６．

　わたしの頭の中、変！
　・・・だって、恐いのよ。
　こんな大きいのがわたしの中に入った事がある。って事だけで・・・。

　でもそれは同時に、トンでもなくエロティックな想像も引き起こしていたの。
　だって、わたしの他の記憶を幾ら思い返したって、おじさん程のコックは記憶にないんですもの。・・・それをわたしが受け入れた事があるなんて・・・！

　だいたいわたしは、そんなにセックスを好きな方では無いと思っているんだもの！
　普通は真剣に相手の方を愛して、その人と一体化したくてセックスに至るのよ。
　だから原宿の出来事は、わたし自身でビックリだったの！
　男の子を甘く見たのも変だったし、ヤバい子達だと感じながら公園なんてトコまで一緒に行ったんだもの。

　この一年の内のもう一人は、裸で抱き合った途端に『失敗だった！』と思ったのよ。
　男の人をセックスだけで好き嫌いする訳では無いけれど、それ以外が総べて『まあまあ』で、セックスまで『まあまあ』だったら『取り立てて良い処が無い。』って事でしょう？
　それではまるで魅力が無い事になるのよ・・・。
　この時の人は、久し振りにわたしを心から楽しませてくれた人だったの。
　話が楽しかったのよ。パソコンの事も、政治の事も、青春の思想の事も・・・裸で抱き合った途端に分かってしまったの！・・・ハウトゥー本の受け売りだ。って・・・。
　思い返してみたら、面白かった話はみんな数年を経た話だったわ。
　最新のナンパのハウトゥー本には、例題ぐらい乗っているでしょう？・・・その例題にわたしは乗せられてしまった気がしたの。・だから本当は肌を合わせる必要がある様な人では無かったのよ。
　こう遣って思い返してみたら、一年前のおじさん以来、まともなセックスってしていなかったわ。

　握りきれない程の大きさになったおじさん自身。・・・どうしようかしら？
　瞬間的に頭を通り過ぎて行った、この一年の間のセックスの記憶から、わたしは迷いました。・・・大き過ぎるンです！
　握ったわたしの指と指、先同士が何センチも離れています！
　それに全てがわたしに埋まったら、おへその裏までも届きそう・・・。
　あの時こんなに大きかったかしら？・あの時はそんな風には思わなかった。

　大きくはしちゃったけど、バスタブの中で始めるのはちょっと嫌な気もしたんです。
　おじさんとは一体になりたいけど・・・？
　・・・待って焦がれたおじさんなんですもの！

　結局悪戯しただけで、おじさんの両肩を抑えて立って、１人だけでシャワーを浴び直してベッドへ戻って行き、おじさんも後からシャワーを浴びたのですが、その姿をアクリルの壁越しに眺めていました。
　普通は男の人が眺めているんでしょうね？・・・顔をジャブジャブと洗い流すおじさん。
　身体の向きを変えながら全身隈無くシャワーに晒したおじさん。
　・わたし、その一挙手一投足を眺めてました。
　さすがに年令を重ねた身体は若い人の様なスマートさは無いのですが、何か安心できる物を感じていました。一年待ち焦がれたおじさんへの思いの為だったかも知れませんけれど、カフェの常連さん達の言葉を思い出してもわたしの思い丈では無い様に思えるんです。

　歳相応の変化はその人の歴史を語っているのでしょう？だとしたら、嫌みの無い見え方をするおじさんの姿態は、人間的に真直ぐな暖かみを見せてくれていたのかも知れません？

　ボ〜ッとしておじさんの方を眺めていた筈でしたが、おじさんは手早く身体を拭いて、タオルを腰に巻き、ベッドに近付いて来ました。
　何か恥ずかしいんです！
　・・・自分から誘っておいて、恥ずかしいなんて変ですよね。
　それでも、おじさんが一歩一歩近付く度に恥ずかしさが増して来るんです！

　原宿でわたしを襲おうとさえした子達を、相手にしてしまった時だって、あんな事までして、恥ずかしいなんて思わなかったのに・・・。

　さっきまで、裸のおじさんを見ていたのに、直ぐ傍に来た時には顔がカッカとしていました。自分でも真っ赤になっているのが分かるのです。
　自分でも訳の分からない紅潮でした。・・・ここに来るまでの方がよっぽど恥ずかしい事をしているじゃ無い！・・・３０女としたって・何を今さらなのに、『いよいよだわ！』って、場面に直面したからかしら？

　傍らに立ったままでわたしの顔を見ているだけなんです。・・・『おじさんまだ躊躇している。』って、思って、ここまで誘うのも恥ずかしいんだけど、掛けていた布団を左手で浮かしたの。
　わたしの手で浮かしただけでは浮かび切れない布団の端を持って、おじさんは布団の間に滑り込んで来ました。
　わたしの左に横たわりはしたの。
　・上を向いて、何か考えています。
　こんな時に長い考えをされると、一番波風の立たない「倫理的な結論」に落ち着くのが男の人でしょう？
　それでは、折角ここまで勇気を振るったのに、元の木阿弥です。
　わたしは恥ずかしがってなんていられません！
　おじさんの方に横向きになったの。

