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「奥さんはあのおじさんと長く一緒にいらしたんですよ。・・・敏感な神経はおじさんに磨かれていらっしゃるんでしょう？・先ほどの繊細な触れ方で分かりましたわ！」おじさんのセックスを知っているわたしですから言えた言葉でした・・・。
「レイさんはぁ、色々にご経験・豊富なんでしょうね？・・・」って、・・・こんな恥ずかしそうな云い方をされては、・それにこちらの方が恥ずかしくなってしまいます・。
「そんなぁ・。恥ずかしがる事ではないとも思えるのですけど・・・。おじさんに一杯愛されたのでしょう？・そして、女性としてのクォリティーを高められた・・。」これが精一杯の抵抗でした。だって、女性が敏感になるには、それだけ繊細な男性とお付き合いしなければ無理。・おじさんの繊細さは、わたし自身が良く知っているもの！
「でもねぇ・、わたくしだってあの人だけじゃぁないのよ・。」
「それで良いんですよ！・男性だけが女性にあの相性を求めて来るなんて間違ってます！・今迄の考え方では、女性に選択の余地が無い事になっちゃうじゃぁないですか！・・・女性だけが何も分からないまま、男性に引っ張られてしまうのに甘んじなければならないとしたら、こんなアンフェアーは無いじゃないですか！」途中から声が荒くなってしまいました。
　どうもわたしは、男尊女卑に当たると熱くなってしまう傾向があります・。

「・・・・ンン・・？・そうかも知れないわね・。」
　半分だけ肯定した云い方・。奥さん、納得はしていないのね？
　奥さんの反対側のバストを空いていた手で、ホンの微妙な分だけ、支え上げました。
「ァッ！」
　奥さんの反応は即座です！
「ホラッ！・おじさんと長年連れ添ったからこその、鋭さをお持ちになってますよ。」
　ホンのチョット、軽く支えただけなのに・、敏感な反応する奥さんに嫉妬さえ感じます。
　おじさんとの愛し合いが、どんなに濃密だったか。を暗示しているような気がするんですもの！
「それでも・・、ウチの人のお相手をしては上げられないのよ！」
「そんなモノですよ。・そんな考え方を古風と持て囃しますけれど『時代錯誤だぁ』と云いたいですわ。奥さんって、すっごく可愛いですわよ！」
　お話しはもう良いの・。やっぱりこの奥さん素敵！
　奥さんの気持が直接伝わって来ているんですもの・・・。素直な性格でなければここまでは感じられないわ。
　多分わたしの気持ちだって、奥さんは感じ取ってくれている・。
　肌と肌を合わせるって、こんな事があるのよ！
　心と心が直接繋がった気がするの。どうって、言い表すのは難しいんだけど・・・。
　おじさんの時もそうだったわ。

　言葉に出来ない気持が伝わる・、心と心の繋がり。・こんな素敵なことを起こすことが出来るのがセックスよ・！
　良いセックスを重ねた人には分かる筈よね・？
　でも、この国では少ないんですって・・・。チョット跳んでる人ででもなければ、感情を抑えるのが美徳とされてきた歴史があるでしょう・。
　気持ちを表すのが世界的にも不得意な国民のひとつですもの！
　心に壁を作っちゃう人が多いのよね・・・。一番純粋な筈のセックスの時でさえ・。

　奥さんとおじさんとは純粋にお互いを求めあったのねぇ・・・。お互いにもっと近付きたくて，一つになりたくて、・そんなセックスを重ねてきたんだって分かるの・。伝わって来るの・。
　奥さんと目が合うだけで、全てが分かるわ・。
　奥さんのバストを支えたわたしの手に思いが籠もる。・わたしの気持ちが奥さんに伝わるように・・・。
　その応えでしょう？・わたしの手にも暖かみが返って来た・。
　嬉しくなって、その手を滑らせたわ。もっと真下へ・。わたしの手を包み込む様な手応えと新たな暖かみ・・・。
　スムーズに滑らせられるのは、奥さんの肌の手入れが行き届いているから・。
　そして、わたしも余計な力を加えていない・・・。
　愛撫も相互通信に似ているの・。
　違いは言葉ではなく、感覚だって云うこと・・・。

　わたしの心が奥さんに伝わっている・。
　自分の感情がダイレクトに伝わるのがどんなに嬉しいか・。
　おじさんともこれがあった・、これがセックスの醍醐味だわ！
　奥さんの両手がわたしを滑って廻る。背を反らせておくさんの顔を見たの。
　奥さんだって同じ様にしてわたしを見るの・・・。
　眼差しに優しさしか無いの！・・・仕草、手の触れ方、触れ合った肌の感触。全てが優しさだけを示していたの。

