19．


「例えばね、わたしはレイさんを好きだ・。・・・愛していると云っても良いかな？・歳を取ると、素直に云う事は憚られる様になってしまうんだけどね。だからね、わたしはレイちゃんに何かあったら、身を挺してでも護ろうとするだろう。」
「・・・それは色んな人が云うわ！」わたしだって何回も言われた事があるもの！
「そうだろうね。でも、これは言葉じゃないんだ・。わたしの自分の中の思いでしかな
いんだ。だから、いま、レイちゃんが追い詰めて来なければ、云う筈は無い言葉だったんだ・・・。」
　わたしの言い方に、おじさんは不満そうな顔を隠さなかったわ。
「・・・ごめんなさい。そんな積もりじゃぁ無かったの・。」何処かが擦れ違ってしまった気がして、おじさんに機嫌を直して貰いたかったわ・。
　あんなにわたしを夢心地にしてくれたおじさんだもの・。
　もっとも、わたしはＳｅｘよりもおじさんの考え方をもっと知りたかったんだしぃ・・・、考え方の元になっている部分を説明して貰っているのかなぁ？・って、思い出していたわ。

「それにしてもなんで、あんな超天文学的数の生命の上にわたしが生きている。・そんな、・考えた事、無かったわよ！・・・何処からあんな事考え出したの？」
「歳を取ると、誰でも考え出してしまう事だろうと思うよ。・それこそ、プラトンだってソクラテスだって、・フロイトも、・ヒョッとしたらアインシュタインだって・・・。」「凄い天才ばっかりじゃない！」
　おじさんの言う事はもっともなんだけど・・・？
　わたしには何か、繋がりがおかしい気がしたの・。それが顔に出たみたい・。
「アア、・わたしはあんな天才には程遠いけれど、わたしでさえ考え付くんだから、数学的な凄さだけだって、かの天才が気付かない筈はなかったと思うんだよ。」
「そんな事じゃぁ無いわよ！・だけど、アインシュタインなら分かるけど、プラトンやソクラテスまで引っ張り出すの？・」プラトンやソクラテスの時代には、地球の生まれた時代とか、人類の誕生した時代の事なんて、全く分からなかったンじゃぁないの？
「チョット古い時代の人まで引っ張ってしまったかなぁ？・」
「古すぎるわよ！・せめて天動説が認められた後の人達でなけりゃぁ・。」今度は一本取って遣った気持ちになったわ。

「ふふふっ・・・。」
「なによっ！？・急に薄笑いなんかして・？」
「レイさんの本性が見えたからさ・。」
「本性・？」
「レイさん、お淑やかじゃないか。わたしの前では・！？・・・でも、そんな筈は無い。と、思っていたんだ。・でも勘違いしないでいいよ。『猫被って居たろう！』って云うつもりじゃぁ無いんだ。・でも、レイさんの自己主張癖が垣間見えた気がした。・それだけ、わたしに気を許してくれたのだと、嬉しくなったんだよ。」
　そんな事云われたって、薄ら笑いを止めないおじさんに、不安が積もってしまいます！

　そりゃぁ、わたしがそんなにお淑やかな女じゃぁないのは認めるわよ！・自己主張が強いのも・・。
　だって、お淑やかな女がレーサーレプリカなんかに乗る？
　二輪に乗ったって、精々クォーターのスクーターまでよ・。その先に乗る女が、絶対、お淑やかなわけ、ないじゃない！
　それに原宿の時みたいな、他の人の常識からは大きく外れた切り返しもすんですもの！
　わたしはそんな女なんだけど、おじさんが好きなのはお淑やかな女性だろうと思ったわ・。
　奥さんみたいな、幾ら芯の強さを持っていてもあのスムースで上品な身の粉しをする様な・。
　女は、好きな人には好かれ様とするのも、当然で自然なの！

