第13章　とりかえ

　私って、本当は、相当エッチだったんだ。
　お義兄さんが後ろに入ってくるのを、そのままの体勢で待ってられたんだもの。
　上半身を積み上げた布団に埋めて、お尻を高く差し上げたまま、後ろから男の人、それも、お義兄さんに見られてるのに。
『もう、早くして』
　いっそそう思ってしまう。じっと見られた方が恥ずかしいもの。
　そして、私のお尻の穴に、お義兄のモノが当てられる。
『あ、とうとうなのね』
　グッとめり込んでくる感覚。
『熱い。オ○ン○ンて、こんなに熱かったのね』　
　そう思いながら、私はじっとしてた。グッとお義兄さんのモノにいっそう力が入ってくるのが分かる。
　私の入り口、あ、えっと出口になるのかナ、なかなか広がらないみたい。　
「美樹、力が入ってるよ。口で息をして、力を抜いてごらん」
「すみません、でも、なんだか、緊張しちゃって」
「しかたがないなあ」
　一瞬、お義兄さんのモノが、お尻から離れたんだけど、次の瞬間、私はみたされてしまったの。
「あうう、ああ、あ、そんなあ」
　あう、そんなあ、しないって言ったのに。
　お義兄さんのモノがアソコにズブリって感じで入って来ちゃって。
　いきなりだったけど、だって、さんざん弄られちゃったから、もちろん、中はビッショリとなって、簡単にお義兄さんは奥まで入っちゃう。
　夫以外のオ○ン○ンなのに、ああ、感じちゃいけないのに。すっごく良くて。
「ああ、だめぇ、う、あうぅ、そんなあ、しないって言ったのにぃ」
　とっても良かったんだけど、でも、お尻でするって言ったのに。夫を裏切っちゃった。どうしよ、ってそればっかりが頭を占領してたの。
「大丈夫、これはセックスじゃないから」
「だってぇ」
「ほら、こうやって、たっぷりと僕のを濡らしてるだけだからね、すぐ抜くよ」
「そんなあ、あうう」
　私は抜いてほしいのか続けてほしいのか、もうわけがわからないまま、いやらしい声を出しちゃうしかなかった。もし、お義兄さんが、このまま続けても、きっと抜いてって言えなかったと思う。
　でも、お義兄さんは、十回もストロークしないまま、私から出て行ってしまったの。
「あう、はぁ〜」
　ホッとしたのか、残念なのか、もう、自分でもよく分からなかくなってた。
　ただ、次の瞬間、お尻の穴に、お義兄さんのモノが当てられちゃって。
「美樹、ほら、息を深く吸って」
　私は黙って従う。すう〜
「口から息をゆっくり吐く」
　はぁ〜。
　あう、入ってくるぅ…
　私の中にメリッと侵入してくる感じ。
　ああ、夫との初めての時は痛かったけど、今は、そんなに痛くない、良かった。
　そう思っちゃうのが不思議。
　でも、ヘンな感じ。だって、生まれてから、ここの穴って、いっつも一方通行でしょ？そこに入ってくる侵入者。
　それに、男の人がこんな汚いところを触りたがるなんて、信じられないもの。
　夫も、よく触りたがったけど、絶対、ＯＫしてこなかったし。
　それなのに、ああ、今、こんなのが私の中に入ってきてる。
「美樹、もう少しだよ」
　ズルズルって感じで、中がこすれるのがわかる。ヘンな感じ。
　私のお尻の穴が目一杯広がってる感じ。痛くはないけど、なんだか辛い。
　息がつまりそう。
　ぐっと段差があって、お尻の穴がそこに応じて一瞬広がって、また、ぷるんって感じでちょっとだけすぼまるのがわかったの。
『あ、これって、亀頭って部分よね。一番太い部分が入ったんだ、よかった』
　そう、思えちゃう私が、自分でも不思議だった。
　お尻の穴なのに、男の人の形まで分かるなんて、私って、ヘンタイさんの素質があるのかなあ。