　そうとなれば女性の方が一直線で進み易いのよ！
　考えがまとまり切る前に、・布団の中だったけど・。おじさんの胸に手を延ばして、その手を胸板を摺らせて、おじさんの左頬に進めて、おじさんをこっちに向かせたの。
　見詰めあった眼と眼。少し上目遣いでおじさんの眼の奥を覗き込んだのよ。
　
　おじさんに被さって行ったわ！
　ぴったり屈付いて、顔と顔が付く程の近さでおじさんを見詰めたの。
　素肌のバストをおじさんの胸に押し付けていたの。
　・おじさんの鼓動が直接伝わって来る！
　心臓の鼓動がシンクロして欲しい。
　何でもおじさんと一緒になりたいと思ったわ。
　わたしの鼓動だっておじさんに伝わっているはず・。
　ドクン、ドクン、ドクン、ドクン・・・そうすると、お互いの心臓の鼓動が次第に近付いて行くのが分かったの！

　どのくらい、そうしていたのか分かりません。
　ドクン、ドクンと、響く心臓の鼓動が完全にシンクロしていました。
　わたしにはもう、おじさんと完全に一体化した感覚がありました。

　おじさんも真直ぐわたしを見たまま、視線をずらす様な事もありませんでした。
　ただ、二人ともお互いの心の中まで見詰め合っている様でした。
　わたしにはおじさんの本質みたいな暖かさがおじさんの眼の奥に見えていたし、おじさんには、わたしがおじさんを必要としている事が分かっていたでしょう。

　本当なら『愛が・・・。』と云いたいのですけど、わたし自身に、今の状態を「愛」と云うには不安がありました。・わたしの「愛」は、こんなに軽いものじゃ無い！って・。
　・・・これまでの事は、わたしだけのエゴなんです！
　本当に尊敬できる人と知り合えて、その人の持っているモノの全てに接したい。

　それでも、わたしにはおじさんがどうしても必要です。
「おじさん・・・、好き！」今のわたしの心に、一番近い言葉・・・。

　おじさんの両腕がわたしの背に回って引き付けられました！
　・・・既に着いている二人がより強く、バストが圧し潰されて密着します。
　おじさんの体温が身体の奥にまで伝わって来ます。
　うれしい！・・・おじさんがわたしを受け入れてくれたのを感じているんです。
　お返し・・・。首を傾けて口付け・・・、思いっきりおじさんを吸い着きました！
　おじさんも首を傾げて応えてくれます。
　ん！・・・レモンの香り？
　口臭除去剤ね。
　いつ使ったのか分からなかった。・・・中年過ぎれば、誰だって口臭は強くなるのよ。
　・・・それは人生の厚みの一部よ。って感じているから、そんなに気にしないで良いのに！
　隠された思い遣り？・・・小さな心遣いが嬉しい！

　おじさんに口付けを返されて、わたしの心をみんな持って行かれそう・！
　舌を差し出して、おじさんの舌を探しました。おじさんの舌が絡んで来ます。
　ぁあ！・・・わたしはおじさんの一部・・・。
　頭の中がクラクラしています。
　おじさんがわたしの幸福わせを願っている。・・・おじさんの心？・・・体温から、抱き締めている両方の腕から、密着した胸から、唇から、絡み合った舌から・・・、全てからそれを感じていました。
『わたしは、レイさんと一緒にはなれないんだよ。』・これはおじさんの心ね？
　さっきまでの戸惑いも、その為だったのね。・・・そんなの考えて無いのに！

「おじさん・・・、何・考えてる？」唇を放してから、わたしが先に口を開きました。
「・・・・・。」何も云わなくたって、伝わッて来ているわよ。
「行きずりだけだった筈の女と、２度目があると面倒臭いと思って無い？」
「・・・そんな事は無いよ。」チョット戸惑った口ぶりは図星だった？
「だってぇ、ズッと考えてるじゃない！・・・奥さんに悪い？」わたしを抱く腕から、絡まっていた舌から、密着している肌から、おじさんの真心が伝わって来るんだもの。
『一緒になれない男女が肌を合わせるべきじゃない！』って思いが・・・。
「そりゃぁそうだよ！・結婚の誓いを破る事にもなるし・・・。」
「もう、去年破っちゃったわよ・・・・。」
「・・・・・。」口を開かなくたって、云いたい事は伝わっているのよ！・『おじさんは奥さんを愛しているから、家庭を大事にしたい。』って云いたいんでしょ！
　わたしがおじさんと一体になりたいのよっ！