　おじさんが撮った・・・箱根の写真・。
　あのカフェの人達が云った魅力は、わたしの恋心じゃぁないかと思うの・？
　撮られた時のわたしは失恋したばかりだったわ・。
　だから、人を恋うる気持ちが人一倍強かったと思うのよ。・心ならずも、ポッカリ空いてしまった心の隙間・・・。それを埋めてくれることを求めていたのかも知れないわ・。
　恋に恋していたの。・恋愛は素敵なことだってイメージ。
　失恋だって美しいものに変えようとしていた・・・。
　そんな事したって、なんの良い事も起こる筈無いんだけれど・、失ってしまった心を埋めてくれるものを求めてしまうのは、女の性でしょう・。
　だけど、失ったものを振り切ろうとしたり、取り戻そうとしたりする心・。
　どうしても引き吊られてしまうものなの・。

　・・・立ち直ろうと思ったら、失ってしまったものを追い続けても意味は無いのよ！
　それは、心の隙間を埋めようとするものなの・。
　いくら心の傷とは行っても、時間が経てば、自然治癒はしていくわ・。
　でも、それじゃぁ時間が掛かり過ぎて、わたしには耐えられなかったのよ。そんな長い時間は・・・。
　結局、無意識に新しい恋を追っていたんだわ！
　そして、おじさんは事も無げに・？・・・わたしの心を表に引きだした・・・？
　わたしは、わたしの心を癒してくれるおじさんの表情、仕草、言う事に素直になって、おじさんの狙い通りに、素のわたしを出してしまったんだわ！
　恋に恋をした。
　・・・それはお相手が特定されない悲しい恋・。
　その素性が現れた瞬間をおじさんは写したのよ！

　あの時は、写真を見た人達の反応が良く分からなかったんだけど、今は、理解出来るわ！
　だって、特定されないお相手、・・・あれを見る人は、誰でも受け止められるのよ！
　
　凄い！って、感心しちゃった・、いちいち納得せざるを得なかった話し方。
　何より一駒一駒に一切の隙無く、真摯な態度で望んでいた写真を撮るときの姿・。
　あの姿だけで傑作を感じさせたもの！
　確かにあの時点でおじさんを尊敬してたわ！
　おじさんがわたしを見た眼。・・・仕事柄観察力を鍛えられていたのかも知れないけど、わたしを分かってくれた眼だったわ。
　人は自分を分かってくれる人に惹かれるの・。
　わたしだって例に漏れることはないのよ。

　そのおじさんが薄笑いなのよ！
　裏にどんな思いがある事やら・・・。血の気が退いていく気さえするわ。

「本体ってどう云うこと？・わたし、おじさんには精一杯素直にしてると思うわよ！」
「だからそう云う事じゃぁ無いんだって！・・・チョット言い損なうと、女は直ぐに噛み付いて来るからなぁ・。」
「ァア〜ッ！・どうしてわたしが噛み付くのよぉ。・・・それに、『女は直ぐに・・・』って、どう云うこと？」ヤダッ、・わたしホントに噛み付いてるじゃない！・・・おじさんに『その他大勢』と一緒なんて・思われたくないなぁ・。
「だからぁ、意味が違うんだよぉ・。・・・わたしにはまだ分からないレイちゃんの事が沢山あるだろう？・・・って云うか？・レイちゃんだって、意識的に見せない様にしている処があるだろう？」
　ズキッとしたわ・。
「そりゃぁ、・好きな人の前では多少は猫被ってるわよ・。だから何だって云うのよ。女だからじゃないわよ。・人間だからよ！男の人だって同じでしょう？・好きな人の前では直ぐに意味も無い格好付けたがるし・・・。」
　そう云えば、おじさんだっておかしいトコあるわよ。
　ァア〜、こんな事云ってたら喧嘩になっちゃうぅ！・・・上手く纏めてくれないかなぁ。
「フッ、そうだな。・・・寂しかったんだよ。・レイさんが猫被っているんだって事は、まだまだ当たり前だもんなぁ・。
　確かにわたしだって格好を付けるしな！・まだまだ二人共、相手に気を許していないんだなぁ・。・・・ウチの奴が云った事は、こう云う事かぁ・！」
「奥さんが何か？」
「レイさんをガッカリさせるな。ってさ・。」
「今日わたしと・・・。って、云っちゃったのぉ？」
「・・・とっくに白状させられちゃってるよ。・出会った時からね。」
「何で『ガッカリさせ・・・・。』なんて・・・？」

