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　微妙な、触れるか触れないかの接触感しか無い筈の、奥さまの手の平からは信じられないほど悦楽の熱が発してきます。
　微妙な触れ方は、わたしの神経に集中を呼び、感覚を一遍に鋭くさせてしまうのです。
　鋭くなった感覚神経は、過剰な反応を示すようになってしまいます・。
　その手が滑った、わたしの肌は随分と高く熱を出す様なのです・。
　冷たくなっていたわたしの肌が、奥さまの手が滑ったところだけ暖かく感じていきます。
　同時に依り敏感になって、わたしの感覚が奥さんの手の感触を追ってしまうみたいです・。
　その温かな手が触れたところより、触れた処の奥の方から熱くなるように思います・。
　指先の細かな振動も触れたか触れないかの肌の表面ではなく、その奥の方に伝わって来ています。
　奥さんの手が留まることはありません。・留まったかの様に思うことはあっても、指先の微妙な振動・が・・・、わたしの表皮を振動させ、そこから悦楽を導き出してしまうのです。

「ゥアッ！・・・」身体の各所で起こって来る悦楽が時々、合体して大きな悦楽となって、ゾクゾックッとさせる様な、ギョッとさせる様な、神経が震わせられます・。
　おじさんも、同時に身体中のアチコチから悦楽を起こさせて、合体させた悦楽を味会わせてくれますけど、悦楽を送り込んで来る点では奥さんも同じ様です・。

　喜悦感のハーモニー・・・、わたしのすべてを熱く燃え上がらせて来ます。
　これだけ悦楽を起こされては、どうしても、わが身を委ねたくなってしまうじゃないですか・。
　甘く、切なく、激しくも優しさがある・・・、そんな喜悦感なんです。
　それは、ご夫婦なられて短くはないと思われますし、奥さんの身体的事由がなければ、もっともっと、愛するオジさんに挑んでいたでしょう・。
　その状況だったら、わたしがオジさんに挑んでも、跳ね返されていたかも知れません？

　奥さんの手から送られてくる喜悦感は、皮膚を通り抜け、その下の身を通して中心に集まるのです・。
　そして集まった喜悦がどんどんと膨らみ、膨らんだ喜悦は新たな熱い喜悦を生み、身体の隅々にまで拡がって行くのです・。


　ベッドに横たわったわたしに奥さんは、ギリギリまで近付いているにも関わらず、まだ近付こうとして来ていました・。「にじり寄る」と云う言葉通りでした。わたしの顔の直ぐ近くに奥さんの顔がありました・。奥さんの眼の奥に何かが見える気さえするのです。
　実際には何かが見える訳ではないのですが、その斜めのアングルに見える眼の奥に篝火の火の様な物が見えた・・・、気がしました。

　小さな火の様でもあり、とてつもない大火の様にも見えるのです・。
　即座に幻覚だと思いました。
　当然、寝室にそんな炎はありませんでしたし、瞳に反射する様な事などあり得ないからです・。それでも揺らめく炎が見える気がしたら、それは幻覚以外の筈がありません。
　単にわたしの思い込みだけかも知れませんが、確かに炎が見えていたのです・。
　ただ不思議なことに、メラメラと燃える炎の色が紫色だったんです・。

　快楽の喜悦を送り出してくる奥さん。・わたしを快楽に委ねさせようとしているみたいなんです・。
　実際わたしには、沢山の喜悦が湧き上がり、送り込まれて、わたしはジッとしていられなくなる寸前でした。

　女学生時代にビアンの経験があったからかも知れませんが・・・官能の昂まりは、実体からの刺激ではないのに、身体の中心に響いて来る、大きなものでした・。
　まるで中心の空洞が満たされているかのような・・・。
　わたしの中心には、あの微妙なバイブレーションさえ、起こりそうでした・。
　そう・・・、まるでそこを埋めてくれるモノがあるかの様な・・・。
　普段の空虚を感じる中心が満たされていくんです・。
　自然に奥さんを抱き寄せて、力が入っていました・。
　抱き締めたわたしの手は、奥さんの背を滑ってウエストを少し下がった辺りの窪みの廻りを小さく撫でていました・。
　人に依るのは勿論ですが、この辺りにポイントがある方は少なくありません・・・。

