今回は、被害者がまとまって依頼をしてきた。
　２０歳の女子大生から３６歳の主婦まで、計７名が同様の被害に遭ったとのことだった。
　しかし、実際には、その数倍以上の女性たちが被害に遭っていると推測された。
　ミカは聞いているうちに、腹立たしくなり、すぐにでも仕置きしたかったが、とりあえず、７名全員の内容を確認した。

　３６歳主婦、宮下 裕美の場合・・・
『いらっしゃいませ〜どうぞ、ごゆっくりご覧ください』
　大手カーディーラーの××営業所のショールームに展示してあった新車が目に留まり、裕美は気軽な気持ちでショールームに入った。
　接客係をしていたのは、今風な顔立ちの内田 稔だった。
　今乗っている車に不満は無かったが、もう５年以上も乗っていたので、買い換えたい気持ちはあった。
　しかし、中学生の男の子と来年中学生になる女の子がいて、家計は火の車が続いていた。
　毎日、パートで疲れていた裕美にとって、車を走らせることは唯一のストレス解消だった。
『いかがですか？この車は、価格の割りに装備も行き届いていて、お買い得だと思いますよ』
　笑顔で丁寧に接する内田の顔を見て、裕美は少しばかりいい気分だった。
（日頃、お客さんに気を遣ってばかり・・・でも、今日はわたしがお客さんなんだわ・・・）
『えぇ、素敵ですね〜でも・・・新車は高くて・・・・・』
『何をおっしゃいます、メーカー独自の金利の低いローンもありますので、月々＊＊＊＊円で・・・ それに・・・奥様のような若くてきれいな女性にピッタリの車ですよ〜』
『まぁ、お上手だこと・・・』
　裕美は、まんざら悪い気はしなかった。
　お嬢様などと見え透いたことを言われるとムッとするが、この表現は気に入った。
（ちょっと年上ぐらいかなぁ？結構なナイスボディだな・・・試しに誘ってみるか！）
　内田は裕美の全身を舐め回すように見ていた。
　確かに２人も子供を産んだにしては、身体の体形はそれほど崩れてはいなかった。
（太股も締まってるし・・・、あの胸は凄いね！顔を埋めてみたいね〜）
　若い時から皆に巨乳と言われて騒がれていた裕美の胸は、谷間が盛り上がって見えていた。
　また、裕美自身、大きいからといって年齢と共に乳房が垂れるのを嫌って維持に注意していた。
『そうだ！もし、よろしければ、試乗車に乗ってみませんか？僕もお供しますので・・・』
『試乗・・・！？そうねぇ・・・どうしようかしら・・・・・』
　裕美は時計を見た。
（まだ、夕飯までには時間があるわ、１時間やそこらなら・・・）
『じゃぁ、運転してみようかしら・・・でも、そんなに時間は無いので・・・』
『分かりました。それでは、先ず、あなたの行きたいところまで運転してください。そうすれば、帰りは僕が運転しますので、予定の時間通りに帰って来れますよ』
『そうね！ありがとう。それじゃぁ、早速・・・』
　裕美は若い娘のように嬉々として運転席に座わり、郊外まで運転した。
『どうですか？運転しやすいでしょう〜あなたのような素敵な奥様にピッタリですよ』
『まぁ〜装備もいいし、視界は広くて、加速もスムーズ・・・、いいわねぇ〜』
『・・・でしょう？今のお車を下取りして、５年のローンを組めば・・・』
『でもね・・・・・・来年には中学生が２人だし・・・』
『えっ！？ウソでしょ？中学生のお子様がいらっしゃるのですか？とても信じられませんね〜』
　内田の口からは、常に裕美を気持ち良くしてくれる言葉が出てくる。
　ここ何年も、そんな思いをしたことが無く、裕美は少々舞い上がっていた。
『さぁ、運転を代わりましょう・・・あっ、ちょっと待ってって！』
