【２】

　 そんな矢先、息子の拓哉が学校で両腕を骨折するという大ケガをしてしまった。
　 麗香が職場から病院へ駆けつけた時には、息子は両腕にギプスが巻かれて痛々しい姿でベッドに横たわっていた。が、幸いにして他に外傷はなく、意識もはっきりしている。
「よかったわ……」
　 息子に声をかける。
「ごめんね、ママ……。ボクがいけなかったんだ」
「ううん、拓哉が元気なら、ママは、それでいいの……。何も気にしないで。さぁ、少し休みなさい」
　 申し訳なさそうに目を伏せる息子を見やりながら、やさしく頭を撫でる。
　 最愛の息子に、もしもの事がと最悪のことまで考えたが、目の前の拓哉の寝顔に、麗香は心から安堵した。
　 考えてみれば、今まで拓哉には寂しい思いばかりさせて、何もしてやれなかった。物心がつく頃には、すでに父親の存在はなく、遊び相手もいない。夏休みやゴールデンウィークも仕事に追われ、どこにも連れていってやれずに、息子はいつも孤独だった。
　 この時、母子家庭の不遇をあらためて思い知らされる。麗香は、自分の反省と息子への償いの思いで、しばらくの間、仕事を休むことにした。
　 完全看護の病院だったため、付き添いは要らなかったが、母親として、麗香は消灯になるまで息子のそばにいることに。こうして、病院に通う日々が始まった。
　 毎日、昼前には来て、両手が使えなくなった息子の面倒をみる。親子とはいえ、息子の要求をすべて聞き入れるかの寵愛ぶりは周りの目にも微笑ましいほどだった。
　 もちろん、息子のオナニーのことなど、麗香の頭からすっかり消えていた。ただ、ひたすら息子の快方を願ってかいがいしく看病する日々が続いた。
　 その甲斐あって、息子のケガは順調に快復し、ひと月が過ぎる頃から、ベッドに寝ていることが苦痛になるほど体力を持て余すようになる。若さあふれる中学生がいつまでも寝ていられないのは、麗香の目にも明らかだった。
　 余りある息子の若さをまざまざと見せつけられる時が、程なくしてやってきた。
　 それは、ある日の消灯後の出来事だ。
　 麗香はベッドの横で帰り支度をしていた。
　 いつもなら家に帰るのだが、今夜は久々に彼氏とのデートで初めて泊まる日だった。ここから直接、ホテルへ向かうため、特別にお洒落をしていたのだ。
　 ベッドを囲むようにカーテンが引かれている。着替えを周囲から見られる心配はなかったが、拓哉の目だけには唯一さらされることになる。
　 背を向けた麗香は、ほとんど無警戒に息子の目の前で服を脱いだ。
「拓哉、あした、何が食べたいの？……。買ってきてあげるわよ」
　 たぐり寄せて丸めたサポートタイプの黒いパンストの中に、赤いペディキュアが光る爪先を挿し入れつつ、拓哉に話しかける。
　 長くてなよやかな曲線に沿って、シュ、シュ、シュッとナイロンの乾いた音とともにストッキングの細かい編み目を伸ばしていく。サポート力の強い手ごたえを感じる。肌に馴染ませるように大きく足踏みする仕草を繰り返しながら、ふくらはぎから、太ももへフィットさせていく。
　 やや太いデニールで編まれたシェイプアップ機能のあるパンティ部分に差しかかるなり、軽く股を広げながら引きあげれば、足の先から太もも、ヒップ、ウエストまでのコンパスラインは肌の透けた美しいブラックに染まる。
　 そして黒いボディスーツを手にし、クロッチ部のスナップを留めた麗香が脚を通しはじめた。そんなところで、ベッドでモジモジしはじめた拓哉に気づく。
「どうしたの、拓哉。オシッコしたいの」
　 見て目は水着のようだが、身体を美しくするための補正下着らしく、縦横に刻まれた縫い目のラインがあまり伸縮性のない生地を示していた。
（ちょっと、きついのかしら……）
