６．大学時代〜（18歳〜）


　早慶大学に入学と同時に、寮を出て１ＬＤＫのマンションに移った。
「今までのようにはいかないわ・・・自分で何でもやらないと・・・」
　しかし１〜２回生の間は、専門課程ではないので、サークル活動が主になった。
　マスコミ研究会に入った萠は、高等部での経験を生かして張り切っていた。

「基本的な知識を勉強して・・・法律も覚えて・・・忙しいわ〜」
　他の学生が遊び感覚で騒いでいる中、萠は黙々と環境を生かして勉強した。
「萠・・・君、だったよね？みんなと遊ばないで勉強一筋って感じだけど・・・」
「相川先輩・・・わたし、大学に夢を抱いて入ってきたから・・・」
「夢を実現する為に・・・そうか、じゃあ、手伝おうか？その夢のために・・・」
「ありがとうございます。難しい箇所が沢山あるので、助かります」
　相川は経済学部の３回生で、女子学生に評判の男だった。
「でも、相川さんって、プレイボーイだから・・・」
「イヤだなぁ〜君までそんな噂を信じてるのかい？付き合っている女性もいないよ」
「へぇ〜〜そうですか？今は、いない・・・じゃ、ないのですか？まぁ、わたしには、どちらでも構いませんよ〜先輩の知識が欲しいだけですから」
「ハッキリ言う女性だ・・・無理ないかな、その美貌と雰囲気は、評判だよ〜」
「そうですか・・・でも、興味ないですから・・・それより、ここを教えてください」
いつの間にか相川も萠のペースに嵌って、勉強に付き合っていた。
　構内でも遅くまで頑張って、真面目すぎるということで、男子学生たちは次第に萠の周囲から遠ざかっていった。
　しかし相川だけは萠のサポートを続け、男女の関係が無いまま、半年が過ぎた。

　萌は時々マスコミ関係者とコンタクトをとっていた。
　あるプロデューサーから『現代の大学事情・・・構内生活の実態』というテーマで、取材を頼まれたのだが、あまり乗る気がしなかった。
「ねぇ、相川さん・・・この取材、どうしましょう？」
「局はどういう結果を期待してるのか、によるね！」
「講義を受けないで、バイトに夢中・・・風俗でお金貯めて贅沢三昧・・・そんなの？」
「う〜〜ん・・・ありふれていて、ピンとこないなぁ〜」
「わたし、あまり交流が無いから・・・断ろうかな〜」
　ふたりとも押し黙って考えていたが、何も思い当たらないようだった。
「そうだ！商学部の誰かが覚醒剤を扱ってるって・・・噂だけど」
「覚醒剤！・・・その情報の真偽を知りたいわ〜相川さん、調べてくれますか？」
「あぁ、じゃあ、今日中に調べて、君のマンションに行くよ！」
「はい、お願いします」
　相川は早速、知り合いの伝を辿って調査に向かった。

　その夜、萌は相川からの連絡を待って落ち着かなかった。
「もう、９時よ・・・どうしたのかしら？」
　ピンポ〜ン・・・
「先輩だわ！」
　萌がドアを開けると、相川が倒れ込んできた。
「ど、どうしたの？！相川さん！大丈夫？」
「萌・・・これ・・・」
　小型のデジタルビデオカメラを差し出した。
「あ、はい・・・とにかく、中に入って！手当てが先よ！」
　萌は相川を支えながらソファに寝かせた。
　顔が腫れ上がり口の中を切っていた。
　背中や腹部、足等を何かで殴られたようだった。
「ひどい・・・今、氷を持ってきます」
　冷たいオシボリで身体のあちこちを拭き、顔は氷で冷やした。
「大丈夫ですか？病院に行った方が・・・」
「いいんだ、萌・・・それより、ビデオを観てくれ！」
　萌は言われたとおりにビデオを観ると、
　そこには覚醒剤の取引きの様子が一部始終録画されていた。
「これを撮っていて・・・見つかって・・・」
「あぁ・・・ドジ踏んじゃった・・・萌を喜ばせようと思って・・・迷惑掛け・・・」
　そこまで言うと、相川は意識を失ってしまった。

