１７．さーくる


「……き、みき、みきぃ」
　遠くで聞こえる声。　
　ああ、なんだっけ……　あれ？私、セックスしてる……　
　あそこが、満たされている。
　私を満たす、大きなモノ。
　ああ、気持ちいい……　私、なにを、あれ、あなた？あれ、違う、あれ？あれ？
「美樹。気がついた？」
「え？あ、えっと、あ、あん、あう、あう、お、おにい、さん」
「美樹、すっごくいやらしかったよ」
「いやあ、イヤイヤイヤ、おっしゃらないで」
　まだ体中が快感でじんじんしてる。だけど、そんなことを耳元で囁いたらイヤ。恥ずかし過ぎるもの。
　私が恥ずかしがるのをおもしろがっているようなお義兄さんの声。
　耳元で囁き続けてる。
「ほら、気持ちよかっただろ？」
　恥ずかしい。
　でも、あんなになっちゃったら、隠しようがないもの。
　私は、渋々、頷くしかなかったの。
「まだまだ、だよぉ」
「ああ、いやあ、あん！」
　だって、奥の壁をグッと押し上げるんだもの。恥ずかしい声だって出ちゃうわ。
　一度逝ったはずなのに、さっきと、ちっとも変わらない、子宮が溶け出しちゃうような快感。
　我慢しなくちゃいけないのに、ワタシはちっとも我慢ができない。
「ほら、美樹、ばっかりじゃダメだよ。さ、こっちのご主人様にも、ボクと同じように、出してもらわないとね」
「ああ、いやあ、いやよ、他の人は、他の人はいやなのぉ、え、え？あう、あううあうう、あう、いやあぁ」
　私を貫く大きなモノが、動き出す。
　一気に、速く、深く。
「あう、あうう、いやあ、いやあ、あう、だ、だめぇ、あうう」
　一生懸命拒否しようとしても、もうできない。
　ムリヤリ私を掘り起こすオーガズムが、あっという間に近づいてくる。
　ううん。違うの。
　オーガズムの連続なの。
　さっきから、ちっとも降りられない。
　だけど、すぐそこに、もっともっと大きな波が、やってくる。
　怖いけど、欲しくて欲しくて仕方ない、津波のようなオーガズム。
「ほら、感じてるね」
「あ、あ、あ、うう、あう、あう」
　必死で頷いてた。
　だって、また。
　もし、今、抜かれたら、きっと、気が狂っちゃう。
　ううん、もう、何もかもが、おかしくなってた。きっと、頭の中まで溶け出しちゃって、何も考えられないの。
　あるのは、硬くって大きなモノに占領されてる、あそこだけ。
　違うわ、そう、奴隷の、奴隷のオ○○コだけが、今のアタシのすべて。
　知らない男の人に、オ○○コを差し出して、ナカダシされても、逝っちゃう、淫らな奴隷のアタシ……
　堕ちていく快感って、こういうのかしら。
　イケナイって思っているのに、思えば思うほど、深く強くなる快楽。
　何かが私を黒く染めてる。
　黒く染まるのは怖いのに、早く染まって、黒い快楽に浸りたい。
　身体の奥から吹き出るような快感が止まらないの。
「さあ、美樹、欲しいっていってごらん、ご主人様に、出してって、言うんだよ。ほら、こんなに感じてる。さ、言えるね。言わないと……　こうだよ」
「ああ、いやあ、やめて、やめて、お願い、続けてぇ、欲しいのぉ、欲しいのぉ、続けてぇ！」
　だって、いきなり、硬いモノが入り口の所まで、さっと抜かれちゃったんだもの。もう、堕ちてしまった私は、言われるがまま。
　ほんの一秒でも、我慢なんてできないアタシが、ここにいる。
「ああ、欲しい、ですぅ、欲しいからあ、お願い、です、あぁ、あううう、続けて、あう、くださいぃ！」
「出してって」
「ああ、もう、出してえ、出して！出して、もう、もう我慢があ、お願い、あ、あ、あ、あうう、いいいぃ！」
　何も考えられない。奥までグッと突き入れられる快感は、私のゼンブと引き替えでも惜しくない。
　身体ごと奪って欲しい、そんな淫らな快楽。
　ああ、誰とも知らないオトコのヒトに、ゼンブを捧げてしまう。
　奴隷の快感が、私をダメにしちゃうの。
　わかっていても、押さえられない、堕ちていくアタシ……
「あ、い、いく、いっちゃう、もう、逝っちゃうから、ああ、もう、もう、出して、ご主人さまぁ、奴隷のオ○○コに出してぇ！あうう！いく、いく、いく、あうう、い、いくう！」
　腰を自分から突き上げてたわ。
　子宮口まで、オチ○チ○が突き刺さってる感じ。
『ああ、熱い』
　直接子宮に熱い液体が注ぎ込まれてる。
　熱い感触が、私のナカを溶かしている。ズルズルと全身が、子宮に巻き込まれて、溶けているような、退廃の快楽。
　誰とも知らぬ男の人の精液で、私は、味わったこともない快楽に満たされて、溶けていったの。

