第14章　おもちゃ

　薄手のニットって、エッチだと思う。
　そりゃ、さ、私の胸なんてお義姉さんに比べたらたいしたことないんだけど。
「隠すとかえって目立っちゃうよ」
　入り際に言われたお義兄さんの言葉。
　だからといって、隠さずにいられないじゃない。
　だって、身体にフィットしたニットって、胸のラインがはっきり出てしまうんもの。
「乳首まで見えてるよ」
　そんなあ、何でワザというの…
　私は隠そうか、どうしようか、だから何となく隠してるんだけど、やっぱり見えてしまうのね。
　バイトの男の子。
　ニキビ顔でチラチラって、こっちを見てるもの。
　だいたいはイス席なんだけど、奥の一段上がったところに少しだけ畳があるの。
「美樹は、こっちね」
　まっすぐに畳に向かうお義兄さん。
　もちろん、お義兄さんは、私を奥にしてくれる。やっぱり紳士ねって思ったら、違うの。たくらんでたの。
　だって、普通は、向き合って座るでしょ？
　お義兄さんたら、私の斜め前に座ったの。
　最初はわからなかったんだけど、お義兄さんの、目がキラって光ったのを見てわかっちゃった。
　そうなの、イス席から、この席って丸見えなのよね。それに、ちょうど、一段高くなっているから、ミニで座ると、ちょっとマズイかも。
　ひょっとして下着が見えちゃいそう。
　って、その下着も履いてないのよ。もし、足を崩したら、一番入り口側の人たちから大事なところがまる見えになっちゃいそう。
　さりげなく、お義兄さんの前に移動しようとしたんだけど、すかさずストップ。
「美樹、そのまま」
　私は、困ってしまう。
　でも、ここでテーコーしたら、余計、注目されちゃうわよね。
　大丈夫、ちゃんと膝を閉じていれば見えないもの。
　私は、覚悟したわ。
　大丈夫。ぜったい膝は広げないもの。
　ミニって言っても、女はきちんと膝を閉じていれば、奥まで見えないハズ…なんだけど。
「ほら、ここ、地元の魚がうまいんだ。何が良い？」
　そんなことを言っても、それどころじゃないから「お任せします」って言うのが精一杯。
　それなら、任せてもらおうって、早速、バイトの男の子を呼ぶ。
「そうね、イカの沖付け、これ、地元のだよね、冷凍物じゃない？」
「まあ、一応、この港に上がったものっすケド」
　バイトの子は、お義兄さんの注文の合間に、チラ、チラって視線がこっち。もちろん、私の胸に決まってる。けど、知らん振りするしかない。
　私の願いは、早くお義兄さんの注文が終わってくれること。
　それなのに、いろんな注文をしたり、取り消したり、あげくは、最近の漁はどうだ、なんて話しかけてる。
　そうよ。お義兄さんの企み。
　バイトの子に、私をじっくり見る時間を上げたいだけ。だけど、何にも言えない私は、メニューを読む振りをして、じっと待つしかない。
「じゃ、あと、日本酒１合ね」
　え？車…
　ようやくバイトの子が行ってしまった後で、私は、大丈夫？って聞く。
　お酒を飲んで運転だなんて無茶はしない人だと思ってたのに…
「ああ、たった１合だもの。魚はね、米に合うから。ご飯も良いけど、やっぱり新鮮な魚には良い日本酒だよ。もちろん、美樹さんと二人分だよ。心配だったら、美樹さんが僕の分も飲んでくれればいい。残った分を僕が飲むよ」
　そんなあ、私だって、お酒、あんまり強くないのに。
　早速届けられた、お銚子に、お猪口は二つ。
　もちろん、心配だけど、こういう場合、お酌をするのは仕方のないことよね。
「ほら、美樹さんも」
　そう言われれば、受けないわけにはいかない。
　きゅうっと。
　バイトの子が運んできた、お料理はさすがに新鮮だった。お魚と日本酒って本当によく合う。
　考えてみたら、朝から何も食べてなかったのだもの。お腹にアルコールがキュウンってしみてきて。
　お義兄さんも勧め上手。気がついたら、お銚子が空いてた。
　それほど、大きくはないお店。
　けっこう込んでる。
「ほら、美樹、もっと楽にしていいよ。このあと一休みしてから帰るんだから」