「さ、美樹、一番太い部分が入ったからね。わかる？」
　私は、素直に頷いちゃう。
「へぇ〜、初めてなのに、痛がるどころか、こいつが分かるなんて美樹はなかなかいやらしいね」
「そんなあ、あう、そんなあこと、ない、う、あう」
　まだ、入ってきてる。カラダの奥が突き上げられてる感じ。
　それなのに、なんだか痛さより、今まで感じたことのない、ヘンな高揚感があって。
「あ！」
「ほら、一番奥まで入ったよ、どう？痛くない？」
　お義兄さんは、気遣ってくれてるみたいだけど、私は困ってしまった。
　だって、痛くないのだもの。ううん、入り口のところが、ひりひりする感じがするんだけど、なんだか、もっとこすってほしいような。ヘンな感じ。
　すっごく、恥ずかしいんだけど、何日も便秘をした後、お薬で、今にも出そうなのにトイレに行かれない、お腹の中の感じ。
　男の人のモノを、ウンチみたいにたとえちゃいけないとは思うのだけど、でも、そんな感じなの。
　身体の奥まで入っているオ○ン○ンが苦しいの。抜けていくと楽になる、そんな感じがしちゃって。
「お願い、もう、取って、取って、苦しくて…」
　お義兄さんは、何にも答えないまま、ゆっくりと抜き始めてくれた。
　ほっとしたのも一瞬だったの。
「え！何！なんなの！あうう、だめぇ！」
　だって、信じられない。
　身体から何かが（といってもウンチじゃないんだから）お尻の方から抜けてしまうような、そんな不安が出てきちゃうくらい、感じちゃったの。
　そんなあ。どうしたらいいの。
　そして、グッと力が入って、抜けそうなのに抜けない、お尻の穴が、内側から引っ張られる感じ。
『ああ、これも良いわ、ああ、これって、段差の部分ね』
　私は、抜けるのが怖くなって、自然にお尻を後ろに突き出してた。
　そうしたら、今度は、お義兄さんが、また、入ってくる。
　ああ、また、奥まで来るのね。
　でも、今度は違うことがある。私のカラダだった。
　奥までゆっくりとした動きで入ってくるお義兄さんのモノ。
　それが、待ちきれないんだもの。
　カラダの奥のあちこちがこすれていく感じがして、その一つずつから、なんだか、渦巻きができるように、なんだか、むずむずした感じが、私のカラダに染みこんでくるのだもの。
　でも、だめ。お尻でそんな風に感じてることは知られてはいけないの。
　だって、そんなヘンタイな趣味があったなんて思われたら、お義兄さんに、もう、顔を合わせられなくなっちゃう。
　でも、そんなの無理だった。だって、お義兄さんが、動く度に、私のカラダの奥から絞り出されるみたいに、なんだか熱い感覚がわいてくるんだもの。
　セックスとは違う、なんだか重たい感覚。
「う〜ん、う〜ん、あうう〜ん」
　だから、いつものような感じる声じゃなくて、なんだか、うなるような、自分で言うのもなんだけど、ヘンな声。
　でも、絞り出さずにいられない声なの。
　私はお尻を差し出したまま、初めての感覚にもう、わけがわからなくなってた。
　なんだか、カラダが、どこかに持って行かれそうな不安な、それでいて、もっとしてほしいような、頭の中が溶けてしまいそうなカンカク。
「ああ、そんなぁ」
「美樹、だい…、あれ、ひょっとして」
　お義兄さんが、一瞬動きを止めて、そして、グッと突き動かしながら、聞いてくるの。
「美樹、感じてるんだね。お尻で。それも、すっごくいいんだろ」
「あうう」
　私は、黙って、顔を振ってみせるけど、そんなのでは、もちろんごまかせないみたい。
「美樹、ほら、ほら、これ、どう？こんな風に、ほら」