　翌日、相川が気づくと、萌のベッドに寝かされていた。
　萌はベッドの脇で、看病疲れでウトウトしていた。
「あっ！気づいたのね・・・良かったわ〜顔の腫れも少し引いてきたわ・・・」
「うっ・・・！」
　相川は起き上がろうとしたが、身体中が痛くて無理だった。
「まだ無理よ！ダメ・・静かに寝てて・・・・ありがとう・・本当にありがとう〜でも、わたしのためなら、もう、二度と無茶しないで・・・お願い！」
　萌は涙をいっぱい浮かべて、相川を見つめていた。
「萌・・・」
「わたし・・・相川先輩に想ってもらえるような女じゃないのに・・・」
「どう言うこと・・・？」
「詳しくは言えないけど・・・先輩はわたしには勿体無いわ〜」
「分からないなぁ〜何でそんなに自分を卑下するんだ？君のように全て揃った理想的な女性が・・・」
「もう、この話しは終わり・・・それより、身体の傷を手当てするわ〜」
　萌は相川に掛けていたタオルケットを剥いだ。
「おい！萌・・・君が治療したのかい？・・・だけど、裸だよ・・・」
「仕方が無いわ〜身体中が傷だらけで・・・胸やお腹、背中に太股・・・脱がさなきゃ治療できないもの〜大丈夫ですよ！悪戯してませんから・・・」
「えっ、あ、ありがとう・・・」
「お礼は、わたしが言うの！相川さんの気持ち・・・とても嬉しかった・・・」
　そこまで口にすると、萌は涙が止まらなくなり、浴室に駆け込んだ。
　しばらくして、髪の毛からシャワーのお湯の雫を垂らしながら戻ってきた。
「ごめんなさい・・・治療の途中で・・・」
　バスローブの胸元から豊かな弾むような乳房が見えていた。
　相川の身体の薬を塗るたびに見えるので、相川は傷の痛みを忘れ、ハァハァと息を荒くした。
　太股の奥が時々露わになり、少し火照った肌が妖しく目に映った。
「ど、どうしたんですか？」
「えっ？」
　相川の肉棒がまっすぐに天井に向かって飛び跳ねるように勃起した。
「あっ、いやぁ、これは・・・仕方が無いよ〜ゴメン、萌・・・男の自然な反応だよ・・・好きな女性の艶っぽい肌や乳房が見えれば・・・」
「あっ！ごめんなさい〜わたし、気づかなくて・・・」
　萌は相川の胸の傷を指でなぞって、舌で優しく舐め始めた。
　お腹の傷も太股の傷も、同じように舐めて癒すようにした。
「萌・・・優しいんだなぁ〜ひとつひとつ舐めて癒してくれるなんて・・・」
「うぅん・・・当然よ〜少しは痛みが和らぐと嬉しいわ〜それと、こっちも〜」
　そう言って萌は、相川の勃起したままの肉棒を上から根元まで深く咥えた。
「うぅっ・・・あぁうっ・・・萌・・・あぁ〜〜うっ、あぁ〜はうっ・・・はぁ〜〜」
「何も言わないで・・・感謝の気持ち・・・黙って感じてぇ〜〜」
　萠は精一杯の気持ちを込めて、相川を気持ちよくさせようと頑張った。
　袋の中の玉をひとつずつ口の中で舐め回して、肉棒の裏筋を舐め、カリの括れを舌先で這うように舐め、最後はディープスロート・・・。
　その巧みなフェラに、相川は３分と持たずに射精してしまった。
　その白濁の液を萠は美味しそうに飲み込んだ。
　久しぶりに飲み込んだ精液だった。
「あぁ〜〜ふぅ〜〜ぅ・・・萠、すごい・・・もし、良ければ・・・一度でいいから、そのバスローブを取って、君の美しい身体を見せて欲しいんだけど・・・」
「えっ？・・・でも、恥ずかしい・・・」
　本当に萠は恥ずかしいと思っていた。
　今までとは違って、こういう形で全裸を晒すのは、初めての経験だった。
　性的な行為でも今までの淫欲な状況とは違う、純粋な想いがそこにはあった。
「頼むよ・・・萠・・・」
　相川が自分のために命まで危険にさらしてくれたこと・・・
　相川が身体の関係無しに、自分を好きだと言ってくれたこと・・・
　そして、萠も・・・相川のことを想いながらも応えられないという気持ち・・・
　萠は初めて恥じらいを感じながら、男に全裸姿を晒した。
「・・・・・きれいだ・・・一回転してくれない・・・あぁ〜〜表現できないよ・・・」
　この頃の萠の身体は発育も止まり、その分、女性らしさを増していた。
　身長167cm、Ｂ88cm、Ｗ54cm、Ｈ85cm・・・
「スラリとした体形・・・僕が大きく開いた手のひらでやっと包めそうな胸・・・細い腕と肩・・・きれいに窪んだ鎖骨・・・薄く浮かぶ胸骨の下から括れた腰・・・引き締まって長い脚・・・大きな卵をふたつ並べたようなお尻・・・そして、小さく整った顔・・・さらに、最高なのは・・・萌、君の優しい性格・・・」
「そんなに誉められたら・・・窮屈になるわ〜わたしだって欠陥だらけよ〜」
「いや、少なくとも僕には完全な女性だよ・・・」
　その日から３日間、相川の傷が癒えるまで、ふたりきりの時間を過ごした。
　萌は１日に何度も傷を口唇と舌で舐め、相川が悦ぶところも同時に愛撫した。
　ただ、どうしても、萌の身体には触れさせなかった。
　萌は、それで関係が壊れることを怖がったのだ。
　萌の純粋な遅い初恋だった・・・。