　わたしも静かに右手を下ろして行ったわ・。
　絶対に強い力が掛からないように注意して、奥さんのボディーサイドをゆっくりと滑り降ろして、腰骨を軽く握る様にしてから斜め後ろへ滑らせて、ヒップを撫で下ろしたの。
　ここまで行ったら必然として、ヒップを支え上げたの！
　一瞬、奥さんの顎が突き出された感じはしたけれど、それは突き出したと云うには余りに小さな動きで、しかも直ぐに元に戻されてしまった・・・？？

　奥さん、柔らかさの中にもしっかりした弾力を感じたの。・もう５０に近いお歳なんですよ。
　お尻だって垂れ掛かって、柔らかくても弾力なんて、こんなに残っている筈無いと思ったの・。わたしの思ったことは、普通の女性なら大抵、当てはまるはずなのよ。
　おじさんに愛され続けるために、随分努力されたのねぇ・・・。
「ァァ・！」
　奥さんがまた呻いてくれました・。・・・わたしの刺激に、鋭く反応してくださる。

　眉間に皺が寄り、力の入り方で奥さんの受け取った愉悦の大きさが分かります。
　これだってわたしには嬉しいことなの。わたしが発した信号を、確かに受け取ってくれていることの証ですもの。
　わたしの刺激の仕方が間違ってはいないことにもなりますし、どのポイントが寄り嬉しいのかも、細かい仕草を見付けることで分かりますもの。　
　たぶん、奥さんは反応を隠そうとしたら隠せる方でしょう。こんな、明からさまに反応を示すことは、少ないはずです。
　セックスは殆どおじさんらしいのですけれど、奥さんの身振り仕草は幼少時からの環境を示している感じがしました。
　きっと上品さを大事為されたご家庭で、大事に大事に育てられたのだろうと思えます。
　話し方の山手言葉もセレブの環境に長かったことを感じさせます。
　上品な生活姿勢を造るために、幼少時から感情の秘匿を身に付けられて来た筈ですもの。
　奥さんに反応を隠されたら、わたし位の経験では、奥さんの秘匿を見抜くのは難しいでしょうと思います・？
　そんな奥さんが、わたしの心に応えてくれている・。

　おじさんが何故、この奥さんを選んだのかがハッキリ分かります。
　他人の心の機微を感じ取れるんですね。
　わたしだって、奥さんのわたしの心を感じ取る力に参ってしまいそうです・。
　まだ二回目なんですよ、奥さんとお会いするのは・・・。
　たったの２回お会いしただけ・・・、それなのに、・こんなに信頼をおきたくなる様な方は殆どおりません。
　
　もう長い間、会ってもいない母を思い出しました・。
　・仲が良かったとはとっても云えません。・母がする事は何故か感に障ったのです・。
　そして、必要以上の反発・。お決まりのパターンだったわ！
　始まりは大した事じゃぁ無かったのも分かってます。・でも、一度躓くと後を引くのよね。・反発が反発を呼んで、エスカレートしちゃったのよ。
　今は、アレはなんだったんだろう？って思うんだけど、ばつが悪くって母には電話だって掛けられなかった・。・・・母はわたしに事が心配なだけだったのよね・。
　当時のわたしはそんな事も理解しきれなかった・・・。
　近頃は、母の思いが分かって来たのよ。そうしたら、わたしの反発したことが何故だか、反発のための反発にしか思えなくなってきたの・。
　そんな反発はなんの意味も無いじゃない！
　良く口にされる「親の心子知らず」・・・。言葉としては早くから認識していたけれど、ただの言葉から実感になったのはそう古いことではないの・。

　そんな母への負い目もあったのかしら・。この奥さんの口調が上品だった事が、わたしの心にホンの少しの謙譲の気持ちを起こさせたの。・そうなると色々考えなければならなくなるし、冷静に考えられれば、云う事が納得出来てしまうの。

「ね？・・・上・行かない？」唐突でした。
「え？・・・」寝室って事？・・・おじさんの寝室も見てみたくなったわ。
　わたしの返事なんか待っていなかったんです。
　スッキリした中の所々にアールデコを感じさせるこの応接間・・・。いい雰囲気だとも思ったんだけど・・・。
　後ろ姿を見て声が出せませんでした・。
　遠ざかっていく全裸の後ろ姿・・・、それだけ蛍光で光っている様にさえ感じたんです！
　神々しい感じなんです。
　フラァっと後に続いていました・。応接間を出て玄関の脇の螺旋階段を上り始めた奥さんの半後ろ顔が微笑んだよう・・・？
　・・・またボヤァっと光った気がしました・。
　半周昇ってこちらに向かった奥さんは、確かに微笑んでいました・。
　知る限りほぼ完璧なプロポーションの奥さん。
　肌の白さが現実を超えているようにさえ感じます・。
　・・・ヘラ・・・・・女神のイメージが被りました・。
「いらっしゃい・。」
　わたしも全裸になっているのに・、奥さんの肢体に見取れていました・。
　いま見た気がするイメージ・・・・？
「ヘラ・・・。」やっとの事で口から出した声は、余りに小さかったのです・。
「いらっしゃい！」穏やかな云い方ですが、確かに命令でした・。
　いま見た気がするイメージ・、ヘラだったら旦那様の浮気相手は殺してしまうんだわ！
　背筋を寒気が走ります。