　ほらっていう度に、細かくオ○ン○ンを動かしてくるから、その度に、私はうめくような声が出ちゃって。
「美樹、いいぞ。すっごく感じてるみたいだね。ほら、良いんだろ、正直に言ってごらん」
「ああ、恥ずかしい、でも、あぁ、なんだかヘンなんです。あううっぐ、はうぅ、カラダがオカシクなっちゃって」
「感じるって言ってごらん、素直になるともっと良くなるよ」
　ああ、これ以上おかしくなったら、どうなっちゃうの。
　不安だった。
　でも、オカシクなっちゃいたいって気持ちが、やっぱりどこかにあったのだと思う。
　だって、カラダがおかしくなったら、やっぱり最後は逝きたいもの。
　でも、お尻の穴で、逝くことなんてあるのかしら。
　ああん、でも、もう、だめ、オカシクなっちゃっても良いの。オカシクなっても良いから…。
　もっと…ほしい。
　私の中で、何かがキレたような気がした。その瞬間、体中に重たい、粘液のような快感があふれ出て来ちゃって。
「ああ、お義兄さん、いいの、美樹、いいの、あう、ヘンタイさんみたいに感じちゃってるの」
「美樹、どこが良いのか言ってごらん」
　もう、恥ずかしいっていう気持ちだけでは、何にも我慢できなくなってた。なんだか、お義兄さんの言うことに、全く抵抗できなくなっちゃって。
「あ、あ、恥ずかしいのに。美樹、恥ずかしいのに、お尻で、お尻の穴で感じてるの、あう、だめぇ。でも。もっと、もっとしてください」
「美樹、お尻の穴で感じるなんて、スケベだね。もっとほしいのか、このスケベなオンナめ」
「ごめんなさい。スケベですぅ。あう、ゆ、る、し、て。でもお、ヘンになっちゃってて、ああ、お願い、何とかして、ください」
「美樹、ほら、このまま続けてあげるからね。これからも言うことを聞くんだよ」
「あうぅ、はい、お義兄さんの言うことを聞きますからぁ。言うことを聞きますから、あうう、ああ、もう、もう、ああ〜ん、どうにかしてえ」
「美樹、これ以上、早く動くと、お尻の穴がキレちゃうカモよ。それでも良いのかい？めちゃめちゃにしちゃって良いの？」
「ああ、もうめちゃめちゃにしてぇ、めちゃめちゃにして。もう、どうなっても良いから、あうう」
　お尻の穴だけじゃないの。お腹の中に入っている、お義兄さんのオ○ン○ン全体から、なんだか、ドロドロした気持ちの良い粘液が出てるみたいな、そんな気がして。
　アソコで感じるのとは全く別のような、それでいて、同じようにカラダが持って行かれそうな快感が走ってしまって、もう、どうして良いのかわかんないの。
「美樹、みきぃ、ほら、出すよ。美樹、ほら、おまえのお腹の中に全部出すぞ」
　お義兄さんのオ○ン○ンが、ヒドく大きくなった気がして、その瞬間に、私もなんだか、お腹の中からカラダが吹き飛んでしまいそうな、そんな気がしちゃったの。
「あ、だめ、だめ、あ、いく、いく、いっちゃ、お尻なのに、ああ、あ、そんな、ハズは、そんなあ、だめえ、いくぅ〜」
「美樹、出すぞ」
「ああ、だしてぇ、いっぱい出してぇ、あうう！」
　私は、いつもの白い津波のような快感とは違う、カラダが破裂しそうな不安な、それでいて、昨日に負けないくらいのオーガズムを感じてしまっていた。
　しばらくの沈黙。
　私は、なんだか頭の中が真っ白になってて。
　ハッとしたとき、お尻にまだお義兄さんが入っている感触。　
　思わず身体をすくませたら、プルンっていう感触とともに、お義兄さんは飛び出してしまった。
「美樹、ダメだよ、吐き出したら」
「そんな、私、何も…」