　そう言って、内田は飲み物の自販機まで走り、コーヒーを２本買って来た。
　缶を車の屋根に置き、プルタブを引っぱって開けていた。
　その時、内田が缶の中に睡眠薬を入れたことに、裕美が気づく筈もなかった。
『女性の方は、開けづらいんですよね！・・・さぁ、どうぞ、飲みながら寛いでいてください』
『いただきま〜すっ、本当にお優しいのね〜丁度、喉が渇いていたの・・・』
　裕美は助手席に座り、手渡しされた缶をすぐに飲み始めた。
『あぁ〜美味しいわ・・・運転手は優しくて車はいいし・・・困っちゃうなぁ〜』
　５〜６分もすると、裕美は完全に意識を失っていた。
（女に安心感を与えるのは得意だけど・・・車が売れなきゃ仕方がないよな〜
　この奥さんも、家計が心配でどうにもならないかな・・・やっぱ、コレしかないか！）
　内田は郊外の１軒家に車を横付けした。
　周囲に気を配りながら裕美を抱きかかえ、家の中のベッドまで運んだ。
『しかし、ホントに若く見えるな〜でも、身体はどうなのかな？熟れ盛りだけど・・・』
　車に乗っている時も、裕美の盛り上がって艶っぽい乳房が、気になって仕方なかった。
『薬の効き目は小一時間だから、早くしないと・・・先ずは、裸にして・・・』
　内田は手際よく裕美の衣服を脱がせ、素っ裸にして仰向けに寝かせた。
『やっぱり、すごいね、このオッパイは・・・』
　真っ先に裕美の豊満な乳房に顔を埋め、両手でしっかり揉みながら舐めまくった。
『ふぅ〜う〜〜、いいなぁ、今度は意識のあるときにやって、反応を楽しみたいね』
　裕美の身体は３０代後半の無駄な肉は無いが、男を悦ばせる肉付きをしていた。
『さてと、早いとこビデオをセットしないと・・・』
　フレームを確認して、三脚の上にセットしたビデオで撮影を開始した。
　先ずは、前、後ろ、局部のズーム等を裕美の顔入りで撮影し、その後は、そのまま録画した。
　内田は小泉首相のマスクを被り、裸になって裕美を性上位で犯した。
　後で、裕美が映像を見ても、内田だとは決して分からないようにした。
　次に背後から挿入し、上半身を後ろに引き上げ、カメラに結合した裕美が全て映るようにした。
『よ〜し、フィニッシュだ！』
　しっかりゴムを肉棒に被せ、射精まで一気に腰を繰り出した。
『うっ、うはぁあああっ、っ、っぁあっ・・・っうああっ、いくぅうううっ・・・っっぁあああ』
『はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・道具も結構イケてるし、絶対、またヤルぞ』
　素早く後片付けをして、裕美を車に戻し、ショールームまで近道を飛ばした。
『奥様！・・・奥様！』
『うん？・・・あれぇ、わたし・・・居眠りしちゃったの〜？やだぁ〜恥ずかしいわ』
『大丈夫ですよ！その時の寝顔は僕しか見てませんから・・・』
『んっもう〜・・・それじゃあ、また、連絡しますね、ありがとう〜』
『いえ、こちらこそ・・・』
（ありがとうは・・・こっちのセリフだよ〜奥さん！）

　数日後の昼下がり、内田は裕美の家を訪ねた。
　この時間は、裕美がひとりでいることはチェック済みで、夕方まで誰も帰ってこない。
　内田は、今日はゆっくり食べさせてもらうつもりで、玄関チャイムを鳴らした。
『あら、内田・・・さん、でしたよね。この前は、どうも・・・』
『いえ、こちらこそ』
『まだ、決めてないんだけど・・・』
『そうですか・・・それより、ちょっと、ご相談が・・・、中に入れていただけます？』
『あ、はぁ・・・、どうぞ』
　裕美はちょっと首を傾げながらも、優しい内田を思い中に入れた。
『早速ですが・・・、これって、奥さんですよね？』
