３．過渡期（12歳）


　萠は12歳の冬を迎えていた。
　もう、あと僅かで春になり、中等部に進む季節がそこまで来ていた。
　身長も165cmを越え、スラリと伸びた腕や脚とは対照的に、胸は87cm、ヒップは85cm、ウエストは56cmと成熟した女性と変わらなかった。
　肌はきめの細かな白い肌で、シミひとつ無い滑らかな肌をしていた。
　顔も大人っぽくなり、目は大きくクッキリとし、小鼻と口は小さかった。
　顔全体は小さいのだが彫りの深い顔立ちは知的な美人と表現するしかなかった。
　しかし、現実には、そんな外観の美しさからは想像も出来ない、淫猥な女性に成長していた。

「あぁ〜ぁ、わたしはどうすればいいんだ・・・前神父を言い訳に萠を弄び、完全に萠の虜になってしまっている。もう、気づくはずだ・・・あぁ〜〜」
　神父の頭の中は罪の意識と萠への執着心で混沌としていた。
　バタ〜ン！！
「神父様〜〜！！」
　萠が血相を変えて部屋に飛び込んできた。
（おぉ〜来るべき時が来てしまった・・・）
「神父様、これはどういうことなんですか？どうして、わたしに・・・ちゃんと説明してください！でないと、シスターにすべて話します！」
　神父は前神父から聞いたこと、してきたこと、頼まれて自分が犯した罪をすべて隠さずに萠に話した。
「すべてを話すことが君にとっていいのかどうか分からなかったが、初潮を迎え、男女のこと性行為のことなど、シスターから教育を受けた今、自分の罪は正直に告白すべきだと思った。わたしは、萠の望むとおりの罰を受ける覚悟だ。さぁ、萠・・・どんなことでも言ってくれ〜死ねと言えば死んで詫びる・・・」
　萠は全身をワナワナ震わせ、自分のすべてを呪った。
「あぁ〜〜〜〜ぁ！何てことを・・・もう、生きていけないわ！この身が・・・この身が呪わしく疎ましい〜あぁ〜気が狂いそうよ〜〜！」
　半狂乱となって荒れ狂う萠を制し、神父は話を続けた。
「落ち着くんだ！萠！君は、君には何も罪は無い！信仰心が厚く、この７年間、君は本当に神に仕え、神を信じ、従ってきただけだ！呪われるのはわたしたちだ！前神父も地獄に落ちただろう〜わたしも、間違いなく地獄に落ちる！だが、萠は、生きてほしい〜生きて幸せになってほしいんだ！萠・・・萠だけは・・・お願いだ！！」
「ここ２年近く・・・そう、あの10歳の冬から、神父様は変わられた。それまでの５年間の毎晩の所業から、男女の自然な性行為に変えられた。シスターから教わった男女の営み、子孫を残す為の生殖行為へと・・・。単なる生殖行為ではなく、果てしない快感を伴うことを、神父様は実際の行為によって教えてくれた・・・。長い間、前神父が犯した享楽の行為を中断できず、わたしのことを思って、普通の性行為に切り替えることで、わたしを救おうとされたんですね？」
　萠は落ち着いた口調で神父の心理を分析した。
「いや・・・そんなに崇高な精神ではない。確かに君を救おうと必死だった。だが、前神父から頼まれた時に、何とかすべきだったんだ！それなのに・・・わたしは、君の美しさ、君の淫猥な性技、君の身体に溺れた・・・」
「神父様・・・・・」
「萠・・・君は美しい・・・そして、素晴らしい・・・君は幸せになる権利がある・・・だから、これからは、自分のことを考え、大切して生きていくんだ！」
「分かりました・・・普通と言うものが、どの程度なのか分かりません・・・。さらに、この先、どんな運命が待っているのかも分かりません。でも、神父様の今日の言葉は信じられます。だから、生きていこうと思います・・・が、中等部へは進みません。あと１ヶ月で卒業したら、転校します。この寄宿舎では、いくらなんでも生きてはいけません・・・」
「おぉ〜！ありがとう・・・萠、生きてくれるんだね・・・良かった・・・」
「但し、卒業までの１ヶ月間、今まで以上に、わたしを満足させてもらいます。そして、卒業、転校と同時に、神父様には自ら地獄へ落ちてもらいます。それで、いいですか！」
「あぁ・・・いいとも！萠が生きて幸せになってくれるのなら・・・誓うよ！」
「それでは・・・今夜から・・・」
　萠は冷たく美しい表情で告げると、神父に背を向けて部屋を出て行った。

　その日の夜が来た・・・。
　白いシルクを身にまとった萠は神父の部屋のドアを叩いた。
　コンコン・・・、コンコン・・・。
「おぉ〜〜まるで、妖精のようだ・・・萠・・・そのまま窓際に立って月明かりの中で見せてくれないか？」
　萠は月の明かりでシルエットとなり、身体の美しいラインが浮き上がった。
「本当に、きれいだ・・・萠、君はさらに美しく成長して、充実した人生を・・・」
「外観は磨けば美しくなります。でも・・・身体の奥から沸き上がってくる疼きは、幼い頃から植えつけられた性・・・どうにも出来ません・・・」
「・・・・・・・・・」
「それで、どうすれば充実した幸せな人生を歩めと言うのですか？」
「完璧なセックスドール・・・それが前神父の理想だったのでしょう。萠はそれを神の声として受け容れ、知らないうちに理想以上になった・・・。あと、１ヶ月で何をしてあげられるか、考えていました。変な話ですが・・・わたしには、普通の性行為を萠に教えることぐらいしか、思いつきませんでした。勿論、相手が必要ですが・・・。ひとりで疼きを鎮めるには、自慰行為しかありません。オナニーです。シスターは教えてくれないでしょうから、わたしが教えます」
「それでは・・・今までと何も変わりません。わたしは知的に生きたいのです。ですから、誰にも忌まわしい秘密を悟られないようにしたいのです」
「分かりました・・・オナニーは覚えておいてください。後は、精神を崇高に高める思考力を養うように、鍛錬しましょう」

