龍 晃一 作
| 第１章 ２人の運命 私は転勤で大分市にきた。１月の中旬に由布岳から吹き降ろす冷たい風の中で転勤の挨拶廻りをしていた。大分市の郊外の白木町白木化粧品店があった。母がＳ社のセミナーに参加しているということで娘の白木順子が店番をしていた。 愛らしい顔立ち、黒い瞳が印象的で黒髪を後で纏めてポニーテールにしていた爽やかな印象の順子に時めいた。初めての赴任地が札幌になり、観たことのない大地に一人で赴任する寂しさ、誰も知り合いのいなかった北の大地に約８ケ月、いざ札幌を離れるとなると親しく友人、好きになった彼女との別れの寂しさもあって涙が溢れていた。 サラリーマンとは、転勤が使命となる。そんな赴任したお店の御嬢さんに恋することはご法度である。でも結婚を前提と言うことになれば、黙認してくれる。順子さんであれば、結婚しても良いと願った。勤務していることで順子さんと会う機会がなかった。作戦として日曜日に訪問すれば、会えるかもしれないという予感がした。 私の名前は、清水淳一、この３月の誕生日で２５歳になる。次の日曜日に「春のキャンペーン」の紹介ということで、大きなポスターやキャンペーン企画書を持って白木化粧品店に行った。 「日曜日なのに仕事しているの」 「会議で福岡に行っていたので、仕事が遅れていたので----」 「折角来たのだから上がりなさいな」 「順子、清水さんが来ているよ。お茶、出してあげて----」 庭の観える座敷に通された。順子がお茶を持ってきた。 「清水です。先日は、お会いできて光栄です」 「私も銀行に勤めているので、時々しか店番しないから----会えて嬉しいです」 「銀行でどんな仕事をしているのですか---」 「それが---頭取の秘書をしているの----なのでつまらない仕事をしているの----」 「頭取の秘書は、エリートでなければできないのでは----」 「誰でもできる仕事です、お茶くみと頭取のスケジュール管理をしているだけなの」 お互いの仕事のことを話し合っていた。帰り際に、 「今度の日曜日に映画に行きませんか---００７の最新版が来ているので見に行きたいのですが----」 「本当に---私も行きたい映画です。お願いします」 思っていたよりもあっさりと了承してくれた。頭取秘書をしているということで、社内の若い行員は怖くて誰も声を掛けてくれないと溢していたことを思い出した。声を掛けて告げ口をされると困ると考えているようであった。 私は約束の時間よりも３０分前に着いた。映画館の前は若いカップルで溢れていた。これは座れないかもと思い指定席を購入した。中二階になったゴンドラ席であった。 順子も約束の時間よりも１５分も早く来てくれた。 「おはよう-----」 「おはようございます。今日はお言葉に甘えて来ました」 「嬉しいです。映画を見てから食事にしましょうか」 「お願いします」 私は、結婚を前提としてお付き合いすることを望んでいた。順子の気持ちを確認しながら今日の別れ際にお願いする予定で心は、緊張していた。順子の笑顔は爽やかに見えた。薄いピンクのツーピースで膝上１０センチのミニスカートを穿いていた。 ゴンドラ席は、１０組のカップルが座れるようになっている。二人が並んで座れるようになっていた。その一組は座るなり他の人を意識しないのか抱き合って激しく口付けをしている。そのカップルに感化された隣のカップルも口付けを始める。右手はブラウスの下でブラを擦り挙げて、乳房を揉んでいる。凄い席に来たものだと後悔したが順子は、私の肩に頭を預けて寄り添ってきた。 私が唇を押し付けると舌を絡めてくる。順子も感化されていた。私も同じようにブラウスの裾を持ち上げて、順子の肌に触れ、ブラを持ち上げて乳房を揉んでいた。乳首を刺激すると激しく舌を絡めてきた。ゴンドラ席は、映画を鑑賞する雰囲気ではなく、お互いの愛を求め合う場になっていた。 映画の画面にビキニ姿のヒロインと００７のボンドが抱き合って口付けをする画面になると女性の乳房を舐め吸っているカップルが見える。ゴンドラ席は、出会い喫茶の如くそれぞれのカップルが愛し合う場になっていた。私達も周りの環境に同化して抱き合って口付けをしていた。 若いカップル達は、周りのことを気にしない。自己中心的な行動に驚かされながら私も初めてのデートということを忘れて、順子に激しい口付けを交わしながら乳房を刺激した。 |
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| 2013.7.17掲載 |
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