学生の気楽さから、一人旅によく出たものだ。たいていはローカル線にのり、試験後の開放感からか、地方の温泉場なんかではめをはずすことになる。
　地元の風俗だったり、行きずりの女だったり。
　その日もそんな気分で空いた列車に両脚を投げ出して座っていた俺。
　手持ち無沙汰だったので漫画雑誌の水着グラビアをまじまじと見ていたその時。
　カラカラカラ、キャスターのついた黒のキャリーバッグと共に、一人の女が歩いてきた。
　年の頃なら二十前後だろうか、流行のセミロングヘアスタイルにぽっちゃりとした顔。きつめの目に筋の通った形のいい少し上向きの鼻。
　そして何が得意か物語っているようなアヒルのように少し出っ張った分厚い唇。
　ちびTにストーンウォッシュのぴちぴちローライズジーンズ。　
　窮屈なちびTがたわわな胸で張り裂けそうになっている。Tシャツの短さで、白いくびれたウエストがあらわになっている。ジーンズはいやというほど形のいい小ぶりの尻に食い込んで、その食い込みは前の大切なところにまで及んでいる。
「やりてえ」
　思わずそう叫んでしまいそうになった。
　女は通路をはさんで俺の対面の席に脚を投げ出して座り、売り子からアイスキャンデーを買うとアヒル口でそれをぺちゃぺちゃなめ始めた。
　膨らんだ股間にだらしなくアイポッドを置いて、イヤホンの音楽にあわせて体をゆすっている。
　たちまち俺の短パンの中は痛いほど硬直してくる。
　女が俺と同じ駅で降りることを願っていると、ピンポン、大当たりでキャリーバッグを引きずりながらドアへと歩いてゆく。
　俺も急いで後をつける。女の早歩きのせいで、改札口を出ると見失いそうになる。
　女は駅前の売店で、ローライズの尻から赤のパンティーがあらわになるのも気にせず腰を下ろして地図を眺めている。黒々と尻の割れ目。
「ねえ、今日どこ泊まるの」
　嫌われるのを承知で訊いてみると、以外にも女は困り果てたというように眉間に皺を寄せて「わかんない」と鼻声で言った。
「ねえ、俺と一緒に泊まんない」ダメモトというやつだ。
「いいよ。そのかわり宿泊費はそっちもちね」　
　胸の鼓動が強くなり、体がほてってくる。胃の辺りが熱くなり、唾液を飲み込む。「しめたぜ」
「ねえ、ここにしない」女が誘ったのは古びたいかにも、という安宿だった。
「一発、　じゃああなくってええ、一泊８０００円ね。」
　見透かしたように言う。
　がらがらがら、古びたガラス戸を開けると、またいかにもという貧相なオヤジが
「いっらっしゃいませ。」
　ぼうぼうに伸びきった白髪は天辺だけが薄くなっている。ランニングシャツにくすんだ腹巻、グレーのズボンはしみだらけ。
「ほんとにここでいいの？」と俺。「いいよ。」と彼女。
　とりあえず一泊することに。
　しけた部屋へ通される。オヤジは貴重品入れの鍵とお茶のポットを持ってきて、
「さあ、ポットのお湯はお前さんが入れな。」
「え、あ、はい」
「出したり入れたりするのは男のしごとだからな、へへ。」と野卑に笑う。
　さすがにぽっと赤くなる彼女。
　さて、その夜。
　浴衣に着替え夕食もすむと、二人して旅館の裏の露天風呂へ。
「今日はだれもおらんから二人でしっぽりとな、へへ。」
「あ、それからニイちゃん、お湯が汚れんように気をつけろよな。」
　俺はハハと照れ笑い、彼女はきつめの目で怒った様子。
　旅館から裏道を降りて岩風呂へ。浴衣を脱ぐと手拭を二枚持ってきた彼女は一枚を胸に結び、一枚を腰に結ぶ。「いまさらなにを」といいながら胸の手拭を払いのけると、形のいいお椀型の乳房にぴんと張りのある感度が鋭そうな乳首。「うひよー、マッテマシタ」　
　乳首に吸い付く。彼女は痛いほど張り詰めた股間を握り返し、ゆっくりマッサージ。口を吸い、うなじをなめ上げると息使いが荒くなる。再び乳首を舌で転がして弄ぶと、ピンピンに硬直してくる。
「こ、ここはコレぐらいでやめとかないと。お、お湯を汚せないし」
「なによ、あんなスケベオヤジ、汚してやる！」　
　彼女はお湯の中で眉間にしわを寄せると歯を食いしばり、ぶるぶるっと震えた。お湯の中に黄色の液体が噴出する。
「ああ、キモチいい、電車で飲んだペットボトルのお茶の分を排泄ってとこね。」
「お前ってけっこう気が強いんだ。」
　部屋へ戻るとそこには布団が敷いてあり、俺の布団の上には
「コンドーさん」が一箱置いてある。
「オヤジ、よけいなお世話ってこういうんだな。」
「でも、結局するんでしょ、ゴムはやっぱ、つけてね」
「まったくおせっかいなオヤジだ。ナマでやりたかったのに。」とあらわに言う。