　すっかりミダラで、感じやすくなった私。
　オーガズムに追い上げられるたびに、意識が飛んでしまうなんて、とんでもないことなんだけれど、今の私は、とめどなく感じてしまうの。
　気がつくと、お義兄さんが乗っていた。
　もちろん、乗っているだけじゃない。
　またも、硬くなっているお義兄さんのものが、ゆっくりと動いていたの。
「ああぁ」
　ため息みたいな声が漏れてしまうの。
　すっかりおなじみになっちゃった、お義兄さんのカタチ。ゆっくりだけど、入ってくる度に角度を変えて、私のあちこちをかき回すから、馴染んでいるけど新鮮な、不思議な快感。
　いつのまにか手足が動く。
　グルグルにされていたのも、すっかり解かれているけど、今さら、逃げ出す気力が湧くはずない。
　ううん、逃げたいとも思わない不思議な気分。
　いけないことだけど、このまま、ゆったりと幸せに、感じたままでいたいって思っちゃうのは、フシダラなのかな？
　でも、びしょびしょのあそこをかき回されて、身体がどこかに浮き上がってしまいそうで、ちょっぴり怖くなる。
　だから、自由になった足は、お義兄さんの後ろに回してしまう。夫にするのと同じように、背中を撫でまわす、私の手。
　自分からオトコにしがみついてる、いやらしい姿勢。
　夫じゃないオトコに、しがみついて、腰まで遣ういやらしいオンナ。それが私。
　かすかに精液のニオイがするのは、後始末もさせてくれないせい。
　いっぱい出された、他の人の精液。
　トロリとこぼれたのね。それが、ニオイを立ち上らせているんだと思う。
　動けないまま、受け入れた、他のオトコ。
　犯されたってコト。
　でも、嫌悪も怒りも、なぜだか湧いてこない。
　見知らぬオトコの精液を受け入れちゃっても、あんなに感じてしまった私。
　あたしの何かが変わったのかしら。
　汚される快楽、堕ちていく快感。
　あのビデオのヒロインも、ミダラに「調教」されながら、新しい快楽に満ちた自分を受け入れてた。
　私も、オトコの精液に満たされて、少しだけ、違う自分になったのかしら？
　いつの間にか自由になった両手は、お義兄さんの背中に回して、抱きしめてる。
　恋人同士のようなセックス。
「美樹、ほら、もう手足を縛ってないからね」
　もちろん、知ってる。
　お義兄さんも、わざと、そう言ってるんだと思う。
「さ、周りを見てごらん。嫌らしくなったところを、誰に見られたのか、見るんだ」
「ああ、いやあ、やめてぇ」
　見たくない。
　あんなにエッチになったところを、どんな男の人が見たのかなんて、一生知りたくない。
　お義兄さんの手が、アイマスクに伸びる。
　私は本気で頭を振った。外されたくない　
　でも、逆らえるはずもない。
　遊び半分なのだろう。腰を急に激しく使われたら、あえぐのに精一杯。
　気がついたら、アイマスクにお義兄さんの手がかかっていた。
「さ、美樹、ご主人様と、ご対面だ」
「い、いやあ、いや、やめてえ！」
　アイマスクを外される瞬間。
　不思議なんだけれど、怖かった。
　いやらしい男の人がぐるりと囲んで、私を見下ろしてる。そんな光景、見たくない。
　でも、アイマスクを取られてるのに、ずっと目を閉じてもいられない。
　お兄さんは。相変わらず、私のナカを動いてる。
　目をつぶっているから、余計に快感が深くなる。なんて、ワタシって、ミダラなオンナになったんだろ。
「ああ、うぐ、ふぐぅ」
　いきなり、柔らかいモノで顔がふさがれた。
　横からの気配。
　ねっとりとしたキス。
　柔らかい舌が入れられて、私は拒否できない。だって、もう、そんな気力が残ってないモノ。されるがままに舌が絡め取られてる。
『ああ、知らない人にキスまでされて、感じちゃってる、私、ああ、でも、このキス、上手』
　夫と、お義兄さんとのキスしか知らないけれど、このキスは全く違う。なめらかで、何となく頼りないような、それでいて、私が感じる場所を次々と舐めてくる。
　まさか、女の人？
　苦しい息を、鼻でわずかにした瞬間だった。
『こ、このニオイ。まさか！』
　私はおそるおそる目を開ける。
「ぐ、っぐ、う、うぐ、い、いやあ、おねえさん！何を！」
　懸命に振り払ったの。
　だって、私にキスしていたのは、よりにもよって、お義姉さんだったなんて。
「うふふ、やっと気がついたのね。あん、もう、たっぷりと、あん、感じちゃってるモンねえ。あんっ、あふぅ」