　相川の傷の状況を見ながら、萌は相川の撮影したビデオを編集し局に持ち込んだ。
「これを放映したら、早慶大学の大不祥事となって、警察が傾れ込むぞ〜萌、君の通ってる大学だろ〜いいのか？」
「構わないわ〜全て明るみになれば、うちの大学だけじゃなく、都内の大学が芋蔓式に摘発されるわ・・・この辺で一度、一斉に洗濯したほうが・・・」
「よし！じゃあ、一気に大掃除だ！今晩のトップだぞ！」
　放送の１時間前に警察にもテープを渡したので、その夜は大混乱となった。
　取材、撮影した相川は、一晩の間に注目の人となって、暴行犯も逮捕された。
　その日を境に、相川と萌の距離は遠くなっていった。
（愛する男の欲求にも応えられないわたしの性は・・・どうなってしまうの・・・？）
　相川への想いを断ち切るために流した萌の涙は、淫らな性を持つ身体と異なり、純粋で美しいもので・・・だからこそ、なおさら哀しく淋しいものだった。

　世の中の喧騒から離れ、何年ぶりかで12歳までお世話になった寄宿舎に行った。
「ここで、狂った性のわたしが生まれたのね・・・２人の神父の邪心によって・・・」
　大学に進学したら、一度、落ち着いた気持ちで訪ねる気でいたが・・・、いざ、目の前に来ると、在りし日の忌まわしい日々が甦り、立ち竦んでしまった。
「生まれて初めて恋した男に抱かれることも出来ない・・・身体、性行為を淫欲の対象としてしか処理できない・・・身体、ここで創られた・・・・・・」
　悪夢を振り払うように、萠は神父の部屋があった教会の建物に入った。
「昔と全く変わってないわ・・・」
　静寂に包まれた尊厳さを感じる雰囲気は何も変わってはいなかった。
　クロスが正面に見えた時、萠は神に忠実に仕えていた日々を思い出していた。
「あの頃のわたしは、ただ、ひたすらに神への信仰心だけだったのに・・・」
　幼い日々・・・神を信じていた自分の純粋さが愛しく思え、今の自分を嘆いた。
　歩を進めると、懺悔室が目に入ってきた。
　萠は初めて懺悔しようという気持ちになっていた。
「神父様は、いらっしゃるのかしら？」
　萌は神父の姿を捜した。

「どうかしましたか？」
　ふいに萌は声をかけられた。
　声の方向に視線を遣ると、そこには30半ばぐらいの神父が立っていた。
　萌の下半身が急に疼きを感じた。
「すみません・・・わたしは、ここの卒業生ですが、懺悔をしたいと思いまして・・・」
「そうですか・・・神を慕って来るものを、誰も拒むことはありません。どうぞ・・・」
　萌は少し躊躇いながら懺悔室に入った。
「わたしは罪深い人間です」
「何をしたのですか？」
「繰り返し姦淫の罪を犯しました」
「どうして、そんなことを・・・？」
「５歳という幼い頃から淫らな性行為を強要され、それをそれとは知らないまま、長い年月の間、毎夜のように繰り返され、身体が男性の性器を受け容れられるような体格に成長すると、肉の交わりを分からないままに教えられました・・・」
「そ、それで、今はどうなんですか？」
「はい・・・初めて愛した男性の求めにも、恐怖感から応じることができません。わたしにとっての性的交わりは淫欲そのもののように、身体に染み付いて・・・」
「もしかすると、あなたは・・・萌さん、ですか？」
「はい・・・そうですが・・・どうして神父様がわたしの名前を・・・？」
「今から数年前にここに来たのですが、その１ヶ月ほど前に当時の神父より、自殺の罪を犯す相談を受けました。その際に経緯を説明され嘆いていました。自分がどれほど罪深き人間であるか・・・萌の先々が心配だが何もできない・・・もし、いつか萌と出遭ったら、真摯に相談にのってほしい・・・と」
「確かに数年前、神父様が自殺されたのも、自分の罪かもしれません・・・わたしは、どうしても神父様の行為を許せなかったのです。その後、今日に至るまで、この身体に不自然に染み込んだ淫らな疼きを癒すために姦淫を犯し、精神とのアンバランスを調整しながら生きてきました」
「大変だったでしょう・・・自分自身ではどうにもできず悩み苦しみ・・・純粋な精神的な愛とかけ離れた淫らな性の存在は、呪わしかったでしょうね・・・」
「はい・・・この身を引き裂きたい衝動に駆られることもありました・・・」
「今日は、ここで懺悔することで、昇華したいと願った訳ですね・・・」
「えぇ、でも・・・無理なようです。さきほど神父様の姿を見た時、在りし日のふたりの神父様への怒りが込み上げてくるのと同時に、信じられないことですが・・・身体の奥から淫らな疼きが沸き起こってきたんです」
「そうですか・・・それほど長い月日の所業が、重いということでしょう・・・」
「神父様・・・わたしは何も知らずに、この聖なる場所で淫らな罪を犯しました。だからこそ、ここで、この身体の隅々に棲みついた疼きを鎮めてほしいのです」
「どうしたいのですか？」
「神父様の穢れない聖なる手、指、口唇、舌、そして肉棒の塊で・・・穢れたわたしを清めてほしいのです」
「・・・・・・そういうことがいいのかどうか、わたしには・・・自信がありません」
「お願いです！神父様・・・亡くなった神父様の想いはどうなるのです？」
　長い沈黙が流れた・・・。
　萌は静かに懺悔室を出てマリア像の下に立ち、祈りを捧げた。