　明かりが小さくなる。
　膝で立った俺のブリーフを膝まで下げると彼女はアヒル口の大サービス。
　口の奥まで飲み込んだと思ったら、舌先でちろちろと亀頭を愛撫。
　冷たい細い右手は、俺の玉をもみしだいだかと思うと前立腺を圧迫刺激。
　オナニーに明け暮れた浪人時代のせいで遅漏ぎみの俺だったが思わずイキそうになって歯を食いしばって耐える。
　今度は俺も彼女にサービス。シックスナインの体勢で小さなパンティーを下ろし、割れ目を両手で掻きあける。
　体験豊富そうな分厚く赤黒い小陰唇の頂点に興奮して尖がった突起物。
　中央の穴に中指を出し入れすると、ねばっこい透明な液がどくどく出てきてシーツを汚す。
「キミって、おつゆ多めなんだア」　　
　はあはあという息。
　彼女の中はきつくもなく、調度いいしまり心地。
　時々ミミズがまとわり付くような感触がくると甘いおつゆが溢れてきて、ぴちゃぴちゃと生々しい音がする。あまりの良さに、射精がもったいない。
　括約筋をきゅっと締めながら前立腺からの精液の濁流を食い止める。
　冷房が効かないのか、部屋がやけに暑い。バックで突き上げながら、彼女から流れ落ちそうになる背中の汗をなめる。
「あっついい、あっついいいわあ、ああ」
　突きながらも冷房のリモコンを操作する俺。
「こ、これ、こわれてんじゃん。」
　クーラーに気を取られた瞬間、睾丸の後ろから衝撃が襲って、突きが恐ろしい加速度を増したかと思うと、彼女の深いところに
「あ、ああ、俺もうダメっ！は、発射する。」　
　コンドームも突き破るかのシュシュシュっ。
　彼女も小ぶりの尻を思い切り突き出して俺を深く迎え入れながら、ぶるぶるっと昇天。ニ発目、騎上位から体位を変えようとしていた時、サワサワいう物音やゴトっという音、はあはあいう人の息使いを俺たちは耳にした。
「きっと、オヤジよ、どっかからのぞかれてるんじゃない。」
　そういうとトイレをサーっと流す音も。
「そういうのに興奮したりすんだろ、お前」
「ヤー、そんなんじゃないって、ヘンタイ。」
　部屋に壁の隙間がないか確認する。掛け軸の裏を見ようとしたとき
「ねえ、こっちきてえ、はやくう　やろうよお。」
　結局冷房が効かない部屋で汗みどろになって朝まで４発。
　
「こら、起きろよ。起きろ。まったく、最近の若いやつは、だらしないことばっかしやがって。」
　ティッシュが散らばり、浴衣がはだけた俺たちの寝室にオヤジはズカズカ入ってくる。
「はあーー」大きなあくびとなみだ目の彼女。目には大きな隈が出来ている。
「おじさん、プライバシーっていう観念がないんすか」
「何がプライバシーだ。おい兄ちゃん、寝てネエだろう、この好きもん。へへ」
　相変わらず嫌味だ。
　ふとんをかたずけ、朝食の準備。相変わらず、しけた朝食だ。
「もっとうまいもん、ないんすか、山の幸とか」
「今日夜にイイもん、だしてやっから期待してまってな。」
　当てにならない。

