問自答を繰り返す。 （乃梨子が携番を教えなければこんなことになってないんだし） 七恵がそうだとはっきり言った訳ではないが、乃梨子が教えたに違いないと確信していた。 （会社の場所だって、多分乃梨子が教えたんだよなぁ…） 雅史に断りもなく教えるのは、乃梨子らしくないと思った。 （…ってことは、七恵さんとやってもいいってことなのか？） それならそれで、なんとなく腹立たしい。 （据え膳食わぬは…って言うしなぁ…） ベルトを緩め、はち切れそうになっている物を下着の上から撫でる。 （七恵さん、こいつが気に入ってるみたいだしな） テレビをアダルトチャンネルに固定し、雅史はニヤついた。 「雅史さぁん。一緒に入らない？」 バスルームのドアが細く開き、髪をポニーテールに纏めた七恵が顔を出した。 「あ、うん。今行くよ」 返事をして、いそいそと服を脱ぎ始める。 夫婦交換で既に肌を重ねた相手だけあって、妻への罪悪感はとても軽かった。 淡い水色を基調にしたバスルームは広かった。 七恵が準備したのだろう。バスタブの中は白い泡で満たされている。 七恵は泡の中に埋もれるようにして待っていた。 その横で、軽くシャワーを浴びる。 （そういえば、ラブホなんて久し振りだなぁ） 結婚前は、乃梨子と毎週のように利用していたけれど……また、妻の顔が頭に浮かび、それを振り切るように雅史は首を横に振った。 「なに難しい顔をしてるのよ」 裸身に泡の衣装を纏った七恵が、バスタブから出て来て指先で雅史の胸を突付く。 「えっ、別に……七恵さん、遅くなってもいいんですか？」 そっと七恵を抱き寄せる。 「ええ。うちはお互いそういうのは干渉しないから」 答えながら七恵が、雅史の身体に泡を塗っていく。 「雅史さんは大丈夫？」 「それは…大丈夫だけど…」 掌が胸板を滑る感触に背筋がぞくぞくした。 「うわっ…気持ちいいな……これ……」 七恵の手が、胸から背中へと這い、臀部へと下りて来る。 雅史の股間の物は、硬く張りつめて、痛いぐらいになっていた。 「ふふ…。こういうプレイは、奥様とはしないの？」 見上げてくる黒い瞳は欲情に濡れている。 （あぁ……七恵さんのこの目が堪らない……） 雅史は腰を前に突き出すようにして、七恵の身体に擦り付ける。 「うん……あんまり、乃梨子は色々楽しむ方じゃないから……」 雅史の望みを察したように、七恵の手は肉棒へと伸びてくる。 「そうなの？……でも、最近はちょっと違うんじゃない？」 泡で肉棒を包み、七恵の掌が柔らかく動く。 「あぁぁ………。え……違う…って？」 ぬるっとした愛撫に、思わず声が漏れる。 「最近の奥様は、だいぶエッチになったでしょ？」 肉棒を扱きながら、七恵の身体が淫らに揺れる。 泡が潤滑油となって、二人の身体が擦れ合う感触が気持ちいい。 雅史も手を伸ばして、七恵の乳房を触り始める。 柔らかな膨らみは、白い泡を乗せ、ケーキのように美味しそうに見える。 「……はぁ……そうだな……前より……エッチかも……」 最近の乃梨子の乱れ方は、以前からは考えられないものなのは確かだった。けれど、それを七恵に指摘されるのは妙な感じがした。 「どうして……そんなことを…？」 聞きながら、乳首を摘む。 ツンと尖った紅色の乳首は、指の間でツルンと滑った。 「ぁっ…んっ……だって、昨日の乃梨子さん……凄かったじゃない……」 言われると、昨夜の夫婦交換の情景が脳裏に蘇る。 雅史に奉仕して来た乃梨子。 壮一郎に跨って腰を振っていた乃梨子。 四つん這いで、壮一郎に背後から突かれ、雅史のペニスを咥えたりもした。 