「え、ここでですか？」
「この先にちょっとしゃれたファッションホテルがあるんだよ」
「一休みって、ホントに休むんですかあ？」
　ちょっとアルコールが回ったせいかな、私ってばダイタンかも。
　でも、ほんとは、そんなところに行くのはとんでもないこと。スグにダメ！って拒否しなくちゃいけないのに。
　でも、やっぱり身体をくっつけた人に弱いのかな。はっきり断れないから、冗談めかすしかないの。
「美樹が休ませてくれるんならね」
「あら、私は、ちゃんと休みたいですよ。お義兄さんこそ、ちゃんと酔いを覚まさないと」
「じゃあ、酔いを覚ましにね」
　あ〜ん、困難じゃ、私が誘ってるみたいじゃないの。
「酔い覚ましなら、軽い運動の方がいいかなぁ」
　そういいながら、お義兄さんたら、テーブルのコースターをひっくり返してサラサラって。
　もちろん、愛用のウォーターマンの青軸の万年筆を使ってる。なんだか、とんでもなく高いらしいけど、私はよくわからない。　
　何？何？
　私は思わず覗き込む。
『膝を広げて』
　え！？　
　高級万年筆を使って、何を書くのよ！
　あわてて、顔をぶるぶると横に振った。そんなことできるはず無い。
　だって、ただでさえ、あっちのテーブルに座ってる人たちは、チラチラとこっちを見てるのがわかる。
　膝を閉じてるから、奥まで見えてないと思うけど、今だって、ミニの足がけっこう見えちゃってるはず。
　それなのに、膝を広げるなんてできるはず無い。
　私がためらってると、また、サラサラって。
「ちゃんと言うことを聞かないと、お尻で逝っちゃったこと、貴彰に喋っちゃうよ」
　え！そんなあ、それにそんなことしたら、お義兄さんだって困るんじゃ…
「美樹、これ聞いて」
　お義兄さんが差し出したのは、ライターくらいの大きさ。そこから、イヤホンが伸びてる。
『何これ？』
「ＩＣレコーダーと言ってね、証言を録音したりするんだ。普通は相手に断ってから録るんだけどね」
　にっこり笑った、その笑顔。
　夫にすっごく似てる。
　つまりは、何か企んでいる顔。
　イヤホンを恐る恐る耳に近づける。
『あうぅ、はい、お義兄さんの言うことを聞きますからぁ。言うことを聞きますから…』
　とんでもないエッチな声。あわてて、引きちぎるようにして外した。
　これって…
「今朝、あんまり可愛かったからね。こんなに可愛い声、貴彰にも聞かせてやらないと」

　お義兄さんたら笑いながら話すから、すっごくヒドいことなのに、なんだか別世界のことみたい。
「さ、どうする？これ、貴彰と聞く？それとも」
　また、サラサラ。
『見せたって、どうせ知らない人だろ』
「こっちの方がラッキーだと思うけどさ」
　そう言いながら、また『早く』とだけ走り書き。
　私は、観念する。
『そうよ、知らない人だもの。ちょっとだけなら』
　不自然にならないように、身体を傾けながら、いかにも「酔ってしまいました」って感じ。
　正座していた膝を、ホンのちょっとだけ崩す。
『もっと』
　無理！だって、これ以上広げたら「見せたがってる」って思われちゃう
　どう考えても不自然よ。
　でも、私がためらってたら、向こうにも聞こえる声で言ってくる。
「美樹、正座も疲れたろ。足を伸ばしなよ」
　お義兄さんたら、また、企んでいる顔。
　でも、この企みは、わかりやすすぎる。だって、足を伸ばせば、スカートの奥まで、向こうから丸見えになってしまう。
「さすがに、昼酒は効くだろ」　
　そう言われれば、お義兄さんに合わせるしかない。
「えぇ、ほんとに」
「さ、足を伸ばして楽になりなさい」
「はい…」
　返事はしたけど、だからと言って、自分から、見せるようなマネできない。どうしよ。
「そのまま足を伸ばして」
　にっこり笑いながら、さっきのレコーダーを目の前で振ってみせる。
　あ〜ん、もう、わかりましたぁ。
　私は、仕方なく、両足を揃えたまま、そっと伸ばす。
　え？
　お義兄さんが急に私の両手を握ってくる。
　あ、あの、でも、スカートを直さないと。だって、足を伸ばしたときに、スカートが捲れてしまってて。