　萌の祈りを捧げている姿は、聖なるマリア様のごとく美しく輝いて見えた。
　サマーパンツとＴシャツというラフな格好にもかかわらず、妖艶さも感じられた。
　聖なる美しさと淫らな妖艶さが共存する姿・・・それが、萌・・・。
　長く伸びた脚を辿ると、クッキリとサマーパンツに形を浮き彫りにした尻があった。
　ふたつの楕円球を象ったような引き締まった萌のお尻は、谷間の深いラインが食い込むように妖艶な柔らかさも感じさせていた。
　薄い生地なのに下着のラインは見えず、素肌のお尻が露わになっているようだった。
　短いシャツの裾は、お尻の上の極端に括れた腰の艶かしいラインを見せていた。
　少し長めの細く繊細な髪は、小さな端正な顔を邪魔しないように流れていた。
　細い身体には不釣合いにも思える乳房は、きれいな盛り上がりを見せ、不思議と細い肩や腕とバランスをとっていた。
　遠目に萌を眺めていた神父は、ふたりの神父の想いを実感していた。
「あのように美しく成長し、精神を崩壊させないでいる萌は素晴らしい・・・普通なら、とっくに崩壊しているだろう・・・淫欲の波に飲まれて・・・しかし、萌は、アンバランスを保持するがゆえに美しいのかもしれない・・・」
　神父は萌に近寄っていった。
「萌・・・もしも、萌の淫らな性を鎮められず、燃え上がらせたらどうしますか？」
「その時はその時・・・鎮まるまで神父様の下に通い続けるかも知れません。幼い日々、ふたりの神父様の部屋に毎夜、通ったのとは質が違うと思います。あの頃は、わたしの意思はありませんでしたが、今は、わたしの意思です」
　神父は萌の背後から萌の身体を両腕で包み、細い首筋に口唇を寄せた。
「あぁ〜〜ぁあっふぅ・・・神父さま・・・」
　萠の身体が神父のほうに仰け反り、神父は萠の身体を支えるようにして包んだ。
　前に回した手で萠の乳房を下から持ち上げるように包み、揉みはじめた。
「萠・・・わたしの全身で、萠を浄めよう・・・この聖なる場所で・・・」
　神父は萠の身体を服の上から隅々まで撫で始めた。
　薄い生地を通して手のひらに感触が伝わる・・・
　腰からお尻に撫でる手が移った時、神父は思わず声をあげそうになった。
（なんという感触なんだ・・・生地の上からでもこれだと・・・素肌は・・・あぁ〜〜）
　浄める手で淫らな気持ちに溺れてはいけないと思いながら・・・続けていた。
　太股の裏から内側まで擦るように撫でると、萠は立っていられなくなった。
「神父様の手は・・・魔法のように感じます・・・あぁ〜〜あぁあっ・・・はぁ〜〜」
　萠の頭から足の先まで撫で回した後、息を荒げながら萠を裸にし始めた。
　１枚脱がすたびに興奮と溜息が漏れ、理性を失わないようにと自分を諫めた。
（淫欲魔性の妖精・・・萠・・・そんなイメージが似つかわしいか・・・）
「萠・・・この素晴らしい身体で男と交わった時、男たちはどうですか？」
「はぁ・・・みんな、感じてもイクにイケないようです。わたしのアソコは、そんな風にして相手を捉えて放さず、自分が満足するまで・・・相手が失神しても構わずに貪るんです・・・」
「それじゃあ、マリア様の前に仰向けに寝て・・・萠の言うとおり手と舌とで全身を浄めるから・・・鎮まればいいのですが・・・」
　萠はすでに心身ともに淫欲の中に在る・・・という感じになっていた。