「ウチの奴。・あれで、本当はみんなでワイワイやるのが好きなんだ。・・・昔なぁ、『結婚って何であるの？』って、聞かれたことがあったよ。『二人だけで生きて行く・。』その事に寂しさを感じていたみたいだったんだよ。・共同生活。・聞いた事あるかい？」
「奥さん、・そんなこと考えていた・の・・？」好きな人を分け合おうとする気持ちには、・理解は出来ても納得するのは難しかったわ。・・・取材したことがあるから、全然分からない事ではないけれど、実際にはどうなのか？わたしには納得できない部分の方が多かったの。
「 まぁ、そんな生活は、全員が納得していなければ出来ないことだから、実現は難しいだろう。って思っていたんだよ。・第一、世間様が許さないだろう？」
「世間様なんて、それこそ、どうでも良いことだわ。どうでも良いことだけど『好きな人は独占したい。』って、考える方が自然でしょう？」
「そこがわたしにも理解しきれない処なんだ。・わたしにだって独占欲は起こるし、レイちゃんやウチの奴が他の男と良い仲になったら、多分嫉妬する。・・・わたし自身が女房持ちで、レイさんを好きなのにね！」
「昔から『男性は同時に複数の女性を愛せる。』って、云われていたのも知っているわよ。・本当かどうかは、わたしには分からなかったけど・・・。」
「でもそれはフェアーじゃないだろう？」
「そうよっ！・女性だけが不当に拘束される感じだもの！」
「そうすると、わたしは女房にも『浮気の権利がある。』と云わなければならないんだよ・。・・・どんなに嫉妬しようともね。」
　おじさんは力強い口調で云ったけれど、それは自分自身に言い聞かせているかの様でした。おじさんも多分、嘘隠しの無い信条を理性的に行ってくれた様に感じたわ。
　だって、人間の心って、決して一つでは無いわ。時により状況により、無限の変化を見せますもの・。

　奥さんにもわたしにもフェアーであろうとする理性的なおじさんと、欲望だけが前面に押し出された利己的なおじさん・・・。そのどちらもおじさんの正直な気持ちなのよね。
　相反する複数の考え方でも一人の人の中に存在するんですもの！
　事の大小、正邪に関わらず、こんな事は良くあることだわ。
　レーサーレプリカのピーキーなエンジンを操って、何とかコントロールしようとする、野性的なわたしもわたしだけれど、おじさんの前で自分の本当の欲望を抑えてでも、おじさんに好かれようとするわたしもわたし自身・・・。
　どちらも本当にわたしなのよ！

　だから、理解出来ない訳じゃぁないわ！・・・でもねぇ、・納得できないのよ！
　おじさんと奥さんの築いてきた平和な家庭。・・・壊したくはないわ。・あの素敵な奥さん、・・・好きですもの・ｘ！
　それと、人が人を好きになったときの独占欲。・『わたしだけを見ていてっ！』・それだって自然な感情なんですもの！
　ぁああ〜、矛盾だらけだわぁ！