　でも逆らえないんです。夢遊病者の様な足取りで後を追います・・・。
　一歩。また一歩、螺旋階段を昇ります・・・。
　頭の中がカオスに包まれていました。思考なんて何処かに行ってしまいました・。
　ただ多くのイメージが洗われては入れ替わるんです。いま見ているイメージに次のイメージがフェードインして来るんです・・。それが留まってくれないんです・。

　わたしがわたしである事さえあやふやな感じ・・・。
　巨大な時がわたしの頭を通り過ぎて行きました・。
　階段を昇り終たテラスから広い廊下の奥に扉の開いた侭になっているのが分かりました。
　頭の中はカオスと空虚だけ・・・。
　誘われたように、開いた侭の扉の部屋に入って行きました・。

　床から天井近くにまで開口されたガラス戸の向こう側にはテラスが見えます。
　ヒップの下のあたりにまで高さがあって、覆いの支柱付きのベッドがガラス戸の右側にありました。
　レースのカーテンが引かれ、陽光を受けて金色に輝いている様な中に、奥さんはこちらを向き両手を差し出しました・。
　奥さんが微笑みを浮かべている気配は感じるのですけど、光りに向かい合わせたわたしにはソフトフィルターを掛けられた写真のように、霞の様にしか見えません・。
　まるで光りの中からのお誘いです・。
　心が煮立ってしまいます。
　・神々しさを感じるとは、・こう云う事だったのですね・・。
　畏敬の念があり、何か近付きがたい存在からのお呼び・・・・。
　お呼びには応えなければなりません。必然のようなモノを感じますし、かと云って近付くのが恐ろしいのです。・・・それなのに近付かなければならない・・・。

「どう為さったの？・」
「ヘラ・？」意識もしなかったのに口が勝手につぶやきました・。
　光りの中の全裸の女性・・・、奥さんの威厳が加わって女神にしか見えないんです。
　相対的に陰に覆われたお顔は、ハッキリと見えませんでしたし、あのヘラのイメージが重なって見えたのかも知れません・？
「・・ヘラ？・あのギリシャ神話の・？・・・いやぁねぇ・・・レイさんを殺したりしないわよっ！・・ホホッ・、ゥホホホ・・・・・・！」
　奥さんは小さな笑い声と共に軽く笑い飛ばしました。が、奥さんの口から出た「レイさんを殺したり・・・」に背筋が寒くなったのです・。
「奥さま・。」もう、奥さん。とは呼べませんでした・。
「・良いからいらっしゃい。」
　もう一度呼ばれました・。応えなければならないのでしょう？
　わたしの意識とは違って、奥さまの意識に牽かれていくような感じがします・・・。
　恐ろしいのです。・神様がダブって見えるなんてただ事ではありませんもの！
　わたしの心の中の記憶や知識が、この状況に宛嵌っただけかも知れません？
　けれど、奥さんは全裸で手を差し伸べているのです・。

　意識がまだ動けるほど回復していないのに、呼ばれるままに近付いて云ってしまいます・。
　床の上を滑っているような感覚でした・。
　アッと思った時は既に、奥さまの腕に抱かれそうなほどに近付いていました・。
　わたしの心に沸き上がった、畏敬と恐怖・の女神のイメージ。
　抱き寄せられて強く圧し潰された胸には、暖かい体温が伝わって来ました・。
　背に廻った腕にも同じ体温を感じます・。
　ですけど、まだわたしは動けませんでした・。
　わたしは両手を上げて奥さまを抱き締めたい気持もあるのですが、心に居座った畏敬と恐怖が、そうはさせてくれません・。

　わたしは身体が固くなっているのを感じてもいました。
　女神かも知れない方と対峙してしまったら、誰でも同じ様になるでしょう・。しかも、湧いて見えたイメージは、あの嫉妬の強いヘラなのです・。
　神話を知っている人なら、固まってしまって当然でしょう？・女神ヘラは浮気なゼウスの浮気相手を何人も殺しているのですから・。

　それを笑い飛ばされもしたわけですけど、当の本人が笑い飛ばしたからと云って、わたしの方はそんなに簡単には行きません！
　まだまだ、ヘラが見えた恐怖が消えていないのです。
　ギリシャの神々は、変身して人の前に現れ、最後の直前にその全貌を見せるというのがパターンです。
　もう直ぐ５０になると云う奥さんの肌が、わたしの同年代にしか見えない肌理の細かい滑らかさを持っているのも、不思議と云えば不思議でした。