　 それもそのはず、ボディスーツは今日のために買ったハードタイプの新品物。膝から太ももへ引き上げようとしたところで、その窮屈さが実感できた。
　 時折り顔をしかめながら、麗香は左右の踵を上下させ、窮屈そうに少しヒップを振りぎみにして、きつめの股ぐりを太ももからヒップへ引きずりあげてゆく。
「んっ、しょ……」
　 身体をくねらせつつ、鷲掴みにしたボディスーツを伸ばしながら上に引っぱると、窮屈な生地がウエストをきつく締めあげ、アンダーバストの位置を合わせていく。
　 パチンッと弾ける音とともに、ストラップが肩に食いこんだ。豊かな胸もしっかりと納めた麗香は、最後にヒップにまわした両手で、はみだしぎみの尻肉をヒップサポートの布に押しこめる。
「オシッコなの？」
「……」
　 麗香が振り向くと、拓哉は顔を赤らめてうつむいている。
　 ブラックのサポートストッキングと光沢のあるゴージャスなボディスーツに、メロウなボディラインが強調された母親の女体は、多感な少年にはたまらない。豊かな稜線を誇示している胸の双丘や食いこみの激しい股間あたりは、目にあまる光景だ。
「やっぱり、オシッコなのね」
　 しかし、麗香には拓哉の様子が尿意を催しているようにしか見えなかった。
　 息子の股間に視線をやると、実際いくらか膨らんでいた。幼かった頃、オシッコを我慢して膨らませているオチンチンの記憶があった。
　 ところが、今の拓哉は小さい子供とはまったく違う。それに、麗香は気づいていない。
「ママ……ち、違うんだ」
　 少年の股間に手をかけようとしたとき、拓哉が切迫した感じで叫んだ。
「何が、違うの」
「……」
　 母親の手から逃れるように、拓哉は身を悶えさせるも、ギプスに固められた腕ではどうにすることもできない。
　 一瞬、止まりかけた母親の手が、パジャマの上から息子の股間にふれた。
「た、拓哉……」
　 瞬間的に麗香の表情は強ばり、言葉を失う。予想外の存在感、コリコリとして熱く息づく感触が伝わったのだ。明らかに尿意を示すものとは異なっていた。
　 母と子の間に、しばし気まずい空気が流れる。
「ママが、ママが……」
「えっ？」
「ママが、悪いんだ」
　 拓哉の今にも泣き出しそうな訴えに、麗香はハッとした。麗しき曲線をより完璧に作りあげるために、きつめの補正下着を身につけていく艶めかしい着替えを目の当たりにして、息子が興奮してしまったのだ。
　 とっさに横にあった服で身を隠し、込み上がる羞恥心に思わず赤面する。と同時に、息子の目の前で不用意な振る舞いをしてしまったことに気づかされた。
「あっ、ママが悪かったわ……。拓哉は、もう男だったのネ」
　 少しうわずった声で、麗香は答えた。
　 今更、何を言っても遅いが、それしか言いようがなかった。
「このままじゃ、寝れないよ……ママ」
　 それは真実だった。性に芽生え、オナニーを覚えたての中学生がひと月以上も放出していないのだから、ちょっとした刺激にも敏感に反応するのはいたって当然のこと。
　 しかも、手が使えない状態では自分で処理することも不可能だし、性欲を鎮める術を知らない少年にとっては、このまま放っておかれる方が地獄である。
「ママ、ママの手で、して……」
「ダ、ダメよぉ、そんなこと……」
　 思春期にあった息子の行動に対し、少しは理解しているつもりでいた。が、面と向かって自分に性欲の処理を要求してくるとは思わなかった。それだけに身を揉む。
「ママ、ママ、お願いだから」
「で、でも……」
　 顔を上げて、必死に嘆願してくる息子に閉口する。
　 息子の要求なら何でも受け入れてあげたい。しかし、ペニスを握ってやるなんて、オナニーまで手を貸すなんて、自分には到底できない。