　内田がテーブルに置いた写真は、裕美が男の肉棒を口一杯に頬張っている顔が写っていた。
『何、これ？・・・えっ？わたし？・・・全然、覚えがないわ！』
『でも、奥さんですよね？』
　どう見ても自分であるのは間違いないのだが、一体、いつどこで・・・？
『それと・・・ビデオは、どちらに？』
　テレビの台の中にあったデッキにテープを入れ、再生を始めた。
　画面に映し出されて犯されている女は、自分に間違いなかった。
　裕美は、何が何だか分からず、しばらく、放心状態だった。
『奥さん・・・どうしてこんなことを・・・・・・？』
『分からないわ！わたしにも・・・、まったく覚えが無いもの！』
『でも・・・やっぱり、奥様ですよね〜』
『・・・・・・、それで、どうして、これを内田さんが？』
『実は昨日、僕のところに、これを持ってきた男がいまして、今日中に買い取らないと公表する、とおっしゃいまして・・・、奥様に連絡がつかず、仕方がないので・・・僕がとりあえず買い取って』
『そうだったの・・・それで、その男って？』
『それが・・・そんなことはどうでもいいだろ！って脅かされ・・・』
『そう・・・それで、いくら払ったんですか？』
『３００万円・・・』
『えっ！さ、さんびゃく、ですか・・・？』
『えぇ、そのへんにバラ撒かれたら、３００万の金額じゃ、済まないでしょ？！』
『そうよね・・・、それで、もう、残ってないのですね？』
『えぇ、それは確認しました』
　裕美は途方にくれていた。
『奥様も大変なのは承知してます。でも、僕にとって３００万は大金です。それで、あの車をご購入いただいて、他のお客様を紹介していただけないかと・・・』
『でも、あの車、税金を入れても、２００ぐらいでしょ？』
『えぇ、しかも、僕ら営業に入る手当ては、知れてますから・・・』
『分かりました・・・、主人には内緒にしてくださいね！わたし、お客様探しますから・・・それにしても、親切にしていただいた内田さんに、とんでもないご迷惑をお掛けして・・・』
『いえ、それでは、書類だけ先に・・・』
　事務的な手続きを済ませ、内田は再度、再生した。
『実は、僕、昨日の夜、家でこのビデオを見て、奥様の・・・いえ、裕美さんの素晴らしい身体に、　思わず興奮してしまい・・・、スミマセン・・・、これを見ながらオナニーしちゃいました』
『まぁ・・・・、お若いんだもの、こんなエッチなビデオ見たら、誰でも変な気持ちになるわよね』
　裕美は頬を熱くしながらテレビに映っている自分の淫らな姿態と、内田の顔を交互に見ていた。
『裕美さん・・・、変な言い方ですが怒らずに聞いてほしいのですが・・・』
『なぁに？』
『お車を買っていただいても、僕の出費は埋まらないので・・・、その分・・・時々・・・裕美さんと・・・』
　気まずそうに話す内田を見ていて気の毒になった裕美は、黙って内田の手を引いてソファまで連れて行き、並んで座った。
『昨日もわたしの裸を見ながら、したんでしょ、ごめんなさいね〜迷惑掛けて・・・でも、約束して！絶対に誰にも言わないって・・・もちろん、主人にも・・・』
　内田は待ってたとばかりに裕美の衣服を剥ぎ取るようにして裸にし、ソファに押し倒した。
『裕美さんのオッパイ、すごく素敵ですね〜大きくて、プルプルしてて、柔らかくて・・・』
　裕美は、どうしようもないという諦めの気持ちと、初めての裏切り行為に自暴自棄になっていた。
『裕美さん・・・僕の気持ち、分かってください。裕美さんの気持ち、よく分かってますから・・・だから・・・こうしている時は、いろんなことを忘れて、僕だけを・・・集中して・・・』
　内田の巧みなトークに次第に裕美の気持ちも解れ、割り切ろうという気持ちになってきた。