「もう止めてよ！・その笑い方・。」プンッとむくれた顔を意識して云ったの・。
「そんなに変な笑いをしているかぃ？」
「変にニタニタしてるわよぉ・！・・・嫌らしいわよぉ・。」
「そうかぁ？！」
「そうよぉ。・・・なんか、嫌らしい中年そのモノよ！・それじゃぁ。」
「いやぁ！・理性的な野生を見せてくれるレイさんが、意外に女性の顔を見せてくれたからねぇ・。」
　わたしにはそんな記憶はありません・。おじさんの云う、『意外な女の顔』って・・・？
「なぁに？・その『女の顔』って・・・？」ここは素直に聞くに限るわ！
「レイさんにも独占欲があるだろう？」
「無い！って云ったら嘘だわ。・・・でも、おじさんの奥さんって、素敵な人よね。」
「レイさんが、そう云うのは予想していたよ。・女房を誉めてくれるのもね。・・・レイさん、わたしを大切にしてくれるのと同じ位、ウチの奴と付き合いたいと思っているだろう？・・・これは理性的なレイさんの面。」
「そうよ・。で・？」
「もう一つ、コッチの顔が見えたから変な顔をしてしまったんだろうなぁ・？・・・好きな男を・、わたしの事だろうけれど・？・・・囲い込みたいとも思っている・。」
　スバッと来たわねぇ・！
「当然よ！そう云うサガも持っているもの！理性は、『そんな事したら、虻蜂取らずよっ！』って、云ってるわ！」
「人を愛する心はいつも理不尽な面も持っているからねぇ・。理屈だけで理解しようとすると、許し難い方向も含んでいるものなんだ。・・・だけど、愛の感情の中でなら全く矛盾は無い。・・・そうだろう？」
「そうよねぇ、・誰も傷付けない様に解決出来る道はないのかしら？」
「結婚制度が１対１に限られた事が一つの原因だからねぇ・。この制度が簡単に消え去るとは思えないしぃ・。」
「結婚って、？・・・夫と妻は一人で良いンじゃぁないの？」
「今は、そう思っている人が大部分だと思うよ！」
「・って事は、何処が駄目なの？」
「幾ら余力を持っていても、今の法律では、一人の男は一人の妻しか持てない。逆でもね。・でもこの世の中を見渡してご覧。・生活力に余裕のある人は沢山いるんだよ。男でも女でもね。」
「お金持ちの人達？・・・」
「一応ね！・色々な形態が存在するので、そうは限らないんだけど・。・・・現代ではそう云う人が一番多いだろうね・。・・・なんと云っても現代は経済力が生活力と同義となり易い。」

「結婚と経済力って・、関係無いとは思わないけど・・・？そんなに強い繋がりがあるの？」
「あるさぁ！・経済力があるって事は生活に余裕が持てることになる。『余裕』と云うと『余剰』と混同されることがあるけれど、『余裕』の無い生活は惨めなものだ。簡単な話で、人一人が生活するのに２０万必要だとすると、２０万しか稼げなければ、余裕が無い事になる。・だけど２００万も１０００万も稼ぎ出す人は、同じ程度の生活をするなら、１８０万も余裕を持っている事になる。こう云うのが生活の余裕だよ。」
「同じ生活をするなら、余った分は無駄じゃぁないの？」
「いいや！・余裕は必要なんだよ。・より良い道具を手にする事が出来るからね。ここで云う道具の中には、洋服などの衣、自分の身体を育てる食、生活のベースとなる住、なんかも入るんだ。この他にも教育や環境まで入れられるかも知れない？・余力によって、より良い生活が出来る様になるんだ。」
「良い生活なんて望まないわよ！・・・『愛』さえ確かなら・ね。」
「貧困を知らない内は、誰でもそう云うものなんだ。・『金の切れ目が縁の切れ目！』は、古今東西、変わりなく存在しているんだ。・その幅は非常に大きいけれどね。・『経済力』って云ったから、ストレートな性格のレイちゃんは反発したくなったんだろうけど、男と女の間と云う事を考慮すれば、これは『生活力』と言い換える事が出きると思うんだ。」
「生活力・？・・・言い換えたりすると、余計に混乱するンじゃない。」
「仕方ないよ！・『現代では・』って、大前提を付けなかったから・・・。」
「どういうこと・？」
「将来どう変わって行くかは、わたしでは分からない。・だけど、まだ人間が狩りで生活していた時代なら、狩りの上手い人が生活力のある人だった。・・また、戦乱の世には武闘に優れた人が生活力のある人だった。・・・そして経済の交流が発達して現代に至っている・。・・・だから現代では経済力が生活力なんだ・。」
「そうなのかなぁ・？」おじさんの言う事は、わたしには理解は出来るものゝ、納得は出来なかったの。・・・だから、おじさんが次の口を開く前に続けたわ。
「だって、そのまま受け入れたら、人を愛したり、恋をするのは、頂点にいる人にしか許されなくなってしまうじゃない！」
「最上を求める人達にはそうさ！・・・だけど、全ての人がみんな最上を望んでいる訳ではないだろう？・・・口ではナンバーワンを目指すことは云うけれど、・・・。」