　そういいながら、解放された私は、布団の中に沈み込んでしまう。
　全身に脱力感。
「美樹がこんなにエッチだったなんて、しらなかったよ」
「いやぁ、言わないで」
　ああ、身体の奥まで知られちゃった関係だと、恥ずかしいことを言われても、女は甘えるしかないの。
「まさか、こんなに感じるなんて。どう？お尻もけっこういいだろ？」
　私は、ハッとする。そうよ。
　お尻の中。
　身体を起こして、お義兄さんのモノを思わず確かめるように見たの。だって、汚いモノが付いてたら、もう、ぜったい、お義兄さんの顔なんて見られないもの。
「え、どうした？ああ、これ、大丈夫、美樹のウンチだったら、舐めても汚くないもの」
「いやあ、イジワルぅ」
「でも、美樹が気になるなら洗ってもらおうかな」
　片手を引っ張られて、立たされてしまう。
　今さら、だとは思ったけど、つい身体を隠すようにしながら、お義兄さんに連れられて、また、お風呂場に逆戻り。
　お部屋のお風呂は狭いけど、そこは、さっきまで、身体をくっつけていた同士だもの。
「美樹、こうして、貴彰の身体も洗ってやるの」
「ときどき」
　夫の名前を出されると、やっぱりドキドキしてしまう。お義兄さんの身体に石けんを付けながら、肩の方からゆっくりと洗っていく。
　オ○ン○ンだけ洗えば良いのかもしれないけど、なんとなく、最初に触ってはいけない気がしたの。
「美樹、けっこう良かったろ？」
　ああ〜ん、ひどい。意地悪な質問。
　だけど、あんなになっちゃってて、感じてないなんて言えないから、私は、コクンって、１回頷くだけ。
　身体の次は、いよいよ、オ○ン○ン。
　立ったままのお義兄さんの前に跪いて、そっとオ○ン○ンに手を添える。
　シャワーの水流を当てながら、さりげなく確認してるワタシ。
　よかった、付いてない。
　石けんを泡立てて、そっと洗い始める。
「美樹、もし不安なら、今度するときは、先にカンチョウしてからにするかい？」
「カンチョウ？」
「そう、お尻でするときは、最初にしといた方が、付かないですむだろ」
　やっと、カンチョウの意味が分かる。浣腸ね。
　そんなの、したこと無いもの。
　それに、先にするって言っても「ウンチをしてきます」なんて、男の人に知られるのは恥ずかしいし。
　だからといって、もし、汚れが付いてたら…
　あれ、この次って、え？「この次」もあるの？
　そんなあ。
　そう思いながらも、オ○ン○ンをテキパキ洗えちゃうっていうのは、さすが人妻よねって、自分でも思えちゃう。
　あれ？さっきより、ちょっと大きくなってる感じ。
　なんだか愛しく思えちゃうのって、やっぱり、女って身体をくっつけると弱いんだなあ。
「美樹、洗えた？」
「はい」
　私は、下からお義兄さんを見上げるようにする。イタズラっぽい目が合う。
「じゃあ、ちゃんと、仕上げだよ」
「え？」
「あのね、男のモノを洗ったら、仕上げは、ちゃんと舐めてくれなくちゃ」
「そんなあ」
　さっきまで、私のあの汚い部分に入ってたものだもの。正直言って抵抗がある。
　でも、お義兄さんに、もう一度、舐めるんだよって静かに言われたら、なぜだか、舐めなきゃって感じになっちゃったの。
　大丈夫よ。ちゃんと洗ったんだもの。
　私は、さっきより、ちょっとだけ大きくなったモノを、ゆっくりと口に入れていく。
　石けんの匂いしかしない。
　嫌な匂いはないけれど、男の人の、あの匂いが無いのは、なんだか寂しく感じちゃうのは、この二日間で、私がいやらしくなってしまったからかナ。
「美樹、慣れてきたら、お尻で逝った後は、そのまま舐めてきれいにするんだよ。いいね」