　でも、手を離してくれない。
　うそ〜
　暴れるわけにも行かない。だから、スカートを直せない。
　足の付け根までミニは上がってしまっている。いくら足を揃えてても、茂みまで見えちゃいそうなのに。
「美樹、ほら、ちゃんとひろげて。それとも、これ聞く？」
　小さな声で囁いてくる。
『もう、知らないから』
　私は半分やけになった気分で足をグッと広げてしまう。
　あ、やだ、こんなに広げるつもりじゃなかったのに。
　そうなの、照れ隠しと、やけになったのとで、思わず足に力が入ってしまったせい。左足が内股の形のまま、膝が身体の幅以上に広がってしまって。
『あう、風が、風が当たるう』
　室内に風なんてあるわけ無いのに、なぜだか、大事なとこに風が当たる気がした。
「美樹、いい顔してるよ。おっと、ダメだよ、今より一センチでも足を閉じたら、このレコーダーをこのまま、貴彰の所に持ってくよ」
「だめぇ」
　私は、恥ずかしくて顔から火が出そうな感じ。
　お酒と恥ずかしさで、きっと、真っ赤なはず。
　それなのに、お義兄さんは知らん顔。
　ううん、それどころか、もっとヒドいことを。
「これって知ってる」

　気がついたら、両手が離されていたのに。私ったら、スカートを直すこともできずに、両手で顔を覆ったままだった。
　両手から恐る恐るのぞいてみると、お義兄さんの細い指先にプランとぶら下げるようにつままれた、ドキドキするようなピンク色した物体。
『これって…』
「知ってるよね」
「こんなところで」
『そんなモノ出さないで』って言葉を飲み込んだ。だって、ちょうど、バイトの男の子が、最後のご飯を持ってきてくれたとこ。
　一瞬、男の子が、凍ったみたいに動かなくなる。
　それでも、これってもごもご言いながら、どうにかご飯を置いて逃げるように行ってしまった。
「はは、見られちゃったね。貴彰はこんなの使ったりする？オ、モ、チャ」
　そうなの、お義兄さんの指がつまんでいるのは、ショッキングピンクの大人のオモチャ。
「バイブ」でしょ。そりゃ、私だって主婦ですもの。いくらなんでも、そのくらい知ってる。
　でも、普通、これって、男の人のモノと同じカタチしてるはずよね。
　これは違うの。幹の部分は私の指くらいの細さなのに、先端がクルンって丸く大きく膨らんでる。
　そうね、男性の親指くらいかしら。で、根本は小指くらいの太さになって、台座になってる部分につながってるんだけど。
　その１０センチくらいの幹の部分が、壁に掛けてあるフックみたいにぐって曲がってる。
「はは、これね、こっち、この膨らんでる方を前にして、美樹の中にいれてごらん」
『そんなこと、できるわけない！』
　返事もできずに、目を丸くするしかない私に、お義兄さんはお構いなし。
「これってね、このままこっちを前にして」
　丸くなった部分を私の方に突き出して。
「これ、入れると、ぐっと前側のＧスポットを刺激するんだ。それに、ほら、先が膨らんでるだろ」
　ひょいって、目の前に。
『そんな風にしたら向こうの人たちに見えちゃう！』
　私は、あわてて、手で隠そうとすると、ほいって感じで、なぜだか私の手の中に渡されてしまう。
「その膨らんだ部分がね、一度中に入ったら、奥に奥に入ろうとして、手を離しても出てこないんだよ。おまけにその先端が美樹のＧスポットを刺激するからね」
　私は、お義兄さんの言葉どころじゃなかった。だって、ヘンなオモチャを渡されちゃったんだもの。
　手の中には隠しきれない大きさだし。
　先端の丸っこい部分が手のひらに柔らかく当たる。
　困った私は、両手でスカートに押しつけるように隠すしかない。
「おっと、足は閉じない」
　言われて気づいた。無意識に両膝がそろってしまいそう。
『え？、そんなぁ、見てるぅ…』
　向こうにいる、団体のおじさま達からの視線に気づいた。
　突き刺さってくるような、すっごい視線。
　チラチラ、なんてモンじゃないもの。