淫語も自分から進んで口にしていたようだ。 「ん……やっぱ…スワッピングしてから……変わったかも……」 乃梨子の変化が、嬉しいのか嫌なのか、自分でも良く分からない雅史だった。 考え込みながら、七恵の乳房をぎゅっと掴む。 にゅるっと滑って柔らかな肉が指の間から逃げていく。 「ん……あぁぁ……雅史さんも…変わったでしょ…？」 七恵の指先は、力を籠めたり緩めたりしながら、肉棒を刺激し続けている。 「え……ぁ……ぁぁ……そうかな……」 股間のモノが爆発しそうになり、だんだん物を考えるのが面倒になってくる。 「はぁ…あぁ……気持ちいいよ……七恵さん……」 腰を前後に揺らす。 七恵の掌の動きが、少しずつ速まっていく。 「奥様が……犯されるの見るの……好きになったでしょ…？」 掠れた声で七恵が囁く。 「……ぇ………ぁぁ………」 壮一郎に貫かれている乃梨子が鮮やかに思い出された。 七恵に扱かれている肉棒が、一段と膨らむ。 「奥様も……雅史さんの前で犯されて……感じてるのよ…」 泡に塗れた肉棒が、七恵の掌の中で跳ねる。 （あぁ……そうか……そうなのか？…乃梨子……） 七恵に指摘されてみると、そうかもしれないと思う。 自分は乃梨子が犯されるのを見て、乃梨子はその姿を自分に見られて、二人ともに感じていたのか。 「もっと、もっと、犯されたいって……きっと思ってるわ…」 七恵の言葉は、真実のように思えた。 「七恵さんも、スワッピングの時、そう思ってる？」 質問しながら、七恵の身体を後ろ向きにさせる。 七恵は抵抗なく壁に手をつき、尻を後ろに突き出したポーズを取る。 「そうね……壮一郎の前で、他の男に犯されるのは興奮するわ……」 「ふぅん……そういうものかな……」 背後から、七恵の乳房を揉みしだく。 だいぶ泡は消えて来ていたけれど、二人の身体はぬるぬると滑る。 「ん…はぁ……ん……雅史さんだって……」 七恵の身体が腕の中でくねる。 雅史は掌で七恵の乳房を持ち上げ、その豊かな質感を愉しんだ。 「他所の奥さんを抱くのは、興奮する……かな……」 片手で乳房を揉みながら、反対の手を臀部の割れ目に滑らせる。 「ぁ……はぁ……ん……」 七恵が脚を開く。 指先が、熱い潤みに届く。 「すごい……こんなに熱くなって……」 中指で掻き回すと、指の動きに合わせるように七恵の腰が動く。 「雅史さんの……触ってたから……」 「触ってるだけで……こんなに？」 指を出し入れしていく。 「そう………ねぇ……早く……頂戴……」 愛液が雅史の指を濡らす。 「もう……？」 尻をくねらせてねだってくる七恵を可愛いと思う。 くちゅ…くちゅ…小さく水音がする。 「あぁ……はぁ……」 七恵の唇から深い喘ぎが零れる。 抜き挿しする指先に、膣襞が絡みついてくる。 「立ったまま…入れるよ……」 背後から、秘裂に亀頭を宛がい、ゆっくりと挿入していく。 「………ぁ………ん……」 「はぁ………ぅ……」 柔肉に包まれ、肉棒がピクンと震える。 「いいよ……七恵さん……あぁ……」 乳首と、クリトリスを同時に刺激しながら、雅史は腰を前後に揺らし始める。 「んっ…ぁぁ……っ……はぁっ……」 七恵の腰も、前後に揺れる。 肌のぶつかる湿った音が、バスルームに響いていく中、雅史は腰の辺りが痺れるような快感を追って腰を動かし続ける。 |
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| 2012.11.10掲載 |
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