　神父は指先で萠の額から順に顔全体の愛撫を始めた。
　口唇を左右にゆっくり撫でている時、萠の身体が震え神父の指を咥えた。
　口の中で吸うようにして舐め回し、悦楽の表情を浮かべていた。
　太股を擦り合わせ身体を捩りながら喘ぎ声をあげそうになった。
「し、神父様・・・萠、声が・・・漏れそう〜あぁ〜〜でも・・・誰かに見られたら困りますよね・・・はぁ、はぁ〜声、出せません・・・あっ、はぁ〜〜」
「構いませんよ、萠・・・わたしの決断ですから・・・わたしが積を負います」
　艶やかに浮き出た鎖骨を擦り、しなやかな細い腕を撫でながら、可愛らしく突起した乳首を口に含み、飴をしゃぶるように舌で転がした。
「あぁっ、あぁ〜〜〜あふぅ〜あぅ、あぅ、っ、ぁあああ〜〜〜」
　美しくバランスのとれた身体が妖艶な動きを見せる。
　吸い付くような滑らかな肌が汗ばみ灯りに反射して一層妖しく見えた。
　仰向けになっても型崩れの無い乳房を両手で優しく揉みながら、萠の全身を強く抱きしめたい衝動に駆られた。

　神父の服を脱ぎ捨て、肌を肌で感じたいと・・・少しの隙間も無いほど、萠の身体を抱きしめた。
「あぁ〜〜萠・・・身体全体が吸い付くようで・・・」
「苦しいわ・・・神父様・・・でも、萠の肌も気持ちがいい・・・神父様のアレ・・・堅くなって、萠のお腹に感じます・・・舐めたい・・・」
「わたしも、萠のきれいな淫唇を舐めたい・・・舌を入れたい・・・」
　神父は身体を上下入れ替え、肉棒が丁度、萠の口に当たるようにした。
　萠は堅く強張った肉棒を両手で掴み、２〜３度舐め上げた後、咥え込んだ。
「あっぁぁ・・・っふぅ〜〜あっ、つぅ〜〜はぁ〜」
　神父は萠の巧みな口技の快感を感じながら、濡れて妖しく光る淫唇を舐めた。
　ワレメにそって何度か舐めた後、舌を中に入れてクリトリスを口に含んだ。
　神父の口の中で淫らな肉芽は敏感に反応し、神父の舌を鋭く刺激した。
「あぁぁ〜〜ん・・・あ〜ん・・・あふっ、はぁ、はぁ、はぁあああ〜〜っ・・・」
「萠・・・前だけでいいのか？後ろも、してほしいのか？」
「あぁ・・・後ろを感じさせてくれる人がいなくて・・・亡くなった神父さん、すごく上手で・・・萠、いつも興奮して・・・ねぇ〜〜おねがい・・・」
　神父は萠の身体を反転させ、キュッと締まったお尻の双丘を掴んで開き、淫液で濡れた菊状の蕾を舌先で突くように愛撫し始めた。
「あぅっ・・・あっはぁ〜〜ぁ・・・神父様、感じちゃう〜〜はぁ〜〜」
　蕾がピクピクと収縮するように反応し、さらに刺激を求めていた。
　神父の淫蕾への愛撫はそこで中断し、肉棒を淫唇を割って挿入した。
「あっ、ふぅ〜〜、っあぁ〜〜ぁ・・・あぅ、あぅ、あっ・・・あぁあああ〜〜」
「おぉ〜っ！すごい・・・萠、あぁ〜〜っ・・・締まる・・・あぅ、っ、あぁ〜〜」
　神聖な教会に淫らな空気と淫悦に浸る声が響き渡った・・・。

