２１

「良く云われる事なんだけど「生きている女性を自然に捉えろ。」今は、多くのカメラマンさんがそう云うわ！・・・あの人も多分・、それを求めているの。」嬉しそうな言い方でした。
「でも自然な姿って・、決して心の隙間が露呈した瞬間だとは思えないんですけど・。」
「人はね、いつも心に鎧を着せているの。・・・自分を失わない為だったり、自分以外の人が心の中に踏み込んで来ないようにね。自己保身の本能よね。・・・これは精神の安定の為には大切な事なのよ。・だけど、それは言い方を変えると、自分じゃぁない自分を生きること・なんじゃぁないかなぁ・・・？」
「そんな風には考えた事、ありませんでした。」自分以外の人には、自分をより良く見せたいのが当然でしょ！・・・その為にお洒落もするし、知識も増やしているわ。
「上辺の建前を写すのか？内面の精神的な部分を写したいのかよね？」
　奥さんの言い方に、隠された物を感じました・。
「そんな心の隙間ばかり捉えられたら、わたし達はなんの為に習い事をしたり勉強したり、・所作を直したりしているのか、分からなくなっちゃうじゃないですか！・生きているからこそ、美しく、楽しく生きたくて、みなさん勉強為さるのでしょう？習い事とか・？・・・女心は美しくだけ捉えて欲しいわ。」言葉の後ろに何かあるのか？・そんな感じがしたわたしは、反発したくなりました。

「そうね、それはどんな人でも同じだと思うわね。」
　簡単に同調して下さるって？どんな裏があったのかしら？
「そうですよね！・・・確かに、女性にだって嫌らしいトコロもあります。だけど、そう云うトコロは、表に出さないのが礼儀？・エチケットじゃぁないですか？・。おしさんはそう云う女心を押さえて撮っている。・・・晴れの処だけ撮ろうとしている気がします。だから、モータードライブを着けていても連続して撮る事は、少ないのでしょう？・１枚ずつのカット全てが良い瞬間であって欲しい。１／１００秒、１／１０００秒の差に拘ってシャッターしたいと思ったら、毎秒１０枚位の一定速度で連続撮りしても捉え切れないんですって！・他のカメラマンさんが教えてくれました。」雑誌の編集ですから、カメラマンさん達の知り合いは少なくありませんもの。
「そう云うカメラ任せの撮り方だと『女性を撮ってもお人形さんと変わらない。』・そう云う言い方をする人達がいますわね？」
　やっぱりおじさんの奥さん。・おじさんの仕事を良く理解為さっているのねぇ・。
「レンズの前に立った人の心が分かったら、絶対にそんな撮り方は出来ない筈じゃないですか！」
「・レイさんは撮られたご自分をお人形だと思った事、ありました？・少なくても女性が写真を撮られようとするなら美しい姿を残したいと思うものよ。・ある時から女性を撮ると云うより、お・ん・な・のカタチを撮るようになりましたよね・。あの人は、『女性』を撮りたいのよ。・何処まで出来るのか？憧れだけかも知れないけれど・・・。」
「おじさんのそんな思いに『男性』を感じさせられるから、わた・・、女性が惹かれてしまうんですね！」
「フフッ、・自分の美しさを考えた事のある女性なら、そうね・・？」
「そうですよね！・おじさんの心に凄く男性を感じさせられますね。・・・見掛けはあんまりパッとしないのに・。ゥフッ！」
　おじさんの色々な表情が脳裏を駆け抜けていきました・。
「おじさん、おじさんって・、・・・いつもおじさんって、・呼んでいるの？」
「何か変ですか？・」
「レイさんも、あの人を好きなんでしょ？・愛しているんでしょう？・」
「・・・そんなハッキリ・！？！」
　恥ずかしかったわ。わたしは不倫しているのよ。その人の奥さんに『愛しているでしょう？』なんて！・穴があったら入りたい気分・・・。
「そうなんでしょ？」
「・・・ぇえ・。」
「良いのよ。・分かっているんだから・。でもそうすると、おじさんって云うのは恋人らしくないんじゃぁない？」
　奥さんから『恋人』なんて言葉が出て来てビックリです。
　だってその・わたしの恋人って、奥さんの御主人のことですよ！
「・・・・・。」言葉が浮かんでさえ来ません。頭の中を真っ白にされてしまいました！
「・・・で、一緒になりたい？」
「・・・・・。」わたし・なんて答えれば良いの？・おじさんの奥さんがこんな事を言うなんて！・『わたしから奪って行きなさい・』なんて云う筈はありません。・夫婦って、もっとベッタリしたものだと思うわ！・わたしの伴侶がおじさんなら、今、奥さんが云っている様な言い方は、わたしには絶対に出来ません。
　
「・・・ねぇ・レイさん、ウチの人と一緒に居たいんでしょう？・」
「えっ！」息が止まる気がしました。
　途中から奥さんの眼が真剣になりました・。
　・・・聞いてきた事に隠された意図がある気がしたんです。
　そりゃぁ、おじさんを『愛している。』とは言い切れるし、実際、今のわたしからおじさんの存在が無くなったら、直ぐにも狂いそうだわ！・・・頭の中で、奥さんがどうしたいのか？必死で考えました。・それこそ、全ての可能性が走馬燈の様になって、凄い勢いで回っているんです！
　それでもこの後の言葉は、想像出来ませんでした。