　神父は萠の手を取り、ベッドに横たえた。
「一番簡単な自慰は、自分がしているところを想像して、指で弄るのです」
　萠は恐る恐る自分の手を下腹部に伸ばして擦り始めた。
「いつも、わたしがしてあげたように・・・思い出してやってください」
「・・・してあげた〜？して、あげた！ですか？！」
「あぁ、つい・・・失礼！」
　ムッとした表情を見せた萠だったが、今は身体の疼きを鎮めるほうが先立った。
　自分で乳房を弄りワレメにそって指を滑らせる動きがシルクを透かして見えた。
　神父は妖艶な妖精の淫靡な姿態を見ながら、不徳にも興奮していた。
　息を荒くして肉棒をそそり立たせ、その肉棒を自分で扱いていた。
　そんな神父の姿を見て、萠も次第に興奮してきていた、
　艶かしく妖しい動きをする萠の指は、ワレメから滲んできた蜜を擦り込んだ。
「あぁぁ・・・はぁふぅ〜〜あぅっ、あぅっ・・・あぁ〜〜」
　クチュクチュ・・・と卑猥な音が静かな部屋に響いた。
「あぁ〜〜わたしの・・・ココの音なの・・・はぁ〜〜」
　充分に潤んできたワレメの中に指を入れ、神父と同じようにクリトリスを弄った。
「あぅ、っ、痛い・・・」
「萠・・・あぁ〜〜もっと、そこは優しくしないと・・・敏感だから・・・あぁ〜〜」
「はぁ〜ぁ、はぁ〜優しく・・・うぅあぁ〜〜いぃ〜いぃ〜〜あぅっ・・・はぁ〜〜」
「萠〜〜イキそうだよ〜」
「あぁ〜〜〜〜わたしも・・・いぃ〜イク、イッ、クぅうううう〜〜〜」
　萠はシルクを引き裂き眩しい肢体を捩って悶え、長い脚を突っ張って震えた。

　神父は肉棒の先から零れる白濁の液を手のひらの中に出していた。
「はぁ、はぁ、はぁ〜〜ぁ・・・なんとなく・・・虚しいわ・・・イッても・・・ふぅ〜ぅ」
「し、しかし・・・はぁ〜少しは・・・落ち着いただろ？」
「わたしの悶える姿を見て・・・イッたの〜？やっぱり、不潔な人ね！でも・・・途中で、教えてくれて・・・・・どうせ、ふたりともイクのなら、我慢して別々にしてることないじゃないの？」
「そうだね・・・だけど、わたしが相手じゃ、もう、イヤじゃないのか？」
「そうですが・・・こんなわたしの秘密、他の誰かになんて話せないし・・・」
「それじゃあ、中途半端じゃなく正確に覚えておきますか？知っておけば適切に対処できることもあるし・・・避妊も覚えておかないと・・・」
「避妊・・・？」
「そう、シスターから妊娠については教わったと思うが、性交行為セックスは妊娠する為だけに行なう行為じゃない。愛し合う男女が肉体をひとつにしてお互いの愛を確かめ合う行為でもある。その際に気をつけなきゃいけないのが避妊の仕方だ。ゴム製品を使わなければ、膣外射精やピルの服用などもある。愛を確かめ合うセックスは正上位だけでなく、様々な体位があるんだよ〜48手と呼ばれる48の体位、お互いの性器を貪りあう69・・・萠、どうする？」
　萠は自分でコントロールできるようにする為にも、オナニーだけで疼きを抑制できるようになるまでは、自然な快感が欲しかった。
「それじゃあ、あと1ヶ月の間は、避妊方法も含めて・・・いいかい？」
「えぇ・・・」
　萠は不本意だったが、仕方がないと思い割り切ることにした。
「それじゃあ、早速、48手を実践しながら避妊も試してみよう〜」
　神父は不遜にも48手を絵図で著した紙を萠に見せ、説明を始めた。
「説明より実際にやれば早いでしょ！それに・・・わたしが欲しいんでしょ！？」
「あぁ・・・萠のいない日々は、もう考えられない・・・美しい萠・・・さぁ、おいで〜」

　神父は１度の行為で5〜10の体位を実践し、コンドームを着用して避妊を説明、膣外射精として萠の口の中に射精したり、美しい形の乳房に挟んで射精したり、ありとあらゆる行為と付随した知識を実践しながら萠に授けた。
「あぁ〜〜いぃわ・・・この形・・・あふぅ〜〜この角度は・・・あぁ〜〜もっとぉ〜〜」
　萠は拒否の言葉とは裏腹に、身体の奥から求める淫欲に埋没していった。
「やっぱりオチ××ンが最高ね・・・指や舌もいいけど・・・あぁ〜この圧迫感が・・・」
　神父は教える立場だったが、もはや萠の悦楽の道具と化していた。
「美しい容貌・・・肢体・・・そのすべてが一番輝くのは、やはり交わってる時か・・・」
　白く滑らかな肌に細かな汗の光りが輝き、薄桃色に染まる萠は至高の時だった。

　１ヵ月後、萠は都内のミッション系の中等部に転校していった・・・。
　そして・・その夜・・・
　神父は、萠と長い間一緒に過ごしたベッドの上で、自ら命を断ったのだ。