　それでも奥さんの体温を感じた事が、わたしの恐怖心を幾らか柔ら気てくれました。
　わたしの背に廻った奥さんの手には、血の通った暖かみ・・。
　そして滑らかに背を滑って廻ります・。
　バストには奥さまのバストが押し付けられていて、心臓の鼓動まで伝わって来ています。
　体温や心臓の鼓動は、わたしの恐怖心を打ち消すんです。
　そして恐怖よりも、奥さんの手の滑った後から悦喜が湧いて来るのです・。
　それは、奥さんの手の触れ方が柔らかく、滑りがスムーズでリズムさえ感じさせられるからでしょう？
　強く大きな悦喜です。
　奥さんの眼を覗いてしまったわたしは、奥さんのどこまでも深く黒い眼の奥に、宇宙の広がりを見てしまったのです！
　渦に吸い込まれる様な感覚がありました。

　宇宙に浮かんだわたしと奥さん・。
　二人とも全裸のまま・・・。
　ただ抱き合っているだけなのに身体が熱くなってきます。
　宇宙は真空の筈なのに、息苦しささえないんです。
　真っ暗な中に浮かんでいる筈なのに、お互いの姿がハッキリと見えます。
　それは幻想的なイメージでした。

　ァァいい気持ち・・・・
　フワァッと身体が浮いているような・、わたしの背の手が滑るだけ身体が軽くなっていきます。肩越しに見える光の揺れ・。
　わたしには天上の輝きに感じられるのです・。
　恐怖心が次第に薄れ、幸福感に富踏まれ始めました・。
　幸福わせって、こんな瞬間にあるのかも知れません・。
　次の瞬間のより大きな幸福感に期待が一杯なんです・・・。

　わたしの持ってしまった恐怖感を、打ち消すような愛撫が続けられています。
　あのトロ気てしまいそうな優しい口付けも・。
　わたしの両腕は奥さんを抱き締めていました・。想像など出来なかった幸福感から離れたくないんです・。
　恐怖感が完全に消滅した訳ではないのですが、この幸福感・とっても大きいのです・。
　簡単に捨て去るのは惜しいんです・。

　人は幸福を求めるものです。
　多少の恐怖があろうと、次の一瞬に自分が消滅させられたとしても、それに値する幸福を得らるのならば、あえて身を委ねる事もあるのです。
　幸せな快楽の後に、最悪の状態が待っているなど、誰も信じようとさえしません。
　自らの身がその快楽の中にあるのなら尚更のことです・。
　そして、このとても危険な状況の中に身を置いているのは、あろう事か、わたし自身でした・。
　逆らう事の出来ない奥さんの為さりよう・。
　髪に触れられただけでもビリビリした悦情が燃え上がるのです！
　奥さんの手が滑った後の肌は、心地良く熱くなって、心地良さを全身に伝えます。
　まだ奥さんの手に触れられていない処は、期待を持って奥さんの手を待つのです・。

　なんなんででしょう？・さっきあれだけの恐怖心があったのに、奥さんお相手に官能がドンドン昂められていく・の。身体の内も外も官能で熱くなってます・。
　自分でも分からなかった官能のツボ、ポイントがみんな扉を開いてしまう感じ・・・。

　他の事が考えられなくなるなんて、女性には余り無いんですよ。
　女性は実際的だと云われているでしょう？
　男性の多くが幻想を抱いている、肌を重ねてしまえば・・・・。は、ただの幻想なんですよ。・・・ただ、経験の少ない女性は「肌を重ねてしまった」事に、強迫観念を持つ人がいる様です。
　勢力の衰え掛かった男性方が、良く云うじゃぁないですか！・「相手が変われば力強くなるよ！」って・・・。女性だって同じ様な処はあるんですよ。
　それが神様と重なって見える様な方なら、興奮は余計に大きくなるというものです。
　もし、その神様ヘラだったとして、殺されるとしても、いまの受けている幸せな悦びは止めたくありません！
　大きな官能が息苦しく伸し掛かって、大きく息を吸ったわたしの口が塞がれました。
　唇が暖かい。・柔らかく暖かい奥さんの唇が重なっています・。
　反射的に舌を伸ばして奥さんの舌を捜します。
　絡めたいんです。
　身体だけでなく心までも絡めたい・・・。
　女性同士だって始まってしまえば、お相手と一つになりたいのが本音なの。
　幸福わせを総身に受けて、エクスタシーの恍惚感を味わいたいわ。
　そうでなければ、何をしたのかも分からなくなっちゃうわよね。