「ほら、どうする、この場で入れてみる？それともトイレに行くかい？」
　私はあわてて頭を振ったのだけど、お義兄さんは許してくれない。
「そんなことぉ、できません…」
　なんだか、ドキドキしちゃって。
　断ってしまえば良いだけなのに。でも、断ったら、きっと、夫にあのレコーダーを聞かせるって。あん、そんなことできないと思うんだけど。
「みんな見てるよ」
　炎みたいに熱いものが身体の中をカーって上がってくる。きっと、頬が真っ赤になってるはず。
「え？なんで？」
　だって、恥ずかしいだけのはずなのに、奥からトロって、これって、私のエッチな液。
　あ〜ん、こぼれてしまう。
　スカートの下は、もうまくれてしまっているから、このまんまじゃ、お座布団にこぼれてしまうってことだけ頭に浮かんじゃって。
「ちょっと、行ってきます」
　もう、とにかく立ち上がるしかなかった。
「美樹」
　立ち上がりかけた時、私の耳に囁くの。
「入れてこなかったら、レジの前で、ボクがねじ込むからね」
　もう。知らない。
　私は、ハンドバックにアレを隠すようにして、トイレに向かうしかなかったの。
　入り口にいた人たちが、一斉に私のことを目で追いかけるの。
　え？
　エッチな笑い方をして、私を見てなんか話してる。
　あ！
　オモチャに気を取られてたけど、ほとんど裸のように、私の胸、乳首がピーンと勃っちゃってて。
　あわててハンドバックを胸に当てたんだけど。
　もうとにかく、逃げるようにしてトイレに駆け込むしかなかったの。
　そっと閉めた個室。
『ああ、こんなになっちゃってる』
　もう、そっと、ティッシュで拭き取ろうとしたんだけど。
　あうぅ、もう、あぁ、だめえ。
　ちょっと触れたら、腰が抜けたみたいになって。それに、アソコが切ないの。
　なんで、こうなっちゃうの。
　ゆうべ、夫のモノをおねだりしちゃった時みたいなの。でも、まだ、触られてもいないのに。
　まさか…
　あの人達の視線。
　思い出しちゃうと、よけいからだがオカシクなっちゃって。
　ああ、もうだめぇ。どうにかして欲しくなっちゃうなんて、いけない奥さんだもの。そんなのダメ。
　それなのに指が止まらない、どうしよう。
　ああ、あの人達に、きっと、ここ見られてた。
　いけないのに、ああ、いい、あぁぁ…
　そっと、拭こうとしていただけのハズだったのに、いつの間にかティッシュは破れちゃってて、指が直接アソコを。
「あぁ、こんなに濡れちゃってるぅ」
　声がつい出ちゃって、それで、かえって、ハッとしたの。だって、こんなコトしてたらいけない。そうよ、これ、これを入れに来たんだから。
　いつのまにか握りしめてた。
　あれ。オモチャ。
　そっと、入り口に。
　はじめてなのに、全然テーコーを感じちゃわないって、私ってば、エッチだな。
　でも、これ、いれないと、お義兄さんが許してくれないんだもの。
『大丈夫、こんなの。全然ちいちゃいじゃないの…ああぁ、なに、これ、この丸いのがクリクリって…　あん、だめえ、感じちゃう』
　もう、これ以上してたら、絶対オカシクなっちゃう。
　だから、う〜んと努力して、一気に押し込んだの。
「あうう！あぁ、あ、あ、だめえ、イク！」
　先端が中に入った瞬間、私は逝ってしまったの。
　なんなの、これ。
　丸くなってる部分を一気に押し込んだの。そうしたら、その丸くなってる部分がクルンって、中で動いて、私のアノ中の前側をググって押してきて。
　その上、細い部分まで、一気に中に入ってしまうの。根本の部分は台座になってるだけかと思ったら、違うの。その部分が、私の敏感なクリに思いっきりあたってきて。
　あ〜ん、だから、柔らかいポチポチがあったのね。あのポチポチが柔らかくクリを包み込むように押すから…
　私は入れただけで、軽く逝ってしまった。
　少し身動きするだけで、私の中が、まるで燃え上がるみたいに熱くなって、腰から腰がズーンと、あまーい重さが来てしまう。
　どうしよう。
　私は、この甘いうずきを我慢して立ち上がれるのか、自信が無くなってた…