　ああ、そんなことできるわけ無い。そう思った。
　でも、もし、さっき、突きつけられてたらって思う。
　ひょっとして、そのまま舐めてしまったかもしれない。私は、そう思いながら、目を閉じて、ひたすらお義兄さんのを舐めていた。
　
「お義姉さんは？」
　恐る恐る聞いてみたのは、お義兄さんの車に乗り込むときだった。
　空っぽの助手席のドアを当然のように開けて、私に乗れと促すお義兄さん。
「ああ、貴彰のヤツ、なんだか疲れていたからね、電車で帰っても良いんだけど、そうすると、美樹は車が運転できないだろ？」
「ええ、街の中ならともかく、高速は乗ったことが無くて」
　そうなの。私は、限りなくペーパーに近い優良ドライバー。
　遅く帰ってくる夫を駅まで迎えに行くのと、スーパーまでしか乗ることはない。
「だから、ウチのが貴彰を乗せて、一足先に帰ったってわけ」
「そんな、お義姉さんに申し訳ないのに」
「いいの、いいの。まあ、そのかわり、今ごろ、佳子が貴彰をユーワクしてるかもしれないよぉ」
「そんなあ、だって、貴彰さんは仕事で帰るって」
「冗談、冗談。まあ、貴彰は佳子のことを気に入ってるみたいだし、あ、もちろん、美樹さんの次だけどね。で、ま、佳子も貴彰をにくからず思ってるみたいだし」
「だって…」
「まあ、気にしない気にしない。気になるならメールでも送ってみたら？」
「ええ…」
　そういわれて、私は、夫にどんな顔して会えばいいのか。どんなメールを送ればいいのか、悩んでしまった。
　だって、セックスはしてないけど。（確かに、お義兄さんのものが、少しだけあそこに入っちゃったけど、アレは仕方のないことなの。そうよ。お義兄さんも「しかたのないこと」って言ってたもの)
　でも、考えてみると、セックス以上のことをしちゃった気がするなぁ。
　だって、あんなところで、私ってば、すっごく感じちゃったんだもの。
　それに、今度は浣腸されちゃうって。どうなっちゃうんだろ。あ、違うのよ、違う。もう、しないもの。こんなこと。
　この次なんて無い。こんどこそ、ちゃんと断るもの。
　その証拠に、って、さっきのやりとりを思い出しちゃう。
　だって、お義兄さんは、私に下着を着けるなって言うんだもの。どうせ車だからって。
　ダメに決まってるじゃない。
　何で下着無しで表を歩くのよ。第一、旅行にはミニしか持ってきてない。
　お義兄さんの車は、お金持ちだけあって、ビーエムのオープンカー。
　ビーエムってけっこう高いはずなのに、お義兄さんの趣味で持ってる車。
　格好良いけど、車高が低いの。
　シートも低いから、足を揃えていても、スカートがめくれそうになってしまんだもの。
　そんな車で、下着無しなんて、できるはずがないもの。
「佳子は、下着を着けてなかったよ」
　あ〜ん、そんなあ、そんなことを言われても。第一、何でお義姉さんが下着無しなのよ。
　でも、さっきまで、さんざん身体の奥までかき回されちゃった身としては、今ひとつ、強気で断れないのよね。
　結局、ブラを付けないってことで許してもらったの。
　でも、ちゃんと、ショーツは断ったわ。
　だから大丈夫。
　今度、エッチなことをするって言われても、きっぱり断れるはず…
「美樹、良い店あるよ。この先だけど。魚がうまいんだ。地元の漁師さんがやってる店」
　ダメ、ダメ、その手に乗らないモノ。だって、ブラを付けてないんだから。
　人前に出るなんて絶対ダメ。さっき、チェックアウトの時、フロントを通るのも、荷物を胸に抱えてたんだから。