　相川先輩とは自然と疎遠になり、萠としては考えないようにしていた。
　あの日、母校の神父と関係を持って以来、萠の精神状態は安定していた。
「いいとは思えないけど・・・わたしにとって神父様は淫密な関係・・・わたしの淫欲な面を満足させてくれる存在なのかも・・・・」
　神父との淫靡な行為以外、萠は見事な肢体を晒すことは無くなった。
　言い換えれば、萠と神父の淫靡な関係が始まったのだ。
　懺悔室に一般には分からないような呼び鈴を作り、間を仕切っていた格子の木枠を取り外せるようにした。
　日中、教会に誰も来ない時間を密会の時間として、懺悔室で交わった。
　狭い空間だったので、お互いの局部のみを貪りあった。
「やっぱり、わたしには、神父様の淫らな液が一番美味しいわ・・・」
「萠・・・忘れないで欲しい・・・この関係は、君の淫欲を鎮めるため・・・」
「もう、いいわ〜このままでも・・・どうせ、普通じゃないんだもの・・・」
　萠の18〜19歳は、神父との関係を中心に過ぎてしまったのだ。

　萠にとっての転機は３回生になった春に訪れた。
　かねてから交流のあったテレビ局からキャスターの依頼があったのだ。
「６時からのニュース番組にレギュラー出演して欲しいんだ」
「レギュラーですか？」
「そう！君の今までの功績が認められたんだよ！取材やコメントも・・・」
「あ、ありがとうございます！」
　通常のニュースはアナウンサーが読み、それに対してコメントを出す。
　現役女子大生の眼・・・というコーナーもあり、萠の生活は一変した。
「萠さん、承知していると思うけど、スキャンダルはダメだよ〜」
「えぇ、分かってます。学業と両立させて、真摯な姿勢で頑張ります！」
　日中は大学で社会情報分野を学び、夕方からはキャスターとしての生活が始まった。
　無我夢中の生活が３ヶ月ほど続き、少しは余裕が生まれてきた。
　キャスターとしての萠は好評で、萠も少しずつ自信が持てるようになった。
　男女関係無くファンが出来、関係者もホッとしていた。
「萠さんじゃ、男性ばかりかと思ったけど・・・良かった。ところで、萠さんにドラマ出演の話もきてるけど・・・どうするの？」
「えぇ・・・とにかく聞いてみます」
　ドラマは『美人探偵七変化』というタイトルで、萠が主役の設定だった。
　変装して潜入捜査をする美人探偵ということだ。
　監督の市川と会って話しをすることになり、緊張しながら面談場所に行った。
「君が萠君か・・・わたしが監督の市川だが、テレビで観るよりきれいだな」
「いえ、そんな〜」
「この世界では、謙虚さは美徳でも何でもない。自分をどう表現できるか？自分の良さを最大限にアピールできるようにしないと・・・」
「でも、わたしは、お芝居の経験などありません・・・出来るのでしょうか？」
「いや、そうじゃない・・・君にやる気があるかないかだけだよ！」
　萠は迷っていた。
　マスコミには興味があったが、それはジャーナリストとしてであって、タレントになりたい訳では無かった。
　市川監督から決断を迫られ、萠は自分の可能性を試してみようと思った。
「やってみます！監督、よろしくお願いします」
　それからの日々は、表現が出来ないほど過酷なものとなった。
　大学に行けない日が続き、人気タレントの殺人的スケジュールと同様だった。
　３ヵ月後、第１回目がオンエアされ、萠のスタイル、容貌、アクションが、若者たちの間で評判となり、若い女性が服装やヘアースタイルなどを真似るほどの、萠ブームが沸騰した。
　それと相乗効果で、ニュースキャスターとしても人気が爆発した。