「ここで一緒に住まない？」
　頭の中で爆弾が爆発したみたいでした。・・・あり得ない！と思える言葉です。
「・・・奥さんって、本当に跳んでるんですね！」思わず口を突いた言葉でした。
　奥さんの考え方は、わたしの常識とは違うところがある。・とは、分かってはいたのですが、奥さんの考え方はチョット特殊だと思いますし、一般的な考え方とは大きな隔たりがあります。
　雑誌の編集なんてやっているわたしは、一応の常識は持っているつもりです。
　一人の男の人を愛する二人の女性が同居・・・？普通に考えて、そんな事が出来る筈ありません！
　奥さんとおじさんが仲睦まじくしている処なんて見てしまったら、わたしは嫉妬の炎に焼かれる思いになるでしょう。・それを日常的に見なければならないなんて！

　チョット長く、二人共無言で間が空きました。
「・・・前に聞いたわよね？・『愛ってなんだと思う？』って・・・。」奥さんの眼が真剣なんです。
「まだまだ、本当のお答えなんて出来ません。・・・『人は何の為に生きるのか？』と、同意気だと思いますし、人間が人間として存在した頃からの疑問の一つだと思います。・・・長い歴史の中でも多くの人が考えてきたでしょうし、これからも多くの人達が考えるでしょう。永遠の命題の一つだと思いますもの。・・・ただ、わたしにも幾つか分かったことがあります。」
「どんな事？」
「自分の失敗を顧みて、・拙い知識でしかないんですけど、記憶の中の色々な哲学を思い返したら・『愛って、与える丈なんじゃぁないか？』って思うんです・。『愛したからって、得られる物は何も無い。』って事も・。」わたしは『愛』に付いてなんて、そんなに深く考えた事はなかったけど、『愛』は一方通行だって事ぐらいは分かったわ。
「それだけ分かっていれば充分だわ！・わたし達の共通するところは、あの人を愛していること・。才能を信じているの・。フィンセントを信じてその生涯を援助し続けたテオドールのファン・ゴッホ兄弟。・ギリシャ神話のエウリュウディケを冥府にまで追って行ったオルフェウス。彼等は女性ではないけれど、『愛』に関しては、とっても大切な事を示していると思うわ。」
「弟のテオがいなかったら、今の世界中が何十億円もの財貨を払ってまでも取り合いするゴッホの傑作は無いんですものね。・『与えるだけの愛』の甲斐があったって事ですね。・オルフェウスだって、愛する人を想うあまり冥府にまで追うなんて・、わたしにはとっても出来る事じゃぁないですわ。」
　今取り引きされる金額の一万分の一でもゴッホの手元にあったら、ヴィンセントは、弟のテオドール夫妻は、もう少し良い生活が出来たのではないかしら？
「そうでしょう。わたくしだって冥府にまで行く方法は分からないわ！・きっと、神様の血が何分の１かでも、入っていた人だから分かったんでしょうね。だけど、『愛』への心構えだけは伝わって来るでしょう？・・・わたくしも、『愛』とは、与えて与えて、与え尽くすだけのもの。・・・人の感覚では見返りを期待しない方が難しいのですけど、見返りをまるで期待もしないで与えるだけ・・・。・・・・『愛』って、そんなモノだと教えてくれている様に思えるの。」
「わたしもそう思います！その人がそこに居てくれるだけで良い・・・。」
「レイさんなら、同じ考えを持っていると思っていたわ。・そこでね、わたくしはあの人が一番求めるモノを与えることが出来なくなってしまったの。・そう・・・。」
「それを引き受けて・・・・。って、奥様・、仰いましたよね。」
「活力を引き出す引き金なのかしら？・・・創造のための・。・・・セックスが出来ない時のあの人は、とっても見ていられないの。」
　創造の意欲が湧かない。・・・そう云う事かしら？
　わたしはまだ、そんなおじさんは見た事がありません。
「どうなるんですか？」
「ゥフフ、あの人の見た眼は変わらないわよ！・・・ただ、作品の奥行きが無くなるの。・当然気に入らないから、納品日を過ぎても納品しないで、アッチコッチの事務所から催促が入って来るんですもの・。」
「それで納品は出来たのですか？」
「・作品はどうしても感覚的なものだから。・・・いろいろな感覚の何処かが鈍ってしまうのかも知れないわねぇ。・そう云うのは、当の本人にしか分からない事なのでしょうけど・。」
　奥さんの口振りで、納品できなかった仕事もあっただろう事は容易に想像出来ました。