　 いや、はっきり言ってしまえば、もしそこまで加勢したら、今の自分では息子のオナニーだけで済まされなくなる予感がした。
　 親子でなければという思いに駆られるも、一線を越えて、拓哉と男女の関係になることだけは避けなければならない。麗香は胸を掻きむしられるような心境だ。
「我慢できないよ、ママ……」
　 拓哉が哀訴してくる。
　 それは、母としての麗香には悲痛な叫びにも聞こえた。
　 甘やかしてはならないという思いと、可愛い息子を慰めてやりたいという母性とが錯綜し、その相克の狭間で大きく揺れる。
　 けれど、もうこれ以上、息子を拒むことはできなかった。あんなに懇願しているのだ。我が子が苦しむ姿を見るに忍びなくなってきた麗香は意を決する。
　 自分の理性さえ見失わなければ、息子の欲望に翻弄されなければ、と、麗香は自分にそう言い聞かせた。
「わ、わかったわ……ママがしてあげる。でも、ここではダメよ。トイレに行きましょ」
　 拓哉の耳元でそっとささやく。
「着替えちゃうから、ちょっと目をつぶってて」
「……」
　 拓哉は何も言わず、目を逸らすようにつぶった。
　 その間に、麗香は息子の様子をうかがいながら、身を隠していた服をしまい、ボディスーツの上から手早く、丈の短いスリット入りの白いワンピースを着込んだ。
「もう、いいわョ……。じゃ、行きましょ……」
　 着替えを済ませた麗香は、手を携えて拓哉をベッドから降ろした。病室から消灯が過ぎた薄暗い廊下に出た二人は小走りにトイレへ向かった。
「ここなら、いいわ」
　 麗香が選んだのは車椅子用のトイレだった。スペースが広く、消灯を過ぎればほとんど利用する患者はいないし、フロアの一番奥にあったので、たとえ声が洩れたとしても心配がなかったからだ。
　 扉をロックし、息子を便座に腰掛けさせた。拓哉の股間は、パジャマの間からブリーフの白い布が見えるほど高々とテント状態にさせて、すでに若い欲望をあらわにしている。
「拓哉、一つ、聞いていいかしら」
　 麗香は少年の股間を見据えつつ、白いワンピースの裾をややたくし上げて腰を落とした。息子の視線が、前面のスリットが割れた間から姿を現した内股に集中する。
　 黒く煌めくストッキングに包まれた、たっぷりと量感をたたえた太ももは悩殺的で、奥まで覗けるほどかがんだ姿勢とともに、少年から理性を奪いにかかる。
　 しかし、麗香は少しも気づかない様子で振る舞う。
「ね、拓哉。この間、ママの下着に悪戯したでしょう」
「あっ」
　 拓哉の目が瞬時に曇り逸らした。
「ママの下着に、エッチなことしたでしょ」
　 麗香は、さっき拓哉を男だと認識したとき、忘れかけていた記憶、初めて息子がオナニーを見た晩のことが脳裏によみがえったのだ。
　 パンストを顔に押し当て、「ママ、ママ！」とせわしなく口走りながら若い勃起をこすり立てて、自分の下着を犯していく姿がまざまざと浮かんでくる。しかし、その事実を口にはしなかった。
「ママは、前から知ってたのよ」
「ご、ごめんなさい……ママ」
　 覗き込むように息子の顔を見やると、拓哉は目を伏した。
「どうして、そんなことしたの」
「……」
「ママ、怒られないから、正直に言ってちょうだい」
　 やさしく尋ね、上目遣いに息子の目と合わせた。拓哉に身を近づけたとき、たくし上げたワンピースの裾がさらに皺を寄せて上がる。
「ほんとに、怒らない？」
「怒ったりしないわ」
　 麗香は、努めて柔和に微笑んでみせた。
「ママが……」
「ママが、どうしたの」
「ママの、ことが……、好きで……」
　 蚊が鳴くような声でつぶやくも、目を合わそうとしない。
　 そのあどけない表情を見て、麗香の胸に愛おしさが募る。
「そう、ママも、拓哉のことが、好きよ」
「いや、違うよ。ボクは、きれいなママが……」