　しかし萠の中では、行き詰まりを感じていた。
「今度の撮影の役作りは、脚本を何度読んでも難しいわ・・・どうしよう・・・」
　萠は市川監督のところに行き、状況を伝えた。
「萠、君は頭で考えすぎているぞ！もっと、感性を膨らませてイメージしろ！」
「具体的に仰ってくれないと・・・分かりません」
「Ｋ国の工作員だぞ！・・・忍者のくノ一を知ってるか？」
「はい、女忍者です」
「００７は、どうだ？」
「はい、ジェームスボンド・・・ですよね」
「ハハハ〜〜そうだ。もっと、肩の力を抜いて、リラックスしろ〜美形が台無しだぞ〜最近、人気が出て、羽目を外してないんだろ？」
「えぇ、まぁ〜」
「適当に見つからないように気分転換しないと・・・ストレスで固まっちゃうぞ〜」
「えぇ・・・でも・・・どうしたらいいか・・・？」
「そうやって、固い頭で考えるからダメなんだ！もっと素直に自分の内面に従うんだ・・・柔らかな気持ちを持て！」
「は、い・・・」
　萠は日々に流されていた自分に監督の言葉で気づき、らしくなかったと思った。
（自分らしく・・・か〜わたしらしい・・・って・・・最近は・・・？）
　いつの間にか自分がどこかに行ってしまっていたことに、萠はハッとした。
「どうした？まだ、ダメなのか？」
　監督の手が肩にポンと置かれた瞬間、萠はドキッとして身体が熱くなった。
「ん？どうした？顔が赤いぞ・・・熱でもあるのか？」
　萠の額に手をあて熱があるかどうか確かめた。
「ハァ・・・ハァ・・・」
　萠の息が荒くなってきた。
「おい、萠・・・大丈夫か？おい！」
　監督は萠の両肩を掴んで、瞳の焦点があやしい萠を揺すった。
　フラフラとして倒れそうな萠を抱え、ソファに寝かせた。
「おい、頭を冷やそうか？」
　萠は息苦しそうに身体を捩って呻き声をあげた。
　ワンピースの裾が乱れ、ほんのり赤くなった滑らかな太股が見えていた。
（艶かしいなぁ・・・ゴクッ・・・）
　監督の市川は立場を忘れ、思わず生唾を飲み込んだ。
　捩られた身体を眺めながら、市川は萠にオンナを感じた。
　胸元から零れる豊かな乳房に手を伸ばし、片方の乳房を鷲掴みにした。
「あっ・・・あぅ〜〜はぁ〜ぁ・・・カントク、何を・・・？」
　ハッキリしない意識で萠は監督の手の感触を感じていた。
「萠・・・大丈夫か？苦しいだろ〜今、脱がせてやる」
　市川は苦しそうな萠の姿に、妖しいオンナの魅力を感じ、股間の熱い肉棒の硬直に衝き動かされるように萠を裸にした。
　熱に浮かされたように正体不明な萠は、焦点の定まらない瞳を動かしていた。
「あぁ・・・監督さん・・・何を・・・してる・・・あはぁ〜〜ぅ・・・やめて・・・」
「いいから、黙って任せなさい〜わたしが今、楽にしてあげるから・・・」
　素早く自分も裸になり、萠の火照った身体に重ねた。
「あぁ〜〜いぃ感触だ・・・こんなにいい身体だったとは・・・」
　市川は身動きの自由にならない萠の可愛い口唇を吸い、ごつい手で頬を撫でた。
「堪らないなぁ・・・はぁ、はぁ、はぁ、きれいな肌だ・・・もう、っあぁ〜〜」
　萠は首を振ってもがくが、どうにもならない。
　市川はギラギラした眼で萠の身体を犯すように見遣り、狂ったような勢いで萠の身体を陵辱した。
　思い切り長い脚を広げ、唾液で淫唇を濡らせ、一気に肉棒を挿入した。
　ギシ、ギシ、ギシ・・・・・・
　激しく腰を打ち付ける市川の動きで、ソファの足が壊れそうな音を立てた。
「うっ、おぉ〜〜〜っ・・・すごい締め付けだぁ〜あつぅ〜っ、千切れるぅ〜〜」
　そのまま市川は意識を失ってしまったが、萠は少しずつ正気を取り戻し、大きさを保ったまま萠の中に挿入されている市川の肉棒を使い、身体を大きく上下させて何度もオルガスムスを味わって部屋を後にした。
（ったくぅ〜〜せっかく忘れていたのに・・・バカな監督のせいで・・・あぁ〜あ！）
　身体の中で眠っていた淫欲を目覚めさせた市川に憤慨した萠だが、久しぶりの肉の悦びに、何かスッキリしたような気分になったのだ。