「面倒な事になったと思ってない？・・・心配しないで良いわよ。わたし『奥さんにして！』なんて云わないから・。・・・おじさん、去年云ってたもの・。・・・おじさんの今の暮らしがどんなでも、それを壊すのは、わたしが好きなおじさんじゃぁなくなる事でしょう？・・・おじさんは今のままで良いのよ。」
「・・・・。」おじさん、わたしの眼の奥を見詰めるだけ・・・。

　左手をベッドに突いて身体を起こしたの。・・・右手はおじさん自身へ・・・、ちょっと話をした丈で、少し柔らかくなった気がしたわ。
　それに引き換え、おじさんと一体になりたかったわたしは身体が密着していただけで、ヴァギナは充分すぎる程潤っていたの。・・・身体を起こした事で、ヴァギナに溜まった愛腋がクリットを潤わせていたわ。

　腰を浮かせて、持った手にクリットにおじさん自身を２、３回、小擦らさせて、そのまま腰を沈めたの！
「アウッ！」全身に経験した事の無い電撃が・・・自分で思ったより勢い良く、おじさんを呑み込んじゃったのよ！

　・・・身体を通り過ぎて、頭の先まで貫かれた気がしたわ！
・・・ヴァギナの底を押し込まれているぅ。・・・痛さと快さが混じっているの。
　身体の隅々まで、そのどちらとも思える感覚が伝わる。
　鋭くて痺れる！
　一遍に体温が上がって、筋肉が硬直したっ！

　内側から拡げられているの！
　腰骨にまで響いて来る感じ・・・。
　動けなかったわ。
　お風呂の時よりは幾らか、柔らかく小さくなっていた筈なのに・・・。
　その感覚とは別に、やっとおじさんと一体に慣れた幸福わせが、ジワジワァって全身に広がって来るの！
　でもまだ、おじさんの全部は受け入れて無い・。
　お風呂よりいくぶん柔らかく感じたおじさん自身なのに、一杯に拡げられてる入り口がおじさんが小擦れると、ゴリゴリと音を立てているみたい・！
　全てよっ！・全部・受け入れるの！・・・自分に言い聞かせて、なお腰を降ろしたの！
　背骨に響く痛み！
　・・・底を突き上げてるっ！
　きついっ！
「ァァァァァ〜ッ！」
　始めから大きな声なんか出して、「はしたない女」とは思われたくない。
　それなのに、どうしても声が出てしまったの！
「おじさん凄すぎ・よ。」

　痛くて動けなかったのに、おじさんと繋がったところから、色々な思いが沸き上がって身体に広がって行ったわ。

　おじさんと一つになった。・・・とろけそうになると思っていたのに、痛いばっかり！
　去年はなんで平気だったの？・・・そう云えばあの時も、おじさんを押し倒して、わたしから仕掛けて行ったんだったわ。
　積極的なのはわたし・・・おじさんは絶対に先きには動かない。

「ァァア〜・・・。」今まで、少しは柔らかかったのに・・・、中のおじさんが張りを取り戻して行く！
　わたし、・・・膨らまされる！
　ぁあぁぁ、・・・わたしに棒が入ってるみたい・・・。
　きつい！・わたしが緊張しているから？・あの時・大丈夫だったのに・。
　見上げているおじさんの眼が心配そうだったの。
　ニッ！って、無理して笑顔を返すの。
　でも、まだ動けない。・動くと痛そうなんだもの・。ヴァギナが限界を超えて張り詰めているのよ！
　それでも、わたしの分泌の所為か？さっきよりは緊張が抜けて来たのか？・少しは痛みが減ったみたいでした。
　恐る恐る、腰を前にシャクってみたの・もちろん静かに・。

　ググッて、お腹の中が前に押される！
　わたしの中の何かが、おじさんの先に掛かった！
　意識した事の無い、わたしの中の何かが・・・。
　子宮の口だわ・！
　ペッサリーを使う時は、これに掛けるんだっけ・！

　腰をもっと前に・。
　アッ、外れた！
「ォォォオオゥ！」・・・弾かれたみたいに子宮が震えたんだわ。
　お腹の中全部に響くわ。
　そんな積もりの無かった呻きが絞り出されちゃった！
　頭の中は悦びのシビレが・！

　全身だって指先、つま先までもが悦びが震わせてる！
　身体を真直ぐに立てゝ伸びをしているみたいになったのに、両腕まで天に伸してしまう！
　前屈みになっていたのに？・・・反り返りもしてない！
　柔らかいベッドに膝を突いているのに、しっかりした安定感！
　何かに手指の先を吊られている様にバランスしていたわ。