　私が、お腹は減ってませんってこたえると、お義兄さんは、そうかい。でも、お昼までは時間があるからねって、すました顔で運転してた。
　そう、お義兄さんは運転が上手で、伊豆の九十九折りのカーブもすいすい、それも、スムーズに運転してくれる。
　オープンカーって、意外に風があたらないの。その上、運転席と助手席にしかない（つーしーたーって言うらしいんだけど）から、すっごく一体感があるの。
　で、あっちこっちで、ほらここ眺めが良いよなんて、案内しながらだったから、つい油断してた。
　そうなの。とっくに高速に乗っても良いはずなのに、回り道してたみたい。
　気がついたら、お昼の時間なんてとっくに過ぎていて、朝ご飯を食べる余裕もないままの私は、密かにお腹が空いてたのを、見抜かれてた。
　車が止まったのは、魚料理の看板を掲げたお店。
「あの、お腹は減ってないって…」
「いや、僕が減ったんだ。もう、ペコペコだよ。悪いけど美樹さん、つきあってよ」
「でもぉ」
「あれ、ドライバーは大事にしてくれなくちゃね。このまま、お腹ぺこぺこで運転したら事故を起こしちゃうかもしれないよ」
「あの、なら、私はここで待ってますから」
「そんな寂しいこと言わないでよ。美樹さん一人残してメシ食うなんて、できないよ、ほらわがまま言わない」
　そう言われると、私は弱い。
　でも、だって。
　今胸元を見たら、やっぱり薄手のニットだから、ふくらみがはっきり出ちゃってるし。
「美樹」
　え？きゃっ！
　不意をつかれちゃった。
　いきなりのキス。　　
　考えてみたら、さっき、あれだけすごいことをしちゃったのに、普通のキスはしなかった。
　ああ、ちゃんと断るはずなのに…
　だめぇ、女ってダメよね。身体をつっけた記憶があると、キスを拒めない。
　それどころか、舌がするって入ってきたら、なんでだか、自然に舌を絡めちゃうし。身体全体が敏感になっちゃう。
「あう、ふぐ、あう」
　さっきのことから、何時間もたってないんだもの。
　そんな風に胸を触られちゃったら感じるのを我慢するなんて難しいわ。
　だから、一生懸命抵抗したんだけど、それでも、ニット越しに、胸を触られて、だんだん抵抗できなくなって来ちゃうの。
　だめよ、こんなところで。お店の駐車場だもの。
　それなのに、身体は、お義兄さんに操られてるみたいに感じてきちゃって。
「美樹、お尻上げて」
　だって、ボーとなっちゃてるから、つい言われたとおりにしちゃったら。
「え、ダメ、そんな、こんなところで」
　だって、ショーツが、あっという間に降ろされちゃって。
　ギアなんかがあるボックス越しなのに、お義兄さんたら器用、ってそんなことに感心してる場合じゃないわよね。
　だめぇって、膝にまで降ろされたショーツを引っ張ったんだけど。
「ほら、ここで騒いでると、お店の人が来ちゃうよ。下着を他の人に見られたいの？」
　そんなあ、イジワル。それなら履かせてくれればいいのに。
「だめだめ、ちゃんと言うことを聞くんだろ、さっき約束したよ」
「さっきって、そんなあ、ヒドい、さっきは、ほら、あの、だって」
　そんな風に私が困っているのに、お義兄さんは、さっさと片足ずつ、着々と抜いてしまう。
「ほら、美樹、まず、食事をしよう」
　お義兄さんは、私から脱がせた下着をポケットにしまいながら、車から降りてしまう。
「さ、降りて」
　助手席のドアを開けてくれる態度は、紳士だったけど、この「紳士」が、私を下着無しで食事させようとしてるのよね。
　私は、張りきっているお義兄さんと腕を組んで、しおしおとお店にはいるしかなかったの。
　あ〜ん、胸が揺れちゃうよ〜。