　翌日の撮影は順調に進み、市川を平気で何気なく見る萠に、市川はゾッとした。
　工作員に変装して潜入捜査を行なう役は、萠の妖しい魅力に惑わされ、情報を聞き出すことに成功する展開となった。
　茶の間の反響は早く、萠の理知的な美人の顔に妖しさが加わり、大評判だった。
「あんな妖しさを、20か21の素人によく出せるなぁ〜」
　関係者の間でも、萠の演技力は評判となり、次々と出演依頼が殺到した。
　容貌やスタイルなどに拘らず、何でも対応する萠の人気は上がる一方だった。
　３回生もアッと言う間に過ぎ、４回生となった萠に、映画の話しが舞い込んだ。
「えっ！和泉式部ですか〜それは、すごいですね・・・」
「萠さんは、和泉式部のイメージを、どう持ってらっしゃいますか？」
「そうですね・・・歌人としても卓越した才能を持ってますが、やはり、情熱的な女性というイメージのほうが強いですね〜身を焦がすような熱い恋に自分のすべてをかけて燃える・・・そんな恋を繰り返していく和泉式部は、よく紫式部と比較されますが、わたしは、そこまで自分をかけられる式部が好きですね〜」
「知的な女性で、妖しく燃え上がる熱情の女性・・・萠さんに似てますか？」
「いえいえ、わたしなんか、比較になりませんよ〜」
「どうです・・・やってみませんか？」
　萠は自分に近しい感じを持っていた和泉式部を演じてみたいと思っていた。
　平安女性の純粋で妖しい情念をテーマとした作品は、邦画としては破格な制作費を投じることとなった。
　大物俳優たちが脇を固め、萠をバックアップする形となった。
　ひとり愛しい人を想い、身を捩って火照った身体を慰める和泉式部・・・
　その妖艶な雰囲気を見事に演じる萠に、さらなる期待が高まった。
　男女の絡みのシーンでは、単なるセックスシーンではなく、芸術的な美を感じさせる絵画的な要素を上手く演出して制作された。
　ここでも萠の妖艶な肉体は、妖しい美しさを披露した。
　官能的な表情と微妙な肢体の動きが、萠をより魅惑的な女性にしていた。
　単にスタイルの良さだけでなく、美しい悲哀感に満ちた表情に感嘆の息が漏れた。
（認めたくないけど・・・あの幼き日々の行為が、役に立ってる・・・）
　封切と同時に大きな反響を呼び、アカデミー賞の外国映画部門にノミネートされた。
　萠個人も主演女優賞にノミネートされ、日本中が萠ブームに沸いた。
　アカデミー賞の発表があり、惜しくも主演女優賞を逃した萠だが、見事な肢体と妖しげな東洋女性の表情に注目が集まり、ハリウッド映画からの出演依頼が何本もきていた。
　しかし、しばらくゆっくりしたいと思った萠は、１本のみ出演し静養に入った。
「自分が無いまま流されるような日々は、もう、沢山！」
　自分の人生は自分の意思で決めたいと、ただそれだけを願う萠だった。

　慌しい日々が過ぎ、大学生活も何とか卒業にこぎつけたが、皆が就職活動している時、忙しく活動していた萠は、何も決まってなかった。
　フリーの状態で活動していたので、今後、どうするか、迷っていた。
　しばらく会っていなかった神父を訪ね、相談しようと思った。
　久しぶりに教会の扉を開け、懺悔室に入り、隠し呼び鈴を鳴らした。
「萠・・・君の活躍は見聞きしていたよ〜元気そうで良かった・・・身体の調子はどうですか？もう・・・大丈夫？」
　神父は美しさに益々磨きのかかった大人の萠を格子越しに優しく見遣った。
「神父様・・・すべてはわたしの意思じゃなかったんです。周囲に押されて成り行きでそうなっただけで・・・これからどうしようかと・・・」
「萠、それは違いますよ。あなたを必要とする世の中の流れです。神の意思かもしれません・・・もっと、楽に考えませんか？もう・・・・・・」
「そうですね・・・必要以上に意識しすぎていたのかも知れませんね・・・」
　格子の木枠を外し、狭い空間で向き合った。
「今日で、最後にします。ここを訪れるのも・・・卒業しないと・・・」
「そうですね！それがいいでしょう〜」
「今まで自分の生い立ちを呪って生きてきました・・・。ご存知のような偏執的な性癖を創られた自分を憐れみながらも逆らえず、快楽の為のみの性行為を繰り返したわたしが・・・官能的な映画で評価され、なのに、どこか、いつも不安と不自然さと焦燥感に嘆いてきました。でも・・・本当に生まれ変わりたいと・・・人々を感動させる女優になりたい・・・しかし・・・性の悦びは捨てきれない・・・深い淫欲、情欲が身体の奥から噴き出す。神父様、どうすれば・・・どうすれば、この重い十字架から逃れられるのか？」
「そればかりは・・・わたしにも・・・わたしも前のふたりの神父同様、君の淫らな魅力にのめり込んでしまったのだから・・・わたしに出来ることは〜」
「そうね・・・このわたしの疼きを満足させることよね・・・あぁ〜〜狂おしい！」
　萠は着ている衣服を脱ぎ捨て大声をあげて走り出した。
　神父は萠の衣服を抱え、萠の後を追った。
　・・・・・・新しい生き方が、きっと、あるはず・・・

　それから・・・数ヵ月後、萠の姿はローマの舞台の上にあった。
　カソリックの聖地で神父たちを前に、萠の美しく妖しい姿態が舞っていた。
　眩しいスポットライトを浴びて、満場の喝采を受ける萠が・・・そこに、在った・・・