　そんな！・・・、写真で作品を創れないおじさんなんて・・・。
　全てが写真の為に生きている様なおじさんなのに・・・。
　人はみんな苦難の時期があるって云うけれど、おじさんにもそんな時があったのかしら？
　無いとも思えないわ。・それも多分、何度もあったンじゃぁないかしら？

「奥さんは前に『おじさんが作品を作るのには女性が必要。』って、仰いましたよね？　・・・どんな作品を作る時もなのですか？」
「そうねぇ・。・・・云ったわね・。」
「そうですよ！・それでわたしにそっちを引き受けて・・・。って・・・。」
「男と女はね・、片方だけでは決められた能力以上の能力は出せないの。・・・生命の継続って云うだけではなくて、精神的な活動にも大きな影響を持っているのよ。・・・作品造りなんて云うのは、その中でも、もっとも精神活動の大きな物なの。・・・ここまでは分かるでしょう？」
「ええ・。」
「その精神的な安定に寄与できるのは、精神的なモノ自身と幾つかのホルモンだと云われているの。・これが常識よね？・・・でもね、もっと必要なモノがあり得ると思うのよ！・・・特にそれを必要とする人もいるの・・・。」
「どう云う事ですか？」奥さんが言いたい事は『セックスを必要とする。』でしょう。
　でも、セックスの結果を受け取るのは、女性の側だけじゃない？
「やっぱり分かり難いわねぇ。・・・わたしが思うには、セックスで受け取るのは『女性に子種』だけじゃぁないと思うのよ。・まだ、学術的になんの冠のと云うほどじゃぁ無いけれど、男性の側だって受け取っているモノがあると思うのよ・。噴き入れる量に比べれば、それは僅かなものでしかない筈だけれど、絶対に何かがある筈なのよ！」
「どうして、そんな事をお考えなのですか？」直ぐに奥さんに聞き返してしまいました。だってそんな事は、聞いた事も無ければ、考えた事も無かったんですもの！
　これは聞くのが一番です。『聞くは一時の恥聞かぬは一生の・・・。』ですから・。
「奥さんのその考え方は、一体何処から出て来たのですか？」