　 同情する麗香の言葉を拒むように、拓哉が訴えてきた。純粋に輝く眼差しも心なしか潤み、真剣さを帯びている。
（この子、わたしのこと、女として見てるんじゃ）
　 その言葉の意味を察すると、麗香は焦燥感に襲われた。
　 現に、バスト８８、ウエスト６２、ヒップ９３というグラマラスなプロポーションは、誰の目から見ても若々しく挑発的な魅力さえあった。それに誰もが羨むぐらいのとびきりの美人なのである。
　 そうした美しくセクシーな容姿を維持している母親に、年頃の息子が興味を持たないはずがない。男を刺激しやまない熟女の肉体に対して発露するどうにもならない欲望を、母親に対する切ない思いを、拓哉は麗香の下着にぶつけていたのだ。
　 無防備にさらしてきた自分を想起するだけで、身体の底から込み上げるものを感じる。
「そう、ママが、そんなに好きだったのね。だから……、ママの下着を……」
　 自分の妖しい感情をなだめるように静かにささやいた。
「うん」
「はん、拓哉ったら」
　 拓哉が小さくうなずくと、麗香は甘ったるい視線を送る。同時に、息子の股間へと手を伸ばしていく。ブリーフの中では突き刺さるように固くなっていた。
「ママ、して……」
　 吐息のように、拓哉がかすかにつぶやいた。
　 美母は望まれるままに、息子のパジャマの前から手を挿し入れていく。
　 初めてふれる息子の勃起物。男を知り尽くし、男なら誰でも付いているモノとわかっていても、とうとう息子のそれを握るのだという思いが先立つと、年甲斐もなく無垢な少女のように鼓動が息苦しいほど高鳴り、生唾もしみ出てくる。
　 ゆっくりとブリーフの合わせ布をかき分け、指を滑り込ませる。
「あっ」
　 次の瞬間、麗香の声が小さく弾ける。指先に拓哉の肉棒がふれたのだ。
　 おぼろげに記憶に残るモノとは異なる感触。指を引っかけるようにしてブリーフの中から肉の塊を引き出すと、その全容があらわれた。
（はっ、小さかったオチンチンが、こんな大きく……）
　 引き出したモノを目にするなり、息を呑んだ。
　 まだ皮被りの状態であったが、その形状はシビンで尿を採っていた時のモノとも、お漏らしして困らせた可愛いイメージのオチンチンとも明らかに違う。
（いつの間にか、オナニーするまでになってたんだわ……）
　 麗香はオナニーに耽る息子の姿を思い浮かべ、成長の早さを痛感する。肉茎の逞しさが、自分に向けられた愛の熱射だと想うと、熟れた身体が火照ってくる。
「もう、大人になってたのね」
　 目を細めた麗香は、吐息まじりにつぶやく。
　 包皮に包まれた尖端を、ピクピクと震わせている拓哉がなんとも可愛い。
「ママ、握ってぇ……」
　 息子に導かれて、自らのしなやかな５本の指がためらいがちに拓哉の肉棒に絡む。
「あっ、ママ」
　 麗香の手に肉棒をゆだねた拓哉は思わず顔をしかめた。握りしめただけなのに、若い奔流がたちどころに充満し、脈動を鋭く打ちはじめる。
「あっ、すごいわ、拓哉のオチンチン……。硬くて、ママの手が火傷しちゃうぐらい、熱い」
　 息子の勃起したペニスを、見るのも触れるのも初めてだ。拓哉のペニスは見た目よりもずっと量感があり、硬い。男を熟知しているはずなのに、握る手に緊張感が走る。
「こうして、大きくなったオチンチンを、女の人に触られたのは、初めて……？」
「うん」
「そう……」
　 拓哉の素直な返事に安心した。息子はまだ童貞なのだ。
　 そっと包皮を剥きあげるなり、中から美しいピンク色した若芽が露出した。どこまでもピュアで淫水焼けしていないことを示していたが、テカテカに輝くほど大きく膨れた亀頭は肉茎そのもので、伝わってくる手応えは紛れもなく男だった。
（あの人と、違うわ）
　 不意にボーイフレンドのペニスと比較した。