「フ〜ン！・・・でも、そんな事どうでも良いや！・おじさんが無一文って訳でもないし・、わたしの生活費はちゃんと自分自身で稼いでいるモノ！」
「もし、わたしが無一文だったらどうする？」
「・！・・・冗談は止めといてね。・おじさんの言い方で、背筋が寒くなってるんだから・・・。」茶化すような口調になっちゃったわ！
　だって、自分が恋した相手がホームレスみたいだったら・。・・そんなの考えたくもないわ！・・・だって、考えられない事なのよ！
　ホームレスの人達を眼にした事位あるわ。・何日もお風呂にも入らないで体臭をプンプンさせて・、汚れるだけ汚れた髪をしていたわ。汚い袋に家財道具みたいなモノを詰め込んで街の片隅で小さくなっていたわ。・・・あの姿を見ただけで、百年の恋も冷めてしまう！・恋人に清潔感は必須だもの！

「どうしたの？・・・何か、大きな失敗でもしちゃったの？」
「むかしね・。」
「そう・。・・・・・失敗は誰でもするわ。・生きているんだし、神様じゃぁ無いんだもの。」
「でもね、・プロは神業を要求されるモノなんだよ・。・・・遣ったことのない仕事でもね。」
　おじさんの眼が遠くを見ている気がしたわ。・何か思いを込めたことがあるみたい。

「わたし達には関係無いことでしょう？・それより、いつか、おじさんの家に行っても良い？・・・奥さんとも色々お話ししたいわ！」
「家の奴と・、なんだぃ？・わたしの悪口でも云い合うつもり？」
「分かっているんでしょう？・そんな事はあり得ないって、奥さんはおじさんの可能性をまだ、諦めてはいないのよ。それに、わたしは奥さんにも大きな魅力を感じているの！」
「レイさんも家の奴のファンかぁ！」
「なによぉ、・・・奥さんなんだから良いじゃない！」男の人達ってみんなそう！
「藪から棒に云い出したなぁ！・・・片や女房、片や恋人だぞ！・昔から敵同士と相場が決まっている。・わたしをどうしようと云うんだい？」
「おじさんには関係無いわ！・奥さんとは趣味が似ているの。しかも、わたしのズゥっと先を奥さんは行っているわ！・おじさんを、同じ様に好きになった者同士でもあるんですもの！・お話し、聞きたくなるのは当然でしょう？別に悪口なんて言う必要ないし、同好の士ってだけじゃないの！同じ人を好きになるなんて、好み思考が似ているって事だもの・。合いたい人、話をしたい人を制限されなければならない様な約束は交わしていないもの！ 」
　おじさんが茶目っ気のある顔をしていたから、本当に嫌がっていたり、困惑していたりするンじゃぁ無いことは良く分かったわ。
　ただ、あの時奥さんが云った、『『愛は奪うのではなく、与える物。』・レイさんなら遠からず正しく理解できる筈よ。・わたくしはそこに期待しています。』（＃１１の103
行目）の、真意だって確かめたいモノ。
「もう良いじゃない！・止めたって行くわよ。」
　おじさんがどう云う反応をするか？チャンとおじさんの眼の奥まで覗いて遣ったわ。
　ジィッと覗いたら、おじさんも覗き返してくるの・。
　眼の奥の覗き合い・・・。睨めっこになっちゃったわ。

　こう云う時のおじさんて表情が変わらないのよねぇ。負けて上げる気もなかったんだけど吹き出しちゃったのよ。
　だって、わたし達素っ裸！・・・いい大人がこんな格好で睨めっこなんてしてたのよ。
「寒くなっちゃった・。」
「そうだね・。熱いシャワーでも浴びるか！」云いながらおじさんは、シャワー室の方に行ったの。そしてシャワーの音がし始めると、直ぐに戻ってきました。
「湯船は無いんだ！・シャワー丈だけど、少しは暖まれると思うよ・。