　腰を浮かせてくれていたおじさんが、静かに降ろすと、身体の芯が抜かれて行くみたい！
　・・・一言で云えば、わたしの中に空洞が出来て行くみたい。
　ヴァギナの内壁がおじさんに釣られて、引き出されそう！
　それがまた凄い感覚！
　・・・あの時こんな感覚があったでしょうか？・・・記憶が混乱しました。
「お・おじさん・、凄いぃ・！」絶え絶えの言葉・。
　おじさんが降りきって止まった時、思わず口を突いていました。
「目の前に素晴らしく官能的な姿をさらけ出すからだよ！」
静かな低い声でした。
「えっ！」・掛け布団を弾き飛ばして、おじさんと垂直に身体を伸しきっていたの！
　そうよね。・お布団に入る時にタオルを取って入ったから、全くの一糸もまといの無い格好だったのよ。開いた膝立ちで両手を天に伸しているんだもの・・・。
　ちょっと異様な感じだったかも知れない？・・・でも・、「おじさんの全てを感じたいからよ。」って、ごく当然の様に応えたわ。
「・・・・・そう？」なにか？まだスッキリしないものを残した言い方だわ。

　わたしが考えているのはセックスじゃぁないんだもの。
　逢いたい時に、おじさんに逢える様な条件を作る事なのよ。
　わたしの全てを賭けて、おじさんを魅了しなければならないの！
　男性経験なんて、そんな多くは無いけど、３０の独身女としては少なくも無いでしょ
　男が何を望んでいるか？・・・どうすると悦ぶのか？朧気でしか無いとは云え多少は承知しているわ。
　でも一杯一杯なの。

　また、ゆっくりと腰を動かし始めたの。静かに後ろへ引くの・。
　さっきより痛く無い！・・・だいじょうぶ。
「ァァア〜！」・・・両手を上へ差し上げたまま仰け反っていたの！
　ウエストから下がとっても熱くなってる。
　背骨にまで響いて来たおじさんの感覚。
　お腹の中が熱く、カッカしているのがハッキリ分かるの。
　一杯に伸びきったヴァギナがギリギリの処で持ち堪えているんだわ。
　それが、お腹の方から後ろの方へクリットの処を支点にして、わたしの腰の動きのなん倍もの速さで弧を描くの！
　お腹の中が掻き回される。
　中心からだけじゃ無い喜悦。

　意を決して、確かめる様にゆっくりと腰を回したの！
　ググググ・・・ゥ。・・・おじさんに釣られてお腹の中が回る！
　大丈夫、痛くない。・お腹の中が回される、記憶に無い感覚・。
　一回りする内に何ケ所かで悦撃が出るの！
　強弱はあるけど、一回りさせるだけで何ケ所からも悦撃を受けるなんて！
　機関銃に打たれている様な悦撃。
　まだ余り強過ぎはしないそれは心地良かったの。
　もう一回し・・・。
「ハァ〜。」ため息にも似た感嘆だったわ。ウェストから下の身体が、自分自身とは別な生き物みたい。・感覚はしっかり伝わって来ているのに、勝手に動いて行ってしまうの！

　ジワジワ〜ッて、喜悦が染みて来る。
　自分で腰を回しているんだもの、強過ぎたら引き攣ってしまう。
　それは直ぐだったの。
　お尻が何回目かに後ろに回った時、一遍に凄い衝撃があって、「アッ！」っと、反射的に前にしゃくり上げてしまったのです！
「ア〜ッ！」尾骨に直接響いた衝撃は、しゃくッてしまった事で何倍にも増幅してしまった悦の衝撃は、全身を硬直させて、わたしの全ての動きを止めていました。
　不思議な感覚なんです。わたしは完全に止まっていますのに、おじさんを包んでいるヴァギナには小擦れている感覚があるのです。
　ズルズルズルっと云う感覚なんですが、確かに擦れている感覚があるんです。
　同時にそれは悦撃となって波動を全身に広げました！

「イイッ・・・！」止まっているのに、受けた悦撃でヴァギナが締まります。
　おじさんの方もその刺激で押し返して来ます。
「ンッ・！」押し返されると、また底が押し込まれてツンッて痛みと悦撃が走ります。
　身を捩ってしまうと、おじさんが上げた腰が少し引かれます。
　おじさん自分の大きさが分かっているんでしょう・。
　こんなの・・・毎日受けてたら、身体が持たないわ！
　それでも繰り返す内に、悦撃の撃は感じなくなって来た・？
　凄い・悦だけ・・・。
　下から、バストの下からわたしを支えてくれるおじさんの両手。

　両手を天に指し伸して、腰を前後に振って、また回して・・・。
　おじさんをセックスで繋ごうなんて誰が考えたの！？
　そんなの無理！・・・結構お歳は行ってるのに・、奥さん大変・そう・・。
　全身が喜悦で埋まって行くの・は、わたしの方・・・。