　 外資系の商社マンのボーイフレンドは独身で、週に一度のペースで彼とセックスするほど、今の麗香にとっては息子の次に大切な存在になっていた。逞しく力強い彼氏のペニスは、女盛りの肉体を必ず満足させてくれた。
　 男盛りの真っ只中にある、血管が浮き出るほどの隆々たる彼氏のイチモツと比べれば、やはり見劣りするのは否めない。しかし、若さほとばしるみずみずしさにかけては、拓哉の方に軍配が上がった。柔らかな包皮に覆われた肉の茎はエネルギッシュに満ち満ちて、若牡らしく脈動している。
「ママ、気持ちいいよ」
「そう、気持ちよくなって……」
　 麗香の手が、遠慮ぎみにゆっくりと拓哉のペニスをしごきあげる。それだけで、息子は背筋を走る快感に耐えるように天を仰ぎ、鼻息を荒くしていく。
「ママ、ママ、出ちゃう……ママぁ」
　 わずかな出し入れにも、女を知らない初々しい肉棒は瞬く間に悲鳴を上げ、美母の手のひらにこらえきれない予兆の脈動を早くも伝えてくる。
「出して、いいわョ、拓哉……。我慢しないで、ママの手の中に、出しなさい」
　 射精を促すようにリズミカルに男の急所を責め立てる。拓哉は熱い息をせわしなく放ちながら、圧倒的な快楽のまにまに溺れていく。
　 ギンギンにいきり立ち、鋼のように硬くなった若い果実は、手の中から飛び出さんばかりにピクンピクンと跳ねあがり、ひと回りブァッと大きく膨らんだ。そして、あっと言う間に頂点を迎えた。
「あ、あぁ〜、マっ、ママぁ〜」
　 拓哉の硬直した身体に小刻みな痙攣が走った。その直後、麗香に向かって、若芽の尖端から、溜めに溜め込んでいたエネルギーの塊がいっぺんに噴出する。
　 麗香はあわてて鉾先を下に向けた。しかし一瞬遅く、最初の快液が、サポートストッキングに包まれた太ももを直撃してしまった。
　 黒の薄布に付着した白濁液が、ピンと張りつめたナイロンの上をトロリッと粘り落ちていく。精液と黒いストッキングのとても淫靡な空気が二人を包む。
（あっ、す、すごい……）
　 間近に見る息子の精の烈しい放出に、少なからず衝撃を受けた。
　 久々の射精とあって、肉棒の尿道管からシュッ、シュッ、シュッと耳に聞こえんばかりに凄まじく弾ける射精感が握る手に伝わってくる。生温かい弾丸を手のひらに鋭く撃ち続けられるたびに、めまいが起こしそうな高揚感に包まれた。
「いっぱい、出して……」
　 母親らしい穏やかな眼差しを送りながら、断末魔のような痙攣が鎮まるまでペニスをしごき続け、ありったけの精液をほとばしらせる。生温かいエキスは指の間を粘るようにゆったりと流れていく。
　 圧倒的な快感に、ただただ全身を打ち震わせている拓哉がなんとも愛しい。
　 しばらく続いた間歇がやっと治まって、新鮮な精液を受け止めた手の中を見ると、出し尽くされたヌラヌラと光る白濁液がこぼれるほどに溜まっていた。
「たくさん、出たわね」
　 ひと月も放出していないのだ。恐ろしいほどの大量の精液に、彼女が感嘆の声を上げてもおかしくない。
　 動揺を見透かされないように、麗香は放出の余韻にヒクヒクしている肉棒から手を離して、洗面台に向かう。しかし、身体の底から込み上げる妖しい疼きを禁じ得なかった。
　 洗面台の前に立ち、白い精液が黒いストッキングに付着した自分の姿を鏡に映すなり、忍び寄る疼きが麗香を一挙に背徳へと衝き動かした。
　 何かに導かれるように、拓哉の精液が溜まっているその手を、麗香は口もとに持っていって含んだ。仰いで呑み下した瞬間、うっとりと陶酔の表情を浮かべた。
「マ、ママ……」
　 息子が、唖然として見つめる。
「ママって、エッチでしょう、拓哉のを呑むなんて」
　 麗香は妖艶な色に滲ませた眼差しで、ティッシュを片手に拓哉の方へ歩み寄る。