　そんな変化を見逃さず、内田は優しく裕美の口唇を吸い、髪を撫でながら耳元で囁いた。
『裕美さん、僕、裕美さんのこと、好きになっちゃったみたい・・・、だって、裕美さん、魅力的なんだもん・・・、僕、いっぱい感じさせてあげたい・・・』
　内田の口唇の愛撫は、次第に耳たぶから首筋、さらに乳首へと丁寧に移動した。
『あぁああ・・・いいわ〜こんなに優しく愛されるのって・・・あぁ、はぁ、はぁ、うぅぅぅぅ・・・』
　裕美は完全に内田のペースに嵌ってしまっていた。
　内田は裕美の魅力溢れる乳房を鷲掴みにして強く揉んだり優しく撫でたりして、老獪な愛撫を続けながら乳首を吸ったり舐めたりを繰り返した。
『うぅっぅぅぅううううっっあぅあっ・・・っぁぁあああ・・・・・・』
（大きいと感じ方が鈍いかと思ったけど、凄く感度がいいなぁ、こっちの手も気持ちいいよ）
　片手で乳房を揉みながら舌先は鳩尾からお臍へと移動し、もう一方の手で草むらを撫でた。
『ぁああ〜っ、もう、もう・・・ねぇ、焦らさないで、お願い・・・』
　内田は裕美の太股を大きく開いた。
『おおっ、もう、濡れ濡れで光ってるよ〜、僕が欲しいんだね、嬉しいなぁ〜』
　わざと露骨な表現をすることで、裕美の欲情をさらに煽った。
　ワレメを押し開き、舌でクリを舐めながら指を淫らな口を開けている淫壷に挿入した。
『はぁふっ、わぅ、っ、っ・・・い、ぃぃいいい・・・あっあ〜ん・・・・・・』
　挿入した指で淫壷の中を弄繰り回すと、裕美は堪え切れない喘ぎ声をあげ絶頂に達した。
『あぁん、あぁ、はぁ、はぅ・・・・・・ぁぁぁっ、あっ、また・・・い、いっ、くぅぅうううう』
　続けざまにアクメに達した裕美は、身体を震わせながら内田にしがみ付き、肉棒を弄った。
『あぁ、あぁ・・・ねぇ、コレ、食べさせてぇ、しゃぶりたいの・・・・・・』
　内田は小躍りしたい気持ちを抑えて体を入れ替え、裕美が股間に入って咥えた。
　裕美のテクニックは若い独身女性とは比較にならないほどに熟練していた。
　玉の袋はもちろん、舐める手順も指の愛撫も、何も注文することは無かった。
『うっ、あっ、も、ぅ・・・だめ、いっちゃうよ！』
『いいわ〜出してぇ〜』
　誘惑を振り払って裕美の頭を持ち上げ、女性上位の体位を促し、裕美はゆっくり腰を落とした。
　身体を反らせぎみにして上下前後に腰を動かし、裕美は快感を貪った。
　裕美が腰を動かすたびに、乳房は大きく揺れ動き、下から見上げていると壮観な感じがした。
　内田は両手でその乳房を掴んで揉みながら、淫壷に飲み込まれた肉棒が締め付けられながら、擦られる感触に射精の瞬間が近いのを感じていた。
『いい〜いぃの・・・あなたの堅いのが・・・あぁああっ、あぁ、突かれるぅ〜ぶっとぉ〜いわ〜〜』
　裕美は自分でも何を言っているのか分かっていなかった。
　こみ上げてくる快感の高波に幾度となく頂点に打ち付けられ、正気を失っていた。
『あぁ、いくっ、い〜、くっ、っ、ぁ、ぁうっっぁあああ・・・』
　裕美の淫らに欲情している壷の中に、思い切り射精した。
（やぱり、人妻には中出しだよな・・・）
　内田の射精と合わせてイッた裕美は、そのまま内田の上に重なって動けなかった。
『裕美さん、まだ、時間はタップリあるから、シャワーを浴びてから、またしよう〜』
『う、うん・・・こんなに感じたの、初めてよ・・・あなたって若いのに凄いわね〜』
　そう言われると、内田も悪い気はしなかった。
（じゃぁ、もう少し、サービスしてやるか・・・今度は上の口に出すか！フフン・・・）
　この日は、暗くなるまで何度となく交わり、再会を約束して内田は帰っていった。