　ビーン！っと喜悦が脳に向かって走りました。
　奥さんの手が触れた表皮膚には殆ど何も起こりません・。
　少し暖かくなるだけなんです。
　その暖かさが身体の中へ向かうんです・。それぞれのバストの奥に・背骨の内側に・、身体の中の幾つかのポイントに集まっていきます・・・
「アッ！・・・」仰け反ってしまいます・。腰から頭まで、身体の中を何かが通り抜けたような感覚です。
　身体の中のの軽い喜悦が集まった幾つかポイントの一つがブレイクアウトしちゃったのです・。
　こう云うポイントは、個人差が大きいのです。
　奥さんが思ったよりも、キャパシティーが小さかったのかも知れません？
　それとも、わたしの感覚が鋭くなり過ぎていた？
　熱い喜悦の塊。
　・・・実体があるとは思えませんのに、身体の中を通り抜ける・・・。
　この感覚は、拡張する様でもあり集、中して行く様でもあるのです・。
　拡張と集中は、同時に起こっているのかも知れません？
　奥さんの手が滑ると感覚が後を追います・。
　感じ取れるか感じ取れないか、そのギリギリの微少な感触を感覚が追って行くのです・。
　意図したものではありません。
　微妙な感触だから集中してしまい、集中してしまうから追ってしまうのです・。

　奥さんは顔色を変えもせずに、わたしの背にあるポイントを探っていきます・。
　背筋に反って左や右の肩に昇り、また下がってきます・。
　あるいは中央を、あるいは脇へ・・・。
　わたしの微妙な反応でポイントが切り替えられるようです・・。
　
　ただ抱き合っているだけのような姿なのですが、奥さんの手がわたしのポイントを次々に開発していくんです・。
　これには驚きました！・わたし自身でもそんな処にポイントがあるとは思っていなかった処さえ、奥さんの手は探り当てて行くのですから・・・。

　わたしの中芯は既に可成り潤っていました。・・・ここまで潤って仕舞うと、もう止まりません！
　理性が（これで良いの・？）と問い掛けるのに、感情が（エクスタシーの恍惚を感じたいぃ！）と頑張っているの・。


　ここまで奥さま任せに近かったのですけど、感情に負けたわたしは奥さまを昂め様と思ったのです。
　されるだけでは、良い方へ向かうとは限らないからです・。
　程度にも依りますけど、多少は自分の思った方向へ、にも進ませたいじゃない！
　それに奥さんも敏感でしょう。とは思うんだけど、そんな事はこちらから仕掛けてみなくちゃ分からないわよ・。
　ヘラのイメージが浮かんだ奥さんですもの！
　わたしには、奥さんの反応がとっても激しい様な予感がしていたわ。
　ややもすると朧気にさえ為り兼ねない意識の中で、どこから奥さんを攻めようか、考えたの。

　わたしに迫った順序を思い出そうとしたの・。コンサヴェイティヴな考え方を持った人は、自分の欲しい順に攻めるのが多いの・。
　口付けからだったわっ！・・・それから抱いた手で背中を撫でて、・直ぐにバストだった・・・。
　ニップルにも刺激が欲しかったんだった・・。
　
　わたしの背を滑った奥さんの手の軌跡を思い出しながら、奥さんの背に右手を滑らせて行ったわ・。
　わたしの考えでは、この軌跡の中に奥さんのポイントがある筈。

　背筋に親指をガイドにして人差し指と中指の圧力を調節したの・。
　奥さんがわたしにした様に幽かな接触感を意識したの。スキン一枚分だけの圧力・。
　ハッキリ触っている感じを与えない様に、付かず離れず、滑らせる。
　背筋に反って上へ下へ。早過ぎず遅くなく・。
　脇の下からサイドを通ってバストを支えるの！
　下から親指の付け根の膨らんだところで押し上げ、包むようにして被さった薬指を曲げ、圧してみました・。
　向かい合っていましたので、薬指は奥さんの左バストの丁度真横に指先がありました。
　掌で押し上げたと云っても、普段はブラで持ち上げている位です。
　「・・・ァ・！」それは小さかったけど、確かに聞き取れた、奥さんの喘ぎでした！
　
　わたしから見ていると、いつも壁があるようで、一歩引いた感情しか見せてくれないような、奥さん。
　その奥さんが眉間に皺を寄せて呟いた。・それだけで嬉しくなっちゃじゃない！
　もっと喘ぎを上げさせてあげるわよぉ・。
　直ぐに左手を参加させることにしました。奥さんの背に廻っていたところから下へ滑らせます・。ウエストの腰骨の上、背骨と脇との中間位に中指で探ります・。
　例の、触れるか触れないかの微妙な感覚が、わたしの触覚を鋭くさせながら進むのです・。
　微妙なヘコミ！・・・チョット押し込みます。
「はぁ・・ん・！」
　また、しかめっ面を見られてしまいました・。
　ここが感じる一は充分開発されているわ！
　奥さんの顔に近付きます・。
　唇に、・・・唇を重ねて行きます・・・。
　合わさった唇の間だから、生き物の様なヌメリが口に入って来ました・。
　わたしも舌を絡めます・。
　胸から込み上げる熱さ・。
　官能の渦が回り始めました。