　キスしていたのが、お義姉さん。そして、ベッドにうつぶして、キスを迫ってくるお義姉さんも、白くて柔らかいヌードをさらけ出してる。
　その、ベッドから伸びてる、やわらかなラインの腰を抱いているのは、あり得ないヒト。
「あ、あ、あなた！」
「みきぃ、見てたよぉ、美樹ぃ、えっちだったねえ」
　にっこりと笑う夫の笑顔は見たことがないほど、うれしそうで、そして、いやらしかった。
「そんな、あなた、まさか、まさか」
　とっさに、周りを見回したの。
　私のナカに入りながら、見下ろしている、お義兄さん。
　ベッドに上半身だけうつぶせているお義姉さんに、バックから入れてる、夫。
「他には……」
「うん？ははは。ごめんごめん、大丈夫。最初から、僕たちだけだよ」
「僕たちだけって……　あん！」
　いっそう大きくなった気がするお義兄さんのモノが、私のナカを掻きまわすから、頭の中にピンクの霧がかかったみたい。
　何がどうしたのか、考えられないんだもの。
「美樹。ごめんごめん。どうしても、美樹に、参加して欲しくてさ、ちょっと芝居を打ったわけ」
「ああ、あう、ああ、いい、いいわ、もっと、もっとよぉ」
　夫が、お義姉さんの腰を持ったまま、激しく腰を使い始めると、私の肩の辺りに顔を埋めたお義姉さんの声が、一気に大きくなる。
「そんなあ、あなた、そ、そ、それって、あう」
「美樹も、ずいぶん感じてたね、奴隷になっちゃったんだから、もう、隠さなくて良いんだよ」
「そんな、ああう、あう」
「ね、ほら、美樹も、こんなにいやらしいんだから」
「う、そ、うそよぉ、うそ、わたし、そんな、だましたなんて、あうう！」
　お義姉さんの指が、乳首をいじり始めるんだもの。一気に、オーガズムに近づくのがわかる。
　お義兄さんのものが、奥まで入ってきて、子宮の入り口までかき回してる。
　ひどい！みんなでだますなんて！
　こんなヒドイことってない。
　そう思うんだけど、怒りが湧き上がろうとするたびに、頭にピンクの津波が押し寄せて、みんな奪っていっちゃうから、ちっとも怒れない。
「美樹、君は、ボクの前で、奴隷になるって言っちゃった。ボクとは知らないのに、ナカ出しまで、おねだりしてたよね。正直、こんなに美樹が……」
「ああ、いやあ、おっしゃらないでぇ、いや、いや、いやあ」
　遮ろうとしても、夫は、断固として聞かせようとするんだもの。恥ずかしすぎるから、言って欲しくないのに。
「こんなにいやらしいオンナだなんて。うれしいよ、美樹ぃ、いやらしい、ボクの奥さん」
「え？あ、え？あうう、そんな、いやらしいだなんてぇ」
　なぜか、いやらしって言われるたびに、身体の奥から、トクンって、何かがこぼれてしまう。
　いやらしい快楽。
「さ。みき、兄貴に出してもらうんだ。おねだりして。ボクも、ボクもいくよ、このまま」
「ああ、おぅう、あう、いやあ、お願いぃ、ああ、それなら、なら、せめて、せめて、あなたと、あなたがしてぇ」
「ダメダメ、美樹。ほら、俺を見るんだ。こっち。これからは、いつだって、俺ともするんだからね」
「え、ああ、いや、いや、だって、そんな、ヘンよ、あう、ああ、お願い、もう、もう、我慢が……」
　もう我慢できない。
　お義兄さんのモノが奥まで、ずん、ずん、ずん、って力強くリズムを作って当たるから、もう、夫のモノじゃなくても、これが抜かれちゃうなんて耐えられない。
　このままいかせてぇ。このまま。だしてぇ！ああ、出して、逝かせてぇ！
「よし、よく言った。出してあげるからね」
　え、わたし？言葉にしちゃったの？
　え、そんな。ああ、また、また、く、くるう、くる、もう、ああ！出して、出して、このまま。ああう、い、いくう、ああ、もっと、あうう、いくぅ！お義兄さん、出してぇ！
　身体の奥で、ドクン、ドクンと、脈打つみたいにして、お義兄さんのモノが私のナカで広がってる。
　横では、夫が、お義姉さんのナカで出している姿。
　お義姉さんの、派手なオーガズムの声。
　もう、何も考えられない。
　お義兄さんの精液が、頭の中まで、私を満たすような気がして、白い幕が、世界を覆い尽くしたの。
　もう、何もいらない。
　体中がお義兄さんの腕の中で溶けてしまっている。
　シアワセな、眠りがゆっくりとワタシを包む。
　目覚めた私を待っているのは、きっと新しいワタシ……
　夫がいて、お義兄さんがいて、お義姉さんがいて、そして私。
　大きな大きな、輪っかになるの。
　いつか、それを期待してしまっている不思議なワタシが、いた。

〜了〜