『内田さんに迷惑掛けたのに・・・こんなに気持ち良くなっていいのかしら・・・・・』
　知らないということは、罪なものだった。
　内田は帰る車の中で、にやけた笑いをしていた。
『上手くいったなぁ、こんなに上手くいっていいのかと思うくらい、裕美はいい女だ〜ハハハ』

　その次の日、内田の車に乗って裕美は嬉しそうな笑みを浮かべていた。
　内田は運転しながら、片手で裕美の太股を撫でていた。
『うぅ〜ん、ダァ〜メ・・・濡れてきちゃうじゃない。着くまでわたしがしてあげるわ』
　運転している内田のズボンから肉棒を取り出し、裕美は口の中に咥えて舐めまわした。
『うぅぅっ、裕美さんのフェラ強烈〜・・・着くまで我慢できるかなぁ〜』
　やがて車はモーテルに入り、ふたりは寄り添うようにして中に入っていった。
　裕美は涎の滴っている口をぬぐい、内田は肉棒を鎮めてから、部屋の中に入った。
『お風呂に入りましょうよ〜洗ってあげるから・・・』
『うん、僕も裕美さんのオッパイやオマ××コ、洗ってあげたい・・・』
　湯が溜まるまでの間も、ふたりとも我慢が出来ず、抱き合いながらお互いを弄りあっていた。
『ほら、もう、溜まったわよ・・・早く洗ってぇ〜〜〜』
　裕美は自分がこんなに淫らな女になれるとは思ってもみなかったが、
　そのお陰で、自分の中に眠っていた淫欲さに気づき、楽しめることに嬉しさを感じていた。
　裕美がハッとしたのは、内田の背中を洗っている時だった。
（あれぇ〜？この背中のアザ・・・どこかで見た気がするんだけど・・・・・・）
　裕美はなんとなく小骨が喉にひかかっているような気分だったが、思い出せないでいた。
　ふたりともボディソープで泡だらけになり、裕美は湯船に手をついて後ろから挿入された。
　さらに、そのまま湯船に浸かり、裕美は内田に下から釘ざしにされ、乳房を羽交い絞めにされた。
　結婚して以来、こんな刺激的なセックスは一度も無く、マンネリ化していたので新鮮に感じた。
　日中の間、モーテルで淫らな時間を過ごし、内田とのセックス以外、考えられなかった。
　夕食の支度を済ませ、皆が帰ってくるまでの間に、あのビデオをもう一度見ていた。
『あっ！・・・・・・どこかで見たと・・、なんて事なの！あの男、わたしを・・・許さないわ！！』
　ビデオで自分の淫らな姿を見ながら内田との時間を振り返っていた裕美は、
　自分を犯している男の背中のアザが、今日見た内田と全く同じだということに気づき愕然とした。
『あの男の自作自演の罠に、まんまと嵌ったってことよね・・・、車を売ることと身体目当て・・・、あぁ、なんて馬鹿だったのかしら。毎日、楽しみにして・・・悶えて・・・破廉恥なことまで・・・』
　裕美は、知らなかったとは言え、嵌めた男の肉棒を欲しがり咥えこみ悦び合ったことで、自分を責めても責めても、どうにもならない現実に涙が止まらなかった。

　２０歳の女子大生は、もっと悲劇だった。
　スポーツタイプの高級車を買わされた上に、内田が指定した場所で、次から次へと男の相手をさせられた。
　一度に３人も相手にさせられたこともあり、内田のサイドビジネスの娼婦に仕立てられていた。
　正義感を振りかざした３０歳の女性医師は、勤務先の大学病院と医師会に写真とビデオを送られ、逃げ出すようにして病院を追われ、田舎に引き篭もっていた。
　ミカは、自分がオトリになることを依頼者たちに告げ、協力を求めた。
　被害者の女性たちは、自分たちの淫らなビデオや写真が内田の手元に残っているかどうか、その所在を突き止めるために東奔西走し、やっと例のビデオを撮った家を突き止めた。