　もう、一々考えてなんていられないんです・！
　爪先、足首、ふくら脛・・・などから始まって、頭の先まで官能の波に呑み込まれていました。
　全身隅々まで奥さんの指先、手の平を待って、喜悦に浸ろうとしていたのです。
　わたしの中心は潤って膨らんだ空洞を満たしてくれるのを待っていました・。

　それは、・奥さんでは無理な話です。
　それなのに奥さん糧が触れる肌、いたる処が喜悦を抱いているのです・。
　風船に空気を吹き込む様に、それぞれの箇所が喜悦に膨らんでいるのです。

　理性がわたしには珍しい、中心を満たす事の無い喜悦に、静止が思う様にならなくて震え出します・。
　感情はこの心地よさに，理性を遠ざけようとするのです・。

　女性同士で悦楽の貪り合いなんて・・・、あんまり褒められた仕儀ではありません。
　他人様の趣味ですから頭から否定する気もありませんが、高校生の頃の合宿で女の子同士で悪戯し合った経験はあります。
　でも、レズの真似事なんて、その高校生の時以来です・。

　奥さん執拗に、わたしのポイントを探し出して、その数カ所を一遍に刺激して来るんです・。
　一度ポイントを探られてしまうと、そこは連続して刺激されてしまいます・。
　他の刺激されているポイントからの喜悦が絡まって、まるで、そこに何かがある様な感覚になっています。
　満たされた気分です・。

　奥様の愛撫は、わたしの感覚を昂めるだけ昂めていきます・・・。
　ご自分が楽しむ為だと感じられる所が無いのです・・・。
　わたしの感覚を昂めるだけの撫で些擦り・、包み込み、支え上げ、的確なポイントを突かれている事もありますが、わたしに素晴らしい悦楽を与える事だけを思ってなさっている事がはっきり分かります・。奥様の激しい息遣いは昂奮の為だけではなく、連続した運動を限界まで続けた事に依るものなのです・。
　それはわたしを昂める事以外ではあり得ません。
　どうして・・・？
　これだけわたしを昂めることだけに集中したら、ご自分が昂まらないわよ。

　変な疑問が湧いて来ましたが、その微妙な間隔を保つテクニックにわたしの身体は急速に昂まりました。
　手足の筋肉が短く単発的な軽い痙攣を起こすようになって、わたしにはそれを押さえることも出来なかったのです・。
　両膝の間から身体を、そして頭の中を天頂に向かって突き抜けて行く快感・・・。
「レイさん、・気持ち良い？・・・」遠い所から聞こえて来るような奥さんの声・・・。

　手足に、身体に感じていた接触感が無くなってきます・・・。
　わたし自身の体重を支え、いくらか、わたしを押さえる様にしていたヘラの手の感覚も・。
　目に見えていた景色さえ消えて行くようです・。

　サイケデリックとさえ思える光のカオスが近付いていました・。
　恥ずかしさで・脚を閉じている筈・・・。両足の後ろ側に感じていたベッドとの接触感が消えて行きます・。
　ヒップからも・・・。そして、背中からも肩からも・・・・。
　後頭部からさえ・・・！

　目に映っていたのは、サイケデリックな光のページェントだけ・・・。

　レズビアン・セックスでこんなにも深い絶頂は・・・
　全ての感覚が薄れて行き、光のカオスの中から光が薄れて行きました・・・。
　静かな無感覚の世界へ・・・。


　目の前にヘラ！！！
　気を取り戻したわたしを覗き込んでいたのは、肌さえ輝きを持った、真っ白な一枚布を巻いた、女神ヘラ・・・。
　オリーブの冠り・。・白銀のような髪・・・。
　エーゲ海のあの独特な色の大きな目・、ツンと威厳を持った鼻筋・。
　血よりも赤いと思える真っ赤な唇・・・。
「わたしの送った喜びはいかが？」・・・その言葉は耳にではなく頭の中に直接届いているようでした・。
　まだ、空ろな感覚があるのに、満たされてもいないのに、わたしが上り詰めてしまっただなんて・・・。
　わたしには滅多に無いことだわ！

　女神に至らされたわたしは、全ての欲望さえ満たされてしまった思いです・。
　満たされていない欲望の残りを感じません・・・。
　全てが満たされていました・。

「大丈夫？・」ヘラの顔が急速に奥さんに変わって行きました・。