「世の中の仕組みは、どんな事でもバランスの上に成り立っているものなのよ。」
「それは分かっているつもりですけど・・・？」
「そう・、・セックスでだって、受け取るのが女性の側だけだとは思えないの！・一方が与えるだけ、もう一方が受け取るだけと云うのは、一方的過ぎてとてもバランスが取れるとは思えないわ。それでは自然の原理に反するような気がするのよ！」
「それは・・・、確かに一方的なことは分かりますけど、有史以前の古来からの、常識じゃぁ無いんですか？・そんな簡単に変わるモノでもない様に思いますけど・・・。」
「常識って云うより、そう云う構造だと信じられて来たの・・・。生き物がね。・・・レイさん、あなた、セックスの後の男の人の・アレ、乾くのが早過ぎると思わない？・・濡れたものがあんなに簡単に乾くものなら、お洗濯がどんなに楽になることか！・・・わたしは吸収している分があるからだと思うのよ。」
　奥さんの言い方は、既に確信を持っている言い方でした。・・・でも、どんな学会もそんな事認めていませんし、多分これからも・・・・。第一、子種を送り出そうとするアレが何かを吸収する！？・・・考え難いわぁ！
　それなのに奥さんは、まるで既成事実を話してでもいるように話したのです。
「ねぇ、卵子と精子の大きさの違いを考えてご覧なさい。・あまりにも大きな差があるのは周知の事実だわ！・・・量だって同じだと思うのよ！・精子の量の千分の一にも満たない量かも知れないけど」
　いくら既成事実の様に話されたと云っても、直ぐには信じられません！
　そうでしょう？・・・わたしだって生化学の一般教養分位は知っています。しかし、♀が分泌したモノを♂が吸収する行為は、どんな教授からも、一言も語られた事は無かったと思います。

「まだ半信半疑？・それとも全然理解出来ない？・・・当然よ！わたくし丈しか、こんな事云っていないですもの！・しかも、わたくしは科学の完全な門外漢！・いきなり『信じ為さい！』と云うのは無理よね。・でも、わたくしはそれがあるから男と女が一緒に居られるのだと思っているのよ。」
「そうなんですかぁ・。」
「いいの！・無理に信じようとはしなくても。・あの人を見続けていれば、アナタもそう思えるようになるわ。」
「そうなんでしょうか？」
「そうよ！・これから長いお付き合いをしていけば、一週間や十日、あの人が女性から遠ざからなければならない時を見る事になるでしょう。・そう云う時のあの人の作品が、そんな風になるか？あの人の見た眼は余り変化は無いんですけど、内面的なモノが劇的に変わるとしか考えられないの！・エネルギーが切れるって云うか・・・。」
「そんなに違うんですか？・・・それで？」
「そうね、・セックスがあると、また元に戻るのよ。エネルギーが補給された様に・。」
「・・・・・。」
「あの人のイマジネーションは、女性が元になっている事は間違いがないわ・。・風景を撮っていても、商品を撮っていても・。若い頃、ギリシャ彫刻に心酔したと云ってたの。特にアテナ像やビーナスね。あの人の頭の中にある理想の女性は、神格化されてモノなの。」
「でも現実には、奥さんと一緒になりましたし、現実の女性を素晴らしい描写で見せてくれるじゃぁないですか！・おじさんの撮る女性ってみんな輝いていますよ。」
「それは巧く行った写真しか見せていないからよ。あの人の写真は綱渡りなの。・ホンのチョット感覚がズレると、陳腐化しちゃうの！」

　・・・わたしの一番気に入った写真は、わたしの頭の斜め上に昇る朝日がある写真でした。・確かに失敗する危険の多い撮り方です。「綱渡り」と云われましたが、本当に難しい撮り方です。
　それは、太陽の光芒の中からわたしが出て来る様なイメージに仕上げられていて、写真のわたしは光の使徒の様な感じがするんです。
　こういう画造りは、おじさんの写真には珍しくないのですが、普通のカメラマンは、そうそうこんな冒険はしてはくれません。・カメラマンは請負仕事として写真を撮る訳ですから、絶対に失敗は許されません。それ承知しているので、冒険なんてするのは、ポートフォリオの中だけなんです。

　そのセオリーをおじさんは良く破るのでしょう・？思い返せば、あのカフェで感激された写真群は大逆光！あのシーンでは、わたしの肌色を出すための弱くストロボが使われます・・・。普段は忘れられていますが、ストロボの瞬間光は極めてコントロールの難しいモノなんです。そう云う撮影状況で、一歩間違えると簡単に、眠いだけの写真になりやすい構想なんです。
　ホンの５０センチ、わたしとおじさんの距離が変わったら、あの雰囲気は成り立ちません！
　あの写真に発注者がいたら、どうなるでしょう？
　最近の編集者は写真の何が難しいのか、良く分かっていません。相反する要求を平気で出します。そして、強い訴求力と安定的な提供を求めてしまいます。・・・カメラマンさん達はそれで頭を抱えちゃうんですよね。
　一番大事なのは、失敗の無い注文粉し・・・。
　なんか、最近の広告や雑誌に力が無い原因が分かって来た様な気になって来ました。