　結局この日はオヤジの許可を得て、浴衣のまま部屋で休息。
　俺が目を覚ますと彼女は既に着替えて立ち上がりうろうろしていた。
　今日の出で立ちはタンクトップにタータンチェックのプリーツミニスカ。
　余りにスカートが短いので、座ってる俺からは黒のパンティーが丸見えだ。
　昨日のやりすぎが祟って、こんなセクシーな衣装にもピクッとこない。
「さあ、山ン中でも行ってオシッコ　シャーってやってこようかな。」
　本気か、このバカ女。でもなんかかわいく思えてきた。

　その夜。しけた夕食にオヤジも入ってくる。
「ひとりではさびしいもんでなあ、若い人はうらやましいよ。」
「おやっさん、今日の夜出してやるって言ったご馳走って、なに？」
「へえ、そんなのがあるんだ」と彼女も興味深々。
「ちょっと待ってな。」と言ってオヤジは大きなガラス瓶に入った液体を持って現れた。
　液体の中をよく見ると黒いとぐろを巻いた物体が中心に。
「これって、まむし酒ですか。」
「そうよ、俺特製の１０年物さ」
「まあ、のみな、お二人さん。今日は寝れないぜ。」
　オヤジは二人の茶碗に半分ほど、その琥珀色の液体を注ぐと、
「さあ、ぐっと一気に、な」
　俺たちは何が起こるのかもわからず一気飲みした。暫くすると浴衣姿の彼女は、体が火照ってきたと胸をはだけた。
　ブラジャーを着けていないので、左胸の小さなホクロが目に焼きつく。
　すると今まで萎れていた俺の股間が痛いほど突っ張りだしたのだ。
「ねえ、おっさん、早くかたずけて布団敷いて！」
「オッサン、ふとん、布団敷いてってば！」
　大声で要求されるとオヤジは笑いをこらえて押入れを空け始めた。
　もう待てないという風に彼女は両手で胸をもみあわせ、舌なめずりをし始める。膝を立てると黒のビキニパンティーが浴衣からあらわになる。オヤジは布団を敷くともうひとつ、今度は金属製の小さな容器に入った茶色の軟膏を俺に手渡して、
「こいつを塗ると、もうそりゃあ、燃えるようにいいって。やってみな、今晩はナマでな、へへ」

　ふとんの上。「今晩はライトSMプレイといこう、」
　と浴衣の紐で彼女を後ろ手に縛り、もう一本の俺の紐で目隠しを。
　騎上位が良すぎるのか、眉間に皺を寄せ、唇突き出し、形のいい楕円形の鼻の穴を膨らませて、喉の奥からすすり泣くような声を上げている。乳首がぴんぴんに尖がって、締まった腹部と対照的な光景を見せている。
　今日もクーラーが効かずに暑いので二人とも汗でてかてかに光って見える。
「クーラーなんか、消しちまおう」とスイッチを消すと、静かな部屋に誰かの潜むような息使いが・・・。
「オヤジだ！」
　俺は勃起したまま、立ち上がって古びた掛け軸を力任せに引きちぎった。後ろに小さな穴が。
　するとゴトっとという物音。
「オヤジ、もういいって、見せてやるから、みなよ、これを」
　俺はその穴の方を向いてオヤジの茶色い軟膏を塗ると、彼女の左足を肩に乗せて、屈曲位で突きはじめた。
　えも言われない燃えるような快感がお互いに走って、彼女の中から熱いどろどろとした液体が溢れてくる。
　グチュグチュという音と共に彼女は浴衣の襟をかみしめる。
　俺は彼女の左乳にある小さなホクロを見つめながら腰を振り続ける。
「ああ、あっつううい、アソコがあ、あっつういい」
　急に締め付けが来る。
「ああ、いいっ、キクぜ、ち、ちんぽに、キクっ！」
　彼女の腹に軟膏の茶色が混ざった白い液体をぶちまける。
　睾丸の奥に締め付けられるような快感とも痛みともつかない感触がやってくる。　

　で、結局朝まで３発。

　あくる朝。
　昨日の赤のマイクロミニ姿の彼女がチェックアウトする俺を笑顔で見つめている。
「昨日の夜は俺も久しぶりにやっちゃったよ、ほら」
　オヤジは右手で股間をしごく動作。
　オヤジが見せてくれた湯飲みの底には、オヤジのものと思われる白い液体が溜まっていた。
「いいことしちゃったじゃない！」と俺の肩を笑いながらたたく彼女。
　ほんとにイイことした。