　リカはその報告を聞くと、すぐに内田がいるショールームに向かった。
「いらっしゃいませ〜」
　相変わらず内田は人当たりの良い有能な営業マンぶりを見せていた。
　リカは一番高額な高級車を興味深げに見ていた。
（今日はまた、大ヒット、いや、ホームランだぞ！この街に、こんなにいい女がいたなんて・・・）
「いかがですか？ご試乗しませんか？」
　内田の気の入れ方が分かるような言い方だった。
（みんな、この優しそうな笑顔と口の上手さに騙されたのか・・・この、お調子者が〜！！）
　そんな腹の内を少しも出さず、ユカは若くて美麗な奥様を演じた。
「そうね、試乗してもいいけど、購入しても運転手が運転するから・・・わたしが運転してもねぇ」
「そうですか、それでは、自分が運転しますので、奥様は後部座席で乗り心地を味わって・・・」
　内田は、誘い出すことには自信を持っていた。
「それじゃあ、そのへんを一回りしてもらえます？」
「はい、それでは、こちらへ・・・」
　いつものパターンで、例の家の傍まで行って、飲み物を飲ませようと車を走らせた。
「ちょっと、休憩しましょう〜いかがでしたか？乗り心地は・・・？」
　車から降りて内田はミカに話しかけた。
「そうね、まぁまぁね」
「ちょっと、お待ち下さい。今、飲み物を買ってきますから・・・」
　缶コーヒーをいつものように開け、薬を入れてからミカに渡そうとした。
「あっ！」
「あぁ、すみません。すぐに、買ってきますから・・・」
　そう言って、地面に落とした缶を拾い、自分の缶は車の上に置いて自販機まで走った。
　その間に、ミカはもっと強力な睡眠薬を内田の缶の中に入れた。
「はい、どうぞ・・・」
　買ってきた缶を開け、再び睡眠薬を混入してからミカに手渡した。
　車の中に戻り、ドリンクホルダーに置いたまま、ミカはなかなか飲まないでいた。
「どうしたんですか？奥様、喉が渇いてらっしゃらないのですか？」
「気にしないで・・・、あなたは自分のを飲んで！それとも、２本飲みたいの？」
「いえいえ、これだけで、充分です」
　ミカに煽られるようにして内田は薬入りのコーヒーをタップリと飲んだ。
　それを確認すると、ミカは飲んだふりをして全部零し、空の缶を内田に渡した。
「ありがとう・・・」
　内田の真後ろに乗っていて、完全に死角になっていた。
　だから、裕美がコーヒーを飲まずに零したことは、内田には分からなかった。
　すぐに眠気を催したが、どうにか例の家の横に車をつけることができた。
　依頼人の女たちが家の陰から出てきて、内田を中に入れた。
「みんな、ありがとう・・・さぁ、仕上げよ！」
　ミカは顔を隠した依頼人たちに自分の顔を削った写真を持たせて、内田に嵌められたことを話させ、ビデオで撮影した。
　無論、内田の裸入りの映像であることは、言うまでもなかった。
　さらに、内田の部屋や持ち物から、内田が犯した数多くの証拠や小道具も持って、ミカはショールームまで車を走らせた。
　ショールームに人がいないことを確認して、裸でシートベルトに縛られた内田を乗せたまま、通りから良く見えるようにして車を展示した。
　その傍らでは、女たちの被害を訴える映像が繰り返し放映されていた。
『僕は、このメーカーの車で、女性たちを騙して車を買わせ、身体を弄んだ内田です』
　フロントカラスには、内田の姿を隠さないようにして、犯行文が貼られていた。
　まもなく、この界隈が大騒ぎになって、内田は警察に連行され、このディーラーには、相次いでキャンセルの電話が鳴り響き、不買運動も起こった。


「これでいいかしら？」
「えぇ、みんな、感謝してます」
「そう、じゃあ、これで、The end・・・ネ！」