「おじさんを支えるのは大変なんですねぇ・。」おじさんの仕事に浮き沈みが激しいのでしょう。と感じ、自然の気持ちが奥さんに向かわせました。
「あの人をどうにかなんて、しようが無いわ！・ただ自由にさせて上げるだけ・・・。」
「わたしみたいな女が増えても・？」
「・・・そうね、・そう云う事もあり得るわ。」
「それでも平気なんですか？」
「仕方無い。・と思うようにしているわ。・・・わたしがダメなんですもの。」
「セックスの相手が出来ないだけで・？・・・どうして？・男女の関わりって、セックスだけじゃぁないでしょう？」
「他の人だったらね。・あの人は意志だけではどうにもならないの。意志を離れた感覚器官なんだから・。・・・だからって、わたしがぞんざいに扱われる事は絶対に無いのよ。・あなたもね。・・・あの人はそう云う人なの・。」
「そんなに次々と・？わたしだったら、そんな男性とは一緒にいられません！・わたしだけを見詰めていて欲しいもの！」
「だけれど、その一人はあなた自身なのよ。」
「そうでした。・済みません。・・・奥さんは寛容なんですね。」
「ねぇ、源氏物語・、読んだこと・あります？」　
「ええ・、一応文学部出ですからね。」
「わたくしね、源氏の君が好きなの。・あんな浮気性な人がね。」
「多くの人に知られた名作のヒーローで、女心を分かってくれるからでしょう？」
「あの人もそうなのよ。・わたしに取っては素晴らしい映像を創り出すヒーローなの！女心に関しては、あなたも良くご存知でしょう？・・・だから、あの映像を作り続けて欲しいの！」
　ズゥっと奥さんの表情が真剣なんです。・その表情、口調から奥さんが真剣に考えて、おじさんとのセックスを考えている事が分かります。
「昔は良かったわぁ・。わたしも若かったし、あの人の望みはいつだって叶えて上げられたわ・。・・・今は身体が付いて来ないの。」
「奥さんまだまだお若いですよ！」
「見掛けだけね。・中身はもう駄目！・更年期を過ぎたら、あちこち柔軟性が無くなって、アソコなんて硬化して、直ぐにひび割れるゴムなのよ。・あの人と繋がると、もう痛いばっかりなの・。」
「そんなになるんですか！？」
「個人差はあるらしいけど・。多かれ少なかれね・・・。」
「でも、そっちの欲求は・、無くなっちゃうんですか？」
「ゥフフッ、・・・ちゃんと処理してるわ。」
「だったらおじさんと・・・」
「それは駄目！・あの人のを受け入れる度にアソコが伸ばされるでしょう・。直ぐ痛くなっちゃうのよ・。」
「そんなに痛いんですか！・？」この奥さんなら、多少痛い位だったらおじさんを受け入れているはずよねぇ・・・。
「『そうだった。』と云った方が良いのかしら・？・・・わたしだけでは受けきれない様な精力的な人が好きだったのだから・・・、受け取り切れない分が他の女性に向かってしまっても、それは仕方が無いわよねぇ・？。」
　奥さんは話しながら、少し迷った感じがしました。『受け切れない・・・。』って・、それは・、おじさんが我慢しなければならないトコじゃぁないのかしら・？
　・何となくですが、男の人が口にする事のある「浮気は男の甲斐性・」なんて言葉が思い出されました・。が、奥さんが続けました。
「・・・そうなのよねぇ・、わたしだけでは受けきれないのですもの・。・・・・あの人にセックスは絶対に必要なの・・・。」
　一瞬だけ口が止まると、ここで思い切った様に明るい顔に変わって、元気な声で話しを続けました。
「だから・、レイさんはわたしの事をそんなに気にする事は無いのよ！・レイさんも、あの人を応援したい仲間なのでしょう？」静かな、だけど何処か楽しそうな口調でした。